概要
日本の地域区分のひとつ。
中部地方の範囲について法的な定義はないが、一般的に新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県の9県で構成される。
すべての県を合わせた人口は約2300万人。面積は北海道に匹敵する。
ただし企業や公的機関によって「中部地方」の範囲が異なり、三重県や滋賀県が含まれる場合もあったり、山梨県や新潟県が除かれる場合もある。
中部地方を管轄する企業や国家機関は主に名古屋市に集積しているが、新潟市(北陸地方整備局)、金沢市(金沢国税局、北陸農政局)、長野市(信越総合通信局、中部森林管理局)等も拠点都市として機能している。他に有力な工業都市として、静岡市、浜松市、四日市市、岐阜市、富山市が人口上位50都市に入っている。
区分
中部地方は9県もしくは10県(三重県を含めた場合)もあり各県の地域差も大きいので、しばしばいくつかのグループに細分される。甲信越・北陸・東海の3地方に細分することが多いが、長野県と山梨県を指して「甲信地方」や、山梨県・長野県・岐阜県を指して「東山地方」といった分け方もある。関東地方と甲信越3県を指して関東甲信越と呼んだり、さらに静岡県も含めた1都10県を関東甲信越静(または広域関東圏)と呼ぶこともある。頻繁に特急が甲府と新宿を往復していることもあり、JR東日本の天気予報では山梨県が表示され、山梨県東部(大月、富士吉田、都留など)は関東(特に八王子付近)と通勤・通学・レジャーなどで往復する客が多い。山中湖や富士急ハイランドはほとんど関東の若者でにぎわい、中部地方の若者はほとんどいない。昭和大学・都留文科大学・帝京科学大学・健康科学大学など東京からの通学者が多く、大学スポーツでも山梨県の大学は関東地方の予選に出場する。Jリーグ参加の地域リーグ(社会人・アマチュア)もそうである。
もともとは、本州から東北地方・関東地方・近畿地方・中国地方を除いた残りをひとまとめにした呼称であり、中部地方全体のまとまりは弱い。特に静岡県の伊豆半島や山梨県、新潟県の中越・下越地域、長野県の南信地域以外は東京志向が強く、三重県の伊賀地方・東紀州地域や福井県の嶺南は大阪志向が強い傾向にある。
歴史
中部地方は広大な上、険しい山地で分断されていることから東海地方・北陸地方・甲信地方はそれぞれ別の歴史を歩んでいるため、中部地方の歴史をひとまとめに語るのは難しい。ただし、戦国時代の織田信長や豊臣秀吉、徳川家康、武田信玄、上杉謙信はいずれも中部地方の人物であり、中部を制してからほかの地方(中国、四国など)に目を向けているため、戦国期を語る上ではなくてはならない存在である。
風土
大別すると、東海地方の太平洋側気候(夏は蒸し暑く雨が多く、冬は乾燥する)、新潟県を含む北陸地方の日本海側気候(夏に気温が上がるが冬は豪雪地帯)、甲信・飛騨地方の中央高地式気候(年間を通して湿度が低めで、夏は暑く冬は寒くなるが雪は少ない)の3つに分かれ、各地域の気候風土の共通点は薄い。
地形的な特徴を挙げるなら、「日本の屋根」とも呼ばれる日本アルプスを擁する中央山岳地帯であり、日本最長の河川である信濃川をはじめ、木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)、天竜川といった大河を多く擁することであろう。これらのことから水資源に恵まれた地域が多い。
産業
巨大なダムや大規模な水力発電所が多く立地し、豊富な水資源と電力を活かした製造業が盛んな地域である。
特に愛知県・岐阜県・三重県、静岡県の東海4県は日本最大の自動車産業(完成車・自動車部品製造)地域として知られ、日本の製造業の屋台骨を支える地域である。他にも産業用ロボット、電機、航空、造船などの機械製造業、製鋼や非鉄金属、セラミックなど素材生産業が集積する。
北陸地方は金属加工や機械製造が盛んで、山梨県は工作機械、長野県は光学機械や時計・電子部品において日本トップメーカーの工場が並ぶ。
県一覧
都道府県コード順に列記する。
北陸
新潟県(稀に東北地方に含むこともある。)
福井県(西側の嶺南は関西地方扱いされる場合もある。)
甲信
山梨県(JR東日本の天気予報など、ほとんどの場合関東地方として扱われる。東部は相模川の流域となっている等地形的に繋がりがある。)
長野県(岐阜県・山梨県とともに東山地方とされることもある。)
東海
静岡県(一般的に東海3県には含まれない。稀に関東地方に含むこともある。)
三重県(一般的には近畿地方に含まれる。関西地方に含む場合もある。)
その他
滋賀県(一般的には近畿・関西地方だが中部圏知事会のメンバーであり、中日新聞では利便上中部地方として扱われており、他にも愛知万博に中部9県の一員として、近畿2府4県で唯一協賛している。)