マリー・アントワネット(Fate)
まりーあんとわねっと
その名がある限り、どんなに愚かであろうとわたしはわたしの役割を演じます
プロフィール
お風呂好き。母マリア・テレジアに似て綺麗好き。
概要
『Fate/Grand Order』に登場するライダークラスのサーヴァント。レアリティは☆4。
フランス革命期に消えた王妃。ヴェルサイユの華と謳われた少女。
メインシナリオでは、第1部1章『邪竜百年戦争オルレアン』で味方サーヴァントとして登場する。
真名
ハプスブルク家の系譜にあたるフランス王妃、『マリー・アントワネット』。
十八世紀、ルイ16世の妃。儚き貴婦人。欧州世界の「高貴による支配」を象徴する存在。
王権の絶対性が失われていく時代の奔流、世界の変化の前に命を落とした。
革命期には多くの人から憎悪の対象となり、その後も長きに渡って稀代の悪女と評価されてきたが、現代のフランスでは名誉回復が行われている。飢饉にあっては宮廷費を削り寄付金と成し、自ら貴族達に人々への援助を求める等、民を想う女性であったことが確認されている。
使い込みに関しても、当時の貴族の間では割と当たり前の事であり、マリー本人も当初はファッションや賭博に注ぎ込むなど金使いが荒い節はあった(彼女もそれが“王妃の仕事”だと勘違いしていた)。だが彼女が使える金など、フランスの国家予算全体から見れば極々僅かでしかなく、どうあがいても彼女単体で国の財政に大ダメージを与えることは不可能であると結論づけられている(因みにフランスの財政難は度重なる戦争と、戦争費用の割に大した戦果が得られなかった事が原因であり、ルイ十四世の治世末期にはすでに顕在化していた)。
出産を経て母・マリアの血統が覚醒したのか、出すべき資金は大きく使い、締めるべき浪費は最小限にするなど、むしろ近年では“やり繰り上手”だったとさえ見られている。
ちなみに、マリーの発言として有名な「パンが無いのであれば菓子を食べればいい」というのも実のところ彼女の発言ではなく、別の人物の言葉を彼女が言ったとでっち上げられただけである。
これは思想家ジャン=ジャック・ルソーの著書に登場する、オーストリアの侯爵夫人の言葉である。しかもルソー自身は「ワインを飲むのにパンがないので、あの夫人の言葉に倣ってブリオッシュ(焼き菓子)を御供にしたら意外に美味しかった」程度の文章しか記していない。
フランス宮廷内部では彼女自身改革を急ぎすぎたがために、昔からの権利などに縋り付く貴族たちからの受けが悪かったのは事実である。しかし建てられた悪評の大半は革命家たちのレッテル貼りが原因で、実際には先述の発言のように事実無根、ないしは異常に誇張されたものがほとんどであり、そういった事が明るみに出た現在では彼女の名誉は徐々に回復しつつある。
人物
一人称は「わたし」。
天真爛漫で慈しみと優しさに溢れた少女であり、少々天然なところもある。口癖、あるいは決め台詞は「ヴィヴ・ラ・フランス!」。また誰彼かまわずベーゼする癖があり、他人を勘違いさせることも。純真無垢ではあるが、ところどころ強引でお転婆。華やかなもの、可憐なものが大好き。
国を愛し、人々を愛し、全てを愛し、そして国に愛された。
召喚補正で少女としての面が強いようだが、全盛期で召喚される英霊召喚の性質からか、革命の混乱期に王国と家族を守らんと奔走した頃の、“マリア・テレジアの血統”に目覚めた王妃としての気質が同居している。一国の民全てを愛で包む慈母の顔を併せ持ち、所謂『王気(オーラ)』も赤セイバーの見立てでは持っているらしい。彼女は愛すべきもの・庇護すべきものを見定めたときに無敵になれるが故にただのおっとりとしたお姫様と侮ると痛い目に遭うだろう。その屈託のない純粋さに誰もが心を奪われ、全てを慈しむ愛の深さに感服の念を起こす。
彼女の最期は悲惨だったが、彼女は国民を恨みはしない。彼女は国民に乞われ王妃となった。
そして王妃は民なくして王妃とは呼ばれない。彼らが望むのならば、その結末が次の笑顔につながると信じて自分が望まなくとも退場する。この考えからある一点を除いて恨み辛みはない。
マスターに対する態度は非常に好意的で、絆度もかなり上がりやすい。
マリーがマスターを配偶者のようなものと見做しているのも原因だろうか。
ちなみに食べ過ぎてもカロリーは胸に集中するのでウェストは変わらないらしい。
これは史実のマリーが1m越えの大変に豊満なバストを有しながら、ドレスコードとしてコルセットを巻いていたせいもあってかウェストが50cm台をキープしていた逸話に基づく。ある意味「天性の肉体」(保有スキル的には「神の恩寵」)。世の女性から嫉妬と羨望を集めそうである。
余談だが、水着の時に「この身体でよかった」「成長したら収まりきらない」という発言がある。
その為、『史実盛り』なんてタグが存在する程である(事実上専用タグ)。
能力
基本的にはサポート型のサーヴァントで、スキルや宝具を活かしたバフやデバフを主体とする。
生粋の姫君であるため白兵戦は苦手だが、ガラスの馬に乗って空を駆け巡り、ガラスの盾で敵の剣を防いだりと、アグレッシブな戦いもある程度こなせる模様。
モーション中では、その場でスピンして衝撃波を起こす、両手を合わせて光弾を速射する、投げキッスで光の柱を立ち昇らせる、花弁で形成された突風や竜巻を発生させる、ガラスの馬で突進する、百合の花を模したエネルギー弾を投下する、上空からピンクの流星弾を降らせるなどをする。
ステータス
マスター | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
藤丸立香 | D | D | B | B | B+ | A+ |
保有スキル
対魔力(C) | ライダーのクラススキル。魔術に対する抵抗力。Cランクでは、詠唱が二節以下の魔術を無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 |
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騎乗(A+) | ライダーのクラススキル。乗り物を乗りこなす能力。神より授かった王権の申し子である彼女は、フランス王家の象徴たる白馬の獣を始めとして全ての獣、及び乗り物を自在に操る事が可能である。ただし、竜種については騎乗出来ない。 |
魅惑の美声(C) | 天性の美声を持つ事を示すスキル。人を惹き付ける魅了系スキルであると同時に、王権による力の行使の宣言でもある。象徴的な存在として現界しているマリーは、歌声ひとつで王権の敵対者へと魔力ダメージを導く。男性に対しては魅了の魔術効果として働くが、『対魔力』スキルで回避可能。『対魔力』を持っていなくても抵抗する意思を持っていれば、ある程度軽減する事が可能となる。 |
王統の音色(B+) | 「魅惑の美声(C)」が変化したスキル。詳細不明。 |
麗しの姫君(A) | 統率力としてではなく、周囲の人を惹き付けるカリスマ性。Aランクのスキルを有するマリーは、ただ存在するだけで自分を守る騎士たる人物を引き寄せる。 |
神の恩寵(B) | 最高の美貌と肉体、『王権の美』を示すスキル。最高の美貌を備え、美しき王者として生まれついている。ゲームの効果から、『天性の肉体』の亜種と思しい。 |
百合の王冠に栄光あれ(ギロチン・ブレイカー)
- ランク:A→A+
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1~50
- 最大補足:50人
「さんざめく花のように、陽のように!」
「セーヌの流れ、モンブランの頂(いただき)……嗚呼、美しきフランス!『百合の王冠に栄光あれ(ギロチン・ブレイカー)』!!」
栄光のフランス王権を象徴した宝具。
外見は、フランス王家の紋章(百合の花の紋章)があしらわれたガラスの馬。真名解放時に出現し、輝く光のつぶてを振り撒きながら戦場を駆け抜け、王権の敵対者を蹂躙する。同時に味方のバッドステータスを解除し、体力や魔力を回復させる。
詳細は該当記事を参照。
愛すべき輝きは永遠に(クリスタル・パレス)
- ランク:A
- 種別:結界宝具
- レンジ:0~100
- 最大補足:1000人
歴代フランス王家の権勢を示す巨大にして優美を誇る宮殿が出現し、マリーと味方のステータスを一時的にランクアップさせる。たとえ王権が消え失せたとしても、愛した人々とフランスは永遠に残る、というマリーの信念が新時代の発展の象徴としてのクリスタル・パレスを呼び起こす。
詳細は該当記事を参照。
ゲーム上での性能
同ランクのライダーの中ではHP:12,000を超す、マルタに次ぐ耐久型。
ATKもフォウくんでの強化を含めると9000を超すので、決して攻め手に欠くことが無く、ライダークラス固有の全クラストップのスター集中率を活かし、Quickで稼いだクリティカルスターを有効活用できれば侮りがたい爆発力を発揮する。カードバランスは《Quick:2/Arts:2/Buster:1》で、ライダーの定形に収まっている。Arts性能が低い代わりにQuickのNP獲得量が良好なため、〔AQA→EX〕より〔AQQ→EX〕のほうがNP獲得量が近差だが勝る。
注目すべきは第一霊基解放で習得する「麗しの姫君(A)」で、5ターンのあいだHP回復状態の付与に加え、3回分の無敵状態付与が発生する。これによって1ターン以上は安全にHPを回復できるうえ、タイミング良く使えば敵の猛攻を無力化することも可能な鉄壁ぶりを発揮する。
さらに第三霊基解放で追加される「神の恩寵(B)」による自身のHP回復と精神異常付与の成功率UPで、「魅惑の美声(C)」による男性サーヴァントへの抑止を強化できる。
宝具は【敵全体に強力な攻撃&味方全体のHP回復+弱体解除】の効果。攻撃と回復を両立できる器用さが売りで、スキルや宝具に弱体付与やHP減少のデメリットのある味方を救援できる。特に次ターンまで自身にスタン付与が残るフランやタマモキャット等にはありがたい効果である。
2018年3月1日からの『サーヴァント強化クエスト 第8弾』でようやく宝具強化が入り、宝具威力・HP回復量が向上し、さらに味方全体にクリティカル発生威力アップ(3ターン)のサポートバフ効果が追加された。クリティカル威力の補正値は固定ではあるが、効果自体は腐りにくく、またスター稼ぎの得意なサーヴァントと組ませればより有効活用できる。
2020年2月12日のアップデートでモーション改修及びさらなる強化クエストが解放。
第1スキル「魅惑の美声(C)」が「王統の音色(B+)」に変化。魅了の対象が「敵単体(男性限定)」から「敵単体」、つまり敵の性別にとらわれずに使うことができるようになった。
さらに「味方全体の攻撃力をアップ(3ターン)」も追加され、味方へのサポートに磨きがかかっただけでなく、自らもさらに攻めかかることができるようになった。オマケにCTも「初期9→最短7」から「初期8→最短6」に短縮されるなど、大幅な強化が為されたと言えよう。ついでに魅了が無差別になったことで「神の恩寵」の精神異常付与率強化もようやく頭角を現し、特に宝具が飛んでくるタイミングで体力を回復させながら魅了の付与率をアップさせ、魅了で敵主力を麻痺させながら時間を稼いで味方の攻撃力を上げ、自陣営の態勢を整えるという器用な立ち回りも可能になった。
改修後モーションは攻撃こそ光弾によるものだが、アーケード版に合わせてより派手で動きやエフェクトにバリエーションが出た。宝具はアーケード版演出の逆輸入になっている。
天敵はジャック・ザ・リッパーで、スキル「情報抹消」により無敵を剥がされる上に、クラス相性と宝具効果による二重特攻で大ダメージを受けてしまう。
Quick主体で攻撃力も伸び悩むため、ほかの高ランクのライダーに後れを取りがちではあるものの、クリティカル強化&NP獲得量アップ対象不問の魅惑とカリスマスキルを獲得し、味方への貢献度が劇的に上昇。スカサハ=スカディがいる場合、短期周回システムへの適性こそ低いものの、両者の長所が上手く噛み合う上にマリーの天敵である殺クラスへの対策としても働いてくれる。
回復・攻撃バフ・敵戦線の抑止・弱体解除と、一騎で出来ることが多い上に、初期から最大の個性である耐久性がモノをいう、耐久型城塞と言うべき頼もしさを獲得。かつて「☆4ライダーのハズレ枠」としてマルタとともに邪険にされてきた冬の時代をようやく脱したと言えるだろう。
一方、彼女は同時に“曜日クエストの鬼門”としても恐れられる。敵サーヴァントにはスキルに対するチャージターンがないため、「麗しの姫君(A)」を毎ターン使用される危険性があるのだ。
2016年1月時点では調整が入って使用頻度が落ちたものの、それ以前は「麗しの姫君(A)」を連発してプレイヤーたちを恐怖とストレスのどん底に叩き落としていた(別名キラキラ地獄)。
こちらの宝具解放まで耐えられた日には最早目も当てられなくなる……
味方にいると頼もしい一方、敵に回すとトコトン厄介な王妃様である。
対策となる強化解除や無敵貫通効果持ちの多くが入手困難な高レアサーヴァントばかりの時代が長かったのも拍車を掛ける点であったが、現在は低レアや配布サーヴァント・イベント配布礼装にもある程度の数いるので、初期に比べれば攻略しやすい。
ちなみに、第三再臨にて服の色が変わるのだが、よーく見ると、スカートを履いてない。
この王妃様は恥じらいを何処に置いてきたのだろうか。なお、3Dモデルで描写されるアーケード版では当然丸見えである。中身はレオタード的なものかもしれないが。
人間関係
生前
誰もが知る稀代の音楽家。彼からは「マリア」と呼ばれる。
幼少期の彼が彼女に結婚を申し込んだ過去があり、彼の音楽は常に彼女へと捧げられていた。
元々親交があったフランスの処刑執行人。
彼の提案した処刑道具が敬愛していたマリーを処刑する結末となってしまった。
生前にドレスを送った騎士。デオンからも敬愛の念を抱かれている。
デオンのことは「女性」として認識しており、主従よりも友人として付き合いたいと思っている。
兄のヨーゼフ2世によって、宮殿音楽家に召し抱えられていたアマデウスの友。
彼からピアノを教わっていた事もあり「先生」と呼んでいる。
実の母親。オーストリアの女王。
史実では他の兄弟に比べて目をかけられていなかった模様。
実の息子。10年の短い半生を幽閉された塔の中で過ごした「最も救いがたい惨状と放棄の犠牲者」。別の世界では復讐者のクラスで召喚され、惨劇を引き起こしたという。
マリー・テレーズ
実の娘。彼女達の一家で生き残ったのは彼女だけであった。
最愛の夫。本来は民想いで、混迷する祖国の情勢を改善しようと尽力していたが、妻と同様に革命派の謀略によって暴君・暗君の汚名を着せられて処刑された悲運の名君。ちなみに最近の研究で、大工三人を木材の端に乗せて運んだキン肉マンであることが判明した。
余談
生前の彼女の結婚時にオーストリアからフランスへ渡る儀式が行われた館の部屋には『王女メディア』の悲劇が描かれたタピスリーが掛けられていた。ご存知イアソンとメディアの物語である。
ゲーテはこの件に対して「結婚の場に相応しくない不吉な祝いの装飾」と書き残してるが、きしくもそれは現実になってしまった(尤も、マリーとルイ16世の仲は終始良好だった)。
悲劇の死後に、不吉な装飾と言われた二人に会うことになるとは思いもよらなかっただろう。