「ずっと夢をみていた……」
「たった一人の人間と戦う夢」
「再戦を」
概要
CV:杉崎亮
黒い皮膚を持つミノタウロスの異端児(ゼノス)。正確には深層種のブラックライノスの亜種だと作中で考察されていた。
ベル・クラネルがLv.1の時に戦って討ち取った片角のミノタウロスの記憶を持っており、「アステリオス(雷光)」という名も前世で最後に見たベルの魔法ファイアボルトから付けたもの。
元々ベルがLv.2になった際黒いミノタウロスの目撃情報が入ったり、ベルの死闘を目撃したベート、ティオネ、ティオナや何よりその片角のミノタウロスを鍛えたオッタルが彼に面影を感じていたりとヒントはあった。
ベルにとっての好敵手。また作者曰く異端児編における猛牛(ヒロイン)とのこと。
解説
口数は少なく、外見とは裏腹に低い声音と静かな語調から武人を彷彿とさせる。彼の持つ願望から常に闘争に餓えており、強者との闘いでは思わず笑みを浮かべるほど。
異端児の中では新参者ではあるが、その実力は作中トップレベルで、純粋な力のみで戦術も戦略も覆してしまう事の出来る存在。作中では異端児討伐の為にリヴィラの街に集まった多くの上級冒険者や第二級冒険者として間違いなくトップクラスのリュー、アイシャ、アスフィを打ち負かしLv.5の中でも上位としられるシャクティ・ヴァルマ率いる【ガネーシャ・ファミリア】の精鋭部隊をたった一人で全滅させ、同じくLv.5のディックス・ペルディクスを瞬殺。【ロキ・ファミリア】の幹部を複数同時に相手しても互角以上に渡り合えるほどのポテンシャルを誇り、並みの上級冒険者でも彼が放つ咆哮(ハウル)を受けただけで戦意喪失してしまう。さらにアイズ達の推察によるとその実力は未だ成長途中であり、今後無視できない脅威としてギルドにより潜在能力をLv.7と定められ、第一級の賞金首(バウンティ・モンスター)として記憶されることとなった。そもそも生まれて3ヶ月ちょいしか経っていないので技も駆け引きもまだまだ向上するに決まっている
普段は後述の通り深層で修行しており、作中ではオッタルと並んで単独での活動が可能なキャラである。
他の異端児達が地上や人類に対し強烈な憧憬を持っているのに対し、アステリオスの願望は『夢の中で見る人間との再戦』、すなわちベルとの再戦と決着こそがアステリオスの憧憬であり願望である。
一方、他の異端児達に対しても「闘争への餓え以外の感情」を抱かせてくれる存在として仲間意識や大切に思う感情も持ち合わせているのだが、自らの憧憬が他の異端児達の憧憬…つまりは「人間との共存」の妨げになっている事も理解し、内心苦悩も抱いている様で、彼等の憧憬の邪魔だけはしないよう、距離を置く形で行動してもいる。
ヒロインと呼ばれる由縁
作中ではまさに闘争にしか興味がなく一度暴れ回れば周囲に甚大な被害を及ぼす破壊と暴力の権化のような扱いたが生まれ変わってまで一人の宿敵をただ一途に求め続ける様はまさに真のヒロインと呼んでいいのかもしれない。最初こそ読者から冗談まじりにヒロイン、猛牛と書いてヒロインと読むなどいじられまくっていたが実際に作中での目立った行動を振り返ってみると…
・異端児として転生しても白兎のことが忘れられず憧憬として求め続ける
・再開の際は雄叫びを上げ空から降ってくる
・いざ決闘が始まると他の冒険者の横槍を防ぐためハウルと拳で吹き飛ばす。
・ベルが抱えていた迷いと苦悩を消し去り新たに強くなる覚悟や目標を見出させる。
・異端児の件で非難を向けられていたベルの汚名を結果的に晴らす。
・クノッソス戦でベルが同じ戦場にいると察した際敵をそっちのけで向かおうとする。
等やってる事を振り返れば異端児編のメインヒロインと言っても過言でもないのかもしれない…。
因みにこの背景を悟ったフェルズはベルの事を「良くも悪くも、出会いの運命に愛された少年」だと呟いている。
そもそも作者曰くダンまちは元々主人公とミノタウロスとの戦いを書きたいと思ったのがきっかけであり3巻の片角ミノタウロスとの激戦を書き終えた時からベルの好敵手は牛しかいないと思ったほどらしい(声優も同じ杉崎氏でありアニメスタッフの粋な計らいを想起させる)。
作中で突然現れぶっ飛ばされた上にいきなり好敵手扱いされるベルだが彼自身もその後は戦闘の際アイズだけでなくアステリオスを思い浮かべ闘志を燃やすなど間違いなくお互いが目標であり無二のライバルだと認識しているようだ。
作中行動
リヴィラの街の冒険者や【イケロス・ファミリア】のメンバーを相手にした後、【ロキ・ファミリア】を相手にし窮地に立っていた同胞達の前に現れ、幹部メンバーを一人で相手取り、瞬く間に戦況を覆す。魔法を使用したアイズによって片腕を切り落とされてしまうが、その場はフェルズの介入によって仲間たちと逃亡。一部の仲間を引き連れ彼らをダンジョンに逃がすために遭遇した冒険者達を蹴散らしていくが、同時に自身の追い求める憧憬を探し続けていた。
そうしているうちにフレイヤの命を受け彼を探していたオッタルが目の前に現れる。彼に何処か懐かしさを感じる中、今の自分の状態では勝てる相手ではないと察しながらも、圧倒的強者との出会いに喜び、彼に挑もうとするが、そこでオッタルから「この先にお前の求めるモノがいる」という言葉を聞き、ついに自分が追い求めていた憧憬と邂逅することになる。
血と肉が飛ぶ殺し合いの中で、確かに意思を交わした、最強の好敵手
再戦を—自分をこうも駆り立てる存在が、いる
あの夢の住人と会うために、今、自分はここに立っている
自分の名は、アステリオス
名前を、聞かせてほしい
ベル、どうか
再戦を
そしてベルとアステリオスによる再戦が幕を開ける。片腕を失い、大量の血を流し、多くの冒険者を相手取ってきたそれまでのダメージにより既に瀕死の身でありながら、圧倒的な力でベルを追い込んでいき、最終的にはかつての決闘の再現のようにお互いが向かい合う形となり、互いに最大の一撃を持って突貫し、結果ベルのスキルを使った英雄の一撃を破り、二人の再戦はアステリオスの勝利となる。戦績は1勝1敗となり、次こそは決着を付けようと伝えその場を去っていった。その後は同胞達と再会しフェルズに傷の治療と仲間が回収していた片腕も直してもらい、更なる力を付けるために深層へ修行に向かっていった。
二人の戦いはオラリオにいる多くの民衆や冒険者、神々が目撃することになり、皆がその壮絶な戦いに目を奪われ、結果的に異端児を巡る事件によって一度は地に堕ちたベルの名声は強大な怪物にたった一人立ち向かった冒険者として再び讃えられる事になる。またこの再戦と敗北はベルにとっても特別なものとなり、憧憬とは別の新たな超えるべき目標として深く刻まれ、大きく変わりだす切っ掛けとなった。
本編ではそれ以降の出番は未だないが、外伝『ソード・オラトリア』の『都市の破壊者(エニュオ)』編終盤にて再登場。第二次クノッソス攻略戦において異端児陣営の強力な援軍として呼び戻される。第一級冒険者クラスの実力者複数でさえ苦戦を強いられる精霊の分身『祭壇の支柱(スピリット・オルター)』をただの突撃で粉砕し、オッタル同様たった一人で祭壇の支柱を蹂躙してみせた。
戦いの中、【英雄願望(アルゴノゥト)】の大鐘楼の音を聞きベルも同じ戦場にいる事を察して、目を血走らせながら彼のもとに向かうという見事な猛牛(ヒロイン)っぷりをみせるが、その場は同胞達に静止されることとなる。ベルが強くなっていることを肌で感じながら歓喜し、自分も決着の為に更なる力を付けると誓い、祭壇の支柱にトドメを刺した。
また、アニメ放送終了後のダンメモサイドストーリーにて「アルゴノゥト」に登場するミノス将軍の生まれ変わりでもあることが判明した。アルゴノゥトはベルの前世なのでこれを考えるとあの日二人の雄は数千年越しの約束を果たしたことになる。
「ここでお前を討つ!私一人ではなく、姫と二人で!
本当に申し訳なく思う!だから--また会おう我が敵よ!
生まれ変わり、次にまた巡り合った時、今度は一対一で!
私達の決着を!」
「約束だ、『好敵手』よ!」
『夢』と出会い、『願望』に辿り着き、『再戦』へと至る。
英雄は回帰し、猛牛は吼え、好敵手の契りを果たす。
『約束』はここに。
さあ、決戦を---自分達の『冒険』の続きを。
ベルとミノタウロスには前世から続くとても強くて奇妙な縁がある。
二人の雄は到底断ち切ることの出来ない運命の糸で結ばれているのだ。
装備
- 両刃斧(ラビュリス)
アステリオスのメイン武装。彼の怪力に耐えられているのでかなりの業物と思われる
日々闘争を繰り返しているので常に血に濡れている
- 雷雷丸(かみなりいかづちまる)
雷の斧型魔剣。
【ロキ・ファミリア】との戦闘の際これを使用しティオネ、ティオナ、ベートを退けた。
ベートのブーツでも吸収しきれない程威力が高いがその後アイズによって右腕ごと切り落とされた。
実は、椿・コルブランドが外伝でレヴィスに殺害されたハシャーナ・ドルトリアに送った物なのだが巡り巡って彼の手に渡った(経緯は未だに不明)。
その後はリヴェリアにより彼女の手に返された。
因みに魔剣の腕に関してはことさら自分よりも上のヴェルフのネーミングセンスを真似たらしいのだがやはり後悔したらしい。
余談
アニメシリーズ1期第9話Web予告にてまさかのセリフ付きで出演。多くの視聴者の腹筋が崩壊することとなった。「正々堂々戦ったから悔いはない」「むしろ清々しい」と語っているが実際は当記事を読んで貰えれば分かる通り悔いありまくりである。最も当時はまだ原作も8巻発売前で異端児編も始まっていなかったが。
このセリフが好評だったのか、後に声を担当した杉崎氏は、晴れてアステリオス役として第3期で正式出演する事になった。
尚、アニメ8話で遂に名前が明かされ、アイズと戦う事になり、『ヒロイン同士の修羅場』等とコメントされた。しかも作者の大森藤ノ先生から。
関連タグ
ベル・クラネル:憧憬であり好敵手。
オッタル:前世の師的存在。その圧倒的な実力から彼を彷彿とする者も多い。
ウィーネ、リド、グロス、レイ、マリィ:同胞達。アステリオスにとって戦いによる餓え以外を芽生えさせてくれる存在達。同時に自分の憧憬が彼らの憧憬の妨げになってしまうことを理解し、距離を置こうとしている。
椿・コルブランド:アステリオスが持つ雷の魔剣の製作者。ちなみに、この魔剣は元々別の冒険者用に作られたのだが、いつのまにかアステリオスの手に渡っていた。