パワーレンジャー・ワイルド・フォース
ぱわーれんじゃーわいるどふぉーす
概要
百獣戦隊ガオレンジャーのリメイク版で、ストーリーの基本展開はかなり原典に近い。
ただし明朗な作風だった原典と比較して、悲劇的な要素も多く特にレッドの設定は重くなっておりラスボスとの因縁が話の骨子として組み込まれている。
(子供向け番組の表現規制が厳しいアメリカの事情を考えると、日本の原典より鬱展開が組み込まれるのは異例なことである)
また、歴代レッドレンジャーが登場する『フォーエバー・レッド』ではビーファイターカブトの追加戦士とジースタッグ、ブラックビートがマシンエンパイアの敵幹部として登場している。(ちなみに、ビーファイターシリーズはアメリカでビッグ・バッド・ビートルボーグの題でリメイクされているのだが、どうしてこのような扱いになったのかは不明。)
変身コールは「ワイルドアクセス!」であり、流用の都合で変身バンクが改変される事の多いパワレンにおいては珍しく、日本と変身バンクが全く同じである。
なお、名乗り口上は原典での称号を意識している。
レッドが「ブレイジング・ライオン」、ブラックが「アイアン・バイソン」、ブルーが「サージング・シャーク」とここまでは日本版の必殺技のネーミングと同じだが、イエローが「ソーリング・イーグル」(空舞う鷲の意味。彼女だけ原典とは全く意味合いが異なる。原典は孤高の荒鷲(NOBLE EAGLE)である)、ホワイトが「ノーブル・タイガー」(気品ある虎という意味。意味自体は原典の「麗しの白虎」(BELLE TIGER)からそこまで乖離していない。なお、原典で「ノーブル」を使っていたのはイエローの方である)、シルバーが「ハウリング・ウルフ」(吠える狼という意味。原作では「閃烈の銀狼」(SPARKING WOLF)だった)と別物になっている。
登場人物
- コル・エヴァンス/レッドライオレンジャー(ガオレッド)
ジャングルで育った野生児で動物の言葉がわかる。1枚の家族写真を頼りに、両親を探して街にやってきてふとしたきっかけでパワーレンジャーに加入。中盤で両親が既に殺害されていた事を知る。
原典では獣医だったが、本作品では「戦いが全て終わった後、獣医になることを決心」という結末になっている。
- テイラー・イアハート/イエローイーグルレンジャー(ガオイエロー)
米国空軍の女性パイロット(原典は男性の航空自衛官)で勝ち気な女性。金髪の白人。
ちなみに、現実のアメリカにも結構女性の戦闘機パイロットは存在する。
- マックス・クーパー/ブルーシャークレンジャー(ガオブルー)
以前はプロボウラーになりたがっていた高校生(原作でもボウリングと関わりがあった)。ダニーと仲がいい。
- アリサ・エンリレ/ホワイトタイガーレンジャー(ガオホワイト)
環境学専攻の女子大生。戦いの無いときは大学に通っている。父が著名な武道家のため、生身でも強いが心優しく面倒見がいい。(原典も父親が武術家。ただし、原典のホワイトは武術学校の生徒。)
- ダニー・デルガド/ブラックバイソンレンジャー(ガオブラック)
元花屋の店員。ごつい体に似合わず、熊のぬいぐるみがないと眠れない。(原典のブラックも元花屋。)
- メリック・バリトン/ルナウルフレンジャー(ガオシルバー)
3000年前の戦士。先代のマスター・オルグを封印する過程で自らも封印されていた。
- プリンセス・シャーラ
原典のテトムに相当する、メンバーの司令官的存在でアニマリアのプリンセス。
巫女というより「プリンセス」らしく、花の王冠状のものを被っている。
- カイト
原典の風太郎に相当する、ワイルドゾードの先祖アニマス。
3000年前の戦いでマスターオルグ究極体(百鬼丸)に敗れて死亡したが、長い時間をかけて少年の姿で蘇った。「カイト」という名前はコルに名前を聞かれた際、近くの木に引っかかっていた凧が由来という原典と同じもの。
- エヴァンス夫妻(リチャード・エヴァンス、エリザベス・エヴァンス)
回想のみに登場。コルの両親。かつてビクター・アードラーと同僚かつ共通の友人だったが、後述の理由によりビクターに逆恨みされていた。伝説上のアニマリアの実在を証明する研究や調査を行っており、本編開始の20年前に当時赤子だったコルを連れジャングルにビクターとともに調査に訪れた際殺害された。
その際妻のエリザベスはとっさにコルを隠し、コルはその後ジャングルに住む部族に家族写真ごと拾われて育てられた。
登場人物(敵)
- マスター・オルグ/ビクター・アードラー
本作のラスボス。かつては人間で、コル・エヴァンスの両親と同僚の科学者だった。
コルの母エリザベスに惚れていたが告白直前に彼女がコルの父リチャードと婚約し、さらにリチャードが研究で高い名声を得たため彼らを逆恨みしていた。
エヴァンス夫妻とジャングルに調査に訪れた際、先代マスター・オルグの芽を見つけて食べて能力を獲得し、エヴァンス夫妻を殺害して自分は現代のマスター・オルグとなった。
当初はオルグの能力を得た人間止まりだったため作り物の角をつけていたが一端倒されて部下達にも見捨てられた後、本物のオルグと化す。
- ジンドラックス(ヤバイバ)
ピエロのデュークオルグで、トキシカのパートナー。オルグ復活前は人間に化けて野犬捕獲員になっていた。ジャガロンという弟がいる。
原作同様トキシカとの仲は良好で、終盤で非業の死を遂げた彼女を蘇生させたが、その後の結末が異なり、彼女と共にパワーレンジャー側へ寝返り、最終的に生還した。
- トキシカ(ツエツエ)
ジンドラックスのパートナーで、二人で一般のオルグをスカウトしたり倒されたオルグを巨大化させる。
プリンセス・シャーラを捕らえるが、1本角が折れてしまった。用済みとしてジャングルブラスターの直撃をマンディロクに無理矢理身代わりにされる形で1本角を残して消滅。その後ジンドラックスによって蘇生されるが、原作と違ってオルグ巫女にはならず、彼と共にパワーレンジャー側へ寝返った。
元々顔出し女幹部の為、彼女の出る場面は基本的に現地俳優による新規撮影。
- ゼン・アク(狼鬼)
3000年前に封印されていたデュークオルグ。その正体はメリックがウルフマスクの力でオルグ化した姿。
- レティナクス(シュテン)
マスター・オルグのボディーガードであるオルグジェネラル。主君を守れなかったことを恥じて身を隠していたが、マスターの復活に伴い再び出現した。
- ネイザー(ウラ)
ウルフマスクの管理者であるオルグジェネラル。
- マンディロク(ハイネスデューク_ラセツ)
- ヘリコス&アルティラ(プロプラ&キュララ)
戦車とヘリに似たオルグジェネラル。
- ロファング、タカッチ、キレット
31世紀で封印されていたオルグが、ランシックからミュータントの遺伝子を吸収して復活した「ミュートオルグ」。
他のオルグとは大きく異なる異形の外見が特徴的で、戦闘能力も非常に高い他、オルグのものとも違う独自の言語で話す。
角が複数あるため階級は低いはずだが、マスターオルグ以外には全く従わず、デュークオルグであるジントラックスとトキシカにも容赦なく襲い掛かる狂暴な性格。
元々ガオレンジャーの劇場版に登場したオルグ三兄弟を流用する予定だったが、火事でスーツが消失してしまい、『電磁戦隊メガレンジャー』のジゴクネジラー、『星獣戦隊ギンガマン』の闇商人ビズネラ、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』の雷針サイマ獣ライマのスーツが流用された。
本作オリジナル装備
- サヴェージサイクル
原作のウルフローダーに相当する装備だが、今回は5人にも支給されており、それぞれのパートナーであるパワーアニマルの化身とされる。
ガオファルコンが変化した物はワイルドライダーと呼ばれ、飛行形態に変形する事が出来る。
本作オリジナル武器
- ジャングルブラスター
以下の5つの武器からなる、ガオイカロスをイメージさせる必殺バズーカ。(この為、ゴリラ、エレファントを模した武器はない。)日本風にいうなら『破邪百獣砲』といった所か。原典に登場しない追加戦士やバトライザーが登場するのはよくある事だが、原典に登場しない合体武器というのは非常に珍しい。原典に登場しても全く違和感のなさそうな外見をしている。
- ファルコネイター
レッドの専用武器であるガオファルコンを模したクロー。ジャングルブラスターのボディを構成。
- ディアクラッチャー
ホワイトの専用武器であるガオディアスを模したハサミ。ジャングルブラスターの最後部を構成。
- アルマジロパック
イエローが使用する。ガオマジロを模したボール。その名の通り、ジャングルブラスターのカートリッジになる。
- ソードオブパルドリス
ブルーが使用するガオジュラフを模した槍…ではなく片手剣。(原典でガオジュラフは獣皇剣の強化に使われていたので間違ってはいないのだが。)ジャングルブラスターの上部を構成。
ちなみに、名前が英語のジュラフではないが、『カメロ・パルドリス』はラテン語でキリンを意味するので一応ネーミングとしては間違っていない。しかしこれだけ動物名がラテン語なのでかなり浮いている。
- ライノシューター
ブラックの専用武器であるガオライノスを模したビームガン。ジャングルブラスターの砲頭を構成。