「......誰だ?」
「オレ様とあのマヌケを勘違いする奴は?」
プロフィール
概要
100人の魔物の子供の1人で、なぜかガッシュそっくりの容姿をしている。
「紫電の雷帝」、「雷帝ゼオン」といった異名を持ち、その異名に違わぬ強力な電撃を扱う作中最強クラスの魔物。
ガッシュとの見た目の違いは、「紫電の眼光」と「白銀の髪」、目の下の二本線などであり、身長も僅かに高く、歯も少し鋭い。
マントや靴の色もガッシュとは異なり銀色。ちなみに作者ブログの回答によれば、ガッシュとは違いマントの下には下着(パンツ)をはいているとのこと。
呪文はガッシュと同じ「ザケル」などの電撃系。ガッシュと異なり術で気絶するデメリットは一切無く、口ではなく掌から術を放つ。
性格もガッシュとは違い、冷静かつ非情な面を持つ。普段の一人称は「オレ」で、比較的普通の口調。
後述の通り戦闘能力は非常に高く、呪文の威力も本人の身体能力も並の魔物を遥かに凌駕している。しかもパートナーのデュフォーも本の持ち主として心の力・特殊能力共に作中最高クラスであり、ペアとしての総合力すら非常に高く、隙が無い。
来歴
初登場は原作48話。一応、初めて存在が示唆されたのは原作31話のロブノス戦後であり、原作46話でもシルエットで登場しバルトロの本を燃やしている。
人間界に現れたばかりで、独りイギリスの森に居ついていたガッシュの前に突如現れる。なぜかガッシュを一方的に憎んでおり、怒りの籠った言葉を次々にぶつけた後、ザケル一発で容赦なく瀕死状態に陥らせる。
そのまま本を燃やそうとするが直前で取り止め、「自分が何者かもわからぬまま人間界を彷徨い苦しめばいい」と、すぐ魔界に送還されるよりも辛い苦しみを与えるため、魔界の記憶を奪って去っていった。
その後はアポロの回想で登場。オランダで彼と遭遇し、アポロは「無駄な戦いは避けたい」と立ち去ろうとするも、ゼオンが引き止める形で戦闘となる。
そして当時のガッシュペアと接戦を繰り広げた程の実力を持つロップスを、初級術のザケル4発のみ(本を燃やす際にもう2回使用)で一方的に倒し、完勝した。
石板編では出番が無く、本格的に動き出したのはファウード編。ファウードを奪うためにガッシュ達を利用するべく、使い魔を使役し、清麿にファウードの情報の一部を流した。
ファウードの封印が解けた後は、ファウードのコントロールキー(鍵たる石)を持つリオウを一方的に叩きのめし、キーを奪いファウードの主となる。そして「ガッシュを苦しめる」目的のために日本への侵攻を継続させる。
そしてファウードのコントロールルームにて、日本の破滅を防ぐべく立ち向かうガッシュ達と遂に直接対決する。
(以降の展開は重要なネタバレを多く含むため、「ゼオンの正体」の項目を参照)
人物像
全体的に見て、プライドが高くそれ故に苛烈で傲慢な一面が目立つ。
実際、ゼオンの父からも「自身の修羅の部分を多く継いでしまった」と評されており、どちらかというと冷酷非情な人間性が目立つ。
その一方でファウードでの戦いや、ガッシュの記憶を垣間見たことで心境に変化が起き、他者に対する労りや思いやりの心を開花させていったように、決して本質的に冷酷な人格であるわけではない。
事実パートナーであるデュフォーとの関係性は悪くなく、彼との別れの際には涙を流し、彼に最後まで生きてほしいと願ったように、親しい者や身内に対する情愛は強い方だと読み取れる(※)。
後述のようにファウード編での戦いでは、彼自身の成長も描写されており、最終的には自分が認めた強者に敬意を払い、優しさと思いやりを併せ持つ本当の意味で誇り高い人物に成長した。
大人びたように見えて、作中での彼はまだ6歳である。彼自身もある意味では未だに幼く、成長途上にあると言える。
(※):ちなみにゼオンの好物の一つにホットドッグがあるが、これはロップス戦の前にデュフォーが屋台で買って食べていたりもする。
魔界にもホットドッグがある可能性は否定できないが、もし人間界でデュフォーと過ごす内に、食べ物の好みに影響を受けていたと想像すると微笑ましい。
実力
後述のように幼少期から過酷な訓練を強いられており、苦しみの中で培った総合戦闘力、及び様々な特殊能力は大多数の魔物を遥かに凌駕している。
- ロップスのリグロンをあえて手繰り寄せてから引き千切る、リオウが所持していた杖を片手であっさりとへし折る、ギガノ級呪文を肉体強化呪文無しの片腕で軽々と止める等の強い握力、腕力。
- ラウザルク状態のガッシュと肉体強化呪文抜きで押し合えるほどの筋力を持つリオウを軽く右足で踏みつけただけでその場から全く起き上がれなくさせるほどの脚力(リオウは立ち上がろうとして全力で力を込めているが、ゼオンは涼しい顔をしており足にもまるで力を込めている様子がない)。直後、リオウが腕に装備していた頑丈な鎧を肉体強化呪文無しの蹴り一発で粉砕し、そのままリオウ本人を後方まで吹き飛ばすほどのパワーも披露した。
- チェリッシュのグラード・マ・コファルの弾丸を素手で受け止めたり、それを何発も肉体に直接喰らっても多少血を流しているが、さほどダメージになってない耐久力。
- ラウザルク状態のガッシュにも肉体強化無しで容易く追い付き、時には残像すら見える程の移動速度。
- 対峙した魔物全てから「逃げられない手の動き」と称される、名前の如く圧倒的な速さで手を動かし、無数の手の残像を生み出して対象を追い込む。尚、無数の手の残像を生み出すので、相手を翻弄してフェイントを掛ける事もできる。
- 禁呪によってバーサーカー状態になり、体格もパワーも10倍ほどに増した巨大な獣形態のリオウをも肉体強化呪文無しの素のフィジカルで圧倒。顔面に入れた蹴り一発で背中から倒れさせる、パンチ一発で牙をへし折る、ダブルスレッジハンマーで床に叩き伏せる程の凄まじい格闘能力。ガッシュ戦ではラウザルク状態のガッシュをも肉体強化無しの蹴りで仰け反らせている。
- 超広範囲に渡る魔力察知能力を持つザルチムにすら(得体の知れない嫌な予感こそ抱かれたものの)ファウード侵入を察知されず、リオウがコントロールルームへワープする際に彼の真後ろで髪の毛を掴んでいても全く気付かれない程の気配(魔力)隠蔽能力。
- 他者の記憶を強奪・返却する、自身の記憶を奥深くまで探り、明確な映像レベルで思い出すといった記憶に干渉する能力。
- 自身の髪の毛を抜き、言語能力を持つ使い魔(ゼオンからは「カカシ」と呼ばれている)として使役する能力。
- ガッシュのテオザケルが直撃しても少し焦げ目が付く程度で済み、ロデュウのディオガ・ラギュウルを至近距離で防いだ際にも(一部が千切れ飛びはしたが)ゼオン本人にはほぼダメージを通さない等、作中に登場する大多数の防御呪文すら凌ぐ強度を誇るマント。
- ちなみに原作250話でウマゴンの炎をガードした際、デュフォーはチータと異なり熱で苦しんでいる様子が一切見受けられないので、熱を通さないような特殊な性質を持っている可能性がある。
- マントを防御手段としてだけではなく、様々な用途で使用可能。マントを使っての飛行、マントを伸ばして物理的な遠距離攻撃を行う(ロップスのリグロンを軽く弾き、清麿がザケルガで迎撃を選ぶ程の威力)、更には文字通りの「瞬間移動」すら可能。瞬間移動はゴームの空間移動と比べても予備動作が非常に短い(具体的な距離は不明だが、おそらく国を跨ぐ程の長距離を一瞬で移動可能と思われる描写すらある)。
- 瞬間移動に関しては作者ブログにて幾つかの詳細が明かされているが、ここでは長くなるので「余談」の項目を参照。
- また、原作28巻の扉絵ではデュフォーをマントに乗せて北極を飛び立つカットがあるので、仮に途中で瞬間移動を使用せず陸地へ到着したのだとすれば数千km近い距離を継続して飛行できる可能性がある。
等、総じて作中に登場する全魔物の中でも非常に高い実力を誇っており、現にロップスやリオウといった強力な魔物を一方的に倒している。
しかも上記の能力は全て魔本とは関係なく常時発揮できるゼオン自身の力である。
またゼオン本人の言及から、武術(体術、杖術等の武器術)にも精通している(現にカードゲームに「杖術」が収録された際も「リオウ/ゼオン専用コマンド」となっている)。
他、「作中序盤からブラゴやバリーといった強者が魔力探知能力と思わしき能力を使用している」点、「ファウードの体内で他の魔物と一度も遭遇しなかった」点から、作中で明言こそされていないものの広域の魔力探知能力を使える可能性が非常に高い。
作中ではロブノスやティオがゼオンをガッシュだと見間違えるほど近くにいたにもかかわらず戦闘にはならなかったことや、アポロが声をかけるまでロップスには反応を示していないが、これらについては「魔力を感じ取って存在には気付いていたが、格下なので取るに足らないと判断して無視していた」と解釈すれば説明が付くだろう。
更に言うならば、ブラゴやバリー、アシュロンといった他の作中トップクラスの魔物が10代中~後半なのに対し、ゼオンはまだ6歳。
まだまだ成熟とは言い難い年齢であり、今後の伸びしろ等も含めれば恐ろしいほどの素質を持っていると見なせるだろう。
そしてファウード編において遂にガッシュとの決戦が描かれたが、そこでも圧倒的な実力を読者に知らしめた。
この戦いでは、とある理由によりガッシュの全呪文の威力が底上げされており、かつ清麿がアンサートーカーに目覚め、その力で先読み同然の対応をし続けられるようになっていて尚、ガッシュペアが防戦一方であった(しかも途中までデュフォーは呪文を唱えているだけであり、術以外はゼオンが単独で動きガッシュペアの相手をしていた)。
更に言うならば最大呪文の打ち合いを除き、ガッシュが反撃として命中させられた術はテオザケル一発のみであり、後述のバオウに絡む様々な心情変化が無ければガッシュ陣営を全員倒していた可能性は非常に高い。
呪文
上述のように、ガッシュと同じく「電撃」系統の術を得意とする。
父から受け継いだ雷の力、そしてゼオン自身が積み重ねてきた修練も合わさり、全ての術の威力が格段に底上げされている。
ちなみに電撃の色に関しては原作コミックスのカバーイラスト・アニメ・カードゲームでのイラスト・家庭用ゲーム等で違いがあり、「ガッシュと同じ黄色(金色)」または「ガッシュとは違う蒼銀(白銀)」のどちらかで描写されている。
ザケル
電撃系の基本呪文。右手を前方にかざし、掌から電撃を放出する。
間違いなく初級術であるはずなのだが、
- イギリス編の回想シーンでガッシュに放った際には周囲の木々ごと地面を焼き焦がし小さなクレーターを作る。
- ロップス戦ではアポロに回避された際、彼の背後に建っていた風車小屋を一発で粉々にする。
- 同じくロップス戦では(デュフォーの指示込みとはいえ)ディノ・リグノオンによって持ち上げられた大地を一撃で貫通して術の軌道を逸らし、ディオ級相当の術をも実質的に打ち破る活躍を見せる。
- ファウード編では(至近距離から放ったとはいえ)ディオエムル・シュドルク状態のウマゴンを一撃でダウンさせる。
等、とても第一の術とは思えない威力を誇る。
デュフォーの指示込みなら(おそらく「弱所突き」をしたと思われる)、僅かながらガッシュのテオザケルを突き破る描写すらあった。
作者ブログでも術の系統についての質問に回答する際、作者の雷句先生が「ゼオンのザケルのように、普通に使っても力がダンチみたいな例もあります」と述べており、その初級術の範疇に収まらない威力は作者のお墨付きでもある。
ザケルガ
直線状で貫通力の高い電撃を放つ、ザケルの強化版。
本来であれば初級の上程度の術なのだが、
- 原作のリオウ戦ではギガノ・ファノンを一方的に打ち破ってなお余る威力を披露。
- 原作のガッシュ戦では、バオウが覚醒し、並のギガノ級呪文すら無傷で跳ね返せるようになったガッシュのラシルドでもザグルゼムで補強しなければ防げない程の貫通力を見せる。
- アニメ版148話ではティオのギガ・ラ・セウシルをも容易く破壊する。
等、ギガノ級を軽く超えるほどの威力を誇る。
更にリオウ戦では、彼の腕を掴んで後退を防止した状態で腹部に放出し続けるというえげつない使い方をしている。
テオザケル
電撃系の中級呪文でザケルの威力・範囲強化版。ゼオン自身は「中級呪文」程度と見なしているが、体格が10倍以上に増したバーサーカー状態のリオウの全身を一撃で黒焦げにして絶叫させ、そのまま禁呪を強制解除させる驚異的な威力を持つ。
原作27巻時点でのガッシュのテオザケルよりも強力で、清麿が咄嗟に弱所を突いて威力を減少させなければガッシュと共に初手の一撃でやられていた程である(発動速度もガッシュ以上)。
ジャウロ・ザケルガ
巨大な電撃の輪を召喚。輪の縁からやや曲線を描くザケルガを無数に放つ呪文。
リオウのファノン・リオウ・ディオウを(直接の描写は無いが、ほぼ間違いなく)真っ向から撃破する等、ディオガ級すら上回る威力を誇る強力な呪文。
大きな特徴として、この術の発動によって生じたザケルガは軌道を自在に操作可能で、しかも発射中もゼオンは自由に動ける。
そのため、相手がザケルガの対処へ手一杯な隙をついて急接近し、マントで殴りつけるといった多段攻撃も可能。
その特性上この術を防げる防御呪文はほぼ存在しないと言えるだろう(正面に盾を発生させる場合、回り込んで回避できるし、全方位型の防御は攻撃を集中することで破ることができる)。
現に清磨とガッシュも、
・マーズ・ジケルドンで七発目まで弾く
・ガッシュに多くの指示をだして残りの数発を回避
・魔力を通さない柱に飛び込んで残りの一発を回避
これらを息つく間も無く同時に行ってようやく回避しきったほど。
バルギルド・ザケルガ
チェリッシュに対して心を折るために使った拷問用の呪文。
「電撃による激痛を長時間浴びせる→対象者が気絶しそうになったら電撃の威力を上げ、意識喪失という形で痛みから逃げるのを許さない」を延々と繰り返す凶悪な呪文。
また、「電の結晶」と言う雷の形をした結晶を作り、それを念じる事で対象の身体に何度でも激痛を思い出させることも可能(あくまで感覚を思い出させるだけで、電撃自体を再び発動するわけではない)。
他者に結晶を預け(作中ではギャロンの体内に埋め込む形で預けた)、対象者への監視・脅迫を任せることも可能。
ちなみにこの結晶は術を発動していなくても存在を保っているが、「結晶を作る」事がこの術ありきなのか、あるいはゼオン本人が持つ能力なのかは不明。
ソルド・ザケルガ
ゼオンの等身より三倍ほど大きな雷の剣を呼び出し、叩きつけるようにして強い電撃を浴びせる。作者ブログによると、この術はゼオンの才能によりできた部分が多く、ガッシュは使用不可とのこと(一応、似たような術は生み出せるらしい)。
ラウザルク状態で防御したガッシュの両腕と頭部から相当な量を出血させ、サンビームにも「ラウザルクをかけていたおかげでなんとか耐えたか?」と言わしめる程の威力。
ガンレイズ・ザケル
ガッシュと同じ呪文。計8個の雷太鼓のような浮遊物(腕に発生)から複数の雷の弾を前方面の範囲に乱射する。
レード・ディラス・ザケルガ
高速回転する巨大な電撃のヨーヨーを召喚し、ゼオンの手と本体を結ぶ電気の糸を介して操作する。
並のディオガ級すら打ち砕くガッシュのバオウ・クロウ・ディスグルグを破壊したので、この術も並のディオガ級以上の威力を持つと見なせるだろう。
ラージア・ザケル
広範囲に電撃を放つ。テオザケルとどう違うのかがわかりにくいが、術の命名法則を考慮すると「テオザケルより威力は劣るが、より広範囲に展開する電撃」といったところか。
現に一度目は床に撃ち込んで広範囲に拡散させ、二度目はゼオンが空中で回転しながら放ちキャンチョメの分身を一掃するといったように、攻撃範囲を強調したような描写がされている。
ジガディラス・ウル・ザケルガ
「さあ、我が力の結晶、破壊の雷神よ!!!」
「その力でバオウを打ち砕け!!!」
ゼオンが苦しい修行の果てに編み出した最大呪文。彼曰く「破壊の雷神」。
こちらも上記のソルド・ザケルガと同じく、ゼオンの才能によりできた部分が多く、ガッシュは使用不可だと作者ブログにて明かされている。
巨大な翼と太い角を生やした雷神を象った超大口径の砲身を召喚。五つの雷の紋章が順に発光した後、超強力な電撃を莫大な量で放出する。
この術が自律的な意思を持っているのかは不明だが、電撃を発射する際に「ZIGAAAAA(ジイガアアア)……」という独特な鳴き声(?)を発する。
ギガノやディオガといった等級を示す語句が存在しないように見受けられるが、雷句先生が作者ブログにて「ウルは王を、パロは偽を意味するアレが元ネタ」だと認めているので、分解するなら「ジガディラス=術本体の名前」「ウル=王、つまり等級(?)」「ザケルガ=呪文の属性」という命名だと思われる。
その特殊な命名をされるに相応しい非常に強力な性能を持ち、ゼオンの最大術だけあり威力、射程範囲共に規格外。
作中ではティオの奮闘(及び途中でデュフォーの心の力が切れたこと)により未遂となったが、四方数100メートルはあるであろうファウードのコントロールルーム全域を雷で埋めることができると清麿が述べており、相当な攻撃範囲であることが示唆されている。
威力に関しても間違いなく作中トップクラス。
作者の雷句先生が自身のTwitterで「まだシンに負ける」と言及してはいるものの(該当ツイートはこちら)、バオウとの一度目の勝負では(ガッシュが制御できておらず、一瞬の隙ができたとはいえ)バオウを完全に消し飛ばし、二度目の勝負でもデュフォーの憎しみを乗せて制御後バオウを押し返して仰け反らせる等、並のディオガ級呪文とは比べ物にならない超強力な術であることは確かだろう
威力に関しては幾つか補足があるが、長くなってしまうので下記の(※補足1)と(※補足2)を合わせて確認していただきたい。
連載当時に発売していたカードゲームに収録された際も、コスト10、魔力+10000、魔本に10ダメージという最強火力を誇っていた(参考として、他に収録されたほぼ全ての上級呪文は魔力+6000~8000、3~4ダメージ辺りが基本である)。
また、デュフォーがロップス戦の終盤で「ジガ…」と口走っていたことから、この時点(原作9巻、つまり石板編より前)から既に使用できた模様。
ディオガ級どころかギガノ級が切り札だった魔物が多い時点で既にこの術が使えたという、如何にこのコンビが規格外かを示す一幕が存在する。
ちなみに上記のようにアポロ戦で発動しかかった際、ゼオンに力の無駄と言われてデュフォーは発動を中断した。この際、ゼオンは珍しく冷や汗をかいており、少し慌てて諫めている。
これに関しては、「ザケルすら耐えられない相手にこの術はオーバーキルなうえ、仮にあの場所で発動してしまえば周囲の風車小屋どころか草原一帯が消し飛んで大ニュースになり、今後の行動に支障が出る事は明らかだったから」等の理由だと考察されている。
(※補足1)ネット上や外部サイトでは「原作者曰くジガディラスはシン級未満」等と記載されていることもあるが、上記にリンクを貼った該当ツイートを実際に見ていただければわかるように、雷句先生は「シン級未満」という表現を一切用いていない(少なくとも2023年6月時点では、他のツイートや作者ブログでも、「ジガディラスがシン級未満」等とは一度も述べていない)。
該当ツイートでも、あくまで「ファウード戦で出たあのウルはまだシンに負ける」という表現であり、「ゼオンもいつかシンに匹敵する術を身に付ける」という将来性も併せて述べられている。
よって、このツイートの趣旨は(ほぼ間違いなく)「現状のジガディラスではまだシンに負けてしまうが、将来的にはゼオンもジガディラスをシン級にまで鍛え上げられるor新たなシン級の呪文を修得する」というポジティブな意味合いであると解釈できる。
なので、あくまでジガディラスは「現状におけるゼオンの最大呪文」であり、決してゼオンの「限界」や「到達点」ではない。
仮に「原作者が『シン級未満』だと明言していた」「ジガディラスは『絶対に』シン級呪文には勝てないと公式から言われている」等とネット上に書き込んだ場合、表現によってはデマの発信・拡散にも繋がりかねないので充分に注意した方がいいだろう。
外部サイトや強さランキング等に書き込む際にも、こういった細かなニュアンスを理解した上で表現に気を付けていただきたい。
(※補足2)そもそも二度目の勝負では清麿、ティオ、恵、キャンチョメ、フォルゴレ、ウマゴン、サンビームが総出でガッシュを支えたからこそバオウが勝ったのであり、「純粋な1対1の火力勝負」でジガディラスが負けたとは言い難い面もある。そういった点も踏まえれば、ジガディラスが如何に強力な術であるのかは想像に難くない。
更に付け加えるならば、ジガディラスが押し返した覚醒バオウ(ゼオン戦ラスト~クリア編でデュフォーの指導を受ける前の状態)ですらクリアのシン級呪文であるシン・クリア・セウノウスをほぼ全壊にまで追い込んでいるのだから、そのバオウと拮抗したジガディラスがシン級と比較して「絶対に敵わないほどの差」があるとまでは言い切れないのではないだろうか。
また、ガッシュがクリアとの決戦に際して新たに修得した呪文2つと比較するとどうなのかは明言が無いが、単純な火力ならジガディラスが大きく上回っていると断言できるだろう(ジオウには瞬間速度や状況対応力といった小回りの面で差を付けられるかもしれないが、さすがにエクセレスには威力や性能面で完全に勝っているに違いない)。
以上のように、基本的にはガッシュと呪文が被るが、一部の呪文はガッシュと違う。
ゼオンが使えず、ガッシュがゼオン戦までの習得で使えた術は4つ(ゼオンが元々覚えていたが、清麿復活後にガッシュも後から覚えた術はテオザケルとガンレイズ・ザケルの2つ)。
逆にゼオンが使えてガッシュが使えない術は、ジャウロ・ザケルガ、バルギルド・ザケルガ、ソルド・ザケルガ、レード・ディラス・ザケルガ、ジガディラス・ウル・ザケルガ、ラージア・ザケルの6つ。
以下は原作では未使用だが、雷句先生が使用可能と明言した術やゲームオリジナルの術。
ラウザルク
身体能力を一時的に強化する肉体強化呪文。詳しい効果はガッシュの記事を参照。
本編では未使用だが、作者ブログの回答にてゼオンも使用可能だと明言されている。
しかし、元々鍛え抜かれていること、使用中呪文が使えないデメリットがある事から、おそらく使う価値がない(ゼオンが極限まで鍛えた身体能力ですら及ばない相手にこれを使ってまで肉弾戦を挑む必要がない)と判断していると思われる(実際に清麿復活後の強化されたラウザルクを使ったガッシュの身体能力を凌駕するパワー、スピードを素の身体能力で発揮している)。
だが、裏を返せばただでさえ高いゼオンの身体能力を更に上げる事も可能と言える。
ザグルゼム
当たった物(物体・魔物・術など)に電気を蓄積させる小さい電気球を出す攻撃補助術。詳しい効果はガッシュの記事を参照。
こちらもラウザルク同様、本編では未使用だが作者ブログにてゼオンも使用可能と明言されている。
ラウザルク同様、これを使って低級中級呪文を強化するくらいなら更に強力な術を使えばよく、最大呪文であるジガディラスをこれで強化する必要がある程の相手となるとそれこそクリアやアシュロン等一部の規格外以外ありえないため、やはりこれもまず使う必要がないと判断していると思われる(ガッシュも覚醒後に数々の攻撃呪文を覚えてからはこれを使ってまでザケルやザケルガを強化せず、より強い呪文を撃ち込んでいる)。
だが、裏を返せばデュフォーの能力での指示でフル活用する事も可能だったと思われる。
ラシルド
ゲームオリジナル呪文。ほぼ間違いなく本編でのゼオンも使用可能と思われるが、作者ブログにて明言されたのは上記の2つだけなのでここに記載する。
効果はおそらくガッシュのラシルドと同様で、色は蒼銀。
ジケルド
こちらもゲームオリジナル呪文。ラシルド同様、作者ブログにて明言こそされていないものの、「金色のガッシュベル!! 友情タッグバトル」等のゲーム作品では使用可能。
ゼオンの実力を踏まえても、ほぼ間違いなくこの術を使えると思われるのだが、
- 原作において、ゼオンは「磁力」系統の術を一つも使用していない。
- ジケルドは「コルルとの別れ」という「ガッシュ自身の経験」から発現した呪文であり、術の発現に必要な経験をしていないゼオンでは使用できない。
という見方もできるため、原作において実際に使用可能なのかは意見が分かれるところもある。
ゼオ・ザケルガ
掌からバオウ・ザケルガに似た銀色の竜を放つ。ゲームオリジナル。
見た目は未覚醒バオウであるため、本物と同じ性質を持っているかは分からないが、これがあるならバオウとそれをもつガッシュに執着する理由が無くなってしまうので、もし性質も同じならやや設定面での矛盾が生じるようにも見える。
連載当時に発売していたカードゲームに収録された際のフレーバーテキストでも「ゼオンが呼び出す銀色の竜(ドラゴン)。ゲーム版オリジナル」としか説明されておらず、詳細は不明。
とはいえ、作者によると「ゼオンとガッシュそれぞれが持つ資質で習得できる呪文は違ってくるが、互いに互いと類似する術を編み出す事は可能」(※要出典)との事なので、ただ見た目が似通っているだけなのかもしれない。
そもそも、「ゼオ」であり「ゼオウ」ではない(=オウ系の一種ではない)ため、竜の形なのも「ゼオンの持つバオウへのこだわり」が反映された結果として自力で成形しているだけで、本来はなんの能力もない「ただの強化版極太ザケルガ」という可能性も存在する。それならば設定とは矛盾しない。
余談
好物について
作中では6歳にしてはかなり大人びており、常に冷静な表情でいる印象を抱くが、単行本28巻の裏表紙では屈託ない嬉しそうな表情で好物の鰹節を大量に擦っている(しかもハートマークを飛ばしながら自分の口に丸ごと咥えている)という年齢相応の可愛らしい姿が見られる。
完全版15巻に収録された「ガッシュカフェ」に登場した際も、注文したメニューはカツオブシ1番ダシ、カツオブシチップス、おかかおにぎりと見事に鰹節ばかり。
原作本編で食べているシーンこそ無いものの、かなりの好物であることがうかがえる。
設定等
「実力」の項目に記載した瞬間移動についての詳細だが、作者ブログでは、
- 数千kmでも移動できるが、移動先の明確なイメージ(以前に行った事がある等)が無いと移動できない。
- 戦闘中に使用して相手の攻撃を回避することもできるが、瞬間移動を始める時に意識を集中するため、大きな隙が生まれてしまう。
- ちなみにガッシュと戦った際には瞬間移動を使っていない。素早い動きと残像だけでガッシュ達を翻弄している。
といった回答がなされている。
2003年(おおよそ石板編を連載していた頃)に発売された「金色のガッシュ!!まるかじりブック」に掲載された「魔物発見場所マップ」ではゼオンの出現地が「北極」と記されており、この頃から既にデュフォーとの出会いといったバックボーンは構想が練られていたと考えられる。
2022年に開催された「金色のガッシュ!!と雷句誠原画展」にて配布された来場者及び通販特典の小冊子にて、ダルタニアンが「ラピュタのパクリはよせ!!」と上記のジガディラスのネーミングをネタにしたような発言をしている。
Pixivにおけるイラストや漫画は、フルネームの「ゼオン・ベル」ではなく「ゼオン」の方が見つかりやすいのでそちらでの検索を推奨。
2023年以降はアークナイツに登場するキャラクター「パゼオンカ」のイラストも投稿されているため、「ゼオン ガッシュ」等と入力するとより絞りやすいと思われる。
関連タグ
デュフォー:パートナー
ゼオンの正体(重大なネタバレ注意!)
「おまえはオレのことを知らんだろうが、オレはおまえのことをずっと思っていた…」
「憎く!腹立たしく!!恨まない日など無い程にだ!!!」
その正体は現魔界の王であるダウワン・ベルの息子にして、ガッシュ・ベルの双子の兄。
先述のガッシュを憎んでいる理由は、「ガッシュに父親の最強呪文『バオウ・ザケルガ』を奪われたため」である。
この点に関しては原作、アニメ版で共通しているが、ガッシュとの戦闘描写やバオウに関する事情の踏み込み具合は大きく異なっている。
アニメ版→原作版の順で記載した方が記事としての後味も良くなるため、ここではそのような順番で解説していく。
アニメ版
アニメ版では傲慢で自分勝手な面が目立ち、残念ながら原作と比べて性格が悪くなっている。
これはバオウの持つ恐ろしさや複雑な事情がアニメでは語られていないのも理由だと思われる。あくまで推測だが、さすがにバオウの秘密という核心的な要素を原作よりも先にアニメで描くことはできなかった、あるいは控えたという制作上の事情があったのかもしれない。
ガッシュとの戦闘についても純粋な1vs1ではなく、ティオやリーヤ等のファウード編における仲間が部分的に協力する総力戦のような展開となっている。
ガッシュに敗れた後も和解せず、それどころか悪あがきとしてファウードのコントロールキーをわざと壊し、魔界へと帰って行った。
事実上、アニメ版におけるラスボスであり、(アニメ版の方がゼオン戦まで早く進んでしまった都合上、仕方ないとはいえ)改心等も描かれない純粋な悪役として出番を終えてしまった。またガッシュと和解しなかったため、その後の原作終盤に繋がるフラグはアニメ版において事実上折れてしまっている。
デュフォー共々、大人の事情によって原作のキャラクター性との差異が生じてしまった、いわば脚本の被害者と言える。
原作版
原作においては、ガッシュがバオウに喰われて戦闘が中断した際のチェリッシュやロデュウ等を除き、ガッシュとの戦闘は最後まで純粋な1vs1として描かれている。
また、戦いの中でゼオン自身の事情や心境も徐々に明かされていく流れとなっている。
ゼオンは幼少から死にかけるほど厳しい王族の英才教育を受けさせられ、その上で「王を決める戦い」への参加権を得た。
虐待に等しい訓練に関しては、「辛くはあったが自身が強く成れている事を実感でき、それを喜べた」ため気に留めていなかったが、自分とは違い何不自由なく遊んで暮らしていた(とゼオンは思い込んでいた)ガッシュには元々隔意を抱いていた。
たまたま兵士や乳母が「ガッシュという弟がいる」話をしていたことを聞いており、ある日の訓練の最中に以前から疑問だった「何故自分にバオウを継がせてくれなかったのか?」を父に問う。
父からはその危険性について暗に教えられるものの納得出来ず、「ならばなぜガッシュに継がせたのか?何故自分はこれほどの訓練を受けているのにガッシュは遊んでいるのか」と問いかけたところ「誰からガッシュの事を聞いた!二度とガッシュの事を口に出すな!」と(罪悪感混じりであろうがほぼ八つ当たり同然の)雷による折檻を受け、挙句「二度とガッシュについて考えを巡らせる暇もないよう訓練をキツくする」とまで言われてしまう。
それだけならまだ我慢する事もでき、容認する事も出来たが、偶然か必然かガッシュが王を選ぶ戦いに参加する百人に選ばれた(劇場版の設定を汲む場合本来ワイズマンが選ばれる筈の枠にちょっとした偶然から滑り込んだだけ)事を知り、「バオウを持つ以外何の取り柄もない落ちこぼれが、厳しい訓練を積んだ自分と同等の権利を得る」ことに激しい怒りと憎しみを覚えたゼオンは、バオウもろともガッシュを消すことを決めた上で戦いに参加していたのであった。
しかし、いざガッシュ戦で目覚めた真のバオウは、強大な力で憎しみの感情もろとも術者の存在を喰らう恐ろしい術だった。
自身の最大呪文であるジガディラスとバオウが初めて激突した際に様子がおかしいことに気付き、デュフォーがバオウの性質を見抜き、思わずガッシュを一瞥する。
そこには体を殆どバオウに食われ、全身が真っ黒になり、生命力すら感じられない程の有様で倒れ伏しているガッシュが居た。
「オレならバオウを使いこなせる!オレなら...いや、オレでも、使い…こなせない...!?食われるだけだ…」
「何だ、この力は…!?なんなんだ…!!?」
これを機にバオウの本当の恐ろしさを理屈ではなく現実として実感し、バオウに恐怖する。
「ガッシュはバオウに食われた…全て…使ったものさえも食らう…術…父上の言ったことは本当だった…」
しかしデュフォーの助けもあり一度は競り勝ち、己の姿勢は崩さなかった(自分は間違っていないと無理に言い聞かせた)。
だが、チェリッシュやティオ、ロデュウの己の身体を顧みない信念による反撃や言葉を浴びる中で何かを感じ、考えるような素振りを徐々に見せていく。
更に、戦いの中で奪い取ったガッシュの記憶を垣間見て、それが「里親の老婆の虐待と家族がいない孤独に追い詰められる辛いもの」だったと知るに連れ、少しずつ心に変化が表れ始めた。
「まだ仲間の血を無駄に流すつもりか!!?オレと戦えるのはお前しかいない!!さあ立て、ガッシュ!」
「答え」を得るためガッシュの意識の回復を待ち、自身の最強呪文「ジガディラス・ウル・ザケルガ」とバオウとの正々堂々とした打ち合いを望む。
再度バオウに呑まれかけたガッシュを叱咤し、完全に制御されたバオウとぶつかり合い、デュフォーの憎しみも乗せたジガディラスの雷で一度は優勢に立つ。
だが、清麿達がガッシュを支える姿、及びガッシュがデュフォーの憎しみを感じ取り涙を流す様を目の当たりにし、デュフォーも涙を流していた。
押し負けそうになったゼオンはデュフォーを振り返るも、デュフォーの涙を見たことで何かを悟ったかのような笑みを浮かべ、事実上の敗北を認める。
「そうか、デュフォー、お前も…」
そうしてジガディラスを噛み砕かれ、迫るバオウからデュフォーをマントで包み込んで庇い、電撃を浴びて気絶。この際に本にも火が点いてしまう。
一時的に意識を失う中、父親がガッシュにバオウを受け継がせた真の理由である、
- ゼオンは王の雷を継いでいるが、同時に修羅の心までも強く継いでおり、怒りや憎しみを持ちやすい子である。
- それ故に、負の感情と結びつく力が強いバオウをゼオンに継がせると、悪の心をバオウに支配され、全てをバオウに喰われてしまう危険性がある。
- ガッシュはそれらを特に継いでいなかった為、バオウを隠すには打って付けであり、後は普通の子供と同じように育てれば二度とバオウは目覚めないだろう。
- 年老いたダウワンにとってバオウは手に負えない術となっており、二人のどちらかに眠らせなければ魔界を危険に晒しかねない。
という複雑な事情や、
「ゼオン、ガッシュ、そして我が魔界、全て無事であってほしい」
「そのための苦渋の決断だ」
と、父ダウワンが涙を流し、断腸の思いで決断を下していたことも理解。
目を覚ました後は開口一番、
「許せ、ガッシュ…兄が愚かだった…」
と真っ直ぐな謝罪を行う。ガッシュからも「これで家族一緒に暮らすことができる」と受け入れられたことで涙ながらの和解を果たし、魔界時代の記憶を全て返した。
もっとも当時ガッシュは養母・ユノから奴隷同然に扱われており、子供ながらにユノが本当の親ではないと察したガッシュが本当の親について訊ねた所に「お前の本当の親なんていない」とまで言われ心を折られる程の精神的、肉体的虐待を受けており精神崩壊一歩手前まで追い詰められていた事から、隠すどころか暴発しかねない状況であった。
この危機を救ったのは、皮肉にも真夜中に養育費と口止め料を持ってきた王の使者である兵士とユノの会話を聞いたことだった。その頃の城内ではガッシュが弱っている噂が広まっていたため、「ガッシュに何かあったら王も王妃も許さない」と念を押す兵士と何も事情を知らない上で兵士から叱責されるユノの話を聞き、「自分の本当の両親は王様で、自分を心配している。欲しかったお兄ちゃんまでいる」という事実を知り、「兄がいる」という一点だけで大いに喜び、持ち直すことが出来た。
しかしタイミングが悪いことにゼオンがガッシュの存在を知ったのは、先述の弱っている噂からガッシュを心配する兵士達の話を聞いた時で、弱っているという部分は聞いていなかった。
そして具体的にガッシュがどう暮らしているのかを知ったのは立ち直った後の(表面上は)能天気に遊び呆ける落ちこぼれのガッシュであった為、現状と認識の齟齬が起きてしまい、それが確執の原因となる。
名前しか知らない見たこともない弟を憎み続けたゼオンとは対照的に、名前も知らず見たこともない兄の存在を喜び心の支えとしたガッシュ。
どんなに辛い状況にあっても、ゼオンがガッシュの事を知った時のように「何故兄は王宮で大切にされているのに自分だけがこんな辛い思いをさせられるのだ」という感情をカケラも抱かなかった事こそ、まさしくガッシュがバオウを継いだ理由でもあった。
パートナーのデュフォーにも生きてほしいと言い残し、身に付けていた制御キーが戦いの余波で壊れてしまった事によって暴走を始めるファウードを倒すため、ガッシュに自らの力の一部と魔力で作ったメッセージの紙を渡し、満足した笑みを浮かべて魔界へと帰って行った。
その後クリア編では金色の本を通して呪文でのサポートこそしなかったが、ガッシュの王としての信念を誉め、「シン・ベルワン・バオウ・ザケルガ」の力になった。
余談1:読者によるネタバレを踏まえた性格分析等
実力に裏打ちされた態度や自信の陰に隠れがちだが、最初のバオウとジガディラスの撃ち合いの際「どっちが要らない子かハッキリさせる!」という台詞が存在するため、実力以外の自己肯定感がかなり希薄な疑いがある。こういった「要らない子かそうでないか」という自己評価基準は「親の愛を十分に受け取れなかった子供」や「被虐待児」が持ちがちである。
ガッシュは「心配されている=愛されている」事を知って立ち直ったが、ゼオンは「来る日も来る日も拷問同然の訓練でイジメ抜かれ続け、愛されている実感がなく、ガッシュについて訊ねた際の仕打ちやバオウの所在から両親が愛しているのはガッシュで自分は要らない子なのではないか」という自己認識になってしまっていた可能性がある。
総じて、ゼオンの中の修羅を克服するには、最終的にはガッシュが示したような「愛」が必要だったのだ。
が、それを見落としてしまったのがダウワンの失敗だったと言えるだろう。
堂々とした態度やオーラで忘れそうになるが、彼はまだ6歳であり、初期の頃の力をひけらかす様な態度は実力以外の自己肯定感の無さの裏返しとも取れる。
余談2:「もう一つの地獄」発言について
原作5巻での発言や原作29巻でガッシュに渡した手紙の内容から、ゼオンは王の特権等について知っていることが示唆されていた。
これについても作者ブログにて回答がなされており、ゼオンが自身の記憶を辿っているシーン(王立図書館、及び禁断の書庫)で登場した「ファウードについて書かれた本」の隣にあった本が「魔界の王を決める戦いの記録のような本」だったとのこと。
後日談
魔界に帰った後は今までの行いを深く反省しており、王である弟の補佐としてガッシュを支えている。
一方、ガッシュのクラスメイトが(ギャグ寄りの描写であり、本当なのかはわからないが)「変な事したらゼオンに殺される」と発言する程、弟に対して過保護になっている(?)ようだ。
また、ガッシュに児童虐待同然の仕打ちを行っていた彼の育ての親・ユノに対しても、「ガッシュにした仕打ちを考えれば、牢獄暮らしでもおかしくはない」(※)と当然ながら激しい怒りを見せていた。
そして戴冠式当日には、魔界の王となり皆の前に立つガッシュの姿を誇らし気に見つめていた。
(※)ユノは城で清掃などの仕事を与えられている。ゼオンに上記の発言をされた際はガタガタと震えている。お兄ちゃん何したんだろう……?
金色のガッシュ!!2(ネタバレ注意!)
(※上記のイラストはイメージ)
2巻時点では本人は未登場だが、ガッシュの口から幾つかの情報が語られた。
曰く、敵の本拠地へ向かい、行方不明になってしまっているらしい。
「自分より身長が高く、より大人びた容姿に成長した」とガッシュは羨ましそうに(?)述べていた。
双子なので、年齢はガッシュと同じ19歳になっていると思われる。
関連イラスト
真の関連タグ(ネタバレ注意!)
作中の関連項目
ガッシュ・ベル:双子の弟
ダウワン・ベル:ゼオンとガッシュの父親
デュフォー:ゼオンのパートナー
バオウ・ザケルガ:ゼオンが継承することを願うも叶わず、弟のガッシュが継承した最強呪文。
ファウード:リオウを徹底的に叩きのめしてキーを奪って操った超巨大なる魔物。
他作品における真の関連キャラクター・人物(ネタバレ注意!)
ライチュウ:ピカチュウの進化系で、ピカチュウの声優がガッシュ役の大谷育江氏に対してゼオン役の高乃麗氏が担当。
スカー:王族かつ主人公の親族(父の実弟、即ち父方の叔父)だが、兄弟を強く憎んでいる点、肉親の愛情を実感できなかった点が共通している。
ブライ:幼少期の出来事から生き別れになった弟を憎むようになり、兄弟で争う事になったキャラクター繋がり。激闘の果てに自らの過ちを詫びて和解し、その後は弟に力を託して物語からフェードアウトした所やブライのパートナーは物語からフェードアウトせず、本編終盤にて主人公達の助けになった点も共通している。
外部リンク
(※)どちらも出典不明の情報等が書き込まれることもあるので注意。