「我らはデザリアム。歴史に残らぬ弱者どもよ………」
宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する敵対国家暗黒星団帝国に関係する名称。
初出は『ヤマトよ永遠に』で、ここでは彼らの本星の名前である。
リメイク版である『宇宙戦艦ヤマト2205』では、勢力名となった。
概要
イスカンダル星を自分たちの故郷に持ち帰るという目的で現れ、そのためにガミラス星を破壊した。イスカンダル星を手に入れようとする理由はまだ謎。
その出自については謎が多く、どこから来たのかは『2205』作中では明らかにされなかった。戦艦や要塞の名前もガミラスやガトランティスの艦と異なり独自の言語ではなく地球の言語で名付けられていたり、デーダーやメルダーズが地球のクラシック音楽(劇中では、ドビュッシーの「月の光」・「夢想」やショパンの「夜想曲第2番」、モーツァルトの「幻想曲K.397」の4曲が流れている)を聴いていたりと、地球と何かしらの関わりがあることが示唆されている。
また、話し方も旧作とは異なっており、劇中では作戦の障害となる存在(前章ではガミラスを指している)を「ノイズ」と呼んだり、予想外の事態に見舞われることを「針が飛ぶ」と言い換えるなど、レコード関連の言葉を引用している。
独特な目は生身の特徴ではなくなり、科学的な処置によるものとされている。普段は地球人やガミラス人などと同じような目をしているが、任務に取り掛かる際に目の周りに黒い膜がブロックノイズ状に広がり、それがやがて黒い縁取りと青い白目になる(参考映像)。
ちなみに服も同様で、全裸状態の身体に貼り付いていくように実体化する(なので『ヤマトという時代』のヤマトークにて先行公開された映像でそのシーンを観た人からは魔法少女とか言われた)。
なお、「とある致命的な弱点」を持っているのは旧作と共通。その弱点の大元については「呪われた力」と嫌悪している。
その一方でゴルバ内部には異質なあるものがあり………?(リンク先『2205』ED後のネタバレ注意)
技術体系
地球ともガミラスとも異なる技術体系を持っており、各種兵装にその要素が見られる。
主要武器であるビーム砲は、地球やガミラスのような陽電子砲ではなく、重核子砲となっている。そのビームの色は赤黒い粒子が散りばめられたピンク色。
ちなみに地球とガミラスのビームはオタマジャクシ状、ガトランティスのビームは矢状の形になっていたが、デザリアムのビーム形状は先端に塊がないスタンダードな表現(ただし『2205』第5話のみの描写ではあるが、近接信管のように敵至近で炸裂するビームも放っており、こちらはオタマジャクシ状になっている。また、『2205』はビームエフェクト自体が結構コロコロ変化しており、地球やガミラスのビームもオタマジャクシ状じゃない場面が多々ある)。
防御装備としては波動防壁ともミゴヴェザー・コーティングとも異なる原理を持つ「位相変換装甲」という特殊装甲を備えている。
受けた攻撃をノイズキャンセリングの要領で相殺することで無効化する。出力は搭載兵器の機関出力に依存するため、小型艦はそれほど強固ではないが、大型艦はショックカノン数発に耐え、要塞級ともなるとデスラー砲(波動砲)すら完全に防いでしまう。
機動面では一部の艦艇は「積層型姿勢制御ユニット」と呼ばれるものを装備しており、劇中では姿勢制御や方向転換時にスラスターを使う描写が無い。
このユニットの塊といえる起動翼を有するプレアデス改級は、巨体に見合わぬ機動性を発揮するとされる。
主な人物
主な登場兵器
艦艇
- プレアデス改級攻勢型戦艦 グレート・プレアデス
ガミラス星・イスカンダル星を襲撃したデザリアム艦隊の旗艦。全長410m。
旧作のプレアデスのリメイク艦。積層型姿勢制御ユニットを備え、その巨体に見合わぬ機動性を発揮する。
実は本来、こちらがリメイクアニメ版のプレアデスとしてデザインされた艦。ただ、その過程で旧作版のプレアデスも登場させることになったため、最終的にプレアデスの改良型指揮艦として設定された。
デザリアム艦隊の中核となる大型艦。全長405m。
グレート・プレアデスと同じく旧作のプレアデスのリメイク艦。先述した通りグレート・プレアデスが指揮艦となったため、本作では艦隊主力を成す量産型戦艦として設定された。
グレート・プレアデスと同じく積層型姿勢制御ユニットを備えるが、艦の形状は旧作のプレアデスほぼそのものというべきもので、グレート・プレアデスにあった機動翼は備えていない。ただし、機動力そのものは高い他、主機関と別に補機も備えており、艦橋とは別に艦底部にも管制室を備えるとされている。
デザリアム艦隊の大部分を占める小型艦。全長210m。
旧作の護衛艦のリメイク艦。100m弱の小型艦であった護衛艦から倍以上にまでスケールアップされ、艦橋構造物は旧作に比べてやや切り詰められている。火力面では主砲は戦艦の副砲を流用したものであまり高くはないとされているが、防御力は紙装甲だった旧作版と比べてコスモパイソンの対艦ミサイル攻撃にも耐えるなど非常に進歩した(でも流石にショックカノンにはやられてしまったが)。
多数の航空機や陸上兵器を搭載する輸送艦。全長1000m。
航空機
- 襲撃戦闘機カタピラス
イモムシ型戦闘機のリビルド。
とても航空機とは思えない突飛な挙動を取る。
陸上兵器
- 掃討三脚戦車ガバリア
細長い三脚を持つ全高54mの大型戦車。
- 殲滅多脚戦車ガーム・ビゥ
四脚の小型戦車。全高6.5m。「2205」ではゴルバ内部に無数に積まれており、飲み込まれた次元潜航艇を襲撃、乗っていたハイニを抹殺した。その後デウスーラⅢ世が体当たり、特殊装甲を破った時はゴルバから這い出し、突き刺さっている同艦を破壊しようとした。しかしその途中ゴルバが1発の爆弾で取り返しのつかないダメージを負ってしまい、連動するように全て機能停止した。
その他兵器
全高10kmにも及ぶ巨大要塞。
- デザリアム・ハンマー
ガミラス星に降り注いだ兵器。ガミラスからは「巨大な槍状の物体」と呼ばれる。
未知のエネルギーを地表から叩き込み、惑星の地殻、果ては内核まで破壊し、星を崩壊させる。さらにエネルギー転送機能を有し、星を破壊した際に生じたエネルギーをどこかへ転送している。
寿命が近く破壊しやすい星をエネルギー資源として利用するための兵器。
- グランドリバース
詳細不明。
謎
『2205』時点では彼らの全容は全くの不明であり、謎が非常に多い存在として描かれているため、その正体に関してファンから様々な予測が出ている。
『2205』時点で判明していることとしては、劇中やスタッフの発言から、
- 「デザリアム千年の夢」と称される大望がある
- 地球やガミラスとは全く異なる技術体系を持つ
- 波動エネルギーを「呪われた力」と評する
- イスカンダルを「忌むべき星」や「闇」と称し、それと対を為す「光」を自称する
- イスカンダルの聖域サンクテルを自分達の管理下に置こうとする
- 地球のクラシック音楽を聴いている
- 何かしらの「記録」に基づいて行動しており、記録に存在しないものをノイズと称して排除しようとする
- 感情の揺らぎや高まりを忌避するが、同時にデザリアム千年の夢の実現に必要であることが示唆されている
- 劇中宇宙を指して「この時空間」と称する
- メルダーズは「海」の概念を知っている(「釣り上げる」「網を放つ」等の表現から)
などが挙げられる。
サンクテルを狙った理由については覇権国家時代の遺物である膨大な「星のエレメント(=イスカンダルが固定・保管してきた数多の星間文明の記録)」と劇中で推測されているが、実際のところは不明。また、「デザリアム千年の夢」の内容も、波動エネルギーを「呪われた力」とする理由も不明。
加えて、現時点ではリメイク版におけるデザリアムの地球侵攻の理由が不明であり、他惑星への移住に際し数世代暮らせる一時移住先として地球を求めたガミラス、短時間で大量の兵器の生産が可能である時間断層を欲したガトランティスに対し、同じく波動エネルギーを用いるガミラスと(一応は)同盟関係にあるが、時間断層はもはやない地球をデザリアムが攻めるメリットは薄いと考えられる。強いていうなら、地球にはイスカンダルと地球、両方の「星のエレメント」を有するイスカンダルの忘れ形見がいるが………?
ファンの仮説
- 未来or並行世界の地球人説
『2205』ED後に明かされた衝撃の「あるもの」から囁かれている仮説。詳しくは該当記事(無論ネタバレ)を見ていただきたいが、「それ」は明らかに2205年には存在しない異質なものだった。
また、彼らのバックボーンが本格的に明かされるであろう作品の名前は「3199」の番号を冠している。これまでのリメイクシリーズでは作中の西暦を関することが一般的だったが、『REBEL3199』に関しては公式から舞台は2207年であることがすでに公表されているのもあり、この3199が何を指すのか、何よりREBEL=反乱とは何に対してのものなのか、そしてキャッチコピーの「敵は宇宙戦艦ヤマト」とはなんなのかなどの点から、「デザリアムは時間断層を放棄しなかった時間軸の西暦3199年の地球人類である」という仮説もある。
この仮説を捕捉する根拠として、先述のレコードの件や宇宙艦艇の命名法則がある。
ちなみに、ヤマトがイスカンダルに向かって旅立ったのは2199年。それに「デザリアム千年の夢」の1000年を足すと、ちょうど3199年。
- マーズノイドの成れの果て説
『2205』の前に公開された映画『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』は『2205』に向けた予習としての側面があり、その中で内惑星戦争の内容について触れたため、これを伏線と捉えて「デザリアムは内惑星戦争時に修理した異星宇宙船で太陽系から落ち延びた一部のマーズノイドの成れの果て」とした仮説。
- シャルバート黒幕説
『REBEL3199』が『宇宙戦艦ヤマトIII』の要素も合わせていることも合わせ、同作で重要な立ち位置だった伝説の文明シャルバートが関わってくるとする仮説。『3199』が『永遠に』と『III』が一緒になったから生まれたトンデモ説...というわけではない。
まず、デザリアムにおけるある人物のキャスティングなのだが、その人物は『III』においてシャルバートと深い関わりのある人物を演じている。また、『III』の没プロットではシャルバート人がかつて作り上げた「機械の女王」とヤマトが戦うというどことなく旧作の暗黒星団帝国を思わせる設定があり、この設定を取り入れるのではないかと睨むファンも少なからずいる。
これらのことから「デザリアムの正体は旧作のシャルバートに相当する文明なのではないか」あるいは「デザリアムを裏で操る黒幕がシャルバートなのではないか」という仮説を唱えるファンもいる。特に後者は他の説と絡めて「地球人やマーズノイドをシャルバートがデザリアムとして仕立て上げた」とする仮説もある。
なお、『2205』冒頭のガルマン星の描写をみるに、リメイク版ヤマトの世界にもシャルバート(もしくはそれに相当する文明)が存在していることが確実視されている。
- 単なる宇宙人説
「地球人類ともシャルバートとも関係ない第三勢力の星間国家だろう」という説。つまりは原作通りの設定である。
バリエーションとして、「未来or並行世界で地球を併呑した宇宙人」なんて説もある(ちなみに旧作『永遠に』のPSゲーム版でスカルダートがついた嘘の内容がこれ)。