概要
ゲーム『スプラトゥーン』シリーズで語られる過去の戦争。「大縄張大戦」とも表記される。作中本編の約100年前、イカとタコが海面上昇により狭まった陸地を巡って激突した縄張り争いである。この大戦に勝利したイカは地上のナワバリを確保し、敗北したタコは地下の世界に追いやられた。
経過
開戦までの経緯
海面上昇で人類と哺乳類が滅亡して約1万年。
地球では海洋生物たちが急速な進化を遂げて上陸し、人類に代わって地上を支配していた。中でもイカとタコは特に高度な知能を持っており、瞬く間に世界中で強い影響力を持つようになる。当時の彼らは別段仲が悪いことは無く、ときには種族間を超えた交流すらもあった。
しかし約2000年後、海面上昇で地上の面積がさらに狭くなったことをきっかけに、イカとタコは狭まったナワバリを巡って対立。ついに両種族は激突することになり、イカとタコによるガチの大決戦「大ナワバリバトル」が始まった。
大戦の経過
大戦の緒戦は、タコ陣営が勝利を納める。イカ達は享楽的な性格で早起きを苦手としており、勤勉な性分のタコ達が難なくイカ陣営の制圧に成功した形だった。
さらにタコ陣営は、新兵器となる「戦略タコツボ兵器」を投入。これを用いてイカ陣営本陣まで一気に侵攻し、勝利の一歩手前までにじり寄った。
ところが、戦略タコツボ兵器のコンセントが外れるという事故が発生。動力源を失った戦略タコツボ兵器は悲しき無用の長物と化してしまった。これを期に戦況は変化し、イカ陣営は反撃を開始する。
戦いは1年以上にわたって続いたが、イカ陣営は「カラストンビ部隊」などの伝説的な活躍を筆頭に巻き返しに成功。
審判となったジャッジくんによる判定のもと、大戦はイカ陣営の勝利と判定されたのだった。最近の定設では、イカとタコの「足の数」の差が最後の決め手となったと言われている。勝利したイカ陣営は地上のナワバリを確保し、敗北したタコ陣営は地上のナワバリを失うことになった。
用語
戦略タコツボ兵器
大ナワバリバトル中に投入されたタコ陣営の新兵器。ミステリーファイルには「アゲアゲの爆音とともに現れた」と記述されており、添付された白黒画像には我々の知る本来のタコのようなシルエットの黒い影が写されている。
この兵器を投入したタコ陣営は、イカ陣営の本陣まで一気に侵攻し、イカ陣営を敗北寸前まで押し込むほどの大戦果を上げている。しかし動力源は電力ケーブルを介した外部からの電力供給だったらしく、上記の通りコンセントが外れるアクシデントで悲しき無用の長物と化した。
コンセントが外れたのは事故なのか、それともイカ陣営の手で意図的に外されたのか(それこそカラストンビ部隊の手で外されたとか)は定かでない。
無力化した後どうなったかは不明だが、『スプラトゥーン』のヒーローモードの舞台となるタコツボバレーにタコの形をした巨岩があり、これが無力化された後に風化した戦略タコツボ兵器の残骸ではと言われる。
大戦から100年後の『スプラトゥーン』本編以降、タコ陣営は戦略タコツボ兵器の動力源にデンチナマズを利用しており、コンセントが無くても活動できるようにしている。
カラストンビ部隊
大ナワバリバトル中に活躍した、アタリメ司令率いるイカ陣営の部隊。主な隊員はアタリメ司令のほか、ブキ開発者兼工兵のカブトガニ・ブキノサイ、他に最低でも2名のイカの隊員から構成されていた。ミステリーファイルでは「伝説の部隊」と評されており、アロワナ城籠城戦での敵を殲滅するといった戦果を筆頭に活躍してみせた。
詳細は当該記事を参照。
アロワナ城籠城戦
大ナワバリバトル中に起きた戦闘のひとつ。イカ陣営とタコ陣営の戦いの前線にあったアロワナ城を舞台に戦闘が行われた。
詳細は不明だが、イカ陣営視点で「籠城戦」と呼称されていることから、籠城したのはイカ陣営側と推測されている(攻城する立場なら「攻城戦」となるため)。また、大戦から100年後の現在ではアロワナモールというバトル用ステージが存在しており、現在のアロワナモールの付近で行われていたとみられる。
カラストンビ部隊はこの戦闘にて敵を殲滅する活躍を見せたほか、この戦闘でアタリメ司令は後のタコ軍団首領となるDJタコワサ将軍らしきタコと交戦している。
大戦で使用されたブキ
14式竹筒銃・甲の原型
大戦中にイカ陣営が使用したブキ。
恐らくはチャージャー系統で、竹水鉄砲のような外見をしている。
初代イカすアートブック内のメモ書きによると、名称は「旧イカ軍式竹筒型手動銃」(ただし、メモ書きなので正式名か否か不明)。
大ナワバリバトルを写したミステリーファイルの写真では最も多く登場しており、カラストンビ部隊ほか多くのイカたちが装備していた。アタリメ司令も愛用しており、大戦から100年以上が経過した現代でも杖替わりに持ち歩いている。
現代のバトルで使用される14式竹筒銃・甲シリーズは、これの復刻版である。
スプラシューターの原型
現代のバトルで使用されるスプラシューターの原型となったブキ。恐らくはシューター系統。
初代『スプラトゥーン』でのブキチが、スプラシューターは大ナワバリバトルで使われたブキを娯楽用にアレンジしたものだと語っており、大戦中に原型が使われていたことが分かる。
しかし上記の竹筒銃と違い、ミステリーファイルなどでは大戦中に使用される様子を写した写真などはない。
対蛸用戦術兵器
ブキチの祖父・ブキノサイが設計した試作ブキの数々。大戦に投入されたかどうかは不明だが、設計図は戦後タコ軍団の元にあり、「失われた設計図」と化していた。
しかし『1』でNew!カラストンビ部隊の隊員3号が奪還し、ブキチの手でバトル用に再設計され、もみじシューター、プロモデラーMG、ダイナモローラーなどとして現代の世に流通することとなった。
その後
大戦に勝利したイカ陣営が地上のナワバリを手にした一方、敗北したタコ陣営は荒れた土地へと追いやられ、地下を拠点に生活することを余儀なくされた。この地下拠点は人類の遺した文明の残骸を再利用したものだったが、老朽化が激しく電力不足にも見舞われていた。
一方のイカ達は手に入れた地上で急速に発展しつつあった。
しかし享楽的な性格のイカたちは、それからしばらくして大戦のこともタコ達のこともすっかり忘れてしまうことになった(オクト・エキスパンションのチャットログのヒメによれば、最低限は授業で学んだりしている模様)。
大戦から100年後の現在、生活の厳しさが増していたタコ達は、電力不足を補うためにイカ世界の電力供給源であるオオデンチナマズとデンチナマズたちを誘拐。さらにイカ世界への侵略を計画する。
それに気づいた大戦の生き証人、アタリメ司令はイカ世界の危機を救うべく、孫娘2人を隊員とするNew!カラストンビ部隊を結成。プレイヤーも成り行きでこの部隊の隊員にスカウトされ、イカとタコの争いに巻き込まれることになる。
余談
読み仮名
「大ナワバリバトル」の読み仮名について、「オオナワバリバトル」と読むか「ダイナワバリバトル」と読むかで意見が分かれそう(というより前者の読みの方が多そう)だが、オクト・エキスパンションのチャットログにてアタリメ司令が、「だいなわばりばとる」とチャットに表記しており、正しい読み方は「ダイナワバリバトル」となる模様。
開戦年
イカすアートブック3の86ページでは、『スプラトゥーン2』のファイナルフェスが行われたのは「軟体世紀2019年7月」と記述されている。我々の世界の方でファイナルフェスが行われたのは西暦2019年7月で、また、西暦2022年発売の『スプラトゥーン3』は作中世界の2022年を舞台にしていることが開発者インタビューで明かされており、我々の世界とスプラトゥーンの世界の時間経過はリンクしている。
そして『3』のヒーローモードでアタリメ司令が、
「ここで会ったが107年目!」
とDJタコワサ将軍に向けて言い放っており、軟体世紀2022年の107年前、軟体世紀1915年に大戦は終結したと思われる。大戦が1年以上続いたことから、大戦は軟体世紀1914年に開戦したことが推測できる。
大戦中に原型が使用された14式竹筒銃・甲の「14」も、軟体世紀19”14”年の下2ケタから取られていると思われる(ただし、軟体世紀20”14”年の方から取った可能性もある)
我々の世界でも同年に大戦争が起きている。
クレーター
ファミ通によるインタビューで公開された作中世界の地図を見ると「大ナワバリバトルの際にできたクレーター」なる地形があり、巨大なクレーターが4つあるのが分かる。
通常のナワバリバトルでは、地形を塗ることは出来ても、地形を変えることは出来ない。それどころか、人類の戦争でもここまで地形を変えられるのは核兵器くらいである。
何をどうしたらここまで地形をボコボコに出来たのか不明だが、これだけでも相当激しい戦闘が繰り広げられたことが分かる。
イカの魚拓
初代『スプラトゥーン』のミステリーファイル12に、イカの魚拓が添付されている。「魚拓」とは釣った魚を墨を使って紙などに転写した物のことである。
ミステリーファイル12の内容は、大戦緒戦でのタコ陣営の勝利についての記述になっているため、この魚拓はタコ陣営がイカから取ったと思われる。
イカは倒されると破裂してインクを周囲に撒き散らすインク生命体なので、当然だが亡骸は残らない。なのでイカの亡骸で魚拓をとることは出来ない。
……つまりこの魚拓のイカは、生きたまま魚拓を取られたと思われる。
恐らくは緒戦でタコ陣営の捕虜になったイカなのだろうが、タコ陣営が捕虜相手に相当エゲつないことをしていたことが分かる。もっとも、イカ陣営が終戦後にタコ陣営を地下に追いやったことを考えれば、一概にどちらが悪いとは言えないのかもしれないが。