「私は既に、命溢れる星を999個滅ぼしてきた。後1つ、1000個の星を滅ぼした時、私は永遠の命を得ることができ、全銀河の永遠の支配者となることができる。ガロア艦長、この地球こそまさに最後の1000個目を飾るに相応しい星だ。死の星と化して、私に捧げよ!」(第1話)
概要
部下達からの呼びかけに応じて現れる際は、決まってオーロラのような光の中に、巨大な顔として浮かび上がるという形を取っており、その神々しいまでの美しさと、時折見せる苛烈さとの抑揚を使い分け、彼女に心酔する部下達を侵略へと駆り立てる。
メドーに対する部下からの忠誠・信頼は並々ならぬものがあり、作中でガロア艦長と初代艦長シュバリエが、銀河戦艦バルガイヤー艦長の座をかけて熾烈な争いを繰り広げながらも、それがゾーンという組織の内部分裂にまでは至らなかったのも、ひとえに彼等が「メドーあってこそのゾーンである」という共通認識を強固に持ち合わせていたことの表れとも言える。
記事冒頭に示した台詞通り、その目的は「1000個の星を滅ぼして永遠の命を得る」というものであり、ガロア艦長を始めとする混成エイリアン軍団達に命じて、物語開始時点までに999個もの惑星を滅亡させてきた。
そして記念すべき1000個目の標的として、それに相応しいと判断した地球への侵略を命じ部下達を地球へと派遣するが、彼等による地球侵略作戦はファイブマンにことごとく阻まれることとなり、度重なる敗北に業を煮やして目から電撃を放ち、部下達に制裁を加えることもあった。
この状況は、彼女が感涙するほどに復帰を喜んだシュバリエの登場後もなお変わることなく、物語も終盤戦に入ると彼も含めた部下の不甲斐なさに対する嘆きと怒りのあまり、その形相も夜叉を思わせるそれへと変化した(第42話)。
作られた偶像
この後、予想外の大金星を上げたガロアの復権を認め、シュバリエと競わせることで遅々として進まぬ地球侵略に拍車をかけようとしたメドーであったが、これが処刑のためにバルガイヤーの艦内に連行された学によって、バルガイヤーが一つの巨大な生命体であるという秘密を露見させるという、致命的な事態を誘発する事態ともなった。
思いもよらぬ事実に当惑を隠せない部下達に対し、これまでの数々の侵略行為が「バルガイヤーを育てるため」であったことを明かしたメドーは、自らバルガイヤーへと命令を下して地上を蹂躙させるが、その途上でバルガイヤーがニュータウン小学校の上空を通過しようとした時、そこで育てられていたシドンの花の影響によりバルガイヤーがコントロールを失い墜落するという、これまた予想外の事態に見舞われてしまう。
そしてその影響は、バルガイヤーだけでなくメドーにまでも及んでおり、墜落したバルガイヤーからメドーの姿が上空に映し出された後、断末魔の悲鳴とともにその姿は呆気なく消滅してしまったのである・・・。
※ネタバレ注意※
「メドーはお前達を操るため、私が作り出していたのだ。1000個目の星地球を滅ぼし、その死のエキスを吸った暁には、私は神となるのだ」(第46話)
メドーの消滅後、突如として響いてきた謎の声によって明らかにされた真実。
それはメドーという存在が、「ゾーンという組織を束ね利用するために、バルガイヤー自身が作り出した隠れ蓑、偶像ともいうべきものに過ぎない」という事実であった。
前述の通り、ゾーンの幹部達はメドーという存在を中心として一つにまとまっていただけに、この衝撃的な真実に接した彼等は多大な衝撃と動揺を受ける格好となり、銀河博士ドルドラに至ってはショックのあまり発狂する有様であった。
そんな部下達の動揺をよそに、これ以降消滅したメドーに代わってバルガイヤー自身が、ゾーンの幹部達へと直接命令を下す立場となり、地球を滅ぼし神となるという目的へと邁進していくことになる。
※さらなるネタバレ注意※
そしてバルガイヤーが銀河超獣へと大脱皮を遂げ、ファイブマンとの間で文字通りの死闘が展開される中、起死回生を狙ってバルガイヤーの体内へ突入したファイブマンは、その最深部に安置されていた一つの棺を発見する。
そこに納められていた女性こそ、他でもないメドー本人だったのである。亡骸から現れたメドーの霊体が語るところによれば、彼女は生前バルガイヤーからの一方的な求愛を拒んで死に追いやられており、死後もバルガイヤーは彼女の亡骸を自らの体内に閉じ込め我がものとするだけに飽き足らず、その容貌に似せて「銀河皇帝メドー」という偶像を作り上げ、ゾーンを組織するために利用していたのであった。
そうした境遇に耐えかね、バルガイヤーからの解放を切望していたメドーは、ファイブマンが持ち込んだシドンの花の力によってようやく長きに亘る束縛から解き放たれ、残された亡骸も朽ち果てた後に消滅。
メドーがこうして「二度目の死」を迎えたことは、圧倒的な強さを見せていたバルガイヤーに心身共々深刻なダメージを与え、遂には破滅という末路を迎えさせることとなったのである・・・。
備考
デザインは篠原保が担当。組織の長としてのガロア艦長の、さらに上位の存在として考えられるものとして、篠原の中で最もしっくり来たのが「お母さん」だったことを踏まえ、屈強で荒々しいイメージのガロアとは真逆の、優しそうなお母さんが背後にいるというイメージの元にデザインが起こされている。