襟立健吾
えりたてけんご
演:熊井幸平
解説
『仮面ライダーキバ』に登場する青年。
「音楽で人をジンジンさせる」ことを夢見る21歳のロックンローラーで担当はギター。出身は東京だが素の自分を隠すため関西弁で話す。得意料理はお好み焼き。
自身が結成したバンド、イケメンズでメジャーデビューを狙っていたが、強引な性格が災いしメンバーに愛想を尽かされて逃げられてしまい困っていたところ、ロックに興味を持った紅渡をベースとしてメンバーに引き入れる。その後渡と意気投合し親友となった。
考えるより先にその場の感情で動いてしまうタイプで、名護啓介ほどではないものの自己中心的な一面も持つが根は悪い奴ではない。しかし自分本位で物事を捉えることもよくあり、鈴木深央とのデートもそのせいで大失敗している。
途中から自身をファンガイアから救ってくれたキバやイクサを崇拝するようになり、強引に名護に弟子入りする形で「素晴らしき青空の会」に入隊。戦士としての素質を見せたものの、シケーダファンガイアとの戦いで腕を負傷しギターが弾けなくなってしまい、そのことを隠していた渡に失望し、絶交してしまう。
さらに追い打ちをかけるように名護が「彼にはもう興味がない。いや、元々なかった」と自身を破門しようとしていた事を知ってしまい、絶望し雨の中泣き崩れていたところを「青空の会」会長の嶋護に拾われ、戦士としての訓練を受け正式に素晴らしき青空の会の一員となる。
しかし、以前とは打って変わり髪を切り、関西弁をやめて標準語で話すようになり性格も冷徹非情かつ傲慢になり、渡や恵に平気で暴言を吐き、名護を「ボタン男」と見下し、必要以上に暴行するなど攻撃的な一面も出てくるようになる。
そして名護からイクサの装着者の資格を奪い(と、言っても名護も先の戦いで怪我を負って暫く安静の状態だったのもある)、彼の野望の一つであった「名護啓介を蹴落とす」という野望の第一段階を達成させることに成功。
そして次の野望「ファンガイアの殲滅」の為に戦い、その過程で渡もファンガイアの血を継いでいる事を知ると、嶋からの命令もあって容赦なく敵として倒そうとした(その時はアシストについていた名護による妨害行為もあって失敗した)。
単純な戦闘能力こそ名護イクサを上回るほどであったが、公私問わず見境なく暴れまわるその自制心の無さと傲慢ぶりは目に余る程であり、ぶっちゃけタイムトラベル前の名護よりも酷い有り様な態度は、一度は自分を拾ってくれた嶋からも見かねられ、かつて同じ様に暴走状態にあった名護を戒めた時と同じ様に「解雇」を示唆される形で自省を促されるが、自身の素行を反省するどころか、かの頃の名護の様に表面だけでも反省したように取り繕うと考える思慮もなかった事から、嶋の宣告を真に受け、逆に彼や名護への不満や恨み、鬱憤が暴発。その後のファンガイアとの戦いの最中でも「俺は強い!」と必死に自分自身を鼓舞するという痛々しいまでに、哀れな醜態をみせるまでになる。
その結果、戦いに乱入してきたビショップから「虫ケラ」と罵倒されながら一方的に甚振られ、キバや名護の介入がなければ命を奪われる寸前に追い込まれる程の大惨敗を喫する事となった上、その一件で墓穴を掘る形で嶋から「最低」の烙印を押されると同時に、完全に愛想を尽かされてしまうという、それまでのツケが一気に回ってくる形で、その歪んだ形で増大していたプライドは完膚なきまでに打ち砕かれる事となった。
が、皮肉にもそこへ至ってようやく自分の愚かさと過ちに気づき、改心。
実は負傷する前から自分にはミュージシャンの才能がない事を薄々感じており、負傷した事で内心、それを逃げ口上にできると喜んで戦士に転じていた事を告白し、渡や名護に謝罪。
元の性格に戻った後は再び関西弁で話すようになったが、迷走前に比べて軽薄だったりKYな言動はなくなって良識的になった他、髪型はこちらが気に入ったのか、それともロックンローラーへの未練を断ち切る為なのか、短髪のままであった。
その後は嶋の元で秘書として雑用をこなしつつ、リハビリをしていたらしく、終盤ではギターを弾けるほどにまで回復した。
一見すると特に『キバ』本編の本筋のストーリーにはあまり関わらない人物だが、かつて歪んだ正義として戦っていた名護が今まで他人にしてきた仕打ちを反省し、終盤で本当のヒーローとして成長するのをある意味手助けした重要な人物である。
また、上述したとおり彼自身も物語を通して経験した挫折、迷走を経て、人間として大きな成長を遂げたようだ。
関連タグ
海堂直也:脚本家が同じ作品の登場人物、「場当たり的な態度や強引な言動も目立つが、根は思いやりがある人物」「ギタリスト志望」「怪我でギターが弾けなくなった」「一時的に仮面ライダーに変身した事がある」「芳賀優里亜女史が演じるライダーヒロインに一目惚れした事がある」「最終決戦後も生き残る」という共通点がある。
矢車想:失意の底に叩き落されて一時退場した後、原型の性格がなくなるくらいにやさぐれて再登場した人物。
カプリコーン・ゾディアーツ:金色と黒のマダラの模様、ギターを使って戦う、「ジンジンする」が口癖など共通点が多い。恐らく裏モチーフは『仮面ライダー響鬼』の仮面ライダー斬鬼。ちなみに斬鬼の俳優はキバにおいて次狼役で出演している。