タイトルの通り、主人公モモタロウは桃太郎の子孫という設定で、他にも数々の昔話をモチーフにしている。『週刊少年ジャンプ』に連載され、全10巻。
その後、2003年から2004年にかけて『ビジネスジャンプ BJ魂』に続編『THE MOMOTAROH PART2』が掲載された。(全1巻)
2017年に『グランドジャンプPREMIUM 』9月号にて週刊少年ジャンプ創刊50周年を記念して読み切りが掲載された。
主な登場人物
モモタロウ
主人公。初代桃太郎が身につけていた「桃紋羽織(ももんばおり)」から作られた「モモマスク」を常に身につけいる2代目桃太郎。
試合以外の私生活でもマスクを身につけているので素顔は謎(ただし、単行本収録時の最終話では素顔が見れる)。その際には桃紋羽織製でないプライベート用マスクを用意している。
性格的にシリアスからギャグ、戦闘スタイルも打撃・関節・投げ技と、色んな意味でオールマイティーなキャラクター。(それでもスタンド(立ち技)主体の戦闘スタイルの為、寝技を得意とする三年寝太郎(みつとし ねたろう)には苦戦した。)
基本的にスポーツマンシップに則る戦いを好み、たとえどんなに憎い相手でもフェアな試合で決着をつける、律儀なキャラである。
コミュニケーション能力が高く、修行時代に知り合った七尺兄弟や寝太郎、結果的に仇となってしまった影幻春架など知り合いも多い。
モモスペシャルという必殺技を持ち、相手に応じて使い分ける。
モモスペシャル
モモスペシャルはモモタロウが太平プロレスに入門した際、彼の師である松平馬七と息子の林吾のコーチングを経て編み出されたフェイバリットホールドである。それぞれ空中戦、関節技、投げ技、寝技、蹴り技に対応したオールマイティーなスペシャル技といえる。
デビュー当時は4つのモモスペシャルを持っていたが、イワン・シュテンドルフ戦でその巨体に通用する第5のモモスペシャルを編み出している。
- ダイビングピーチボンバー
モモスペシャルその一。高くジャンプし急降下しつつ縦の前方回転でヒップアタックを食らわせる技。最も多用された技でもある。バリエーションとしてジャンプのみでヒップアタックを敢行する『ジャンピングピーチボンバー』や後方回転によるニードロップに変更した『禁じ手バージョン』がある。前者は回転速度が低い簡易バージョン、後者は破壊力が高いために封印していた技で両方とも劇中では数回しか使用していない。
- アグラツイスト
モモスペシャルその二。インディアンデスロックとコブラツイストの複合技で首と下半身に関節技を仕掛ける。名称の通り胡坐を掻いたポーズになるため名付けられている。
- クロスライダースープレックス(ホールド)
モモスペシャルその三。相手の両腕を後ろ向きに交差した状態で持ち上げ、空中でひねるように腕を開き、そのまま叩きつける。その際に十字架のような形になるためその名前が付けられている。モモタロウの強靭な腕力あってこその大技である。
余談だが、ランブルローズの日ノ本零子にサンライズ・スープレックスの名前でパク…オマージュされている。
- ロータリーデスロック
モモスペシャルその四で、脚部を4の字固めを極めた状態で腕力を用いて回転、相手の膝を締める関節技である。また相手がギブアップしない場合、そのままエビ固めに移行してフォールを奪う事もできる。技をかけ続けると相手の膝関節を折ってしまう可能性があるため多用しなかった破壊力の高い大技。
- ストライクスリー
対シュテンドルフ用として編み出されたモモスペシャルその五。打撃、蹴り技、関節技の3要素を複合させた技で、前向きに相手の腕を交差した状態で蹴り、相手を持ち上げそのままリングに叩き落す。
モモタロウは牛バカが所有していた軍用の接近戦用武器『ストライク・スリー』と林吾のアドバイスによってその技を思いついたが、接近した状態での蹴りのアイディアが思いつかなかった。しかしシュテンドルフとの決勝戦で披露した影幻の『月の輪蹴り』を応用することで完成を見ることとなった。
- ファイナル・エルボー
厳密にはモモスペシャルではないが、この項に記す。
太平プロレス入門前にモモタロウが独力で編み出した技で、ピーチボンバーに次いで使用回数が多い。『気』を用いたエルボードロップで、気力をコントロールできる人物ならだれでも使用できる(劇中では三郎太や馬七が使用した)。モモタロウのファイナル・エルボーは常人よりも高い腕力と気力により相手を吹き飛ばすほどの破壊力を持つ技として成り立っているが、体調が万全でない場合は使用できないのが弱点である(馬七はそれを看破し、弱点を補うためのモモスペシャルを伝授している)。
応用技としてフェイント技のバックスピン・エルボーや高角度から振り下ろすハイアングル・ファイナル・エルボーがある。
モモマスク
モモタロウが肌身離さず身に着けているマスク。生地には初代桃太郎が身に着けていた桃紋羽織でできており、マスクに宿る『神通力』により様々な能力を発揮する。
初代マスクはご先祖ちゃんこと初代桃太郎が残した桃紋羽織を基に大工である左源五郎が作成したもの、2代目マスクは過去に飛んだご先祖ちゃんが育ての親である老夫婦(ご先祖ちゃんはじーちゃんばーちゃんと呼んでいる)の家に保管されていた桃型タイムマシンの中にあった『銀綾地』を基に源五郎が作成したものである。
もんがー
モモタロウのもう一つの姿。詳しくはもんがーを参照。
桃太郎
初代桃太郎で所謂お伽話「桃太郎」の主人公だった桃太郎で現在は幽霊。通称「ご先祖ちゃん」。本名は吉備津彦。
初期は桃太郎の脳内でのみ登場していたが、いつしか通常キャラクターとして(それでも幽霊だが)登場する様になる。
普段は10歳前後の子供の様な容姿をしているが、本来の姿(鬼退治をした頃と思われる)は
モモタロウと同世代の青年の姿で、それを作中で1度だけ披露している。
松平美樹
本作のヒロイン的存在であり、太平プロレスのエース兼社長である松平林吾の娘。
現役女子高生で、太平プロレスのマネージャーや選手の炊事などをこなす。
父親の計らいでバニーガール姿でのリングガールをさせられたこともある。
数年後を描いたTHE MOMOTAROH PART2では代表取締役を務めている。
サカタ・ザ・ゴージャス・キンタロウ
本名坂田金太郎。怪童金太郎(坂田金時)の子孫。ナルシストの日仏ハーフ。
本来は長髪の美形レスラーだったが、モモタロウに「マスカラ・コンドラ・カベジュラ(マスクと髪切りを掛けたデスマッチ)」で敗北し、頭頂部を剃ったキンタロウカットにされてしまった。以後モモタロウのライバルであり親友となる。
カポエイラなどの武術を基とした蹴りを主体とした打撃戦を得意とするが、ゴールデンハーフスペシャルの中に投げ主体の技があることから投げ技も得意とされる。
ゴールデンハーフスペシャル
キンタロウ自身の武術経験とペット兼相棒のクマ『ガブリエル』のスパーリングによって編み出されたフェイバリットホールド。
- エッフェルヒールキック
キンタロウ得意の蹴り技を活かした技。韓国の競技『ムエタイ』を基にした踵落としであるが、跳躍により破壊力が増しているのが特徴。
- ハイアングルアックスドライバー
蹴り技主体のキンタロウにしては珍しい、投げ技主体のフェイバリットホールド。跳躍し、相手の頭を掴んで前のめりに倒し、両膝を後頭部に斧を振り下ろすように叩きつける。
- 凱旋門崩し
対ストライクスリー用に開発した技。相手の背中に乗った後、胴を足でを挟むと同時に両腕を締め上げつつ前のめりに押しつぶす複合関節技。
- アシガラスピンキック
GHスペシャル以前に存在するキンタロウのフェイバリット。足のみで戦うカポエイラの技を応用し逆立ちの状態で遠心力を加えることで攻撃力を増す。
- ダブルネルソン・フェースロック
GHスペシャルではないがここに記入。相手の腕を自分の両腕で固めつつ首を押さえ、同時に足で胴を締め上げる二重関節技。モモタロウのアグラツイストに近い関節技である。
坂田鋼鉄郎
キンタロウの父親。
大会社の社長で当初はキンタロウを自分の後継者にしたいと思っていたようだが、物語が進むにつれギャグ要員としての活躍が目立ち、非戦闘員でありながら主要戦闘キャラクター並の人気と登場率を誇るキャラクターとなる。
ギャグシーンでは後述の牛バカ丸とコンビを組む事が多い。
その人気ぶりに本編とは別に牛バカとのコンビで読切のスピンオフ作品まで生まれた。
ザ・グレート・ベンケー
武蔵坊弁慶の子孫で、同じく牛若丸の子孫の牛バカ丸に仕える忠臣で怪力無双の巨漢。
生真面目な性格で義に厚く、初期のモモタロウを敗北寸前まで追い詰めた強敵。
尚、作中あまり素顔について言及されないが彼もマスクマンである。
怪力を活かした打撃技や変形バックブリーカーである『トリプル弁慶ブリーカー』、高速観点を用いての投げ技である『弁慶風車』を得意とする。
牛バカ丸
本名「牛馬鹿丸(うしうましかまる)」。源義経こと牛若丸の子孫。生き別れの兄(源頼馬鹿)がいる。
通称「牛バカ」の通りバカキャラでギャグ要員ある。
とはいえ完全なバカでもなく、ベンケーを心から慕っており、
彼の為に涙を流したり、いざと言う時は真面目に戦う一面も持つ。
前述の坂田鋼鉄郎とはよくコンビでギャグシーンを請け負っていた。
レスラーとしては他のキャラと比べると力不足なところこそあるが、超人的なスピードでリング内を跳躍したり、高速のジャブで相手を倒すなど実力は引けを取らない。
ウラシマまりん
浦島太郎の子孫で、ムー大陸が海中に没した後もその超科学力で現代まで続くムー帝国の王子でもある。
ワガママな性格で、当初は相手を徹底的に潰す容赦ないファイトスタイルだったが、卑怯な事を嫌う一面も持ち合わせている。(作中終盤では、言動こそ荒っぽいものの、荒々しいファイトスタイルは消えている)
「太陽の紋章」という超能力じみた力を発動させ身体能力を向上させることが出来、使用する技もそれを活かした技(オーラをまとった手刀で切りつけるシャイニング・ウェーヴ等)が多い。
それ以外でもオクトパスホールドを進化させた関節技『スーパーオクトパスホールド』やミサイルを思わせる超スピード頭突きである『サブマリンロケッター』を使うなど、紋章の力を使用しなくても十分強い。
ムームーダンサーズ
ショートカットで額にイカのお面をつけた「イカ子」、同じく額にタイのお面をつけた「タイ子」、おかっぱ頭で額にヒラメのお面をつけた「ヒラメ子」の三人で、ウラシマまりん御付の侍女集団。お酒の杓から宴会芸としての踊りまでこなす。
影幻春架
作中モモタロウと対戦したキャラクターの中では珍しく、特にこれといったお伽話、歴史に由縁を持たないキャラクター。キンタロウ同様蹴り技を多用し、その中で刀のように鋭い蹴りを放つ『ブラックエンド』は強力なフェイバリットホールドである。
過去モモタロウに顔に傷を付けられた事を恨み「ブラックモモマスク」を身につけ
モモタロウの「モモマスク」を引き裂き、その素顔を晒す寸前まで追い詰めた。
(尚、試合中モモタロウは2枚目の新しい「モモマスク」を身につけ、以後そのマスクは連載終了まで使用)
ちなみにブラックモモマスクは試合後にモモタロウに返却されたため、モモタロウの手元に2つのモモマスクがあることになる。
戦闘スタイルが足技主体でキンタロウと被る為か、モモタロウとの一戦以降(足を痛めたとの理由もあり)戦う機会はほとんど無く、モモタロウのセコンドに付くこともあった。
七尺一寸&二寸
一寸法師の子孫(双子)。身長が兄が213cm、弟が216cmと長身。
元々はモモタロウの親友だったが、ある事情でキンタロウ&ベンケーコンビと戦う事になる。
タッグマッチでのコンビネーション技が得意なキャラクターだったが、作中でタッグマッチを行う場面が少なかったので出番に恵まれなかった。ただし個々でも十分実歴があり、アース・クラッシュ・トーナメントでも個人で出場し好成績を残している。
イワン・シュテンドルフ
酒呑童子として坂田金時と戦い、その後初代桃太郎と温羅として死闘を繰り広げた1000年以上を生きている鬼。
とはいえ所謂妖怪と言われる様な当初よりの超常現象的な存在ではなく、れっきとした人間。元は北方のバイキングであったが嵐に巻き込まれて日本に流れ着き、異邦人として恐れられたがゆえに望郷の念を堪えがたく、さらに功を狙う坂田との戦いで漂流の仲間を殺され、その恨みの執念から超能力(妖術)に目覚めてご先祖ちゃんと対峙したという、いわば相互理解の齟齬によりその立場に追い落とされてしまった哀しき悪役。
全編通しての最長シリーズ「アース・クラッシュ・トーナメント編」に登場したキャラクターで、ベンケー、七尺兄弟以上の巨体とパワーに加え妖術まで扱い、七尺兄弟、キンタロウ、まりんと主要戦闘キャラクターを次々と血祭りに上げた作中屈指の強敵。
最終的に他ならぬご先祖ちゃんの説得により恩讐を解き、モモタロウたちの力で故郷へと戻り仲間をその地に戻してやる事ができたが、のちに他ならぬモモタロウにその恩を返すため「最後のリング」に上がり「神」と対峙する。最期の最期まで仲間たちのために「鬼」として矜持を貫き切った、その最期は涙なくしては語れない。
カグヤ・ザ・ムーンバトラー
かぐや姫の子孫で、黒髪ロングヘアーの美女。
男性よりも女性の方が強いと証明するため、アースクラッシュトーナメントを制したモモタロウに勝負を挑む。重力を自在に操る能力で空中戦を仕掛けモモタロウを翻弄するが敗北。
その後はモモタロウに惚れてしまい、執拗に追い掛け回すようになる。
キンタロウはカグヤの強さと美しさに一目ぼれしてしまい、以降告白しようとするが相手にされずに失敗、その腹いせなのかモモタロウに新GHスペシャルを引っ提げて試合を申し込むのだが・・・。
ヤマトタケル
最終シリーズのラスボスとして登場したキャラクター。『フェニックスドライバー』などの投げ技を主体とする総合格闘家。
初代桃太郎の出生の秘密を知っていたり、(諸事情で妖術を封印し衰えていた)シュテンドルフを殺害する等、物語の最重要人物といえる人物だが、連載打ち切り間近に登場した為いまいちな存在感で終わったキャラ。
未来人を名乗っていたが実在する「倭建命」との関係(子孫なのか本人なのか)は不明。
モモタロウとの試合で自分の愚かさを知り、改心して戦争を止めるために未来へ帰っていった。
余談
『THE MOMOTAROH』をモチーフにした覆面レスラー及びリングアナウンサーが登場している。
- プロレスラー・スペル・デルフィンが若手時代に1991年から1年間、メキシコ遠征の際『モモタロウ』なる覆面レスラーでリングに上がった。原作者であるにわのまことは、『モモタロウ』という名前のレスラーが実現したことを喜んでおり、その旨のコメントと自身のイラスト入りのハガキをプロレス雑誌に投稿、掲載された。(帰国後は著作権の関係で日本では使用できなくなった。)
- 2000年代前半、スペル・デルフィンが起こした「大阪プロレス」に「モモタロウ」が何回か登場している。⇒YouTube・くいしんぼう仮面チャンネルより。
- リングアナウンサーの味方冬樹(KAIENTAI DOJO⇒フリー)が2014年より、覆面のリングアナウンサー「モモタロウ」として現れた。作者も公認している。
- にわのまことの画業30周年を記念したイベント「2.5次元プロレス・夢幻大戦」が、11月27日に東京・新宿FACEで複数のプロレス団体の協力のもと、本企画のために作成された衣装を着用したプロレスラーによる試合が開催された。モモタロウ役はプロレスリング・ノアの丸藤正道が担当する。