説明
声:加藤精三
本作のラスボス。
星を滅ぼす事で進化する異形の高等生命体で、合計1000の星を破滅させれば更に強大な神の如き存在になれるとしてそれを目的に活動してきた邪悪かつ狡猾な怪物である。
超獣形態では長い鞭状の触手と翼を羽ばたいて生み出す突風が武器で、さらに体はマックスマグマの必殺技・ダイヤモンドマックスも受け付けない程の頑丈さを誇る。
とある惑星で王女メドーに惚れて求愛を試み、長いストーカー行為の末に彼女は崖から転落死してしまう。その後バルガイヤーは王女の亡骸を最深部に取り込んで保存し、彼女の姿を銀河皇帝メドーという形で利用してシュバリエやガロアをはじめとする悪の異星人達を集めて銀帝軍ゾーンを結成した。
幹部達の目を欺く為に戦艦に擬態し、銀河戦艦バルガイヤーとしてゾーン軍と共に宇宙を渡り歩き、配下らにはメドーの姿で命令を下してシドンを含む多くの星々を滅ぼし続け、そして最後となる1000個目の星である地球に狙いを定める。
やがてファイブレッドとの一騎打ちに敗れた、銀河で数多の殺戮を繰り返したシュバリエの死体を「この世で最高極上の死のエキス」と見なし、全ての力を使い尽くして倒れた彼を取り込んだ事で銀河超獣へと脱皮を遂げた。
当のシュバリエや他の幹部達はそれがファイブマンの命と思い込み、何も知らずにバルガイヤーの思いがままに動かされ、徹底的に利用されていた。また、「敵を欺くには味方から」を最低最悪の形で行く作戦だった為、 ファイブマン側もこれには騙されてしまい、シュバリエを倒してしまったせいで窮地に陥る事になる。
超獣となった後はファイブマン達を執拗に追撃し、迎撃に出たマックスマグマをいとも簡単に破壊した。しかし、無敵かと思われたバルガイヤーにも、たった一つの弱点があった。
それはシドンの花だった。
そのために第46話でバラドルギンにシドンの花を根絶やしにする事を命じたが最終決戦でたった一株残っていた事が判明。スーパーファイブロボが体内にシドンの花を持ったまま入り込むと中に安置されていたメドーの亡骸がシドンの花に反応。その魂が解放された事で苦しみだした後、脱出したスーパーファイブロボの体当たりを受けたバルガイヤーは(中のガロアとドンゴロス共々)爆発四散。それはまさしく、王女への盲目的な愛を抱えた生命体の最期だった。
バルガイヤーの死を以ってゾーンは滅び、長い戦いは終わりを告げた。
メドーとしての評価
ゾーンはあくまでメドーという存在を中心に回っていた組織であった為、ガロア以下組織の幹部はバルガイヤーが本当の支配者だった事実を受け入れる事ができなかった。
悪いことにバルガイヤーにとっても彼らは自分の目的を達成する為の駒に過ぎず、本性を表して早々、騙されていた事に憤るドルドラとザザを強引にバラドルギンに変えて洗脳。自分の変化の過程でDr.サイシアルとフリンダらが犠牲になっても気にせず、脱皮の為のエキス集めを強要した挙句、上述の通りシュバリエをも生贄として謀殺した。
こうしてゾーンは支配者であるバルガイヤー自身の手によって事実上崩壊に追いやられる事になり、ガロアら他の幹部達も個人的な欲を優先した事で破滅し、あまりにも悲惨な形で瓦解する末路を辿った。
バルガイヤーの支配者としての活躍は最終盤のみだったが、愛した女性の姿を隠れ蓑、脱皮前の自身の身体を本拠地としてゾーンを結成、自身の成長の為に長い間構成員を欺き利用し切った黒幕としての手腕は非凡な物である。
その組織運営は大まかに、功績を出した者への最大限の優遇や便宜を徹底して信頼関係を構築する、手間こそ掛かるが確実な成果が出る物であり、それが積み上がった結果ゾーンは独自の通貨経済(※商売相手からの一定の信用がないと成立しない)が成り立つ小国家レベルの組織へと成長している。
部下の組織内での立場を入れ替えるさかさまデーは自身が直に命令を下す幹部たちがどれだけ下からの信用や忠誠があるかを観察する為のものだった可能性もある。度重なる失敗ゆえか部下に処刑されかかったガロアは言わずもがなだった一方、さかさまデー中でもいつもの接し方でいたドルドラとザザの2人はそれと好対照である。
そして、この組織運営で最も得をし、最も利用し尽くされたのが他ならぬシュバリエである。多大な功績を出した後に一線を引き、報酬を支給されての悠々自適な境遇を許されたが、これは裏返すと「有事の時は絶対戻って来い」と圧力を掛けられていたに等しい。
ゾーン復帰後は過去の実績と実力に胡坐を掻いた詰めの甘さを露呈して失敗を重ねる醜態を晒したシュバリエだったが、メドー=バルガイヤーは最後まで手元に置き続け「死のエキス」を絞り出す糧とした。「死のエキス」がいかなる物かは説明が無いが、推測するとそれはバルガイヤー≒ゾーンに命を奪われた者達が発したマイナス思念だと考えられる。だからゾーンの手先として数多くの星を滅ぼし、そこに生きていた者達のマイナス思念を大量に浴びたシュバリエは極上の「死のエキス」を出す素材に成り得たのである。
以上の事から、シュバリエはゾーン最強の助っ人であると同時にバルガイヤーが脱皮をする為に前々から仕込んでいた保険であったとも言える。
余談
- おおよそ人間には理解しがたい異形の化け物だがさかさまデーの制定をしたり、メドーに恋焦がれてそれに執着し、そのメドーの魂が消滅するとパニックになったりと色々と感情豊かな面が見られる。
- 弱点がシドンの花だった事を考慮すると彼もまたシドン星に関係する生物の可能性もある。
- 「スーパー戦隊シリーズ歴代のラスボスで最強は誰か」というスレッドではファイブマンの最高戦力であるマックスマグマの攻撃すら効かなかったことから、ラゲム、エグゾス=スーパーストロングと並んでトップクラスに位置付けられる事が多い。特にエグゾスは身近な物がスーパー戦隊の逆転勝利に繋がったという共通点もある。
- 双葉社から刊行された『スーパー戦隊の常識』でも触れられているネタとして「超獣といってもどこかの異次元人とは関係ありません。たぶん」という物がある。
関連タグ
シドンの花:弱点
地帝王ゼーバ/リサールドグラー2世:演者が同じ、自らの正体を隠していた共通点を持つ地底帝国チューブの独裁者。こちらは側近達の人事に試行錯誤を重ねていた。
クエルボ/ドン・クエルボ:自分と一体化した首領に唆される形でその立ち位置と率いていた組織を拝借、自らの頭脳を使ってメドーとほぼ同じ組織運営を実践した結果、組織を全宇宙を支配する超巨大国家へと成長させた。その経歴から首領に変わって組織へ多大な貢献をした事実上のトップだが、本人は精神面の葛藤を首領に突かれる形でコントロールされており、結局首領の真の目的の踏み台として組織共々利用し尽くされてしまった。