概要(オリジナル版)
声優
アニメ:池田勝
劇場版:村松康雄
ゲーム:堀勝之祐
ククルス・ドアンの島:中博史
役職
開戦前
- 地球連邦航空宇宙軍ルウム方面軍艦隊司令(中将)
開戦後
小説版によれば初等教育から士官学校まで全ての課程を首席で卒業した生粋のエリートである。
ルウム戦役においてマゼラン級戦艦「アナンケ」に座乗し連邦軍艦隊の指揮を執るがジオン公国軍の新兵器モビルスーツの戦術に対応できず惨敗を喫する。自身も黒い三連星によって捕虜となるが、南極条約調印直前に脱走に成功しその上で「ジオンに兵なし」の演説を行い、ジオン軍の実情を暴露し徹底抗戦を主張する。
地球連邦軍首脳らは彼にルウムの惨敗の責任を持たせようとしたが、ゴップ大将らの根回しにより、レビルの責任はもみ消された。なおこの時に昇進し、全連邦軍最高指揮権をもつ大将となる。
その後、旧来の大艦巨砲主義から脱却できない本営ジャブローの幕僚を精力的に説得。頑迷な反対勢力を沈黙させU.C.0079年4月1日、V作戦を発動。思考の柔軟さと先見の明があることが窺えさせる一方で少年・少女(ホワイトベース)たちを正規兵と見なし、躊躇なく徴用する一面がある。一見非情に見えるが、彼らの功績を認めており、ニュータイプ部隊と評するなど、他の上層部の士官とは違い重度の期待を込めているように見て取れる。
ソロモン攻略戦後、第一連合艦隊を率いジオン本国を攻略する途上のU.C.0079年12月30日作戦時間21:05、ジオン公国総帥ギレン・ザビの命令によりゲル・ドルバ照準で発射されたソーラ・レイの直撃を受け、和平交渉に赴いたデギン・ザビもろとも光の渦に呑み込まれ戦死した。
彼の死から17年後、その名は連邦軍再編の要にして地球軌道艦隊の旗艦であるドゴス・ギア級2番艦「ゼネラル・レビル」に冠される事になる。
なお、彼はホワイトベース隊を「ニュータイプ部隊」と評しており、彼自身もニュータイプの素養があったとも言われている(ララァ・スンのコンペイトウ襲撃時に原因不明の頭痛を起こしている)。
人物
士官学校を首席で卒業したエリート軍人であると同時に、厚い人望と慧眼を兼ね備えた一角の人物である。人材面では玉石混淆であった地球連邦軍においても頭一つ飛び抜けた才人であり、V作戦に始まる連邦軍の反攻作戦を成功に導いた立役者である。
だが、良くも悪くもレビルは軍人であったので、合理的判断の下に非情な選択をすることもしばしばあった。実際に彼の戦術はかなり強攻策な面が強く、ホワイトベースの搭乗員が戦闘経験のない民間人の集まりだと知っていても、功績を評価してそのまま軍に編入するなど、作戦のためには手段を選ばない一面もあった。
ジオン公国の凶行を肌で知ったためかジオン軍に対しては一貫して強固な反抗を貫いたが、それでも一年戦争を終結させるために危険と知りながらデギン・ザビとの和平交渉に赴くなど、気骨の男であった。
他の高級幕僚達と違って自身の派閥を形成することはしなかった。立派なことではあるのだが、裏返せば自身の後継者となり得る人物を育てることが出来なかったということでもあり、レビルの死後彼に匹敵するような人材は連邦軍には現れなかった(大体、こいつのせいなのだが)。
概要(THE ORIGIN)
声優
役職
- 中将 ⇒ 大将(79年)
- 地球連邦宇宙軍総司令官
経歴
ルウム会戦
経歴はほぼオリジナル版と同一だが、『THE ORIGIN』ではレビルが大敗を喫したルウム会戦における戦闘の様子も描かれている。ジオン公国に対して敵という意識を一貫して持っており、この意識が後の「ジオンに兵なし」の演説を行い、デギン公王の不興を買うこととなる。
ルウム会戦に先立ち、ジオン軍の行動を把握する為に情報収集を行っており、公王のいる御前会議では作戦内容をリークして戦闘を開始する前から勝利せんと目論んでいた。ジオン軍の作戦内容が、ルウム宙域に張り付くティアンム艦隊に全力で当たるとの情報を得たことから、それを基に作戦行動を立案する。が、この情報事態が擬態であり、レビルは見事に偽情報を基に作戦行動を取ることとなってしまった。
レビルはジオンとの短期決戦で勝負をつける為、ジャブローのドックから新造艦からなる新編成の第3艦隊を打ち上げさせ、既に待機していた指揮下の第1艦隊と合流し本隊180隻(本編映像の戦況ディスプレイより推察)として、戦場となるルウム宙域へと向かった。漫画版では艦隊兵力の詳細は明かされていなかった。
ところが、作戦予定に反してがら空きだったルウム宙域のコロニー『ミランダ』等の宇宙港が襲撃され、コロニー内部にいた駐留艦隊も行動不能に落ち至ったことから作戦変更を余儀なくされる。レビルも困惑していたが、直ぐに対策を講じてワッケイン・カニンガムの艦隊計60隻を分離して派遣した。これによってジオン軍との比率が1:3から1:2(劇場版は1:4から1:3)に変化する。
一方の前衛となるティアンム艦隊60隻は、ジオン艦隊60隻と対峙する。艦隊戦では連邦軍に一日の長があり、連邦軍が優勢に進むもののジオン軍がミノフスキー粒子を利用して艦隊を散開、レーダーの利かない距離で一斉に転進してレビル艦隊へと一気に突貫した。
この予想外の転進突撃と、地球連邦軍の勝利への慢心が重なり、レビルは手痛い反撃を被ることとなった。彼が艦橋へと戻ると同時に、ミノフスキー粒子に紛れて目視の距離まで一気に接近してきたジオン艦隊を目の当たりにして驚愕した。結果、ジオン艦隊の零距離射撃の嵐によって連邦軍主力艦隊は痛恨の一撃を被った。
レビルは旗艦が被弾した際に軽傷を負いつつも反転攻勢に備えたが、そこでMSの襲撃を受けてしまい、それこそ大敗を喫することとなった。レビルは旗艦撃沈前に脱出したものの、黒い三連星に捕らわれる事となる。
旗艦『バターン』でオデッサ作戦の指揮を取るのだが、古くからの戦友エルラン中将が前線に出たがることに疑問を抱き彼に『私は君を古くから知っているが、そんなに前線に出たがる君を見たのは初めてだ。 何故、そんなに前線に出たがる? それとも、一刻も早くこの艦から離れたい理由があるのかね?』と質問を投げかけた。
余談
因みにレビルは“将軍”と呼ばれていることから陸軍軍人とされている(宇宙軍は海軍と同様に提督と呼ばれる)。あまりこの事に関しては詳しい事は語られてはいないが、後の『THE ORIGIN』を描いた安井氏も、アニメ版第5話『激突 ルウム会戦』のオーディオコメンタリーにて「レビルは陸軍の軍人だから」とコメントしている。
また、ルウム会戦に先立って陸軍の人間であるレビルが宇宙軍総司令官として就任したが、宇宙艦隊戦に対しては経験のない素人という事になる。宇宙軍第2艦隊のティアンムが、レビルの事を「我々はレビルの入手した情報を基に行動している」や「奴にも考えがあるだろう」と、上官である彼を将軍、総司令、と呼ばないでいることも、安井曰く「艦隊戦の素人のレビルが気にくわなかったから」という理由があった為である。
結果として、ルウムは負けるべくして負けた戦いである、ともコメントしている。
また、「ジオンに兵なし」の演説をしたことに付いて「ジオン残党軍の異常な人数」を元に批判されることもある。
しかし、この演説をした時はそもそも0083含めた外伝がまだ作られていない状態であるため、レビル(もとい当時のスタッフ)を批判するのは酷だと思われる。
一年戦争時に学徒兵を動員しなければならない程に正規兵が死亡したのは事実だが、生き残った学徒兵や戦争終結後にジオン思想に賛同した者が、各地でジオン思想を布教して志願者を募り、反連邦思想の難民や、連邦から寝返った兵達を巻き込んでアクシズに合流したことを考えると、それはジオン残党軍とは名ばかりの人員の入れ替わりが起きた新体制の集団ということになる。開戦段階での人数は後のジオン残党軍とは無関係である。
一年戦争で戦死した人間に未来は見れないのだから(一部の例外はどちらもアナザーガンダムの人物である)。
外伝作品のNIGHT=HAWKS!にはチャアミン・ブラウンという孫が登場している。
名前の継承
レビルのファーストネームとセカンドネームは、機動戦士ガンダム00においても見られる(『ヨハン』はヨハン・トリニティに、『イブラヒム』は主人公刹那・F・セイエイの本名「ソラン・イブラヒム」に)。
そもそもヨハンはヨハネ、イブラヒムはアブラハムが語源であり、神学や西洋社会では広く知られたネーミングであるし厳かなレビルのイメージや聖書の抜粋が随所にみられる00でも引用し易かったのかもしれない