「すべてはよりよき世界のために…!」
「子ども(じぶん)が泣かない世界 それを作りたくてオレはスパイになったんだ」
「無知とはなんて無力で なんて悪」
概要
本作の主人公の一人。西国の諜報機関「WISE(ワイズ)」に所属する敏腕スパイ。
組織内でのコードネームは〈黄昏(たそがれ)〉。本名は別にあるが、スパイになった時に自ら捨てている。また、62話の過去編においても、名前を呼ばれるシーンこそあるものの黒く塗りつぶされている。
東国の要人デズモンドの戦争計画暴露の任務「オペレーション〈梟〉(ストリクス)」を命じられ、バーリント総合病院勤務の精神科医「ロイド・フォージャー」の偽装身分を取得。
任務に必要な「家族」である娘のアーニャ、妻のヨルと共同生活を送りながら、主任務だけでなく日々舞い込む別件任務と格闘している。
プロフィール
容姿
上述通り詳細は不明だが、年齢は作中の断片的な描写(10巻の描写では陸軍軍曹からWISEにスカウトされ十数年経過している、とある)から20代後半~30代前半と推測される。
また、高身長でブロンドに碧眼、周囲から美形であると評されることが多くたびたび「いい男」「イケメン」「スマートイケメン旦那」などと言われる描写がある。普段はツーブロックのアップバングにしているが、オフの時は髪を下ろしている。
なお、「この顔も整形や変装によるものでは?」という説もあったが、10巻の回想で自前の物であると判明した。
人物
人物像
無愛想かつ冷徹な合理主義者だが、同時に真摯かつ誠実な人物。普段は人当りの良い好青年を演じているが、基本は重要人物に取り入る、あるいは目立たずに社会に溶け込むための処世術であり、スパイとしては任務の為に非情に徹することを心掛けている。
東西戦争による戦災孤児であり、その時に味わった孤独、絶望、無力感から戦争への忌避感と東西平和を守る事への拘りが強い。任務を第一に考える冷徹さも平和を守るためという信念に基づくものであり、根っからの冷血漢というわけではない。
むしろ素の部分では情に厚い性格が垣間見え、絆されやすいからこそあえて一線を引き自分を戒め必要悪に徹している節もある。そんな一面もまたロイドの魅力と言える。
それ故子供に対しては非情になり切れない面があり、自身の過去もあってか強い父性を見せることもある。先の信条もあって、自分勝手に子供を虐げるような大人には怒りを覚える。
素の一人称は「オレ」のことが多く、アーニャやフランキーと言った気の置けない仲にはぶっきらぼうな喋り方で接する。表向きは「ボク」を多用。
また、ツッコミ気質なところがあり、娘や妻が素っ頓狂な行動をしばしば起こす為、時々冷静さを失ってツッコミに走り墓穴を掘ったりあからさまな勘違いをしたりすることもしばしばだが、、彼自身も前述通り元々まともな家庭環境や社会人生活とは程遠かったことを考えれば、むしろこの程度で済んでいるともいえる。
現在は「育児や家庭の維持」という未経験の任務に加え、家族との旅行時ですら別件任務もこなす激務のストレスで胃が荒れ気味になっており、コーヒーはブラック党だったが後に胃を労わってブラックは控えるようになった。煙草を嗜んでいたが、子供が居るという理由で禁煙している。
能力
スパイになる際の訓練や元々の素質もあって、並外れた戦闘力・記憶力・情報処理能力を獲得している。特技は変装術で、単に特殊メイクで容姿を変えるだけでなく状況に応じた声・人格に扮する高い演技力もある。フランキーのナンパ特訓の回を見るに体型などの限界以内なら女性にも化けられる模様。
オペレーション〈梟〉において扮する「ロイド・フォージャー」は、敏腕精神科医として周囲の信頼も厚く交友も広いが、研究を優先している為現場を離れがちという体で行動の自由を確保しているなど、敏腕スパイだけあって人脈構築と偽装工作は完璧。
精神科医としての腕前もガチという底知れない守備範囲の広さを誇るハイスペックさで、同僚によれば「転任してあっという間に主戦力」、看護師からは「かっこいいし患者さんにも丁寧に優しく接している」と軒並み好評。
「ロイド・フォージャー」以前にも様々な身分の人物を演じることで任務をこなしており、東国の関係者の間ですら〈黄昏〉の名は知れ渡っているが、誰にもその正体(=誰が〈黄昏〉か)は悟られていない。しかしその能力の高さゆえ本部の人員不足も祟り、並行した複数の任務を押し付けられ過労気味。今回の主任務〈梟〉も敏腕振りを買われてのことと思われる。
が、最近になって本部も、彼一人に任務を押し付けすぎだと上司に警告したようで、休暇を許可されるなど少しは落ち着きつつある模様。
また、飲酒しても酔わずに的確な行動ができるなど、ブライア姉弟とは対照的に酒に対する耐性も強い。
戦闘能力も高く、主に格闘術を駆使する他、その場にある日用品などを即席の武器にするなど目立つ武器を好まないスパイらしい戦い方を披露する場面もある。キービジュアルやアニメのOP・EDなどではオートマチック拳銃を持っている事が多く、実際、爆弾犬の回など拳銃による驚異的な精密射撃をこなすシーンもあるが、作品の性質上戦闘シーンは少なく本人も「目立たぬこと」を鉄則としているためか意外と使われる機会は少ない。
公式ファンブックによれば「単純な身体能力で言うとヨルを100とした場合は60~70程度で、持ち前の頭脳や銃火器・罠などを駆使すれば同等程度」らしい。
当然の様に家事も得意でフォージャー家の料理・洗濯を担当しており、短編では完璧な描画と声帯模写を用いて自力でアニメを作るなど何でもできてしまう万能超人だが、普段の任務に必要な打算的な交際(ハニートラップ)はできても、プライベートな関係である「家族」を作った経験は流石にないようで、なまじ優秀であるがゆえに真剣に彼女たちの内面を推し量ろうとして、盛大に的外れな結論を導いてしまい、そこが彼独特のギャグとして機能している。しかしそれも彼自身が作中屈指の常識人故だろう
スパイという職業に就いているため、当然のごとく情報収集と推理洞察にも長けているのだが、何故かアーニャとヨルの正体には気づいていない(少なくともアーニャの実年齢とヨルが単なる市役所職員でないのは気づいてもよさそうなものだが)
人間関係
フォージャー家
名門イーデン校の特待生とその親のみ出席可能な懇親会に出席し、東国の重要人物から情報を探る任務のための偽装家族。
自身の子供として学校に送り込む人員として孤児のアーニャを娘にし、父母同席が必須の入学面談を乗り切るためにヨルを妻に迎え、結成した。
自身がスパイであることを隠しながらロイド・フォージャーとして家族に接するが、アーニャとヨルも超能力者と殺し屋というそれぞれ明かせない秘密を抱えているという奇妙な偽装家族となっている。ヨルを含め表向きは「アーニャは死別した前妻(架空の人物)との間の子」という扱い。
ロイドは任務が終われば捨て去ることになる偽りの関係性に諦観とわずかな負い目を感じており、良好な関係を維持することに腐心しつつも踏み込み過ぎない様に自戒する傾向がある。一方、内心では二人への親愛が芽生えつつあることが窺える描写も多い。
そのくせ、本当に何も知らないヨルに対し、彼としては騙す形で養父になったはずのアーニャが疑問も持たずに〈梟〉に協力し、イーデン校への通学やダミアンとの接触にあまり反抗的でない(=ロイドに好都合過ぎる)事実に何故かロイドが違和感を感じる節は無い。同様にどう考えても常軌を逸した身体能力の持ち主であるヨルにも疑心を抱く節は無く、MISSION:2でカミラのパーティーにお呼ばれした際も、異様な足癖(?)を見せたヨルの振る舞いを軽く嗜める程度で終わらせている。
ロイドが限定的に鈍感な部分があるのか、それとも意図的に気づかない振りをしてるのか
義娘。自称6歳。イーデン校に送り込む人員としてロイドが孤児院から引き取った。ロイドには隠しているが他人の心が読める超能力者で、家族全員の正体に唯一気付いている。
ロイドの任務には協力的だが、成績が悪い、一向にダミアンとの仲が進展しない、(天然・方便の垣根を超えて)はちゃめちゃな言動をするなど、ロイドの悩みの種でもある。
当初は任務に利用するだけの対象と見ていたが、彼女の成長に純粋に喜びを感じるなど父性的な面も見られる様になる。
偽装妻で市役所職員。家族には隠しているが東国随一の殺し屋でもある。
イーデン校の面接でアーニャの母親役が必要だったロイドと、弟を安心させるため(及びスパイ嫌疑をかけられない為の予防線)に独り身であることを隠したいヨルの利害の一致からの偽装結婚の関係。書類上は1年前に結婚したと偽装しているが実際は新婚ほやほや(イーデン校側に即席家族と見抜かれないようにするための対策)。
偽装夫婦ということもあってかお互い一定の距離感を保って接しており、アーニャの良き親となるため互いに協力し合っているが、男女としては実際に交際を経た訳ではないため相手に配慮している(夫婦で寝室を分けるなど)。
そのため、仲が良いとかイチャイチャ(byアーニャ)とか言われると夫婦揃って否定するのがお約束。しかし互いの人となりを知るうちに信頼関係が生まれ、基本的に関係は良好である。
フォージャー家の飼い犬。犬種は不明。テロリストに爆弾犬にされそうになっていたところをアーニャと協力して脱出。その後、アーニャの機転でフォージャー家の飼い犬になった。元はプロジェクト<アップル>という軍事研究の実験体で未来予知の超能力犬。
ロイドはボンドの予知能力は把握していないが、実験体であることは認識しており、ボンドの過去には同情的。
犬ということもあり、フォージャー家で唯一スパイであることを隠していない相手で、ボンドと協力して任務を達成したこともある。なお、ボンドからは猟師だと思われている他、ヨルが作った料理で死にかけたことがあるため彼の作る餌を心底希望している。
西国情報局対東課〈WISE〉
黄昏の所属する西国の諜報機関。ちなみに、同僚スパイには黄昏のファンが多い模様。
東国で活動するWISE諜報員の<管理官(ハンドラー)>を務める女性で黄昏の上司。黄昏と同じく東西平和への拘りが強い。黄昏がスパイになるための教育は彼女から受けた。つまり上司兼師匠である。
WISEの諜報員で、コードネーム<夜帷(とばり)>。黄昏の後輩にあたる。バーリント総合病院事務「フィオナ・フロスト」として、精神科医「ロイド・フォージャー」を演じる黄昏のサポートをしている。
黄昏には隠しているが彼に対して盲目的な恋心を抱いている。が、当の黄昏には同僚以上の扱いは見られない。
国家保安局
東国の防諜機関。いわゆる秘密警察。
ヨルの弟であり、一応はロイドにとっては義弟にあたる。重度のシスコンであり、姉を奪ったロイドのことを毛嫌いしている。
表向きは外務省勤務の外交官だが、実際は秘密警察所属。ロイドはそのことを察してスパイとして警戒しているが、姉同様天然な一面をつい心配してしまう場面も。
また、ロイドは密かにヨルとユーリの家族の絆を羨んでいる節がある。
東国国家統一党
東国の野党第一党で極右政党。東西戦争期に政権を握っていた政党でもある。
東国国家統一党総裁。再び東西戦争をひき起こそうとしていることが疑われている危険人物。彼に近付き戦争計画を探ることが黄昏の任務目標となっている。
その他
黄昏に協力する情報屋。黄昏からの扱いは若干雑だが、落ち込んでいる時には励ますなど友人として接する場面もある。実は長い付き合いで、ロイドがスパイではなく単なる一兵士の頃からの付き合い。腐れ縁とも言える関係。
両親
父と母の三人家族だった。黄昏のアーニャに対する態度は、父の反面教師としての一面もあるようだ。
〈大将〉〈伍長〉〈少佐〉
幼少期、共に戦争ごっこをした友人達。戦地で再会するが上層部の無茶な作戦で死亡。
関連イラスト
関連タグ
フォージャー家 アーニャ・フォージャー ヨル・フォージャー ボンド・フォージャー
フランキー・フランクリン シルヴィア・シャーウッド フィオナ・フロスト