概要
長崎本線の特急「かもめ」(博多駅〜長崎駅間)の速度向上を目的として開発・新製された振り子式電車である。水戸岡鋭治氏によるデザインで、2000年3月から運行開始。
全車両が日立製作所で製造。車体はA-Trainの技術を用いたアルミニウム製で、白をベースとした塗色から「白いかもめ」と称される。
2001年からは、日豊本線の特急「ソニック」(博多駅〜大分駅間)の増発用に2次車が増備されており、こちらは「白いソニック」。前頭窓周りなどのアクセント色で区別できる。また細かい点では前照灯の
大きさ(2次車のほうが大きい)やワイパーの本数が異なっている(3本→2本)。当初は「SONIC」のロゴをつけていた。
2003年以降、走行距離の調整や車両の運用効率を上げるために共通運用となり、2010年末から、1次車の塗装変更と全車両のロゴの変更(787系と同じ「AROUND THE KYUSHU」)が行われ、2012年度に全車両にこれが施工された。
内装としてはグリーン車・普通車とも本皮革張り座席を採用、床張りをフローリングとしたことが特徴である。
2001年に鉄道友の会のブルーリボン賞、日本産業デザイン振興会のグッドデザイン賞、さらにヨーロッパの「ワトフォードグループ」が選ぶブルネル賞大賞を787系、883系に続いて受賞し、その優秀さを不動のものとした。
その後、台湾とイギリスへは885系をベースにした日立製作所製の車輌が輸出されている。台湾では外装の整理とシートピッチの拡大・交流電圧25000V対応の改設計を受け、TEMU1000系「太魯閣号」として活躍。原型の885系より受け継いだ振り子機能を持ち、主に東部幹線地区の主力特急として活躍している(主に台北~花蓮の電化区間)。
一方イギリスの車両はクラス395形・「ジャベリン」の愛称が付けられて製作。こちらは振り子機能は搭載しておらす室内は固定クロスシートだが、ロングノーズとなった車体および足廻りは営業最大時速225km/hの高速鉄道仕様となっており、狭小車体断面と合わせミニ新幹線相当のスペックとなっている。
なお、熊本県・鹿児島県での運用実績はない(ただし、熊本県は試運転での入線はあるので、鹿児島県のみ一度も入線した事がない)。
2022年9月23日の西九州新幹線(武雄温泉駅〜長崎駅間)の開通に伴い、従来の在来線特急「かもめ」が廃止。本系列は新幹線と接続する特急「リレーかもめ」(博多駅〜武雄温泉駅間)へ転用。この他、佐世保線の特急「みどり」(博多駅〜佐世保駅間)の一部に導入され、同日新設された特急「かささぎ」(博多駅〜佐賀駅・肥前鹿島駅間)にも使用される。