ゴジラウルティマ
ごじらうるてぃま
概要
アクアティリス、アンフィビア、テレストリスを経て「特異点」としてさらなる成長を遂げたゴジラの第3形態にして最終形態。
全長50m~???m(100m超)。
青緑だった体表も漆黒の鎧のような外皮に塗り固められ、前傾気味だった体勢は非常に重厚な下半身に支えられた直立に近い姿勢となり、腕は微妙に小振りになっている。だらしなく顎の開いていた頭部もだいぶ小さくなりながらより厳つく険しいものへと変化し、そして自身の体長を超えるほど非常に長い尻尾が特徴。
また、寄生か共生か関係は不明だが、体表面にはメガヌロンと思われる怪獣が群生している。
テレストリスで持っていた背鰭を発光させた後に口から射ち出すリングは連続して複数放射したのち収縮し、さらに強力な「原子ビーム」へと圧縮して撃ち放つものへと強化されており、その威力は都心部の巨大建造物や他の怪獣までも容易く貫き、焼き尽くしてしまう。
体から放出する紅塵の量もさらに膨大となり、自身を中心に紅く禍々しい竜巻のような積乱雲が形成されて東京の空を覆い尽くすほどの規模まで広がっているばかりか、ゴジラの周囲で空間の歪みが発生している。
素の身体能力も極めて高く、純粋な破壊力においては他の追随を許さない正に最強の怪獣となっている。
また、この形態に至ってなお成長は続き、「成長しきったところで、さらなる存在にいたる」のではと考えられているという……。
容姿・デザイン
初代のデザインモチーフが念頭に置かれており、首は太く、頭部の突起はオールバックのように後ろ向きに生えているのが特徴だが、一方で耳は確認できない。口は下顎の方が大きく、上顎には犬歯が目立つ(犬歯や前歯は口内の歯とは独立している模様)。
体付き自体は結構王道な外見だが、歴代に比べると恐竜のような前倒姿勢な骨格が目立ち、両足が非常に太く、皮膚はまるで鎧のように折り重なり、斜め上に伸びた白い背びれには赤い血管のような管が走っている。腕の側面にはワニやカメに見られるヒレのような突起が確認できる。
頭部は顔に比べて口(顎)は異様に巨大かつ大きく裂け、歯茎を剥き出しにした口内には舌がなく歯が何重にもびっしりと敷き詰められ、喉の奥には三本の「管」らしきものが見えるという、いかにも「絶対に人類と意思疎通が出来ない」と思わせるほど不気味かつ恐ろしい顔になっている。
『CGWORLD』6月号での山村氏のインタビューによると、今までのゴジラの延長線上では新しいものが出来ないため、「恐竜が蘇った」という初代の設定に原点回帰してティラノサウルス等を怪獣にする観点から始まり、CGで描かれるため着ぐるみの制約から外れた現代の科学的推論に基づいた生物学的に正しいデザインを心がけており、最終的に現在の恐竜の形態と既存の(昭和の)ゴジラのイメージを複合させた「完全に直立していないし完全に寝てもいない、絶妙な角度」の姿勢になったという。
また、皮膚も昭和ゴジラを再現しており、上記の横から見た時と正面から見た時とで印象が変わるのも考慮したものとなっている。肌のディテールは現実の鳥の足を参考にしており、生物学的に迫力を出すために下顎はがっしりしたものに、脚は巨体を支えるために太く描かれ、尻尾も正面からのカットで画に変化をつけられるようとても長く、腕や脚にあるヒダはミサイルなどの攻撃に耐えうるためのプロテクターの役割としてサイのそれがモチーフになっているという。
また、デザインした山森英司氏によると「何より初代のデザインモチーフを念頭に置き、絶対に人類と意思疎通など出来ない、畏怖すべき生き物としての威厳を持たせる事です。初期の昭和ゴジラのイメージを統合し、それでいて新しい初めて見る姿を目指しました。」とのこと。
劇中での活躍
夜間自衛隊と交戦し集中砲火を浴びていたゴジラテレストリスが爆炎と黒煙の中で突如この姿へと変化した。
進化後は自衛隊の攻撃も強硬な外皮で寄せ付けぬまま背鰭と口内を青白く光らせ、口の前に7つの大小様々なリングを形成。そのまま光輪をくぐるように原子ビームを放出、戦車やビルを焼き、貫き、薙ぎ払い、東京を一瞬にして火の海に変えてしまった。
また、10話まで頑なにイントロだけで止まっていたものの、ゴジラウルティマ覚醒と同時に満を持して流されたあの曲には、今までにないアレンジがついており、必聴である。
翌日、紅塵の雨のなか上陸してきたマンダとも交戦。長大な身体で巻きつかれて首もとに食らいつかれるが、すぐに原子ビームを発射してマンダを焼き切り瞬殺。その後も紅塵に覆われラドンの群れが飛び交う東京を闊歩していった。
その後の松原美保の話で東京駅に陣取り体高も100mに成長したことが語られたほか、紅塵に包まれた東京には「グロブ」か「グレイ・グー」とも称される紅塵を吸収して成長しゴジラ同様に周囲の地盤や空間を歪ませる赤い植物やヤママユガ(天蚕)に似た金色の鱗粉を振りまく黄色い翅の蛾など、未知の生物たちによって侵略的に新たな生態系が構築されている「東京異界」へと変貌しつつあった。
その後、「破局」の回避(ゴジラ退治)のため飛行ユニットを装備して飛んできたジェット・ジャガーPPとオーソゴナル・ダイアゴナライザー(O.D)を所持した有川ユンの存在に気づき、自身の縄張りに入った彼らを排除しようと原子ビームを発射、周囲を飛んでいたラドンの群れを巻き込みながら周囲を、そして空を覆う紅塵の雲をも焼き切った。
(この時にユンがゴジラの背中の上に落下、巨大昆虫の群れに襲撃されるも、背鰭に引っ掛かっていたO.Dの回収に成功した後JJに助けられるが、すぐに墜落してしまった)
そして自身の近くにいたユンを見つけるなり、(自分にとって脅威となると悟ったからか)明確な敵意のもと彼に向かって容赦なく原子ビームを発射しようとした直後、巨大化したジェットジャガーが立ちはだかり、そのままJJとの戦闘を開始する。
最初こそはやや圧されたものの、すぐに長大な尻尾やビームを駆使してJJ相手に優位に立ち回り、最後はこじ開けられた口から至近距離で原子ビームでJJを吹き飛ばそうとしたが、その瞬間にJJは自身の組み込まれたコードでODを起動して爆発、JJと紅塵もろとも「青い結晶体」へと変化し、完全に消え去った……。
余談
略称はギュラゴジ。ギラゴジなど紛らわしい他作品と区別のつく呼び名として「ウルティマ」と呼ばれることも多い。
劇中に登場した浮世絵『古史羅ノ図』は歌川国芳の錦絵『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』に酷似しており、その絵での鰐鮫がゴジラ(古史羅)に、烏天狗がラドン(羅甸天狗)になっている。
正式名称「ゴジラウルティマ」(ムービーモンスターシリーズより)にある「ウルティマ」はラテン語で『最終、遠方の〜、見知らぬ』を意味し、そこから人間が生存できる限界地点を語源とする言葉でもある。
また、劇中に登場した他の怪獣たちには、「背びれ」や「口」、「喉」など、ゴジラに類似した部位が確認されているが、今のところ関係性は不明。
スタッフコメントによるとそれまで登場した各怪獣のそれぞれの能力(ラドンの形態変化、アンギラスの未来予知、サルンガの紅塵操作能力、クモンガの外敵の攻撃に対応しての進化)をすべてゴジラが持っているという演出意図がある。
スマホゲーム・ゴジラバトルラインではゴジラSPとのコラボキャラクターとして登場。ゴジラテレストリスが一定時間場に出ていると進化可能となる。因みに、時間経過でウルティマを解放した後にやられてしまってもテレストリスからやり直す必要はなく、ウルティマの状態で再び出すことができる(また、熱線発射直前で倒されると劇中のように熱線を吐きながら倒れる)。
熱線については「宇宙船Vol.173」にて掲載された高橋監督のインタビューによると、脚本担当の円城搭氏曰く「レーザービームの原子版「原子ビーム」」であり、原子でもビームができるといい、熱線自体は普段のゴジラと同じだが、光のリングの中は空間をねじ曲げ、それをいくつか重ねて重力レンズの効果を表すことで、熱線を一ヶ所に集中させてビームのように撃つことができるという。
Blu-ray第三巻の付録座談会によれば、当初は大きく口を開けて極太の熱線がロケットのジェット噴射の如く出ていくイメージだったが、太いと遠くまで届く印象にならないため、輪っかがレンズとして熱線を収束させレーザーポインターのように照射するイメージになったとのこと。
同書では原子ビームの放射プロセスも解説されており、喉の三本の「管」から異なる化学物質が噴霧され、口中でそれらが化学変化を起こしたところでウルティマの呼吸により発火し、重力レンズにより束ねられ原子ビームとなる