運転手「お客さん、亀に乗って竜宮城へ行く話、知ってます?」
サクラ「今その気分を味わっとる」
運転手「亀に乗ってったのが太郎だけでなく、村人全員だったらどうだったでしょうねぇ。全員が竜宮城へ行ってそして揃って村へ帰ってきたとしたら、それでもやっぱり数百年の歳月が経っていたことになるんでしょうかねぇ。村人が誰一人気付かなかったとしても?」
サクラ「…何の話をしとる?」
曖昧さ回避
- うる星やつらの劇場版オリジナル長編アニメーションのタイトル。本稿で解説。
- イギリス産の繁殖牝馬で、日本を代表する牝󠄀系を築き上げた名繁殖牝馬。 → ビューチフルドリーマー
- アメリカ合衆国の歌曲。スティーブン・フォスター (Stephen Collins Foster; 1826-1864) 作曲。日本でも古くから小中高の教科書に載る有名な曲で、恐らくは上記2項の名前の元ネタ。
概要
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』とは、高橋留美子原作の漫画『うる星やつら』の劇場版オリジナル長編アニメーションの第2作である。監督は押井守で彼の出世作であり、のちの日本のアニメーション業界全体にも多大な影響を与えた。
そして「ループもの」アニメの先駆けとなった作品でもある。
あらすじ
学園祭を翌日に控えた友引高校は、生徒達が連日泊まり込みで準備を行い、大騒ぎのさなかにあった。
諸星あたる達のクラスの担任教師である温泉マークは、生徒指導に疲れ果てノイローゼとなり、保健医のサクラの助言から一旦学校を離れ、自宅のアパートへと帰ることになる。
その後、サクラが手違いに気づき温泉マークの自宅を訪ねると、彼の部屋はカビやキノコが繁殖し、まるで何年も時間が経過したかのような、ホコリまみれの酷い有り様になっていた。
温泉マークは「学園祭の前日」が毎日繰り返されているのではないか?という奇妙な感覚にとらわれていることを告げ、まるで自分が浦島太郎になった様だと言う。サクラは温泉マークの話をにわかに信じられなかったが、高校に戻った際に目にしたある光景に既視感を覚え、温泉マークの直感に共感。
彼と共に「学園祭の前日を繰り返し続ける世界」からの脱出の糸口を探し始めるが…。
備考
本格的なSFアニメとして当時各界から非常に高い評価を獲得し、押井の名を世に知らしめた傑作ではあるが、放映時は映画第一作とあまりに違う作風だった為に世間でも賛否両論であった。また押井守の作家性が色濃く反映されていたので、原作者の高橋留美子は「これは押井さんの作品。私の作品じゃありません」と激怒、「うる星やつら」としては否定的な見解を示している…という誠しやかな噂が放映当時から囁かれていた。今日に至ってはインターネットの書き込みやYouTubeにもそういう内容の動画がいくつも存在している。
1988年に発行された平井和正の著書内の対談では「これは押井さんの『うる星やつら』です」、「押井さんは天才」、「2は押井さんの傑作で、お客さんとして非常に楽しめました」という高橋の発言は収録されている。
押井は後年(2003年)、完成作を見た高橋から否定的な反応をされたと懐述してはいる(出典)が、高橋自身は本作を明確に酷評する発言を公にしたことはない。
また、2005年NHKのBSアニメ夜話では当時の関係者がそれを否定し、2020年サンデー本誌でも畑健二郎との対談で高橋留美子本人が押井との不仲説について完全否定していることからも、噂が完全に独り歩き、暴走している状態といえる。
また諸星あたるが「それを言っちゃダメだろ」と多くのうる星ファンが疑問に思う、とある本音を吐露するシーンがあり、その点を批判する声もある。
ラスト間近のちびラムの台詞は押井監督本人が直接女性から言われたものを引用したのではないか、と制作関係者は語っている。
サクラの「善悪はそれを用いる者の心の中に有り」、メガネの「(新聞を広げながら)さて今日の世界情勢は……と……」など、本作の名言や何気ない一言が、後に『機動警察パトレイバー』にも用いらていれる(ただしこちらでも、押井の派閥と製作パートナー(名目上の原作者)のそれとでトラブルを起こしている)。
関連イラスト
関連タグ
表記ゆれ:ビューティフルドリーマー
エンドレスエイト:本作とよく似ているループもの