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瓜子姫

うりこひめ

日本の民話/昔話のひとつ。 瓜から生まれた美しい瓜子姫と、彼女に目を付けた天邪鬼の物語。 日本の東西でその結末の悲喜が大きく変わる傾向にあり、細かい展開の違いも多い。
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瓜子姫とは、日本民話(昔話)の一つ、及びその物語の登場人物である。


概要編集

から生まれた少女を主人公とする日本昔話のひとつ、および主人公の名。

瓜姫、瓜子織姫など、地域により呼称に多少の違いがある。

グリム童話赤ずきん』などにもみられる、いわゆる「取り換え子」「成り済まし」の昔話の一つであり、その日本版と言うべき物語である。

一般的には『瓜子姫と天邪鬼』という表題となることか多い。


あらすじ編集

ある村に老夫婦が住んでおり、お婆さんは川で洗濯していると川上から大きな瓜が流れてきたのを見つけ、それを拾って帰った。そしてお爺さんと一緒に割ってみると、中から可愛らしい赤ちゃんが出てきた。子供のいなかった二人はその子を「瓜子姫」と名付けて大事に育て、瓜子姫も元気にそして美しく育っていった。

ある日、瓜子姫のうわさを聞いた長者がぜひ嫁に迎えたいと申し出てきたため、老夫婦は輿入れのために街へ買い物に出かけることとなり、瓜子姫はその間の留守を頼まれる。

そこに天邪鬼が現れ、彼女の家の戸口の前に立ち……。


物語の顛末編集

瓜から生まれた女の子が、老夫婦に育てられる。成長し留守番をしているところに、天邪鬼や山姥といった外敵がやってきて、家の中に侵入する、というところまでは全国的にほぼ共通であるが、

東日本=娘が外敵に殺害される

西日本=娘は木に縛られたりはするが、助けられる

と、その後の展開が異なる(例外は存在し、東日本にも生存型、西日本にも死亡型はある)。


生存ルート編集

瓜子姫は天邪鬼に連れ出されてを取りに行くことになる。

そして村の外れのに着くと、天邪鬼は瓜子姫に柿の木に登るよう勧め、さらにその着物では登りにくかろうと着ているものの交換を提案。天邪鬼のボロボロの着物を着た瓜子姫が柿の木に登ると、天邪鬼はそれを追いかけるようにして木に登り、彼女をで縛りあげてしまう。

その後、天邪鬼は瓜子姫とすり代わって瓜子姫の家に行き、何食わぬ顔で彼女の代わりに長者の家へ嫁ぎに行こうとする。老夫婦も違和感を覚えながらも天邪鬼を輿に載せ、長者の家へと向かうことにした。しかし、瓜子姫と天邪鬼のやりとりの一部始終を見ていたカラスが輿入れの道中でそれを老夫婦に告発、天邪鬼は正体が露見して輿入れを手伝っていた一同たちにコテンパンにされてへ逃げ帰り、瓜子姫も無事救出されることとなった。

一方の山姥の場合は、正体がばれて瓜子姫が救出された後、老夫婦に叱責されて改心するというパターンもある。


解説編集

西日本を中心に流布していた、現在では最もスタンダードなタイプの結末。

編者が違和感のないよう多少ながらテコ入れを施した部分もあるが、往々にしてこのパターンで話が進む場合が多い。

基本的に瓜子姫が怪訝に思いながらも天邪鬼に付いていき、そのまま甘言に乗せられて縛りあげられるパターンが多い。その他にも――

  • 瓜子姫を脅して登らせる
  • 柿の木まで連れて行ったらそのまま襲いかかって着物を奪い取る
  • 柿の木に連れていかず、その場で俵に詰めて天井に吊るす
  • 天邪鬼が先に木に登って柿を食い、それを欲しがる瓜子姫に未熟な柿をぶつけて気絶させ、そのまま着物をはぎ取ってすり代わる

……といったバリエーションが存在する。

このほか、嘘が露見する場面についても「輿が柿の木の下を通り過ぎ、上から瓜子姫の涙が落ちてきてバレる」「『瓜子姫は機織り上手』という噂から天邪鬼が機織りをさせられてそこからバレる」など様々なバリエーションがある。


死亡ルート編集

瓜子姫は天邪鬼に連れ出されてを取りに行くことになる。

そして村の外れの柿の木に着くと、天邪鬼はまず自分が先に柿に登ってそれを食べ始めた。それを瓜子姫が欲しがると、天邪鬼は木から降りて来て「自分で取ってこい」と瓜子姫を木に登るようけしかける。仕方なく木に登った瓜子姫だったが、かなりの高さまで来たところで天邪鬼は柿の木を激しくゆすり、瓜子姫はそれに耐えかねて落下して死んでしまう。

そして天邪鬼は、瓜子姫のをはいでそれを被り、着物も奪って瓜子姫に化けて瓜子姫として老夫婦のもとへと向かった。

そして輿入れ当日、瓜子姫に成り済ました天邪鬼だったが、瓜子姫の無念が一羽の小鳥となって輿入れの一団の前に現れて事の顛末を告発、正体のばれた天邪鬼は一団によって殴り倒されて死んだ。

蕎麦の茎が赤いのは、蕎麦畑でボコボコにされた天邪鬼の血が何時までも取れないからという由来譚ともなっている。瓜子姫が生存するルートで、姫が救出された後、この結末に至るものもある。


解説編集

東北を中心に流布していたパターン。

グリム童話だったけか、これ?(汗)

とにかくえげつないので言えば、このパターンである。

もっと酷いのだと「天邪鬼が瓜子姫の死体を料理して老夫婦に振舞う」というかちかち山の裏バージョンに匹敵する陰惨な展開になる。

その他――

  • 瓜子姫を脅して裸にし、まな板の上でバラバラにして食べてしまう
  • 妖術を使って瓜子姫に取り憑いて殺し、瓜子姫の体を乗っ取る
  • 瓜子姫には化けずに瓜子姫の死体を老夫婦に食わせ、ネタばらしをしてトンズラする

……というパターンもある。

いずれにしろ瓜子姫は死んでしまうし、救いようのない展開であるため、今では西日本版の陰に隠れている。しかし、ホラー作品のモチーフとして取り沙汰されることもあり、メディア作品への展開ではこちらの方が有名である。


ラストシーンの蕎麦の話は、やせた土地でこの伝承が生まれたからと言う説もある。


pixivでは編集

日本の民話でありながらやや知名度の低い瓜子姫だが、pixivでは様々なユーザーがこの作品のファンアートを投稿している。

しかしながらそのほとんどが「瓜子姫の物語を多くの人に知って欲しい」という一人の有志からの要請により描かれたものであったため、一部ではマルチリクエスト行為として批判する声も上がっていたが、結果として瓜子姫の知名度が上昇するきっかけとなった。



関連イラスト編集

瓜子姫と天邪鬼瓜子姫


関連動画編集

瓜子姫は先述のように多面的に解釈することのできる話である為、度々考察の対象となる昔話でもある。

瓜二つという言葉があるように、瓜子姫と天邪鬼が実は同一の根源を持つ存在だという解釈が生まれたりと読み手によって可能性が大幅に広がっていくのだ。



関連タグ編集

昔話 民話

天邪鬼 チェンジリング

鬼灯の冷徹

桃太郎:植物から子供が生まれるという意味では共通だが、怪異を倒せるか倒せないかという点や性別などが対になっている。

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