→ ゲーム『ウマ娘プリティーダービー』に登場する、本馬をモチーフとしたキャラクター(ウマ娘)については、「シンコウウインディ(ウマ娘)」の記事へ。
概要
GⅠに格上げされた最初のフェブラリーステークス(1997年)での勝利で記録に、レース中の噛み付き(未遂)で記憶にその名を残した。
田中清隆厩舎(美浦トレーニングセンター)所属。
現役時代は気性難で、ネタ馬としても有名だった。噛み付き癖のほか、ゲート内でスタートを待つあいだ、よく穴を掘っていた。
馬主は「パッ!とさいでりあ~」のCMで知られた住宅建材販売・リフォーム企業「新興産業」の創業者。シンコウの勝負服は黒一色。
名馬の肖像
夜明けの咆哮
木々をなぎ倒し
岩を打ち砕きながら
道を作ってきた
幾多の先人たちよ
その志を受け継いで
獰猛な獣が駆ける
凍てついた砂を
熱い咆哮で溶かしていく
いま夜は明けて
新たな時代が始まる
(名馬の肖像 2021年フェブラリーステークスより)
プロフィール
※本記事の表記は旧馬齢表記(現在の表記より+1歳)を用いる。
来歴
1993年
4月14日、浦河町(北海道)で誕生。生産者がデュラブの種を付けたのは「たまたまシンジケートの会員だったから」で深い理由はなかった。幼少時から美しい栗毛で脚が長く見栄えが良かったが、よく人間や馬に噛みついていた。
1994年
6月に2歳馬のセリ市に出され、田中清隆調教師の勧めで安田修が890万円で落札した。中央競馬を走る馬としては安い価格だった。ノーザンファームへ育成に出される。
やんちゃな性格で、ソラを使う悪癖があった。
1996年
1月6日、東京競馬場の新馬戦(ダート1200m)でデビュー。3番人気で1着。ソエ(骨膜炎)が出たため休養に入る。
3月3日、ふきのとう特別(芝1800m)に出走し、4着。
4月27日、こけもも賞(芝2200m)に出走し、2着。
6月9日、ほうせんか賞(芝2000m)に出走し、4着。
6月29日、あさがお賞(ダート1800m)に出走し、1着。900万下に昇級。以後、ダート戦メインで使われる。
8月31日、館山特別(ダート1800m)では、直線で抜け出したダイワオーシャンに並びかけたところで噛み付きに行き、スピードが鈍り2着。レース中に噛み付きにいって敗れるのは珍事で注目を集めた。
9月28日、ユニコーンステークス(GⅢ)では1着入線のバトルラインから0.5秒離されての2位入線だったが、バトルラインの降着処分により繰り上がり1着。重賞初制覇。
11月1日、スーパーダートダービー(南関東GⅠ)では、先頭をいくサンライフテイオーにまたも噛み付きにいき、脚が鈍り2着に終わった。
11月23日、ダービーグランプリ(GⅠ)に出走し、3着。
1997年
前年の反省から、レースでブリンカーを着用する事になった。
1月6日、平安ステークス(GⅢ)に出走し、トーヨーシアトルと並んで入線し重賞史上3例目の1着同着で重賞2勝目。
2月16日、中央ダート初のGⅠに昇格したフェブラリーステークスに臨む。興奮して併走馬の首に噛みついていたため追い切りの時計が悪く、6番人気。ダート上に水が浮くほどの不良馬場の中、ストーンステッパーとの競り合いを制しGⅠ初勝利。JRA最初のダートGⅠ馬となった。
5月3日、アンタレスステークス(GⅢ)に出走し、5着。
6月24日、帝王賞(JpnⅠ)に出走し、7着。レース後に脚部不安で休養に入るが回復が思わしくなく、休養は2年間に及んだ。
1999年
6月13日、復帰戦として芝レースの安田記念に挑むが、エアジハードの13着。
7月4日、ダートに戻り、灘ステークスで5着。
8月14日、関越ステークスに出走し、6着。
9月15日、日本テレビ盃(GⅢ)に出走し、4着。脚部不安が再発し、引退した。
2000年
シンコーファーム(日高町)に種牡馬として繋養される。産駒は中央競馬では未勝利であり、牝系にも残っていない。
2001年
新興産業の経営悪化により、馬主の安田氏が馬主業から撤退。シンコーファームは新興産業から独立して経営を継続したものの、種付け相手は全く集まらなくなってしまう。その後、シンコーファームの設備はドバイ系の外資牧場ダーレー・ジャパンに買収される。
2006年
種牡馬登録を抹消され、ダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで当て馬兼功労馬となった。試情馬としては「天才的にうまい。長く、いろいろなアテ馬を見ているが、こんな馬はめったにいない」と評価された。気性も丸くなり、噛み付きも甘噛み程度に落ち着いたとか。
余談
噛みつきに行ったことで有名になったシンコウウインディだが、では降着や失格にならなかったのかと疑問を抱くだろう。
JRAのルールでは「走行妨害がなければ被害馬が加害馬に先着していた」場合に罰則が生じるのだが、シンコウウインディの場合は噛みつきに行って相手を勝たせている(負けている)上に、噛みつきに行って他の馬の邪魔になっていないのでお咎めなしになっている。
外部リンク
関連タグ
マイク・タイソン:試合中に相手の耳を噛んだ。
インデックス:上条当麻に噛みつきに行く癖があることで共通。