概要
漢字および中国語名は「蠷螋」・「蛷螋」。英語は「earwig」("耳の昆虫")と呼ばれているが、これは風評被害によるものである(詳細は後述)。
名前の通り多くの種類は革状の前翅を持つ。その小さな前翅から想像し難いが、大きな扇子状の飛行用の後翅は、折り紙の仕組みでその下に折り畳まれている。地上生活を極めて翅が完全に退化した種類もいる。
最大の特徴は言わずと知れた腹部末端のハサミ。これはコオロギやカゲロウのお尻にも見かれる「尾毛」というセンサーであった器官が発達したものである。また、このハサミは性的二形を示し、オスのは強大で大きく曲がり、メスのは真っ直ぐで短い。
2,000ほどの種が知られて、昆虫にしては比較的規模が小さいグループである。
体長は多くが1cm弱から5cmほど。世界最大の種は南大西洋のセントヘレナ島に生息する、8cmのサイズを誇る「セントヘレナオオハサミムシ」である。しかし、1967年から生体が再発見できず、人類活動(外来捕食者の持ち込み)によって絶滅したと2014年に判断された。
生態
湿った場所を好み、岩陰に潜んでいる事が多い。
多くのものは雑食性で、種類により果物や他の昆虫、果ては他の動物の糞を食べるものもいる。
特徴的なハサミは決して飾りではなく、防御・捕食・喧嘩などに使われる強力な武器である。サソリのように、腹部をしなやかに曲げてハサミの向きを操る。
人間との関わり
一部の種類は果物の中に住んで侵食するが、基本として人間に無害である。
英語圏では、ハサミムシは風評被害の代表格ともいえるほど酷く誤解された虫の一つである。
人間の耳に住む・脳に産卵するなどが有名な都市伝説で、当然ながらどれも真っ赤な嘘である。「耳虫」を意味する英語名「earwig」がこれに由来するが、この名前もまたハサミムシへの風評被害に加担している。
また、どことなく有毒な甲虫ハネカクシと似ているためしばしば混同され、毒虫だと誤解されることもある。