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道具としての隠れ蓑編集

天狗の神通力を象徴するマジックアイテムのひとつが『隠れ蓑』であり、それを着用すれば透明人間になることが可能とされる。だが、それを題材にした昔話(特に笑い話)では悪用したばっかりに失敗してしまうストーリーが多い。


昔話『天狗の隠れ蓑』編集

昔々、ある所に天狗が住んでいて隠れ蓑を持つという噂があった。麓に住む知恵者の男はそれが欲しくなり、天狗を騙して奪うことを画策する。彼はガラクタである火吹き竹(笊)の穴から外界を覗き、「遠い国まで見渡せるぞ~」とはしゃいで見せ、天狗を誘き出して隠れ蓑とガラクタを交換。騙された天狗が悔しがるのを尻目に逃走。


お宝を手に入れた男は喜ぶが、彼の伴侶(文献によっては母か祖母の場合も)は、隠れ蓑を汚いゴミと決めつけて男を頭ごなしに叱責(時には無断で)して、隠れ蓑を燃やしてしまう。彼は灰になった蓑を見て悲嘆にくれるが知恵を働かせて灰を体中にまぶして町へ繰り出し、いたずらをやらかす。その際、灰が取れるアクシデントで騒ぎが起こったため男は正体を明かして詫び、人々から笑われたりいたずらした分こっぴどく絞られ、働いて返すことでやっと許してもらう事ができた。男に騙された天狗はその様子を察してか、竹筒を見ながら大笑いしたという


登場人物編集

  • 主人公:基本的に男性で少年から働き盛りの青年、経験豊富な中年・初老と年齢も様々。名前は主に彦一ないしは彦市、彦八など。頭が抜群に良く、フットワークが軽いのだが、調子に乗りやすい上にどこか抜けている。トリックスター反権力的な義賊のように立ち回るとんち名人。

最後には灰が溶けて正体がバレてしまい、笑いものにされたりイタズラした分を弁償することになり、二度と人前でイタズラをしたり知恵をひけらかすことはなくなった


  • 天狗:山の親分的な存在でありながら、隠れ蓑や葉団扇、打ち出の小槌など優れた道具を持つ。道具を悪用される某猫型ロボットを思わせる描写や、それを奪われるおバカな描かれ方などから、愛すべき馬鹿扱いされることも。本当は泣く子も黙るほど怖いのだが、どうしてこうなった

最後はイタズラがすぎた主人公を懲らしめるか、自業自得の結末を迎えた彼を山の上で笑ういずれかになる



  • 主人公の家族:物語によって異なり、主人公が若者や子供であれば母や祖母、大人であった場合は妻の場合も。悪気はないのだが主人公には無断で、時にはぷりぷり怒りながら天狗から奪った隠れ蓑を一方的に燃やす早とちりな面もある(主人公がかってにガラクタを持ち込んだのも良くないので全く落ち度がないとも言えないが)

  • 天狗の一味:天狗が子供・若者なら親、大人であれば子供が出てくることもあり、その友達の妖怪やタヌキキツネなど。いずれにしても家族思い、忠義、友情に厚いが天狗の仇を討つことには失敗する道化。

  • 殿様:侍や姫がいることもあるが殿様が多く登場。とんち話であるためか、お人好しのバカ殿か、悪徳権力者のボスとして登場して主人公に弄ばれる。一部の作品では後述するように武士階級だった説を採用してか主人公のご主人様で善き理解者の場合もある。

備考編集


  • モデルは肥後熊本藩八代城下に住んでいた下級武士とされる。そのため、舞台が九州になることが多く、熊本弁など九州方言が用いられることも。

  • ばれてしまう理由としては「酒やお茶、饅頭など飲食物を口にした」「雨が降った」「水たまりに足を踏み入れる」など不可抗力や事故のこともあるが、中には小用を足した際に男性のアレが分かってしまうなど下ネタも存在する。

  • 灰を塗る時の服装も作者によって様々で、着物の上からと言う場合もあれば下着、時にはとんでもない姿になる場合もある。

・着物:農民や町人が着る普通の着物の場合もあれば、襦袢腹掛けなど肌着になることもある。

・褌:永岡書店ポプラ社ブティック社のアニメ絵本などでは赤フン(越中褌)、偕成社やポプラ社の和風絵本では白い六尺褌など褌姿が子供向けの絵本では多い。

・全裸:まんが日本昔ばなしや地方に伝わる話をまとめた全集などでは全裸描写があり、それが前述した小用と絡めて語られることも多く、Pixivでもその作品が存在する。


関連タグ編集

昔話 天狗 民話 童話 とんち話 透明人間 妖怪

透明化

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