Κρόνος
前最高神
クロノス【Κρόνος】とは、ギリシャ神話に登場する神の一柱である。
ただし、同名の神が農耕神と時空神の二柱存在する。
※完全に同名ではなく、微妙に綴りと発音が違うが、日本語では区別できない。以下かつて主神であった農耕神のクロノスから先に取り上げる。
主神にして農耕神クロノスの概要
同族はティターン神族。レアとの子に、ゼウスをはじめ、ポセイドン、ハーデスという三界を支配する神々、またヘラ、デメテル、ヘスティアというギリシャ神話を代表する六柱の兄弟姉妹がいる。
神々の王座に就く
ウラノスとガイアの間にはティターン神族のほかにも
一つ目のキュクロプス・多数の腕を持つヘカトンケイルといった怪獣のような子供達が誕生したため
ウラノスはその醜さを嫌ってガイアの胎内(≒地底)のタルタロスへと押し込め続けていた。
この横暴に怒ったガイアに応え、クロノスはウラノスの男根を自らの鎌で切り落とし、世界の果てへと追放したのであった。以後、クロノスが二代目の主神としてその座に付く。
しかし、結局はクロノスもキュクロプスやヘカトンケイルをガイアの胎内から解放せず、これが原因でクロノスとガイアの間に亀裂が生じる。
ゼウスとの世代交代劇『ティタノマキア』
クロノスはしばらくして、『自分の子に王座を奪われる』という予言を受ける。
これを恐れたクロノスは、レアとの間に生まれた自分の子を片っ端から呑みこみ、自らの腹中に封じることにした。
この奇行を恐れたレアは、最後に生まれたゼウスの代わりに巨岩を産着に包んでクロノスに渡して呑みこませ、クロノスを安堵させた。そして自分はクレタ島へと逃げ延び、そこでゼウスをニンフたちに育てさせ、他の子供たちを救う機会を待ち続ける。
そしてゼウスが勇壮な青年へと成長すると、ゼウスはクロノスに挑んで腹中にいる兄弟たちを吐きださせることに成功する。そして兄弟たちと結託し、クロノスとの決戦(ティタノマキア)に臨む。ゼウスはタルタロスからキュクロプスやヘカトンケイルを解放して自軍に加えた。
対するクロノスは、同族のティターン神族からなる自らの軍勢で応戦する。
激戦の末、ゼウス軍がこれに勝利し、クロノスはこの戦いでゼウス自らの手によって討たれ、ゼウスは予言通りに主神として王座に座すこととなった。異説ではクロノスはティターン神族とともにタルタロスに幽閉されたが、後にエリュシオンの管理を委ねられたという。
時空神との混同
なお、ギリシャ神話にはもう一人「時間を司る神」の『クロノス(時間神)』が存在し、現在こちらのクロノスの方が有名となっている。
その姿はカラスのような漆黒の翼を背に生やし、大鎌を携えた禿頭の老人とされる。
綴りは【Χρόνος】で、農耕神である「クロノス」とは一字違いであり、古代ギリシャの人々でも間違えることが多かったという。
さらに農業と時間も、季節や年といった時間的な概念と密接にかかわるため、混同される傾向の拍車をかけている。
このことから、両者を混同する書籍や設定も多く、ファンタジー作家の頭を悩ませるややこしい状態にっていることが多い。
ローマ神話
ローマでは農耕神サトゥルヌスと同一視された。この神の英語名サターンは土星を意味する。