カードとしての能力
絶望神サガ |
水/闇文明 コスト3 |
クリーチャー:ゴッド/オリジン 3000 |
このクリーチャーが出た時、または自分のターンのはじめに、カードを1枚引き、自分の手札を1枚捨てる。その後、自分の墓地にクリーチャーが3体以上あれば、コスト5以下のゴッドまたはコスト5以下のオリジンを1体、自分の墓地から出してもよい。そうしたら、このクリーチャーを破壊する。 |
概要
DM22-EX2「ヒーローズ・ダークサイド・パック 闇のキリフダたち」で登場したゴッド/オリジン。サガの名を冠しながら種族にクリエイターを持っていない珍しいカードである。
場に出たときもしくは自身のターン開始時に手札交換し、5コスト以下の種族にゴッドかオリジンを持っているクリーチャーを蘇生し、そして代償として自壊するというもの。
序盤でも手札交換等でリアニメイトの条件を整えられ、様々なコンボが考えられるのだが、問題は自身の種族にゴッド/オリジンを持っているため自身も蘇生対象な点。
もう1枚を墓地に確保すれば、サガでサガを蘇生&自壊を繰り返す事でループし、あっという間に大量墓地肥やしが可能。この無限墓地肥やしの手軽さはデュエチューブの関連YouTuberが個人チャンネルで「小学校の算数セットのがまだ難しい」と揶揄するほどである。
このループ自体、戦略のD・H アツトや氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーンを2ターン目に使うと最速3ターン目からループ可能と速攻顔負けの速さである(この時一なる部隊イワシンを落とすとより安定してループしやすい)。
こうして大量に生み出した墓地で超神星DOOM・ドラゲリオンの自己コスト軽減と進化元確保も容易で、ドラゲリオンのリアニメイト効果で水上第九院シャコガイルを出せば、瞬く間にエクストラウィンの準備が完了する。
また、このカード1枚だけでも生命と大地と轟破の決断などの2体同時に出せるカードで百発人形マグナムと絶望神サガを出すことでもループは可能となっている。
そうでなくとも大量の墓地肥やしにより、様々なコンボへの起点として悪用が可能であり、何よりこのカードは多色や種族にゴットを持っている点でゴッド・シグナルやロスト・ウォーターゲイトで最速1ターン目に確保可能(正確には両カードとも山札の上に置くタイプのため、手札に来るのは2ターン目だが、それでも最速ループへの支障がなくかなり早い)。
これ程の性能なので、かつての惨劇の再来が危惧された。そして、それは現実となってしまった。
影響
発売前
上記した通り、このカードのループコンボは凶悪、どころか『え、コレ大丈夫なの?』と全国のユーザーから心配された。しかし。その効果のエラッタが無いという事が公式から明言されてしまった。
絶望神サガは多色であるため、ロスト・ウォーターゲイトでサーチ可能であり、さらにそれに加えて、種族にゴッドを持っているため、ゴッド・シグナルでもサーチすることが可能。つまり、実質絶望神サガのサーチカードが2種類8枚も組めるという利点がある。
そのお陰で、ゴッド・シグナルの買い取り値段が2000円台になる等、どえらい事になってしまっていた。また、同じく絶望神サガをサーチすることが出来るロスト・ウォーターゲイトも高騰していた。なお、両方共に後述する理由があったこともあり、現在は値段は安くなっている状態になっている。
また、Twitterでも、しばらくの間「サガループ」「サガマスターズ」といったワードがトレンド入りし続ける結果となり、大きな波紋を呼ぶ事となった。
発売後の活躍
そして、大方の予想通り【絶望神サガループ】のキーパーツとして、登場早々環境に進出を果たした。
ちなみに、前述の絶望神サガの登場によって高騰してしまったゴッド・シグナル&ロスト・ウォーターゲイトについてだが、前者は【絶望神サガループ】への注目度が高すぎたために、発売前にメタカードの研究が進み、【絶望神サガループ】の構築もそうしたメタカードに対応した後ろ寄せの構築に変化するという異例の事態となり、発売直後のチャンピオンシップで結果を残した【青黒サガ】には、ロスト・ウォーターゲイトの5枚目以降の役割しかないこのカードはあまり採用されていなかった。
また、後者に至っても、墓地リセットで妨害されると、結果として1ターン目に手札を山札に戻したディスアドバンテージになっていたため、採用率はあまり伸びなかった。クリーチャーだが手札が減る「戦略のD・H アツト」ではなく、呪文だが手札を維持できる「ブラッディ・タイフーン」が使われるあたり、墓地リセットに屈しないデッキ構築が正解ということであったことも、ロスト・ウォーターゲイトの採用率が伸びなかった理由の一つだと言えるだろう。
発売前に危惧されていた一強環境になるという事例については、メタ張りをしながら3ターンキルを狙える【我我我ブランド】や【赤緑“逆悪襲”ブランド】と、それらに強い受けデッキである【青黒赤緑邪王門】の存在もあり、この時点では杞憂に終わった。
しかし、上述の三竦みに加われないデッキは軒並み入賞率を落としており、環境に与える影響は甚大であり、例えば当デッキに対するメタカードを投入しづらく、かつ当デッキに対するメタカードが刺さる【黒単アビスロイヤル】はほぼ環境から脱落した。
そして、「DM最強位決定戦」では、ベスト8進出者中3人が使用。青黒緑型(ループに頼らなくてもCRYMAXジャオウガでワンショットする型)の【絶望神サガループ】が準優勝する結果になった。
『絶望』の殿堂発表
そんな中、3月10日に殿堂発表が行われることになり、このカードは確実に殿堂入りされるだろうと予想されていた人も多かった。
しかし、殿堂入りするカードの名前に絶望神サガがなかった。
確かに、このカードが発売したのは2023年2月18日であり、新殿堂が施行される3月20日を考慮しても30日しか経っていないため、殿堂入りするのはかなり早すぎると感じた可能性が高いかもしれないが、大会で結果を残している関係もあり、数多くの人が殿堂入りを予想していたのにもかかわらず、このカードは殿堂入りしなかった。
このような事例が起きるのは、無双竜機ボルバルザークが環境に進出した際の殿堂発表の際に、アクアンのみ殿堂入りになり、ボルバルザークが殿堂回避するという事例とほぼ似ている。しかし、あちらの場合、登場してから262日しか経っていないという事例と、当時の公式大会の上位は【アクアン】系デッキの独壇場であったことも考えると、殿堂入りの基準が緩くなった後の時代で考えてもボルバルザークの殿堂入りは非現実だったという理由なのに対して、絶望神サガの場合は、登場してから殿堂発表が行われるまで20日しか経っていないのに、登場早々大会で結果を残している程の強さを持っていたこともあり、多くの人が殿堂入りを予想していたのだが、結局殿堂入りを回避することになった。
一応、【絶望神サガループ】では重要なカードになっていた一なる部隊 イワシンが殿堂入りしたことで速度が減少した上に、水上第九院シャコガイルでフィニッシュするためには盾落ちも考慮しないといけなくなった。
また、青黒緑型でも、ダンディ・ナスオと前述の生命と大地と轟破の決断がプレミアム殿堂になったこともあり、若干柔軟性が落ちた。
しかし、【絶望神サガループ】で弱体化したのはこれらの部分だけであり、しかも前述の準優勝したデッキは、殿堂入りしたイワシン(&シャコガイル)を全く使っていないデッキ且つさらに禁断竜王Vol-Val-8をフィニッシャーにしていたデッキだった(一応、そのデッキに入っていたダンディ・ナスオと生命と大地と轟破の決断はプレミアム殿堂したが、弱体化したのはこれだけ)。皮肉にも、デュエマ史上最大の黒歴史を作ったボルバルザーク(……というよりも、それと禁断機関VV-8を合成したディスペクター)と悪夢の共演をしたのだった。
また、【絶望神サガループ】のもう一つの特殊勝利ルートとして、不死鳥縫合ブラック・ビッグバンとサイバー・J・イレブンを使ったルートが存在している。枠を多く割く必要があるのでややマイナーになっていたルートであったが、イワシンの殿堂入り後は、このルートを使った【絶望神サガループ】が増える可能性があり、更なる懸念が心配される。
もちろん、水上第九院シャコガイルでフィニッシュする【絶望神サガ】に至っても、妖蟲闘竜サモハンや電磁封魔ルチアーノ、さらにはデュエマとリッチ警官キャッシュ!のコラボカードである深淵の怖豪 キャッシュ=キャラッシュを使った方法(詳しくはこちら)でリペア可能であり、あまり弱体化になっていないレベルである。このように、別のカードで簡単にリペア可能である点は、かつて環境で活躍した【オカルトアンダケイン】(【アンダケインドルマークス】からコントロール性を高めたデッキ)のフォール・クロウラー&シュトラと似ている(この2種類のカードも、腐敗勇騎ドルマークスが殿堂入りした後に【オカルトアンダケイン】で活躍した)。
……と思ったら、妖蟲闘竜サモハンや電磁封魔ルチアーノは、一瞬使われただけで廃れてしまった。その理由も、そもそもVol-Val-8というサブプランがあるため、無理にシャコガイルで勝ちにいかなくてもよかったためであった。
さらに、【絶望神サガループ】を使う場合には難敵になりやすかった【青魔導具】が、場持ちの良いコスト踏み倒しメタとしてそのデッキの対策として使えたガル・ラガンザークが殿堂入りとなり、まさかの弱体化するという事態に(……と思われていたが、その枠にメタカードであるDG-パルテノン~龍の創り出される地~を入れて妨害力を高めたり、ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュで防御力をリペアしたり、堕∞魔 ヴォゲンムで出力を上げたりすることで環境に留まることに成功し、ついには『DMGP2023-1st』Day2で準優勝するという結果を残したので、あまり弱体化になっていなかった)。
一応、【絶望神サガループ】が登場した後も環境に残った【我我我ブランド】【赤緑“逆悪襲”ブランド】【青黒赤緑邪王門】のキーカードは殿堂入りになっていない。
しかし、後者のデッキは、生命と大地と轟破の決断がプレミアム殿堂したことで、そのカードを使って切札勝太&カツキング-熱血の物語-→鬼ヶ大王ジャオウガを出すという上振れムーブを失っている弱体化を受けているし、前述の「DM最強位決定戦」でも参加者31人中5人も使用していたのだが、決勝進出を逃してしまっている。
おまけに、新殿堂施行から数日後には、オリジナルで、手札が命になりやすい【我我我ブランド】対策のために、ゲオルグ・バーボシュタイン/ゴースト・タッチ&サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問といったハンデス札を妨害に取り入れた型がチャンピンシップ準優勝を果たしているなど、勢いは完全に止まらない状態になっている。
新殿堂後に【絶望神サガループ】が一強になってしまう環境になるかどうかは不明であるが、殿堂入りが濃厚だった絶望神サガが殿堂入りしなかったということは、多くの人から『絶望』を与えられるほどの衝撃を受けた。
懸念
前述のエラッタが無い事が公式から明言されたことや、3月10日の殿堂発表で絶望神サガが殿堂入りしなかったという事例については、当然数多くのデュエマのプレイヤーからも批判が相次いだ。
前述のエラッタが無い事が公式から明言されたことについての批判点だが、サガのカードテキストが公開されてしばらくは、「これってテキストミスじゃないか?」「まあエラッタされるだろう」とユーザーからはあまり本気に受け取られていなかった。
実際に、サガと同じく公開時からループを危惧された煉獄邪神M・R・C・ロマノフ(※)が少ししてテキスト修正されていた事も後でエラッタされる説を後押ししていた。
※:皮肉にも、このカードが登場したデュエプレでは、TCG版での【絶望神サガループ】同様に墓地肥やしが重視されるデッキでよく使用され、さらにこのカードが利用されていたデッキでDP殿堂(TCG版での殿堂入り)になったのは周辺カードの魔光蟲ヴィルジニア卿だけで、しかもそれがDP殿堂入りしても環境トップメタになっていた(DMPP-18以降になると、『New Division』では、即座に試合を決めるカードが増えたことや、希望の親衛隊ファンクを入れづらい点で逆風が吹いている状態だが、『All Division』では依然としてトップメタになっている)点がサガと共通している。
しかし、デュエマの公式アカウントでエラッタが無い事が明言されたこともあり、それ以降、前述のように、「サガループ」「サガマスターズ」といったワードがトレンド入りするなど、大きな波紋を残すことになった。
なお、実際に発売するのは4ヶ月ほど先で修正する時間の余裕が十分あった煉獄邪神M・R・C・ロマノフと異なり、サガの情報が公開されたのはパック発売の15日前であり、販売に向けて既にカードとして刷られているのは想像に難くなく、「エラッタなんて間に合うわけない」という意見もあったことも明記しておく。
また、特に近年の公式は、収録カードのテキストの誤植が相次いでいることや、公式動画のデュエチューブの悪乗りが悪化しているということもあり、多くのファンからも批判が相次いでいた状況だった。そして、今回の殿堂発表で絶望神サガが殿堂入りしなかったことが影響し、殿堂発表を行った公式動画のコメントが荒れる事態になった。
さらに、絶望神サガを差し置いて、構築済みデッキに収録されたカードが規制されるという事態もあり、その点も大きな批判が集まった。
殿堂入り | 対応する構築済みデッキ(発売日) |
---|---|
暗黒鎧 ザロスト | クロニクル・ダークサイド・デッキ 「零誕」(2022年8月6日) |
ガル・ラガンザーク | 開発部セレクションデッキ 水闇魔導具(2022年5月21日) |
一なる部隊 イワシン | 20th クロニクルデッキ 熱血!! アウトレイジ・ビクトリー(2021年8月7日) |
上のリストから分かるように、三つの構築済みのデッキがそのままでは使用不可能になってしまった。その中には、発売してからまだ1年も経っていないのに、そのままでは使用不可能になってしまった構築済みデッキも存在しているということもあり、その点で批判が多かった。
特にガル・ラガンザークの殿堂入りについては、「公式が【絶望神サガループ】を動かしやすくする改定を行ったのでは」と邪推を生む結果となった。
【絶望神サガループ】は、絶望神サガおよび超神星DOOM・ドラゲリオンを使う「召喚以外の方法で出す」ことを主体としたデッキであり、このデッキを対策するために、【青魔導具】のガル・ラガンザークはそのストッパーとして重宝され、デッキを使う意義にも繋がっていた。しかし、何を血迷ったか(一応、仮想敵成立の時期が悪く推敲が間に合わなかった可能性があるし、絶望神サガが収録されているパックには「凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ」も登場していたこともあり、これ以上【青魔導具】を強化し続けるのはマズいと感じていた可能性があるのではと思われる。しかし、後者のことを考慮しても、多くの人は月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍の殿堂入りを予想していた人も多かった)、ストッパーになっていたガル・ラガンザークが殿堂入りになってしまったこともあり、多くのファンから批判を浴びることになってしまった(それでも、前述のように【青魔導具】はDG-パルテノンなどによって、リペアに成功して、そのまま『DMGP2023-1st』Day2で準優勝したのだが)。
また、上の表では紹介されていないが、「生命と大地と轟破の決断」は、2022年7月4日から7月25日までタカラトミーモールで受注生産発売されていたDMART-04「神アート 超獣創造 ~松本しげのぶの世界~」で再録された経験を持つカードであり、こちらも再録からまだ1年も経っていない。
「神アート 超獣創造 ~松本しげのぶの世界~」は、同日に販売されたDMART-05「神アート 五人祭でドラゴン♡サマー」と共に、発売日当日の18時から翌3時までアクセス過多により公式通販サイトのサーバーがダウンするトラブルが発生し、これにより公式が謝罪文を発表する事態にまで発展したことがあった。それに加えて、新殿堂によって、その内の一枚がプレミアム殿堂になって使用することが出来なくなってしまうという事態になり、そのような点からも批判が高まっていた。
絶望神サガが殿堂入りしなかったことが影響して、殿堂発表をした公式に対して批判している人が多く、強敵だった【青魔導具】が弱体化したことによって【絶望神サガループ】の活躍が相次いで、かつての惨劇が再来する可能性があるのではと思っている人が今後も増える可能性もある。
『DMGP2023-1st』Day1(アドバンス)では予選通過者128人中26人使用と予選使用率1位を記録。最終的に青黒型が準優勝を収めている上に、続くDay2(オリジナル)では予選通過者128人中14人(青黒9人、タッチ赤2人、青黒緑2人)使用で予選使用率2位とこちらでも大きなシェアを見せたことがあった(但し、前述の【青魔導具】のメタカード(ブラッドゥやDG-パルテノンなど)や、アドバンス部門にほとんど広まっていなかった【青黒緑オービーメイカー】のメタカード群に手を焼いたのか、ベスト8に残ることができなかった)
もし、新殿堂が施行される3月20日以降になっても【絶望神サガループ】が結果を残してしまった場合、無双竜機ボルバルザークが活躍していた時期のようなボルバル・マスターズと同レベルの黒歴史(実際にボルバルザークが大暴れしていた時は署名活動が行われたことがあった)が起きる可能性がある上に、最悪の場合、デュエマの公式や運営の信頼が一気に落ちてしまい、売上にも大きな影響を及ぼしてしまう可能性もあるだろう。
デッキを選ぶが踏み倒しを完全に封殺するルピア炎鬼、ループ自体は完全に防げないがカウンター&汎用性の高い呪文を併せ持つ氷打の妖精/巨打設計図と言ったツインパクトが登場しており、サガを意識しつつ新しい方向性を模索する様なカードも確認でき、現時点では今後の大会結果やカード情報を見守る他無いだろう。
余談
サガはゼン&アクとコンボを前提とした、創造神と破壊神の2枚が存在していた。
なのでこの絶望神にも、『対となる「希望神」が存在するのでは?』、という予想も出てきている。
このカードのフレーバーテキストにより、創造神サガがオリジンのルーツであったことが明かされた。