概要
阪急7000系は、阪急電鉄(阪急)が1980年から阪急神戸線・阪急宝塚線(神宝線)系統で運用している通勤形電車。特急から普通電車まで広く運用されている。6000系とほぼ同一仕様の車両で、違いは制御方式が回生ブレーキ付き界磁チョッパ制御になったことである。1988年までに合計210両が製造され、1系列としては阪急史上で最多車両数である。当初は普通鋼製で登場(※7000F~7010F・7020F・7030Fが該当)し、1984年以降製造分の車両はアルミ合金製となった。ただ、同一塗装なので外見からでは見分けはつかない。
派生系列として阪急京都線仕様の阪急7300系(詳細は後述)が1982年から1989年にかけて合計83両が製造された。7000系は東芝製の電装品を装備しているのに対し、7300系では従来の慣習に基づき東洋電機製造製の電装品を装備している。7300系は初期に製造された12両が普通鋼製、残りの車両がアルミ合金製である。
系列ごとの特徴
阪急7000系
もともとは0番台が8両固定編成、20番台が6両固定編成、30番台が2両固定編成という区分がなされていたが、車両の増備による番号の不足と編成組み替えの過程で0番台・20番台の区別は実質なくなった。神戸三宮・宝塚(神宝)方先頭車は電動車であるのが基本だが、2両固定編成のうち30番台の編成については、当初から神戸三宮・宝塚(神宝)方先頭車がモーターなしの制御付随車となっている。
- 普通鋼製車両については1999年から2013年にかけてリニューアル工事を、アルミ合金製車両については2016年から順次リニューアル工事を実施している。工事メニューが年度ごとにバラバラであるため、同一形式ながら様々なバリエーションが生まれる結果となった。
- 7001F・7003F・7006Fは鋼製車が6両で新製され、その後アルミ車の中間車を2両ずつ増結して8両化された。アルミ車はその後編成から外れ、6両組成となっていた7014F・7017F・7021Fへ組み込まれてリニューアル工事を行った。
- 7016Fの2両、7025Fの2両、7026Fの4両は能勢電鉄へ移籍、2018年より「能勢電鉄7200系」として営業運転に入っている(概要は「7200系」の記事を参照)。
- 2018年5月22日に阪急電鉄HPのニュースリリースより、「京とれいん」の2編成目を導入することが発表され、7006Fが改造種車に選ばれた。同年12月には車両愛称を「京とれいん 雅洛」と命名、2019年3月に営業入りしている。⇒京とれいん
編成表
8両編成 | 6両編成 | 4両編成 | 2両編成 | ||
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未更新車 | 7023 | 7024(1) 7031(3) | 7005(4) 7030(5) 7032~7037(5) | ||
初期更新車 | 7001 7003 | ||||
大規模工事車(1次) | 7000(※) 7002 7004 | ||||
前面改造車 | 7007 7008 | ||||
大規模工事車(2次) | 7009(※) 7010 7020 | ||||
VVVF改造車 | 7011 7012 7013 7014 7015 7017 7018 7019 7021 7022 7027 | ||||
京とれいん編成 | 7006 | ||||
元2200系編入車 | 7090(2) |
特筆事項
- 4両編成:(1)は両側の先頭車が電動車の編成、(2)は中間車2両が電動車の編成、(3)は大阪梅田方からMc-T-M-Tcの編成である。(3)の7031Fの中間車・7516号車は「暫定付随車」(暫定T)扱いであったが、検査入場に際して一部機器の撤去が行われ、付随車の7596号車となった(ただし台車はFS369Aのまま交換されず)。
- 2両編成:(4)は両側の先頭車が電動車(Mc-Mc)の編成、(5)は電動車が大阪梅田方先頭車のみ(Mc-Tc)の編成である。
- 大規模工事車(1次):開閉予告ランプの設置や客室扉・妻面の化粧板側面のドアの窓の拡大等のリニューアルを実施。日よけはロールカーテンに変更されたが、鎧戸時代と同じく上昇式のままとされた。7000F以外の2編成は化粧板と床の配色を変更した。
- 前面改造車:方向幕のフルカラーLED化、座席に定員着席を促す仕切りを設置やパワーウィンドウを設置するなど、新車と見間違うほどのレベルの改造が行われた。内外装は9000系に準じる。
- 大規模工事車(2次):前面改造車の登場以降にリニューアルを実施したグループだが、改造内容はやや控えめとなった。7009Fは車内案内表示器がLED。それ以外の2編成は足掛け板の設置や車番の移設が実施されたほか、内装も前面改造車と同等のものに。
- VVVF改造車:アルミ合金製の車両に順次行われている。内装は1000系(2代目)と同等になったほか、制御機器類も1000系と同じものへ換装され、VVVFインバータ制御となった。
- 元2200系編入車:7090Fの両先頭車は元2200系であったが、阪神淡路大震災後に6000系へ改番・編入、2019年の定期検査後に7000系へ再び改番・編入された。中間車は6000系編入時に7000系の他編成から捻出している。
阪急7300系
こちらは0番台が6両固定編成、20番台が2両固定編成として製造されたが、一部の6両固定編成は中間車2両を追加し8両編成化された。その後10両編成運用に際し、7300・7301・7302号車の3両は密着連結器・電気連結器が搭載されていなかったため、同連結器を搭載した7320・7321・7322号車との車両差し替えが行われた。
- 7000系に合わせ7300系も2007年からリニューアル工事を開始している。工事メニューは同年度の7000系のリニューアルに合わせたものになった。VVVFインバータ制御改造車は阪急1300系(2代目)と同等の制御機器を搭載している。
- 旧7310Fは6両固定編成で登場。7310号車の1両はGTO素子を使用したVVVFインバータ制御車両の試作車として製造された。この編成は2018年のリニューアル改造に際し7324Fとの8両固定編成化改造と組成変更を行った。組成変更に際し、7310号車は電装解除・中間車化改造・改番を経て現在は7890号車となっている。
8両編成 | 6両編成 | 2両編成(Mc-Tc) | 2両ユニット(Mc-To) | |
---|---|---|---|---|
未更新車 | 7321 | 7300 7301 7302 7323 7325 7326 | ||
リニューアル&前面改造車 | 7320 | |||
リニューアル&VVVF制御車 | 7322 7303 7304 7305 7306 7324 | 7307 | 7327 |
特筆事項
- 普通鋼製車両は7300Fの7300、7301Fの7301、7320Fの7800・7860・7870・7900・7400、7321Fの7801・7861・7871・7901・7401の各号車合計12両が該当。
- 中間車7851号車は現在長期休車中。
- 7320Fは新車同様に更新され、2008年9月に運用復帰。主なリニューアル内容は窓のパワーウィンドウ改造や方向幕のフルカラー化、車内を9000系などと同様の車内に改造されて新車に近い車内となっている。
- 7322F・7303F以降のリニューアルは制御装置をVVVFに変更された他、7320Fと同様、車内を9000系に近い車内に改造されている。ただし、7320Fと同様電動発電機は7000系後期車に採用されたSIVに変更されていない他、方向幕もフルカラーLEDに変更されてなく前面がリニューアル前に近くなっている(但し貫通扉の窓の拡大や、車番の移設はされている)。
- 7324Fのリニューアル工事は、8両固定編成化改造と組成変更を伴うものであったのは上記の通り。
- 7327F+7307Fの8両編成は2021年にリニューアル工事がおこなわれたが、7327F側の7457号車は先頭に立つことがないため運転台が撤去され7957号車へ改番。7307号車は6両運用や7両組成替えに備えて元の状態を維持している。
運用
阪急7000系
- 8両固定編成のうち、7011・7015・7018Fは阪急宝塚線所属で、その他の編成は阪急神戸線所属。普通から特急まで幅広い運用を担当している。宝塚線所属車は能勢電鉄用の列車無線アンテナを搭載していないため、同社線への乗り入れはできない。
- 神戸線の通勤特急で10両編成による運転が行われており、この運用に入る編成については8両+2両で組成を固定し、平日朝ラッシュ時の限定稼働となる。組成については一定期間固定されるも、必ずしも安定はしない。宝塚線通勤特急の10両運転時代も同様の組成を行っていた。
- 6両固定編成はすべてが阪急神戸線所属。他系列とつないで8両編成運用に入るのが基本だが、車両不足の時に阪急今津線(今津北線)に入る。
- 4両固定編成は7024F、7031F、7090Fが在籍。7024Fは8040F、8041Fと組んで宝塚線の8連運用に、7031Fは阪急箕面線の普通列車運用に、7090Fは2両固定編成の7005Fとつないで阪急今津線(今津北線)の6両編成運用に、それぞれ充当されている。
- 2両固定編成は10両編成運用の増結車としての充当のほか、ダイヤ改正で減便になった7000系の2両固定編成を2本をつないで(7034F+7035F)伊丹線の普通列車運用にも充当される。
阪急7300系
- 7000系とは異なり車両規格の都合上、神宝線に入る事ができない。
- 10両編成運用が存在していた時代は、7300F・7301F・7302Fがその増結車に充てられていた。予備車がない場合は6両+2両の「2両」を増結車へ回すというやり繰り。
- 残りの編成は6両+2両につなぐなどして、すべてが8両編成運用を基本としている。9300系が特急運用メインであるためか、7300系は普通・準急・急行運用が基本で、また1300系など京都本線・千里線で使用される他系列の8両編成と共通運用が行われる。スジの関係で準特急に使われることも多い。
- 行楽期や6300系が検査などで車両不足の場合、6両編成の7321F・7307Fが嵐山線を走行することがある。
関連タグ
5000系(阪急5000系) 6000系(阪急6000系) 8000系・8300系(阪急8000系) 9000系(阪急9000系)