「お前は生きろ。雅人…!」
概要
演:中康次
「仮面ライダー555」の登場人物。
スマートブレインの前社長であり、流星塾の創設者にして園田真理たち塾生の義父である男性。フルネームについては明かされていない。
その正体は、オルフェノクでも桁外れの戦闘能力を持つゴートオルフェノクの人間態である。
人物
年齢50歳。性格は常に冷静かつ穏やかで、園田真理を始めとする流星塾の子供達からは「優しいお父さん」「誰よりも優しい人だった」と慕われており、オルフェノクを憎む草加ですら怒りつつも花形を否定することができなかった。
また、塾生以外の他人にも優しさを向けていたらしく、後任の村上社長が乗っ取ったある会社の社長は「前社長の花形さんならこんなことはしないはずだ!」と発言しており、村上が木場に対して言った「私が社長になった以上、君が人間を襲わないことは許されない(=花形なら木場の生き方を許していた)」というセリフからもそれが窺える。
劇中の様相
オルフェノクになった時期は不明だが、流星塾の設立の様子から数十年前の段階で既にオルフェノク化しており、スマートブレインの社長として活動する中でオルフェノクという種が短い寿命しか持たない不完全な存在であることや、その運命を変えることができるのはオルフェノクの王の力のみであるということを知り、王を覚醒させようと活動していた。
その為オルフェノクの王は九死に一生を得た子供に宿るという事実を突き止め、王を探し出すために孤児院「流星塾」を創設しているのだが、次第に流星塾の子供達に対し、父親としての愛情が芽生えていき、自身の行動に疑問を持ち始めていく。
そんな中、同窓会の日に自分や村上社長とは異なるオルフェノクの一派が流星塾のメンバーを殺害する事態が発生。しかも、その中の一人であるスロースオルフェノクの正体は、流星塾の子供の一人であった青沼で、彼は力に溺れて人間の心を失った末に、偶然居合わせた乾巧ことウルフオルフェノクに倒される形で命を落とす事になってしまった。
この経験や、長らくオルフェノクとなった人々が次々にその力に溺れて人間としての心を失っていくのを目の当たりにしていた事もあってか、最終的に花形はオルフェノクでありながらオルフェノクは滅ぶべき存在であるということを確信するに至った。
オルフェノクを滅ぼす為、「王を守る為のベルトなら王を倒すこともできる」という考えから3本のベルトを奪い失踪、そしてベルトをかつての流星塾生達に送り、彼らに王を倒すという使命を託した。
恐らくこれは彼等がオルフェノクの記号を埋め込まれている事で、人間でありながらライダーズギアを使用出来ると確信していたからであるとも思われる。
その後は地下に眠る流星塾の校舎に人知れず身を隠し、自らの正体を知られないようにしつつ雅人や真理に様々な強化ツールを届け、彼らがオルフェノクと戦い続けるように仕向けると同時に彼らを影ながらサポートしていた。
また、流星塾の校舎の中では、王を倒す為にファイズギアをベースにした量産型のライダーズギアであるライオトルーパーの開発を進めていた。
そして終盤で村上峡児に乗っ取られていたスマートブレインを奪還するため、木場勇治を「人間のためにオルフェノクを滅ぼせる人材」と見込んでスマートブレインの社長に推薦した。
しかし、既にオルフェノクの運命によって肉体の灰化が始まっており、最期は雅人に「これ以上変身すれば自分と同じように死ぬことになる」と忠告して灰となった。直前に真理達と会う約束をしていたが、その前に灰化してしまったため約束を果たすことはできなかった。
なお「花形が灰になって朽ちた一部始終」を目撃していたのは雅人のみで、当の雅人もその一部始終を他言する事無く命を落としたため「555」作中世界において花形の死を知る人物が居なくなり(実際、作中で花形の安否を問う者は誰一人としていなかった)、ファンの間ではこれを(良い意味で)曲解して「花形は『今でも生きている』事になっている」とネタにされる事がある。
評価
流星塾生達にとっては優しい父親であり続けた一方、地下に埋まった流星塾校舎に偶然迷い込んでしまっただけの作業員を、試作した変身ベルト(装着しても装着者にダメージを与えるだけの物)の実験台にしており、流星塾の子供達以外に対しては、相変わらず冷酷な一面も持っていたと思われる。
ただ、この当時の花形は、オルフェノクとしての寿命がかなり尽き掛けていたと思われ、迂闊に外に出て協力者を募れない状況であった事も踏まえると、ベルト完成の為に時間も無ければ手段を選んでもいられなかったと言えなくも無い。
劇中の行動から見てもカイザギアやデルタギアにより塾生の殆どを死に追いこんだ事(花形は純粋にオルフェノクである為、ベルトの欠点について確認のしようが無かったとも言えるが)や、村上社長のようなオルフェノクとして生きる側を完全に否定するなど、結果的に争いを拡大させてしまっており、ファイズ内での「全ての元凶」といえる人物である(草加を演じた村上幸平氏からも脚本を見るまでは「流星塾襲撃の首謀者は花形」だと思われており、そうだった場合は花形と最後に対決して死ぬ最期を望んでいた)。
流星塾設立から暫くはオルフェノクの種族繁栄の為に王を探していた際も、劇中でバーナクルオルフェノクが九死に一生を得た子供を作り出す為に意図的にビル火災を起こしていたこともあり、彼が直接指示したわけではないにしろ流星塾のメンバーが家族を喪った事故などを意図的に引き起こしていた可能性も否定できない(現に真理が家族を失ったのもビル火災である)。
しかし、それでも流星塾生達に対する愛情に関してだけは本物であり、自分がベルトを送ってしまった事で流星塾生達に過酷な運命を背負わせてしまったことを深く後悔し、自分の最期には雅人に生きるように伝えるなど最後まで子供たちに対する良心は持ち合わせていた。
漫画『仮面ライダー913』
フルネームは花形秀一(はながた しゅういち、最終話『花形の理想』で判明)。基本的には原作と同様。流星塾以外にも明星塾など、同様の養護施設を日本全国に創設していた。村上の弁によれば、その理由は「オルフェノクになる可能性の持ち主を捜すため」だという。明星塾出身者である野々宮桔梗もまた、花形の慈善行為を否定して、流星塾や明星塾について「オルフェノクを人工的に作り出すための実験場」「オルフェノクを増やしてオルフェノクによる世界支配を実現させることが花形の理想」と語っている。さらに花形を「この世に生まれた最初のオルフェノク」といい、自身を「花形の実の娘」と名乗っている。
関連項目
プロフェッサーX:おそらくキャラクターのモデルになったと思われる人物