概要
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に登場するキャラクター。
「史上初のバージョンごとに博士が違う」パターンで、こちらはバイオレットに登場する物静かな男性。地方のある伝承について研究している。
ゲームでは物語序盤から登場。ペパーの父親であることを明かした後、レジェンドルート(ペパーのストーリー)にも度々登場し、主人公達に助言をくれる人物である。
直接対話しているのではなく、オーリム博士と同じくスマホロトムの画面を通じてパルデアの何処かにある研究所からテレビ電話でヌシポケモンについて伝えているようだ。なお、時折笑顔も交えて話をしてくるオーリム博士と比べると、こちらは会話中にあまり感情を表に出すことがないため、ややとっつきづらい印象を受けた人もいるかもしれない(両方のバージョンをプレイした人であれば猶更)。
名前の由来はスペイン語で未来を意味する「Futuro」とされる。
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博士の行方について
※以下はポケットモンスタースカーレット・バイオレットのネタバレが記されています。
長らく直接会う機会がなかった彼だったが、終盤のパルデアの大穴の最深部、エリアゼロの研究所にてついに直接邂逅を果たすことになる。
しかし今まで通信で見ていたアクティブな姿とはまるで違い、死んだように目を閉じ全身の力を抜き、力なく椅子に座り込んでいた博士の姿がそこにはあった。
その直後、謎のアナウンスと共にまるでロボットのように不自然な動きで目を覚まし立ち上がる…
状況を飲み込めないままの主人公に向けて彼は語りかける。
「キミたちに謝罪しなければいけないことがある」
「ボクは本物のフトゥー博士ではない」
「ボクは博士が自身の知識と記憶をもとに作った人工知能」
「…AIで動くロボットなのだ」
生前の博士は未来のポケモン(つまりパラドックスポケモン)に強く魅了されており、エリアゼロ内部でタイムマシンを開発し、未来のポケモンであるパラドックスポケモン達を現在へ転移させることに成功する。
エリアゼロの観測ユニットに存在する日記によると、フトゥー博士は「仮称■■■」と呼ばれる存在の力を使ってタイムマシンを開発したことが語られている。テラスタルはその研究の副産物として産まれたものであるようだ。
だが彼の熱意が災いしたのか、配偶者は彼の元を去り、他の研究者達も彼に着いていくことができず次々に離れていった。追いつめられた彼はついに自身のデータを搭載したAIを開発。共同でゼロラボを管理することにする。本来、ここまで高性能なAIを作成するのは現代の技術ではとても不可能とのことだが、博士は「仮称■■■」の力を使うことでAIを産み出し研究を大きく加速させた。
現代のポケモンより強く冷酷な未来のポケモン達は生態系を破壊しかねない存在であったが、それでも彼は未来のポケモンと現代のポケモンの共存を望み、仮に生態系がそれで破壊されたとしてもそれは自然の一つの形と考え、タイムマシンを稼働し続けた。
だが、実験の過程でオリジナルのフトゥー博士は、主人公が出会うことになるミライドンを第4観測ユニットで発生した事故の際に庇って命を落としてしまう。
オリジナルの死後、稼働を続けるタイムマシンに対し残されたフトゥーAIは「未来の生物を現代の生態系に持ち込むのは危険であり合理的ではない」と判断。オリジナルの意志に反してタイムマシンを止めるよう主人公に懇願する。しかし、フトゥーAI自身にはオリジナルによってタイムマシンを守るためのプログラミングが組み込まれており、直前に忠告したうえで主人公と敵対することとなった。
つまり、バイオレットバージョンにおけるラスボス。(黒幕と言われることもあるが、オリジナルはもとよりAIである彼が直接作中で悪事を働いていたり悪の組織のボスだったというわけではないので、黒幕という言葉は適当ではないと思われる)
手持ちポケモン
手持ちのポケモンは存在せず、タイムマシンから送られてきたマスターボール入りの未来のパラドックスポケモンを即興で繰り出してくる。タイプがバランスよくまとまっており、偏った手持ちでのクリアは厳しい。
エスパータイプやじめんタイプが広く刺さっているのでその辺りを使えば比較的楽にクリアできる(ただ上のタイプはどちらもテツノコウベに弱いことに注意)。
「興味深イ…… 未来ノポケモン ソノ弱点ヲ 理解シテイルノカ?」
しかし全員がメカメカしい姿をしているので初見ではタイプを見抜くのは難しいだろう。なお、このメンバーの中に鋼タイプは不在である。(鋼タイプを持っているのはテツノワダチだけ。)
相手もこの初見殺しを加味して挑んできているのか、弱点を突くと驚く様子を見せる。
余談
余談ではあるが、現実世界でも外来種による固有の生態系の崩壊に関する問題は多々発生している。有名所ではペットとしてもよく好まれるアメリカザリガニも日本固有の生態系を脅かす存在であるとして規制すべきではないかと多くの有識者が指摘している(本来は2020年に指定されるのでは、という話になったが指定されたときの影響を懸念され見送られた)。また、日本固有の生物が逆に海外の固有生態系を荒らしている例としてナミアゲハや葛、イタドリなどが有名である。
オーリム博士もフトゥー博士も、明らかに在来のポケモンよりも強いと認識しているパラドックスポケモンたちを現在の生態系に放つというのは、AIが指摘する通り生態系を壊す懸念は否定できず、「合理的ではない」と断じられても無理も無いだろう。
そもそもの話として人の手で本来存在しない地域に外来種を放つ摂理も倫理もへったくれもない行いを「それもまた生態系」等と臆面もなく言ってのけ開き直るのは生物学者として失格の誹りを受けても何も文句が言えない行いである。
AIが合理化を突き詰めた末に、非現実的非人道的な論理をもとに暴走を始める作品は珍しくないが「AIにすらある倫理観の欠如によって非合理的異常行動に走る人間」は昨今非常に珍しいと言える
「今マで ありがトう」
「ようヤく タいムマシんヲ」
「彼ノ 意思ヲ 止めルこトが デきタ」
「さミしイ 思い 今マで すマナい さセて ぺP……」
「セキュリティに異常発生」
「セキュリティに異常発生」
「障害を取り除くため 楽園防衛プログラムを起動します」
ネタバレ関連タグ
クリム・スタインベルト…「物語開始時点で既に故人」「自分の記憶と人格を引き継いだAIを残し、主人公をサポートする」という共通点がある(ちなみに、髭を生やした壮年の男性というビジュアルもフトゥー博士と共通する)。ただ、彼は科学者としての倫理も弁えた人格者であり、寧ろ科学の暴走を止めるべく奔走したという点でフトゥー博士とは正反対の人物といえる。
海道義光…経緯は違えど、アンドロイドなのは共通している
想像力が足りないよ…何かを実行した結果起きる悲劇について考えが及んでいないことに対する非難及びブーメラン…が、彼の場合想像力が及んでいた上で「そんなことはどうでもいい」と断行したという、よりタチの悪い行為である。考えなしになんでもやるのもまずいが、人というものは下手に考えが及んでしまうと今度は「やってみたい」という好奇心により奇行に走ってしまうモノである、彼の場合足りなかったのは倫理観と自制心であろう。