カードとしての能力
絶望神サガ |
水/闇文明 コスト3 |
クリーチャー:ゴッド/オリジン 3000 |
このクリーチャーが出た時、または自分のターンのはじめに、カードを1枚引き、自分の手札を1枚捨てる。その後、自分の墓地にクリーチャーが3体以上あれば、コスト5以下のゴッドまたはコスト5以下のオリジンを1体、自分の墓地から出してもよい。そうしたら、このクリーチャーを破壊する。 |
※2023年8月11日付で殿堂入り
概要
DM22-EX2「ヒーローズ・ダークサイド・パック 闇のキリフダたち」で登場したゴッド/オリジン。サガの名を冠しながら種族にクリエイターを持っていない珍しいカードである。
場に出たときもしくは自身のターン開始時に手札交換し、5コスト以下の種族にゴッドかオリジンを持っているクリーチャーを蘇生し、そして代償として自壊するというもの。
序盤でも手札交換等でリアニメイトの条件を整えられ、様々なコンボが考えられるのだが、問題は自身の種族にゴッド/オリジンを持っているため自身も蘇生対象な点。
もう1枚を墓地に確保すれば、サガでサガを蘇生&自壊を繰り返す事でループし、あっという間に大量墓地肥やしが可能。この無限墓地肥やしの手軽さはデュエチューブの関連YouTuberが個人チャンネルで「小学校の算数セットのがまだ難しい」と揶揄するほどである。
このループ自体、戦略のD・H アツトや氷牙レオポル・ディーネ公/エマージェンシー・タイフーンを2ターン目に使うと最速3ターン目からループ可能と速攻顔負けの速さである(この時一なる部隊イワシンを落とすとより安定してループしやすい)。
こうして大量に生み出した墓地で超神星DOOM・ドラゲリオンの自己コスト軽減と進化元確保も容易で、ドラゲリオンのリアニメイト効果で水上第九院シャコガイルを出せば、瞬く間にエクストラウィンの準備が完了する。
また、このカード1枚だけでも生命と大地と轟破の決断などの2体同時に出せるカードで百発人形マグナムと絶望神サガを出すことでもループは可能となっている。
そうでなくとも大量の墓地肥やしにより、様々なコンボへの起点として悪用が可能であり、何よりこのカードは多色や種族にゴットを持っている点でゴッド・シグナルやロスト・ウォーターゲイトで最速1ターン目に確保可能(正確には両カードとも山札の上に置くタイプのため、手札に来るのは2ターン目だが、それでも最速ループへの支障がなくかなり早い)。
これ程の性能なので、かつての惨劇の再来が危惧された。そして、初登場してから2023年8月の殿堂入りまで、それは現実となってしまった。
影響
発売前
上記した通り、このカードのループコンボは凶悪、どころか『え、コレ大丈夫なの?』と全国のユーザーから心配された。しかし、その効果のエラッタが無いという事が公式から明言されてしまった。
絶望神サガは多色であるため、ロスト・ウォーターゲイトでサーチ可能であり、さらにそれに加えて、種族にゴッドを持っているため、ゴッド・シグナルでもサーチすることが可能。つまり、実質絶望神サガのサーチカードが2種類8枚も組めるという利点がある。
そのお陰で、ゴッド・シグナルの買い取り値段が2000円台になる等、どえらい事になってしまっていた。また、同じく絶望神サガをサーチすることが出来るロスト・ウォーターゲイトも高騰していた。なお、両方共に後述する理由があったこともあり、現在は値段は安くなっている状態になっている。
また、Twitterでも、しばらくの間「サガループ」「サガマスターズ」といったワードがトレンド入りし続ける結果となり、大きな波紋を呼ぶ事となった。
発売後の活躍
そして、大方の予想通り【絶望神サガループ】のキーパーツとして、登場早々環境に進出を果たした。
ちなみに、前述の絶望神サガの登場によって高騰してしまったゴッド・シグナル&ロスト・ウォーターゲイトは、前者は【絶望神サガループ】への注目度が高くなり、そのデッキのメタカードの研究が進んでいたこともあって、メタカードに対応した構築にしなければならないという事態となったということもあり、ロスト・ウォーターゲイトの5枚目以降の役割しかないこのカードは採用されず、後者に至っても、墓地リセットで妨害されてしまった時点で、結果としてディスアドバンテージになってしまう可能性があったということもあり、採用率はあまり伸びなかった。
さらに、クリーチャーだが手札が減る「戦略のD・H アツト」は使われず、代わりに呪文だが手札の枚数を減らさない「ブラッディ・タイフーン」が使われるということもあって、墓地リセットに強いデッキが良いという点も、ロスト・ウォーターゲイトの採用率が伸びなかった理由の一つである。
発売前に危惧されていた一強環境になるという事例については、メタを用意しながら3ターンキルすることが可能であった【我我我ブランド】や【赤緑“逆悪襲”ブランド】、それらに強い受けデッキである【青黒赤緑邪王門】の存在があったことで、この時点では杞憂に終わった。
だが、それ以外のデッキ(特に墓地メタに引っかかりやすい【黒単アビスロイヤル】)は軒並み入賞率を落としていたこともあり、環境に与えた影響はかなり大きかった。
そして、「DM最強位決定戦」では、ベスト8進出者中3人が使用し、青黒緑型(ループに頼らなくてもCRYMAXジャオウガでワンショットする型)の【絶望神サガループ】が準優勝する結果になった。
『絶望』の殿堂発表(3月10日の殿堂発表)
そんな中、3月10日に殿堂発表が行われることになり、このカードは確実に殿堂入りされるだろうと予想されていた人も多かった。
しかし、殿堂入りするカードの名前に絶望神サガがなかった。
確かに、このカードが発売したのは2023年2月18日であり、新殿堂が施行される3月20日を考慮しても30日しか経っていないため、殿堂入りするのはかなり早すぎると感じた可能性が高いかもしれないが、大会で結果を残している関係もあり、数多くの人が殿堂入りを予想していたのにもかかわらず、このカードは殿堂入りしなかった。
このような事例が起きるのは、無双竜機ボルバルザークが環境に進出した際の殿堂発表の際に、アクアンのみ殿堂入りになり、ボルバルザークが殿堂回避するという事例とほぼ似ている。しかし、あちらの場合、登場してから262日しか経っていないという事例と、当時の公式大会の上位は【アクアン】系デッキの独壇場であったことも考えると、殿堂入りの基準が緩くなった後の時代で考えてもボルバルザークの殿堂入りは非現実だったという理由なのに対して、絶望神サガの場合は、登場してから殿堂発表が行われるまで20日しか経っていないのに、登場早々大会で結果を残している程の強さを持っていたこともあり、多くの人が殿堂入りを予想していた。しかし、その結果は、殿堂入りを回避することになり、同年8月まで、【絶望神サガループ】が大暴れする可能性が高まってしまった。
一応、【絶望神サガループ】では重要なカードになっていた一なる部隊 イワシンが殿堂入りすることになった。これにより、速度が低下した他、水上第九院シャコガイルでフィニッシュするためには盾落ちも考慮しないといけなくなった。
しかし、【絶望神サガループ】で弱体化したのは、実質イワシンの殿堂入りだけであり、しかも前述の準優勝したデッキは、殿堂入りしたイワシン(&シャコガイル)を全く使っていないデッキ且つさらに禁断竜王Vol-Val-8をフィニッシャーにしていたデッキだった(一応、そのデッキに入っていたダンディ・ナスオと生命と大地と轟破の決断はプレミアム殿堂したが、弱体化したのはこれだけ)。皮肉にも、デュエマ史上最大の黒歴史を作ったボルバルザーク(……というよりも、それと禁断機関VV-8を合成したディスペクター)と悪夢の共演をしたのだった。
また、【絶望神サガループ】のもう一つの特殊勝利ルートとして、不死鳥縫合ブラック・ビッグバンとサイバー・J・イレブンを使ったルートが存在している。枠を多く割く必要があるのでややマイナーになっていたルートであったが、イワシンの殿堂入り後は、このルートを使った【絶望神サガループ】が増える可能性があり、更なる懸念が心配されていた。
水上第九院シャコガイルでフィニッシュする【絶望神サガ】は、殿堂入りしたイワシンの枠を妖蟲闘竜サモハンや電磁封魔ルチアーノ(墓地に置かれる直前に進化クリーチャーの下にあった場合、カードを1枚引くという能力を持っていた)でリペアすることが可能だった。
だが、
- サモハンやルチアーノは単体での汎用性が低かった。
- そもそもVol-Val-8というサブプランがあるため、シャコガイルによるエクストラウィンが狙えない場合でも、Vol-Val-8をメインの勝ち方にすれば良かった。
という理由が存在していたこともあり、さらに後に、後述する蝕王の晩餐型が主流になったこともあって、サモハンとルチアーノは次第に環境で見なくなった。
そのため、シャコガイルは、イワシンとシャコガイルを各1枚積みして、サガループによって山札を掘り切る前にその2枚が盾落ちしていないことを把握した時点で勝利確定という感じのデッキになり、イワシンとシャコガイルはデッキ2枠しか消費しないサブプランとして変化することになり、Vol-Val-8がメインとなって変化するようになる。ある意味、デュエマ史上最大の黒歴史を作ったボルバルザークが元ネタのクリーチャーとの悪夢の共演になった。
青黒緑型では、ダンディ・ナスオと前述の生命と大地と轟破の決断がプレミアム殿堂になったこともあり、若干柔軟性が落ちたこともあって環境から消えることになったが、同じく環境入りしていた青黒型は、上の2種類のカードを使わずに構築できるということもあり、青黒型は実質イワシンの殿堂入りを除いて、全く影響がなかった。
さらに、【絶望神サガループ】を使う場合には難敵になりやすかった【青魔導具】が、場持ちの良いコスト踏み倒しメタとしてそのデッキの対策として使えたガル・ラガンザークが殿堂入りとなり、まさかの弱体化するという事態に(……と思われていたが、その枠にメタカードであるDG-パルテノン~龍の創り出される地~を入れて妨害力を高めたり、ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュで防御力をリペアしたり、堕∞魔 ヴォゲンムで出力を上げたりすることで環境に留まることに成功し、ついには『DMGP2023-1st』Day2で準優勝するという結果を残したので、あまり弱体化になっていなかった)。
一応、【絶望神サガループ】が登場した後も環境に残った【我我我ブランド】【赤緑“逆悪襲”ブランド】【青黒赤緑邪王門】のキーカードは殿堂入りになっていない。
しかし、後者のデッキは、生命と大地と轟破の決断がプレミアム殿堂したことで、そのカードを使って切札勝太&カツキング-熱血の物語-→鬼ヶ大王ジャオウガを出すという上振れムーブを失っている弱体化を受けているし、前述の「DM最強位決定戦」でも参加者31人中5人も使用していたのだが、決勝進出を逃してしまっている。
前者は新殿堂の影響を受けていないが、新殿堂施行から数日後には、オリジナルで、手札が命になりやすい【我我我ブランド】対策のために、ゲオルグ・バーボシュタイン/ゴースト・タッチ&サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問(ちなみに、このカード、【絶望神サガループ】とのミラーマッチになった際にも対策カードとして使える。そして、詳細は後述するが、このカードを使った強力な大量展開のルートまで存在する)といったハンデス札を妨害に取り入れた型がチャンピンシップ準優勝を果たしてしまった。
懸念
前述のエラッタが無い事が公式から明言されたことや、3月10日の殿堂発表で絶望神サガが殿堂入りしなかったという事例については、当然数多くのデュエマのプレイヤーからも批判が相次いだ。
前述のエラッタが無い事が公式から明言されたことについての批判点だが、サガのカードテキストが公開されてしばらくは、テキストミスなのではという意見が存在していたため、ユーザーからはあまり本気に受け取られていなかった。
実際に、サガと同じく公開時からループを危惧された煉獄邪神M・R・C・ロマノフが少ししてテキスト修正されていた事もあり、そのようなことから、後にエラッタされる説が存在するようになっていた。
しかし、デュエマの公式アカウントでエラッタが無い事が明言されたこともあり、それ以降、SNS上でも絶望神サガに関連した話題が多くなったこともあり、大きな波紋を残すことになった。
なお、実際に発売するのは4ヶ月ほど先で修正する時間の余裕が十分あった煉獄邪神M・R・C・ロマノフと異なり、サガの情報が公開されたのはパック発売の15日前であり、販売に向けて既にカードとして刷られているのは想像に難くなく、「エラッタなんて間に合うわけない」という意見もあったことも明記しておく。
また、特に近年の公式は、収録カードのテキストの誤植が相次いでいることや、公式動画のデュエチューブの悪乗りが悪化しているということもあり、多くのファンからも批判が相次いでいた状況だった(※)。
そして、今回の殿堂発表で絶望神サガが殿堂入りしなかったことが影響し、殿堂発表を行った公式動画のコメントが荒れる事態になった。
さらに、絶望神サガを差し置いて、構築済みデッキに収録されたカードが規制されるという事態もあり、その点も大きな批判が集まり、特にガル・ラガンザークの殿堂入りについては、2022年5月21日に発売された「開発部セレクションデッキ 水闇魔導具」が発売してから1年も経たない内にそのままでは使用不可能になってしまったということもあって多くのファンからも落胆することになり、さらに「公式が【絶望神サガループ】を動かしやすくする改定を行ったのでは」と邪推を生む結果となった。
【絶望神サガループ】は、絶望神サガおよび超神星DOOM・ドラゲリオンを使う「召喚以外の方法で出す」ことを主体としたデッキであり、このデッキを対策するために、ガル・ラガンザークをメタカードとして使える【青魔導具】を使う意義にも繋がっていた。しかし、ストッパーになっていたガル・ラガンザークが殿堂入り(一応、仮想敵成立の時期が悪く推敲が間に合わなかった可能性があるし、絶望神サガが収録されているパックには「凶鬼98号 ガシャゴン/堕呪 ブラッドゥ」も登場していたこともあり、これ以上【青魔導具】を強化し続けるのはマズいと感じていた可能性があるのではと思われる。しかし、後者のことを考慮しても、多くの人は月下卍壊 ガ・リュミーズ 卍の殿堂入りを予想していた人も多かった)になってしまったこともあり、多くのファンから批判を浴びることになってしまった(それでも、前述のように【青魔導具】はDG-パルテノンなどによって、リペアに成功して、そのまま『DMGP2023-1st』Day2で準優勝したのだが)。
絶望神サガが殿堂入りしなかったことが影響して、殿堂発表をした公式に対して批判している人が多く、強敵だった【青魔導具】が弱体化したことによって【絶望神サガループ】の活躍が相次いで、かつての惨劇が再来する可能性があるのではと思っている人が今後も増える可能性もある。
実際に『DMGP2023-1st』Day1(アドバンス)では予選使用率1位&最終的に青黒型が準優勝を収めた他、続くDay2(オリジナル)では予選使用率2位という結果になった(但し、前述の【青魔導具】のメタカード(ブラッドゥやDG-パルテノンなど)や、アドバンス部門にほとんど広まっていなかった【青黒緑オービーメイカー】のメタカード群に手を焼いたのか、ベスト8に残ることができなかった)
もし、新殿堂が施行される3月20日以降になっても【絶望神サガループ】が結果を残してしまった場合、無双竜機ボルバルザークが活躍していた時期のようなボルバル・マスターズと同レベルの黒歴史(実際にボルバルザークが大暴れしていた時は署名活動が行われたことがあった)が起きる可能性がある上に、最悪の場合、デュエマの公式や運営の信頼が一気に落ちてしまい、売上にも大きな影響を及ぼしてしまう可能性もあるだろう。
デッキを選ぶが踏み倒しを完全に封殺するルピア炎鬼、ループ自体は完全に防げないがカウンター&汎用性の高い呪文を併せ持つ氷打の妖精/巨打設計図と言ったツインパクトが登場しており、サガを意識しつつ新しい方向性を模索する様なカードも確認でき、現時点では今後の大会結果やカード情報を見守る他無いだろう。
※:話は逸れるが、デュエプレも、当時は超次元リュウセイ・ホールの入手難易度の高さが原因で新規層がとっつきにくくなってしまった状況で賛否両論が高まっていた時期であった。それに加えて、TCG版で絶望神サガが登場してから数日後に、あのクソアニメとのコラボが開催されていたこともあり、人によっては好みが非常に分かれやすいそのアニメが苦手な人にとっては、絶望神サガが存在しないデュエプレにも避難しにくい状況になってしまった。そのため、当時のデュエマは、TCG版は【絶望神サガループ】に苦悩され、デュエプレではリュウセイ・ホールの入手難易度やあのクソアニメのコラボに苦悩されるという事態になってしまった。
主なデッキタイプ
絶望神サガが登場してから4ヶ月以上経った今でも環境に残っている【絶望神サガループ】であるが、【絶望神サガループ】のデッキタイプは、かつてのボルバルザーク同様、数多く存在している。
最も多かったのは、基本的なデッキタイプである「青黒サガ」や、メタカードを除去させるボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイムを入れるために火文明をタッチした「青黒タッチ赤サガ」である。また、メタカードでの牽制やマナブーストによるリソース稼ぎによってコントロールしてからループに入り、最終的にCRYMAX ジャオウガや禁断竜王 Vol-Val-8でワンショットする青黒緑型(「DM最強位決定戦」で準優勝したデッキタイプはこの型である)や、一見するとマジボンバーにタイムラグがあるのが弱いが、出した次のターンにマナがフリーになってコスト踏み倒しメタ等を除去しながら走る動きが取れる飛飛-ドロンを入れた白青黒サガも存在していた。
中には、【青黒退化】と折衷した【絶望神サガループ】も存在していたこともあった。
イワシンが殿堂入りし、ボン・キゴマイム/♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにありが登場すると、次第に蝕王の晩餐型の【絶望神サガループ】が主流になることになった。このデッキの詳しい活躍についてはは後述する。
ドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」の登場による影響
新殿堂が施行されてから2ヵ月後にDM23-SP1「スタートWIN・スーパーデッキ 深淵の邪襲」が発売。上記のデッキに収録されているカードであるドアノッカ=ノアドッカ/「…開けるか?」は、【絶望神サガループ】を一気に躍進させる結果になった。
クリーチャー面は、S・トリガー+バトルゾーンに出た時に-4000のパワー低下を2回行う効果を持っていて、呪文面は2マナで、相手のクリーチャー1体に-4000のパワー低下を行う効果を持っている。
軽量除去でありながら墓地でクリーチャーとして数え、なおかつS・トリガーとしても役立つカードであるドアノッカの登場により、【我我我ブランド】対策になる2面除去防御札を用意することが可能になってしまい、今まで明確に不利なデッキタイプであった【我我我ブランド】に対する対面では微有利になってしまった。
だが、同時期、ボン・キゴマイム/♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにありが登場してしまった。これにより、DOOM・ドラゲリオンが止められてしまう可能性が出るようになってしまった。
しかし、そのカードの対策という形で、蝕王の晩餐、サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問、龍素記号wD サイクルペディアを用いてフィニッシュを行うという【絶望神サガループ】が増加することになる。それが蝕王の晩餐型の【絶望神サガループ】である【ダンタルサガ】であるた。
【ダンタルサガ】では、サガの自壊を引き換えにリアニメイトで蒼狼の大王 イザナギテラスに変換→イザナギテラスで蝕王の晩餐を手札から唱えてサイクルペディアにヒラメキ→サイクルペディアで墓地から同呪文を唱えてこのカードのクリーチャー面にヒラメキ→このカードで冥界の不死帝 ブルース/「迷いはない。俺の成すことは決まった」&蝕王の晩餐を唱えて頭数を増やしつつ再びヒラメキ連鎖…といった具合に大量展開することが可能である。
DOOM・ドラゲリオンの場合、攻撃しないとフィニッシュが狙えない関係上、前述のボン・キゴマイムで攻撃を止められてしまう難点があった。しかし、【ダンタルサガ】は、攻撃しなくてもループが狙える上に、あちらとは比べ物にならないほどのループルートが存在している。そのため、様々な角度でフィニッシュを狙えるようになってしまった。
ドアノッカの呪文面を意識して、非クリーチャーのDG-パルテノンや空間型無限収納ストラトバッグを使ったデッキも増加していた。
しかし、DM23-SP1発売から1週間後の段階で爆発的に増加していた青黒赤型(特に凶鬼03号 ガシャゴズラを使った無限ストックループを使う【ダンタルサガ】ではループパーツとして使用されることがある)では、ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイムを使うことで、簡単に除去することが出来る。
こうして、増加していた【ダンタルサガ】は次第に大暴れするようになり、場合によっては、ベスト4を独占したり、【絶望神サガループ】3人で出場した2チームがチーム戦優勝と準優勝を記録するなど、様々な大会で結果を残すようになってしまった。
6月2週時点で、オリジナルでは上位入賞母数251件中85件入賞と、入賞率にして33.9%を記録している。一般にCS上位入賞率が25%以上で一強、または二強とされるため、この33.9%という数字が如何に異常であるかが理解できよう。
前述のドアノッカの登場によって、【絶望神サガループ】が本格的に強化され、一強環境が開始したという点は、炎槍と水剣の裁の登場により、ボルバルザークが一強環境になったということもあった環境を彷彿とさせる。
超神星DOOM・ドラゲリオン型、蝕王の晩餐型、青黒赤の除去・カウンター主体型の3種は相互補完的な相性となっており、これらの【絶望神サガループ】全てに有利なデッキは事実上存在しないことも躍進に拍車を掛けている。例えばビートダウン対面だと青黒赤型が有利だがコントロールには不利。蝕王の晩餐型はビートダウンに五分だがコントロールには有利という感じである。
この内、蝕王の晩餐を使用した【絶望神サガループ】は、6月2週の時点で、ほぼ一強となっている。
但し、【青黒緑CRYMAX ジャオウガ】がメタカードの豊富な選択肢を武器にこの環境に食らいついているほか、これに加えて基盤の近い【青黒緑オービーメイカー】と【青黒緑有象夢造】を足せば合計シェアは約20%となるため、事実上【絶望神サガループ】と【青黒緑】基盤系の二強構造と言えなくもない状況となっている。また、前述のドアノッカ(やフットレス=トレース/「力が欲しいか?」)の登場によって強化された【黒単アビスロイヤル】も入賞報告が一気に増えているため、そのデッキも含めて、三強環境になっている可能性もある。
その後も音素記号Bm エネルジコ/♪水面から 天掴まんと するチャージャーなど、多数の新規カードが登場し、【絶望神サガループ】はさらに強化されていくことになる。そして、DM23-RP2発売後に開催された『超CSV in 新潟』(オリジナル)では予選通過128人中26人が使用と、使用率1位を記録(もちろん、優勝は青黒の蝕王の晩餐型であった)、DM23-EX1発売後に開催された『超CSV in 大阪』(オリジナル)でも、「必然」の頂 リュウセイ/「オレの勝利だオフコース!」を2枚入れた青黒赤型が準優勝した(ちなみに優勝したのは飛翔龍 5000VTを入れた【アナカラージャオウガ】)する事態になってしまった。
そして殿堂入りへ…(8月4日の殿堂発表)
このように、余りにも凶悪なデッキタイプだったということもあったため、数多くの人が殿堂入りを予想していたが、8月4日の新殿堂発表で、2023年8月11日をもって、神の試練そして、【ダンタルサガ】の主要カードである蝕王の晩餐と共に殿堂入りが決定した。
登場から殿堂入りまでに所要した174日は、1発プレミアム殿堂を含めてもジョークカードを除けば、これまでの最短記録保持者だったヨミジ 丁-二式の194日(あちらは1発プレミアム殿堂)を20日更新したスピード規制記録になった。
絶望神サガ自体がデザインミスのようなバランスブレイカーであり、環境でも大活躍を果たしていたため、登場当初から早期の殿堂入りが求められていたため、当然の結果になっただろう。
絶望神サガの無制限時代はベスト4に3人サガループが残る程度は日常茶飯事で、ベスト4全員が使用という例も1例や2例ではなかった。
絶望神サガの殿堂入りによって、根本である早期の墓地肥やしループが崩壊した。同じく【絶望神サガループ】のキーカードだった蝕王の晩餐も殿堂入りしたため、【絶望神サガループ】は大幅な弱体化は避けられないだろう。
なお、絶望神サガの殿堂入りが確定したことで売り上げが大幅に上昇したカードショップもあるとか。(殿堂入り発表直前に発売されたパック「DM23-EX1『大感謝祭 ビクトリーBEST』」の評判が非常に良かったのも追い風になっている。)
そして、殿堂入りした後は、初動においては再現性が重要であるとのことから、相性の良いデッキでも見ることはたいぶ少なくなっている(この点は初代殿堂入りのカードであるエメラルと同じである)。
その後、後に環境で活躍することになる【アーテルマトリクスループ】(及びその前身となる【アーテルループ】)では、手札交換をしながら、蒼狼の大王 イザナギテラスに繋がる上振れ枠として搭載されたこともあった。しかし、絶望神サガによる高速墓地肥やしと手札交換は【アーテルマトリクスループ】のコンボには必須ではないということもあって、絶望神サガを入れない構築も結果を残している。
ただ、絶望神サガのインパクトは今でも残っている状態であり、ある意味、みんなのトラウマになってしまったのは事実だろう。
実際に【アーテルマトリクスループ】(【アーテルループ】)では、挙動から連想して【サガループリペア】と呼ばれることもあった事例があり、今でも絶望神サガがトラウマになっている人が数多く存在しているということが分かる。
その後、絶望神サガが殿堂入りしてから1年以上経った後、DM24-RP3でアクア・ギャクテンポインターが登場したが、あちらも特定の条件(山札のクリーチャーがギャクテンポインターだけ)を満たしている際にループすることが可能であったため、制限時間や大会運営に支障をきたすという問題点が生まれてしまった。このようなこともあり、一部の大会で使用禁止措置を取るという異例の状況になっている。このようなことから、同名カードも対象になってしまったことでループが出来るという、絶望神サガの二の舞になってしまった(なお、ギャクテンポインターによる無限ループは、流石に公式でもマズかったと感じたのか、2024年9月30日にテキストの修正が施され、無限ループは不可能になった)。
ちなみに…
絶望神サガの能力は、リアニメイトした後に自壊する能力である。つまり、基本的には絶望神サガが2枚なければループが成立しない、つまり、【絶望神サガループ】は、絶望神サガが殿堂入りした時点でそのループが消滅すると思いやすいだろう。しかし、実は絶望神サガの能力を解決する前に出した絶望神サガを破壊できれば、絶望神サガ1枚でもループを成立することが可能。
- ①墓地に絶望神サガと百発人形マグナムが存在している時に、絶望と反魂と滅殺の決断を唱えて、絶望神サガと百発人形マグナムをリアニメイト。この時、絶望神サガ→百発人形マグナムの順番で出すと、絶望神サガの効果と百発人形マグナムの効果が1ずつ待機される。
- ②百発人形マグナムの効果を解決し、絶望神サガを破壊する。
- ③絶望神サガの効果を解決し、墓地にいる絶望神サガ自身を出す。なお、自壊のデメリットは、破壊を受ける対象がバトルゾーンに残っていない(別個体となっている)ので実行せず終わる。
- ④絶望神サガが踏み倒しで出たことでストック状況が①に戻る。
なお、絶望と反魂と滅殺の決断以外でも、文明を問わない生命と大地と轟破の決断なら早撃人形マグナムやキャタピラ親方でも代用可能。しかし、2023年3月20日付で生命と大地と轟破の決断がプレミアム殿堂になったことにより、それを使ったルートが消滅している。
但し、絶望と反魂と滅殺の決断は5コストの呪文である且つ墓地に絶望神サガ&百発人形マグナムが存在していないとループ不可能であり、早くても5ターン目にならないとループに入ることが出来ない。なお、前者の問題点はアーテル・ゴルギーニの登場で若干改善されている。
おまけに、せっかくループの準備が整っても、闘争類拳嘩目ステゴロ・カイザー/お清めシャラップの呪文面で墓地リセットされてしまうと、もう一度一からやり直しになってしまう。特にお清めシャラップは3コストであり、絶望と反魂と滅殺の決断を唱える前に墓地リセットされてしまう可能性が高い。
それに加えて、絶望と反魂と滅殺の決断は呪文であり、クリーチャーとして数えられないため、コダマダンス・チャージャーや百鬼の邪王門などのようなツインパクトではない呪文を入れる際には、絶望と反魂と滅殺の決断の枚数を考慮しないといけないという難点もある。
そのため、絶望神サガ2枚でループした時と比べると、墓地リセットが弱いなどのような難点が多いループである。
余談
サガはゼン&アクとコンボを前提とした、創造神と破壊神の2枚が存在していた。
なのでこの絶望神にも、『対となる「希望神」が存在するのでは?』、という予想も出てきている。
このカードのフレーバーテキストにより、創造神サガがオリジンのルーツであったことが明かされた。
蛇足だが、絶望神サガとは異なり、「カードの持ち主を絶望させる」などと酷評されている別のカードゲームでのとあるモンスターとは、名前に『絶望神』がある点を除いて、特に関係はない。
関連タグ
アクア・ギャクテンポインター:こちらも(特定の条件(山札のクリーチャーがギャクテンポインターだけ)次第で)2枚でループすることが可能になってしまうこともあり、絶望神サガと同様、様々な問題を抱えてしまっている。それも「サガの方がマシ」と言われる程に。こちらはエラッタしないと本当にゲームにも支障が出てしまうのでそう言われている。
絶望神アンチホープ:別のカードゲームの絶望神。しかし、こちらの場合、サガとは全く違った惨状になっている(詳細は当該記事を参照)。