概要
初出演作は短編アニメ「シリー・シンフォニー」シリーズの1934年度制作作品「かしこいメンドリ」。この作品においては脇役であったが、人気を博して単独の映画シリーズが作られるようになった。
ヒロイックで聖人君子的に描かれるようになったミッキーとは対照的に、感情的で俗っぽいキャラクターであり、時には眉を顰めたくなるような悪さをすることもあるが、それらが功を奏してミッキー差し置き短編映画作品数トップという輝かしい経歴を得ることとなった。
なお、初出演作がカラー短編という出自を持っている。
キャラクター概要
短気で、とても喜怒哀楽が激しい。自分にちょっかいを出してきた相手に対して徹底的に仕返しを行おうとする一方で、他人にちょっかいやいたずらを仕掛けておもしろがり、自分が勝ったり、得する為に小賢しいズルをしようと考える非常に子供っぽい性格である。
アヒルらしい騒がしい声で非常に聞き取りづらく、友人のミッキーやグーフィーでさえ彼の話していることが分からないときがある。また激昂すると独特ながなり声で喚き散らす癖がある。
1987年版「Duck Tales」(邦題「わんぱくダック夢冒険」)の頃までは、職業軍人(アメリカ合衆国海軍)であるとされていた。第二次世界大戦中はディズニーも戦意高揚プロパガンダ色の強い作品を作っていたが、主役はだいたい職業的に彼。ヒトラーと殴り合ったり、日本の潜水艦を追いかけたりしていた(他にはプルートなども軍用犬をやってたりする)。ただ、これらの作品はディズニーの考え方に沿わないとされ、現在は半ば「封印」されているようである。ちなみに、大戦中ミッキーは「良心的兵役拒否」したとか。
1987年版「Duck Tales」では空母乗組の辞令を受け、長期航海に出ることから甥の三つ子にスクルージの元に向かうように告げて乗艦に向かっていく。この為、この作品では殆ど出番はない。
2017年版「ダックテイルズ」では求職者になっている。このシリーズではスクルージやその周囲の設定も従来とは変更されている部分が多く、スクルージと、ドナルド双子の妹・デラとの3人でちょっとした因縁と言うか秘密を抱え込んでいる。
甥っ子にヒューイ・デューイ・ルーイ、伯父のスクルージ・マクダックとルードヴィヒ・フォン・ドレイク教授、従兄弟のガス・グース(『食いしん坊がやってきた』のみ出演)、そして恋人にデイジーダックがいる。
チップとデールは天敵ともいえる存在であり、彼らを倒すために手段を選ばないが、大概は敗北してしっぺ返しを食らい、とことん酷い目に遭っている。他にも甥っ子や蜂、アラクワンという鳥や果ては無機物(例えば「ぼろぼろタイヤ(言語版タイトル:Donald's Tire Trouble)」に登場したタイヤなど)達からも酷い目に合わされており、「ミッキーマウス!」の「僕は君(言語版タイトル:New shoes)」では、叔父、甥っ子、チップとデール、蜂といった身内や天敵・宿敵達から集団リンチされている(なお、この回はミッキーとグーフィーと一緒に中身が入れ替わっていて、、この時のドナルドの中身はグーフィーになっていた。ラストシーンでミッキーやグーフィーと共にドナルドは元通りになったが、その際にも集団リンチされていた)。
ただし、宿敵達から一方的にやられっぱなしというわけでもなく、話によってはピート親子、ハンフリー・ベアやライオン(ピューマ)など最終的にドナルドが打ち負かした敵も決して少なくはない。
大抵は「ドナルドの山男(言語版タイトル:Timber)」「ドナルドのボロ飛行機(言語版タイトル:The Flying Jalopy)」などのように、最初は酷い目に遭わされることが多いものの、最終的には何かしらの出来事でドナルドが逆転勝利する話が多いが、「ドナルドとライオン(言語版タイトル:Hook, Lion and Sinker)」などのように、あまり不利な状況にならずに宿敵に勝利した話もある。
ただ、「ドナルドのベルボーイ(言語版タイトル:Bellboy Donald)」に登場したピートの息子でもあるピートJr.については、何度も酷い目に遭わされた後、最終的に堪忍袋の緒が切れて、エレベーターを破壊するほど仕返しをしたこともあって、ドナルドがベルボーイから解雇される結果になっているため、実質引き分けに近い。
短編アニメーションの出演数はミッキーよりも多いが、その3分の2は最終的にドナルドが散々な仕打ちを受けて終わるオチとなっている。
なお、彼の性格設定は、モノクロ初期のミッキーの短期で乱暴者、俗っぽい性格描写に対し、子を持つ親からクレームが来たため、徐々にミッキーの描かれ方が優等生的リーダーといった位置づけに変化したことに伴って、ドナルドに受け継がれたことからきている。
その為、ミッキーに対しては宿敵というわけではないが、少なからずライバル意識を抱いており、ディズニー公式からも「親友というよりは悪友」と認識されている。
声優
原語版
海外でのオリジナルキャストはクラレンス・ナッシュ。彼は動物の鳴き真似などの名手であり、ドナルドの性格形成・特徴的な声の創造に貢献した。この功績や彼自身の思い入れもあり、クラレンスの愛称はダッキー。さらに当時のディズニーの得意分野であったアニメと実写の融合作品では共演までしている。ミッキーマウスやグーフィーが一部声優が不定だった中、クラレンスは白血病となり降板するまでドナルドを1934年から1985年までの51年間ほぼ休まず演じ続けた。
唯一担当しなかったのは「ドナルドの夢の声」で変声した際のハンサムボイス(その回でモブ役を演じていたレスリー・デニソンが担当)の時のみで、その作品でもクラレンスはドナルドの普段の声として出演していたため、ほぼ皆勤賞と言っていい。
その後を引き継いだのがトニー・アンセルモである。本来アニメーターであったトニーはクラレンスに気に入られ、よく可愛がられていた。当初は面白半分でモノマネをしていたが、やがて高齢かつ白血病にかかったクラレンスから後任として見出されたようで、病気のことを明かさず技術を伝承されていたという。死去直前の病床では正式に後任として使命され、現在は二代目として定着している。
現在は一部作品でダニエル・ロスが演じているが、今後正式に三代目となるかは不明。
日本語版
ディズニーの吹き替えを独自に行った会社が非常に多く、原語とは打って変わって吹き替えが始まった当時はあまり安定しなかった。
1950年代には既に三人の声優がおり、初代は坊屋三郎、続いて藤岡琢也、肝付兼太と移った。
1984年から発表されたバンダイ発売のビデオ版では関時男が演じた。当時多数のビデオがリリースされたこともあり、次点で有名なのはこれ。
同時期に放送していた日本テレビの番組「ミッキーマウスとドナルドダック」では緒方賢一が担当。
1988年にテレビ東京で放送された「わんぱくダック夢冒険」では富山敬が演じた。
ここまで紹介してきた人物は、所謂聞き取りが困難なアヒル声ではなく、本来のアヒルの鳴き声である「ガーガー」という低い声に合わせたトーンのキャスティングが行われてきた。
現在の日本語キャストは山寺宏一であり、30年以上に渡って担当している。ドナルド役を得るために原語における声を研究し、松本梨香の協力を受けてようやく完成したもので、受けたオーディション回数は6回だとか。その再現度の高さは本国のディズニーにも評価されている。なお、先のクラレンスが唯一演じなかった「ドナルドの夢の声」の変声ボイスも、なんと山寺が全て演じている。ただ本人曰くこの声で話すのはかなり苦労するようで、何年経っても難敵と称している。
ちなみに、山寺は「わんぱくダック夢冒険」(テレビ東京放映版)ではナレーターをしていた。
ちなみにパブリック・ド・メイン作品を安価で発売したDVDシリーズでは小坂知裕が演じた。が、これまでのそれとは違って吹き替えというよりは単純な翻訳を読み上げるというテンションであった。
余談
ドナルドダックの誕生日は、現在は初出演作である「かしこいメンドリ」が公開された6月9日であるが、短編映画「ドナルドの誕生日」では、誕生日が3月13日になっていた。後に、他のディズニーキャラクターと同様に「初登場作品の公開日が誕生日」と近年になって設定されたため、現在の誕生日は6月9日に設定されている。
関連イラスト
関連タグ
苦労人、不運…あまりに理不尽な目に遭う頻度が高い事から、人によってはそう見えるかもしれないが、前述のとおり、実際のところドナルド自身の悪戯やズルが発端になるパターンが多い。
トム:『外国出身の有名なアニメキャラクター』で『自分より小さい生き物と共演して何度も酷い目に遭っている』という共通点がある。
ドナルド・マクドナルド:『外国出身の有名なキャラクター』及び『ドナルドが通称で呼ばれている』『富山敬が声を演じていた時期があり、その後任が山寺宏一』という共通点がある。ただし、母国(アメリカ)における彼の名前はドナルドではなく『ロナルド』が正しい。