グレミー・トト
ぐれみーとと
概要
ジオン公国の名家トト家出身。登場初期はマシュマー・セロの一部下に過ぎず、偶然出会った敵であるルー・ルカに恋をし、ネオ・ジオンに拉致され身を寄せているリィナ・アーシタにレディとしての教育を施すなど、まだまだ幼さや甘さの残る青年であった。母子家庭なのか理由は不明だが、「ママの教え」に忠実であり、ルーいわく「マザコン」。※ただし、父を「パパ」とも言っているため、ファザコンでもあることを匂わせている。
本人はそれに対して腹を立てたりもし、この時点では完全にコミカルキャラであった。
ジュドー・アーシタとの初対面では、モンド・アガケとビーチャ・オーレグに対する尋問から聞き出した「根も葉もないデタラメなルーとジュドーとの関係」を真に受けたこともあって嫉妬し、ジュドーを監禁する(エルピー・プルによって助け出されるが)。実は監禁した理由はもう1つあり、プルが駆るキュベレイMk-Ⅱ(2号機)のファンネルをジュドーに無効化されたことによって、ジュドーを危険因子と見なしたためでもある。
ハマーン・カーンは早くからその内に秘める野心と高い能力を見抜いており、彼を側近として仕えさせ巡洋艦サンドラを与えるなど重用していた。だが、グレミーが不穏な動きをするようになったため、ハマーンはオウギュスト・ギダンを監視として送り込む。
そのオウギュストも、後にグレミー側に寝返っている。
物語後半、グレミーはザビ家の真の継承者として、ミネバ・ラオ・ザビの摂政という身分を使いネオ・ジオンを我が物にしているハマーンを打倒せんと、ネオ・ジオン本隊に反乱を起こした。
真偽は不明だが、彼は継承権の理由としてトト家に預けられたギレン・ザビの子を自称(その試験管ベビーという説もある。小説版ではデギン・ソド・ザビの隠し子という設定。他にグレミー自身がギレンのクローンという説、プルシリーズと異母兄妹という説がある)している。
主力にプルツーや彼女のクローン(通称:プルシリーズ)と思しき兵士で構成されたニュータイプ部隊を組織。また反乱成功後に地球を任せるという条件でラカン・ダカランも自軍に引き入れる。ラカンはグレミーのことを若造と見くびっていたようだが、演説で反乱軍に加わった兵士達を鼓舞するさまを見て感心。一族の命脈復興を志すトワレグ族、「青の部隊」の戦士たちに深い共感を示して個人的に協力したり、「偉大さとは偉大であろうとする行為そのものだ」と語る等、序盤の青臭ささは失せていった。
序盤の道化っぷりは「能ある鷹が爪を隠していた」とも言えるし、実戦の経験を積んでいっぱしの戦士へと成長したのだともとれる。しかし実際は番組の中途路線変更によって、キャラクターが急に変貌したというのが真相であったりする。まあガンダムシリーズではよくあることなので今更気にしてはいけない。
しかし、結果としてこのネオ・ジオンの内乱がエゥーゴにつけいる隙を与え、グレミー軍はラカンのスペース・ウルフ隊が強化人間となったマシュマーのザクⅢ改によって壊滅させられ、ラカン自身が駆るドーベン・ウルフもジュドー・アーシタのZZガンダムによって撃墜される。
グレミーは最後の砦となったクィン・マンサにプルツーと乗り込み、圧倒的な強さでガンダム・チームを追い詰めていったが、ジュドーに自らの大義をちっぽけなエゴであると非難される。また、パイロットのプルツーの精神がジュドーと感応し、プルツーは戦闘を放棄してグレミーを振り払いジュドーの元に向かう。
グレミーはプルツーを呼び止めようとコクピットハッチの外で説得しているところを、ルーのZガンダムにビームライフルで撃たれ消滅した。
しかし、グレミー亡き後もグレミー軍残党はかなり残っており、ニュータイプ部隊の量産型キュベレイがハマーンとジュドーの戦いに割り込んだ他、宇宙世紀0090年頃にシャア・アズナブルが創設した新生ネオ・ジオンと一戦交えている。
ガンダム無双シリーズでは、2にてプレイアブルキャラになりなんとハマーンがZでシャアに向かって言った「私と共に来てくれれば……」という台詞をルーに言っている。
また余談ではあるが、ジュドーらによって度重なる任務に失敗したマシュマーがエンドラからスペース・ランチに搭乗し出て行くのを引き留めていたのは、意外にもグレミーであった。しかしその後ダブリンでコロニー落としが決行された後、彼はマシュマーに対して「コロニー落としが成功した今マシュマー・セロはさぞ鼻が高いだろう……それに引き換え……」と言い放っており、かなり性格も冷徹に変貌している。またダカールにてジュドーの妹リィナ(なぜかトップレディになるような教育を施していた)にも危険人物と指摘されている部分もあった。番組の都合を無視するならば、マシュマーの前では目をつけられないよう猫をかぶっていたのかもしれない。
備考
劇中では彼がニュータイプであるとは明言されていない。だが小説版ではニュータイプとして書かれており、ゲームなどではクィン・マンサに搭乗する都合上、ニュータイプ扱いされていることが多い。
漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、一年戦争末期に公国歌劇場でオペラを鑑賞している客として少年期のグレミーが登場している。
没落貴族で跡継ぎのいないトト家は、グレミーを養子にして以降金回りが良くなったため、この頃から彼がギレンの落胤と噂されていたらしい。
漫画『機動戦士ガンダムZZ外伝 ジオンの幻陽』で見る限りではネオ・ジオン抗争の初期頃からミネバは偽者でありグレミーがザビ家の血を引いている人間という事はネオ・ジオン内では噂となっていた。グレミーは一部の士官へ親書を送って反乱に備えていたり、ザビ家恩顧の臣下達を後ろ盾にしていたようだ。
当初の予定では、番組後半には行方不明のシャア・アズナブルが再登場してネオ・ジオン内でハマーンの抵抗勢力となる予定だったが、映画『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』制作決定に伴いグレミーに変更された。
この様に、番組当初はコミカルな描写の目立ったマシュマー、キャラ・スーン、グレミーの三者三様の変貌は、本作の路線変更の影響を強く受けた結果である。