「二○三高地あたりで会っていたかもしれんな」
概要
CV:津田健次郎
誕生日:1月22日生
出身地:東京府生 茨城県出身
鶴見中尉の小隊に属してはいるが、元より野心家であり鶴見一派に対する造反を企てた。
※留意すべきは反乱者側は鶴見一派であり、第七師団全体としての立場で見るならばこの行動は軍に対して忠実なものである
日露戦争終結後に勝利したものの大損害の責任を取り自刃した故第七師団師団長花沢幸次郎中将と妾・尾形トメとの間に生まれた庶子。父方の血筋は祖父も軍人という優秀な血統をもつ。日露戦争で聯隊旗手を務めた義弟花沢勇作少尉とは第七師団入団後初めて邂逅した。
射撃は特に卓出しており、有効射程距離500mの三十年式歩兵銃を用いて2000m先の範囲なら絶命可能な命中率を誇る。
一方、他の登場人物と比べると接近戦では飛び抜けた活躍は見られず、ロシア極東の拳闘「スチェンカ」に競技者として参加した際は早々に脱落した。
ロシア語を修得している。
「Барчонок(ボンボンが)」
状況により同行者を変えることから杉元からはコウモリ野郎と呼ばれたが、他の兵からは山猫、公式からは孤高の山猫スナイパーのキャッチフレーズをつけられている。
その為か度々猫のような行動を見せる(鼠に反応する、鼻先の物の匂いを嗅いでしまう、嗅いだ後の変顔、暇つぶしに蝶を追いかける、身を丸めて眠る、火鉢の前から離れないetc.)。
宇佐美時重上等兵からは第七師団離脱後も「百之助」と呼ばれている。
好物:あんこう鍋
苦手:しいたけ
特技:射撃、自転車(作者がTwitter上で描写)
武器:
所持回 | 武器 | 補足 |
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第103話 | スペンサー騎兵銃,スペンサー歩兵銃(三ツバンド) | 祖父の古い銃でマガモを仕留めた |
第4話 | 三十年式歩兵銃 | |
第42-46話 | 三十年式歩兵銃 | |
第55-59話 | 理容用鋏、三十年式歩兵銃 | |
第77話 | 三十年式歩兵銃 | |
第78話 | グランパ・ナンブ 南部式自動拳銃大型(甲) | 月島に奪われた |
第78-99話 | 三十年式歩兵銃 | |
第99話 | 三八式歩兵銃 | 杉元が奪った銃と交換 |
第137話 | 三八式歩兵銃 | 弾丸は三十年式実包 |
第160話 | ベルダンM1870 | ウイルタ民族男性の銃と交換 |
第197-200話 | 二十六年式拳銃 | 鯉登の拳銃を奪う |
第215話 | 三八式歩兵銃 | 死亡した第27聯隊から拾得 |
第252話 | 三八式歩兵銃 | ヴァシリに撃針を撃たれ櫓へ捨て置く |
第253話 | 三八式歩兵銃 | 対牛山で投げ捨てられた宇佐美の銃使用 |
容姿
猫を想起させる大きな黒い瞳と、西洋人の様に眉骨が高いためその眼球の大きさに見合う漢字のワ冠のような形状の眉をした特徴的な目元を持つ。黒髪は癖の無い真っ直ぐな髪質で、肌は作中一の色白に描写される作者曰く個性的な美形である。面差しは父親と瓜二つであるが、尾形に口髭は無く顎のみ。
初登場時は他の軍人同様坊主頭だったが、再登場の際にツーブロックに変わった。イメチェン理由は作者曰く「解放感でしょうね」とのこと。
また頬にまるで猫のヒゲを思わせる手術痕がある。
衣服は作中通して紺の軍装、軍帽は被らずフード付きの外套を羽織るスタイル。
性格
笑むこともあるが頻繁ではない。冷静沈着で淡々としており摑みどころがないが頭の回転は恐ろしく速く、状況判断は的確、懐に潜り込む術も備わっているためどこの組織でも重宝される。
極めて優秀な頭脳のため他者への気付きも鋭いせいか、杉元や谷垣はたびたび嫌味を言われている(主に2人が銃の手入れを怠るせいではある)。
杉元同様、敵対者には一切容赦せず殺害するが、多少なりとも罪悪感を持ち続ける杉元とは対照的に、罪悪感を持たない(本人談)。
ただ、孤高の山猫スナイパーの顔と上記の印象が強く、尾形の他の一面、年配者、立場の弱い者、特に親の愛情が希薄な子供に優しさが溢れ出る部分、そして義理堅い性格を表だって知る者は少ない。
・口封じの必要は全く無くなったにもかかわらず、再会時谷垣への殺意が残っていたのは造反組の仲間を谷垣に殺されたと思い迎撃と敵討ちを実行しようとしていた。※杉元のお陰で誤解は解けその後、捕らえられた谷垣を救出
・鰊番屋の息子を殺害から救う。
・土方一派、杉元一行等々旅路や戦闘では死ぬ確率の高い殿(しんがり)をずっと務めている。
・偽アイヌコタンでは杉元を助け、借りを返した。
・樺太では元気の無い少女を気遣う。
・誘拐事件では子供の背に手を添えた。
・ファンブックによれば、5日間衣食住助けてくれた日露戦争で孫を亡くしたロシアのお爺さんにはお礼に棒鱈を置いて去っている。
・作者曰く尾形がバアチャン子なのはご飯を食べさせてくれたから。
「あの場でやれば目撃者も殺さねばならん バアチャン子の俺にそんなことをさせるな」(第43話)
菊田杢太郎の話では上官である鶴見の尾形に対する評価は高く、宇佐美が嫉妬心を燃やす程である。ここでは珍しく宇佐美が尾形の性格について心情を言及している。
「(略)だからあいつ――殿が清いまま死んでったからモヤモヤしてるんです 可愛いでしょ?」(第243話)
尾形は鶴見の求める理想の軍人像に嵌まる素質の持ち主であり、銃器に関する知識、戦術戦略は豊富で狙撃手として高いプライドを持つ。
作中での活躍
初登場は主人公サイドのメインキャラ白石由竹より早く第4話。
刺青の囚人を追跡した際に杉元と交戦。杉元に右腕を折られ目潰しで撤退を図るが、背後から三十年式歩兵銃を後頭部へ投げ付けられ川へ転落した。転落の際顎を骨折、更に低体温症の重体で長らく入院を強いられた。
再登場は42話。
造反の仲間が行方不明になった報せを受け病室から逃走。原因と思われる谷垣源次郎に接触し尋問するが互いに情報が補えず、結果造反組は谷垣に消されたと解釈し二階堂浩平と共に口封じと仲間の敵討ちのため谷垣を狙う。鶴見中尉から殺害命令が出されるも戦場経験を活かし離脱する。
その後、茨戸で土方歳三と交戦。約60m離れた火の見櫓の鐘を連擊して鳴らす神業を披露。戦いの末、土方より先に目的の物を手に入れ一派へ加わるが、夕張で杉元一行と土方が手を組んだことにより杉元たちとも行動を共にする。
谷垣と再会時、杉元から造反した仲間の死の真相に関する正確な情報を得た事により、彼らの頼みに添い谷垣を逃す等救助する一面も見せた。
散弾銃以外で撃ち落とすことが難しいヤマシギを小銃で複数仕留めたり、エゾシカを弾丸一発で二頭仕留める等離れ業をやってのける。
また人間相手なら真冬の樺太では丸一晩、呼気を消すため雪を絶えず口に含み、敵が居場所を晒すまで身を潜める強い精神力、札幌では逃走する馬上の標的を建物越しに撃ち抜く高い集中力を披露している。
網走では依頼を受けた標的を射殺、さらに金塊に関わる情報を得た可能性がある者も狙撃し脳を欠損する重症を負わせた。
網走の激戦で仲間は分散。尾形はアシㇼパ、キロランケ、白石に付き樺太へ渡る。
樺太では作中屈指の名勝負、帝政ロシア国境守備隊のヴァシリとの狙撃戦を展開する。
南樺太が日本領であったこの時代、北樺太の亜港監獄に重要人物ソフィア・ゴールデンハンドと仲間達が投獄されていたため脱獄に手を貸す。
流氷原で死に至るほどの重傷を負うが思いがけない人物に助けられロシア人医師に手術を施される。
その後、作者曰くロシア人のお爺さんに衣食住世話になると置き土産・棒鱈を残し、一行とは別ルートで帰国。
帰国の際、連絡船の船長に棒鱈を見せながら涙を誘う見事な演技力を披露し乗船許可を得た。
帰国後、土方にふたつの重要な情報を届ける。鶴見から逃れるための滞在先移転の提案もしており、土方は賛同する。
「死神から逃げ続けるのは簡単じゃねえ」(第223話)
白鳥を仕留めてくると白鳥鍋についてキラウシが「白鳥を食べると将来 白髪になる」とのアイヌの言い伝えを語り、一晩中議論されるその話の輪に加わっている。
札幌では「物売り」の変装を提案、土方組全員参加のなか尾形は親孝行に身形を変え、キラウシに「確かにちょっと目立ち過ぎだ」と言われてしまう。(第240話)
カモを撃ち帰宅した尾形に夕飯の支度をしていた牛山辰馬と土方が迎える。左撃ちの具合を訊く土方に「狙撃兵は『人間を撃ってこそ』だ」と話した。
都合により土方組を離れサッポロビール工場敷地で狙撃待機。騒動の最中、手練れの狙撃手に狙われるが気配を感じ紙一重で免れた。しかし撃針を破壊され、宇佐美の落としていった銃を無情な方法で拾得し、工場内へ。
門倉利運を追っていた宇佐美と偶然遭遇、元同じ釜の飯を食った第27聯隊所属上等兵同士激突する(第254話)。
傷を負ったため落ちていた狙撃の腕が精度を増して復活する。静寂を取り戻し、射撃が超神業の域に達した尾形は、サッポロビール工場崩壊の騒ぎに紛れ、杉元・土方一行を追うソフィア達パルチザンと同じ機関車で北海道南部へ向かう。
他の登場人物が「金塊の分け前欲しさ」等ある程度明確な行動理由を持っているのに対し、尾形がこの金塊争奪戦に関わる理由は目下のところ不明のままである。
過去
当時近衛(現在で言う皇宮警察)歩兵第一聯隊長陸軍中佐だった父と浅草芸者の母との間に生まれる。山猫とは枕芸者の暗喩であり、尾形の生まれを揶揄する意味も含まれている。
生後暫くして母子ともに祖父母のいる茨城へ移転、初の射撃は祖父から教わった。
作中ではこの地で母・尾形トメ急逝。
さらに第七師団入団後、尾形を「兄様」と呼び慕っていた異母弟・花沢勇作少尉が203高地にて戦死、日露戦争終結後には父・花沢幸次郎中将が自刃したのは軍部内外、大衆の知るところである。
高級料理あんこう鍋は、尾形の回想(第103話)で(別離前の)父・花沢の好物だったと生前の母から教えられている。また食べに来てくれると信じながらあんこうの捕れる時期は毎日料理に出された事から、あんこう鍋が尾形のお袋の味であり、ファンブック好物欄に公式表記されている。
他の兵の過去編で定かではないが、尾形は鶴見少尉、月島基、宇佐美時重と共に東京へ訪れている描写がある。
余談
尾形の過去について描かれた103話は、単行本化にて雑誌掲載時の17ページから23ページに大幅に加筆・修正がされており、尾形の感情がより強くわかりやすく描かれている。
狙撃の際の特徴的な構えは映画「山猫は眠らない」の主人公トーマス・ベケット、ひいてはそのモデルとなった伝説のスナイパーカルロス・ハスコックと同じである。
登場キャラの中でも特に人気があり、人気投票では杉元と接戦を繰り広げ、最終的には2位となったがその人気の高さを示した。
「尾形が捕まえようとした蝶」もファンからの希望で期間途中から投票可能なキャラクターとなるのだが、途中からの参戦にも関わらず15位という高順位に食い込む大番狂わせを起こす。
さらに上位20位内から2名のキャラを作者が描くことになっていたのだが、抽選で描きおろしキャラ2名に選ばれるまさかの事態が起きてしまい、ファンをさらに困惑させることとなった。(ちなみにもう1人は月島軍曹)
受注期間2020/12/17-2021/1/27、2021年6月グッドスマイルカンパニーよりねんどろいど 尾形百之助が発売された。尚、主人公は発売未定で何故尾形が先行発売されたのかネット上がざわついた。
2021年サッポロビールから第四弾ゴールデンカムイ×CLASSIC北海道限定デザイン缶の応募企画があり、尾形百之助、谷垣源次郎、鯉登音之進、月島基の中からファン投票で選ばれるイベントがTwitterで展開された。尾形は45,000を越える票が寄せられ第1位に。2021年7月6日サッポロクラシック「ゴールデンカムイと乾杯ッ!!」キャンペーンが実施、350mlの杉元缶、白石缶と共に500ml缶で発売された。