ハン・ジュンギ
はんじゅんぎ
概要
漢字表記は「韓俊基」。
神室町のホストクラブ「スターダスト」の現オーナーにして韓国マフィア「ジングォン派」の当代ボス。正確な年齢は不明だが劇中で20代との言及がある。表稼業でホストをしているだけあって整った容姿をしており、客やファンからは「ハン様」と呼ばれる。
銀に染めた髪が特徴で、青いジャケットと相まって英語圏では「Korean Vergil」と呼ばれることも。
人物像
日本語が堪能で、普段はやや気障ながら紳士然とした振る舞いを崩さない。
宇佐美勇太を人質に取ろうとした部下を「余計な真似をするな!」と一喝し、自身を打ち負かした桐生の勝利を称えたりと、特に戦いにおいて「ヤクザとは違いスポーツマンシップに則るが好き」と公明正大な一面を見せる。
それ故に、礼儀に反したり、筋の通らない言動をとった者に対してはたとえ部下であろうとも、残忍性、嗜虐性をも感じさせる程の容赦ない制裁を加える事も厭わず、劇中ではスターダストを尋ねてきた桐生一馬らを無碍に追い返した部下に対して、制裁として顔を焼肉の網に押し付けて大火傷を負わせた。
これらの行動からも分かるように、かつて桐生と敵対したジングォン派の頭領でありながら桐生一馬のファンを公言している。
実際「桐生を倒すことで、ジングォン派の古老に過去の遺恨を忘れさせることができる」という趣旨の発言をしており、あくまで本人に恨みはない。様々な思惑に巻き込まれた形ではあるが「組織をまとめるついでに桐生と戦って勝ちたい」というのが一貫しての目的で、スターダストでの決闘で桐生に敗れた際は、本人に見えないところで酒のグラスを握り砕くほど悔しがるなど人間臭い部分も持ち合わせる。
経営者としても辣腕をふるい、スターダストの集客を増加させるため地下で男版のセクキャバのような過激な接待を行っておりそれに関しては悪びれないが、それとは別に本人はこの業態を「下品」と言い捨てており、"需要のあるシノギだからやってるだけ"という姿勢を隠さない。
裸ジャケットスタイルといい、どこかあの人を彷彿とさせるヤツである。
劇中での活躍
龍が如く6 命の詩。
亜細亜街の大火事後に巌見恒雄と結託し、巌見グループの資金力を得て神室町の風俗店を手当たり次第に買収。見返りに恒雄の計画の手助けをしてきた。その最中、達川が澤村遥からハルトを奪う場面を見届け、遥が昏睡状態に陥るきっかけとなった自動車事故を目撃する。
本編開始後は達川の情報を求める桐生たちの前に現れ、「自分とスターダストのリングで戦い、勝てば情報を教える」と提示する。桐生が見世物になることを拒んだため、代わりを申し出た勇太と戦い、彼を一方的に叩きのめす様を見せつけて桐生をリングにおびき出した。戦いには敗れたものの、約束通り達川に関する情報を伝える。
その後はハルトを奪うために桐生と広瀬一家の前に構成員と共に現れ、桐生に事故の真相を明かして対決するも敗北する。敗北後はジングォン派の撤退を告げた上で桐生に尾道の秘密に関する情報を伝えるが、最期は密かに桐生の後をつけていた秘密の番人・広瀬徹に口封じの為に射殺された。
…と思われていたが次作の『龍が如く7』で韓国系の組織「コミジュル」の参謀として名前、顔、全てが瓜二つの人物が登場する。
頭を撃たれた以上生存の可能性は薄いはずだが…
【※以下、『龍が如く7』に関するネタバレが含まれます】
『龍が如く7』において
「……影とは主のために身も心も同化させ、それを一生貫く覚悟を持って生きること
そしていつか私の影がまた生まれ……同じ覚悟で生きる……
つまり……ハン・ジュンギとは永遠の命を持った存在なのです」
概要
『龍が如く7』に登場するハン・ジュンギは本人ではない。
本来の彼はキム・ヨンスという名前で、元はジングォン派の一員であり、ハン・ジュンギの影武者という役割を担っていた人物。。
本来のハン・ジュンギは前作『6』にて広瀬に撃たれた際に確かに死亡しており、その時、ヨンスは「神室町にいるジングォン派の敵対勢力に対して睨みをきかせる」為に神室町に残留していた。
前述したとおりコミジュルの参謀であると同時に、コミジュルを率いる女総統・ソンヒの直属のヒットマンとして行動し、横浜・伊勢佐木異人町で密かに造られる偽札を巡る騒動に巻き込まれた春日一番らの前に現れ、時に助力し、時に対峙しながら、少しずつ絆を深めていき、やがて春日の頼れる仲間の一人に加わり、共に異人町を狙い、渦巻く近江連合とそのバックについた黒幕の陰謀に立ち向かう。
上記の通り7の彼は影武者のため、桐生の事は知らない。しかし7にて桐生と対面し言葉を交わした際、目の前の男(桐生)が本物のハンと知り合っていただろう事を察している。
また本物の彼と違ってノリの軽い若者としての一面を持ち、敵対していた頃の春日を「カス」呼ばわりして煽ったりしていたが、仲間になった後は逆に足立ばりの人懐っこさを見せてパーティに馴染んでいる。詳しくは後述。
真実
キム・ヨンスとしての彼がハン・ジュンギとして影武者となった訳は彼の父にある。
ヨンスの父は所謂「古いタイプの男」であったようで、ハン・ジュンギがジングォン派をまとめ始めた時は「あんな若造が」と見下し、歯牙にも掛けて居なかったらしい。
しかし実際にジングォン派をまとめ上げ、勢力を強め、神室町に進出する程の力量を発揮し、ハン・ジュンギの実力に気づいた時には時既に遅し、完全に時流に乗り遅れた哀れな遺物と化してしまっていた。
それでもキムの父親はなんとかしてハン・ジュンギに取り入ろうと思案し、遂に「実の息子に薬を盛り、昏倒している間に勝手に顔をハン・ジュンギそっくりに整形、手土産の影武者として差し出す」という暴挙に出る。
キムを影武者として差し出されたハン・ジュンギ本人はその場にいたキム曰く「そこまでやるか」とドン引きしていたらしい。
しかし「顔を変えろ」とあしらう事もなく「それもアリ」として実際に影武者になれるよう常にそばに置き、自分の趣味や仕草、言葉遣いや性格を学ばせ、キムの方もハン・ジュンギの器の大きさに惚れ込み、彼自身も望んで影武者となれるよう努力した。
結果としてハン・ジュンギの留守を預かりつつ留守を気取らせない程精巧な影武者となる事ができた。
しかしキムは上述通り、肝心な時に別の場所に居たせいで「影武者として本人の代わりに死ぬ」という本来の役割を果たすことが出来なかった。
『6』におけるハン・ジュンギの死とそれに伴うジングォン派壊滅後、敵対組織からの追撃から逃れる為に構成員は散り、ヨンスも在日コミュニティを頼ろうとしたが、マフィアである彼は受け入れられなかった。(話している本人は「今思えば当然のこと、彼等には彼等の生活があり、そこに私のようなものが入り込めば彼等の生活が脅かされかねなかったのだから」と自嘲している)
「同胞を見捨てるのか」と激昂して掴み掛かった事で通報され警察に連行されるが、その警察はソンヒの指示でコミジュルから送られた偽物だった。
しかし生き残っても肝心の本物のハン・ジュンギも居ない、仇の殺し屋も既に死亡しており復讐も出来ないという現実は彼を打ちのめし、暫くは廃人同然の生活を送って居た。
が、実はコミジュルは本国から送られ、神室町で散ったジングォン派が集まって出来た組織である事を教えられる、残党の寄せ集めたいう非常に非力であり裏社会を生き抜けるはずもない組織ではあったが、しかしそんな彼らをも受け入れる余地のあるグレーゾーンである異人町だからこそ存在できた組織なのだ。
彼はコミジュルに救出された恩を返すため、命の恩人であり兄として慕っていた本物に代わる姉としてソンヒの為にコミジュルの参謀となる。
影武者で無くなったのにも拘らず、彼がハン・ジュンギとして生き続けるのは、ハン・ジュンギを名乗る男が居るという情報を流すことにより、散り散りになってしまった同胞達を自分と同じ様にコミジュルに集め救う為。
その際ほぼ間違いなくハン・ジュンギとしての名声を掠め取ろうとする偽物を粛清する腹積りで襲ってくる事も覚悟の上であり、その上でその全てを返り討ちにしつつコミジュルに迎え入れる。
その為に彼は過去を完全に捨て、ハン・ジュンギとしてあり続けていた。
ちなみに、父親がキムを影武者として差し出して以後の進退は語られておらず「好きな酒に溺れて死ねたのだから本望だろう」とキムに切り捨てられている。
暴飲の結果体を壊して死んだのか、はたまた文字通り酒によって溺死させられたのかは不明である。
人物像
派手な柄物ジャケットを素肌に着用するという目立つ装いだった本物とはうって変わって、黒のモッズコート・カーゴパンツ・ミリタリーブーツと軍装品で統一した特殊工作員のような服装をしている。絆ドラマでの会話から年齢が判明しており、『7』時点で33歳。
かつて本物のハン・ジュンギから影武者として自らの振る舞いを覚えさせられた事もあって、相手の言動や気持ちに直接反論せず尊重しながら伝え、どんな相手であろうと常に敬語で話すなど、本物が持っていた公明正大且つ紳士的な性格をしっかりと受け継いでいる。
加えて、ヒットマンらしく冷静沈着に物事を見極めて判断し、正体を知らない相手には感情らしい感情を一切見せない。
反面、春日たちに興味を持ちだしてからはやや小馬鹿にした様な慇懃無礼な物言いをしたり、「友人」として打ち解け合ってからは気さくに冗談や軽口を言うなど、良くも悪くも本物以上に人間味の深い一面も覗かせている。
「春日とカスって似てますよねぇ!?」
「テンション上がりますねぇ!!」
ちなみに、ヨンスに言わせると「本物のハン・ジュンギは話し方やファッションセンスなどが品行方正であり、自分の及ぶところではない」との事で、死して尚も本物に対して深い敬意を示している。
また、意外にもゲーム好きとの事。
DLCで本物の服を着せる事も可能、その上でジョブをホストにすると(表の職業がホストクラブのオーナーであることもあって)メチャクチャ似合う。
『龍が如く ONLINE』において
『ONLINE』の第二部「黄龍放浪記」にて近江連合を破門されバイクで放浪中の郷田龍司がたどり着いた札幌・月見野で、『龍が如く2』の過去編で殺されたジングォン派のボスの血を引く彼に接触する形で登場。服装は影武者版の『7』と同じ。
第二部のストーリーは『2』本編の前日譚に当たり、こちらに登場するハン・ジュンギは、時代設定的にも『6』や『7』のとは別人ということになる。だが、『ONLINE』は郷田仁が近江連合会長に就任した時期がナンバリングと異なる(『ONLINE』では1999年。ナンバリングである『0』から『2』までの間は五代目近江連合の時代、つまり郷田仁が会長に就任したのは少なくとも『0』の作中の時間である1988年より前)ためパラレルワールドとして扱ったほうがよいだろう。
バトルスタイル
龍が如く6
韓国人キャラだからテコンドーだと思ったら大間違い。こいつ根っからのボクサーなのである。
龍が如くシリーズには『0』の久瀬大作を始めボクシング使いの敵は多いが、大抵は蹴りなどパンチ以外の攻撃や、拳銃、ナイフ、鉄パイプなどの凶器も使う(格闘技の試合ではなく、ケンカなんだから当たり前といえば当たり前だが)。
だがハン様は違った。「スポーツマンシップに則るのが好き」などと嘯くだけあって、戦闘で繰り出す攻撃は全てパンチ。掴み技ですら後頭部を掴んでパンチ。例外的に最終戦のQTEでは脚への踏みつけ・サミング・ローブローという危険な攻撃も行うが、言ってしまえばこれらも「ボクシングの反則」の範疇を出ておらず、言うまでもなく例え窮地に陥ろうとも、決して武器に頼るような事もせず、徒手空拳一筋で貫き通す。
おまけに彼とは劇中3度戦うが、全てタイマン勝負で挑んでくるという徹底ぶり。シリーズを通してここまで「ボクシング」そして「正々堂々」に拘泥したキャラも珍しく、却って異彩を放っている。
龍が如く7
- 専用ジョブ:ヒットマン
本物の徒手空拳一筋から一転して、メリケンサックをはめ、蹴り技や投げ技をも使用するようになり、更にはカランビットナイフ(刃が鎌状で指掛け用の輪を備えた逆手持ち用のナイフ)、銃器、毒薬、スタンガン、等ありとあらゆる手を尽くして戦うスタイルとなっており、見た目も相まって完全に「ヒットマン」である。
豊富な属性攻撃技、バステとデバフを伴う攻撃技が多く、素早さと会心率も高いことから、往年のRPGに当てはめると「アサシン」や「ローグ」といたポジションである。
本物へ深い敬意を持って立ちふるまいをコピーしておきながらファイトスタイルがまるで違うのは、ソンヒやコミジュルを守るためには手段を選ばないという現在のキムの立場や心境がよく表れているとも言えよう。
余談
担当声優の中村氏は『7』の仕事を引き受けた際に演じるキャラクターのことは聞かされていなかったため演じるにあたって「生きていたのではなく別人」と知り大きく驚いたらしい。