CV:皆川純子
概要
登場時はクロスベル自治州クロスベル旧市街を根城にする不良集団「テスタメンツ」のリーダーで、中性的な美貌と謎めいた妖しい雰囲気を持った人物。
零の軌跡
特務支援課との出会いはゲームの序盤。旧市街で起きていた、ワジ率いる「テスタメンツ」とヴァルド率いる「サーベルバイパー」の喧嘩の仲裁にロイドが現れてからである。
それで知己を得るのだが、中盤での保養地ミシュラムで行われた「黒の競売会」では、一介の不良ながらホストの顔としても登場していたりもするほか、競売会の出品物が収められている倉庫にて、共にキーアを見つけるに至っている。
クロスベルのマフィア「ルバーチェ商会」が、「テスタメンツ」と「サーベルバイパー」の抗争に秘密裏に介入して対立を煽ろうと暗躍していた際にはワジも一時的に特務支援課に手を貸す一幕もあった。
この件から次第にクロスベルの裏に不穏な空気が流れ始め、「サーベルバイパー」のメンバーのひとりが薬物・グノーシスに手を出したことで大騒ぎとなる。ここから更にグノーシスが市中へと蔓延し、大きな災いの渦へと発展していく様を目のあたりにした。グノーシスを発端としたこの一連の事件は『D∴G教団』最後の司祭ヨアヒム・ギュンターが主導していたことから、後に『教団事件』と称される。
碧の軌跡
『教団事件』の解決後、再スタートを切る特務支援課の新たな増員メンバーとしてクロスベル警備隊より出向が決まったノエルに加え、なんとワジもそのメンバーの一人となった。
本人は「テスタメンツ」からは卒業と言っており、メンバーらも理解の上だったと言う(実際の事情は後述の正体ネタバレを参照)。
ところが、このワジの特務支援課入りに不満に示したのは「テスタメンツ」の仲間たちではなく、対抗勢力「サーベルバイパー」のヘッドでライバル関係にあったヴァルドだった。ついにはワジとの決着をつけるべくタイマン勝負を挑むヴァルドだが、本気になったワジはこれを難なく返り討ちにする。これによりヴァルドは今まで手を抜かれていたことを察して更に怒りを爆発させる。今まで以上に荒れた様子を見せながら強い力を欲するようになってしまい、そこにマリアベル・クロイスが近づき、ヴァルドにグノーシスを与えてしまうのであった。
中盤、猟兵団《赤い星座》がクロスベル市内を蹂躙する混乱の最中、グノーシスの効能で異形の怪物となったヴァルドが旧市街を一人で壊滅させてしまったことを知るワジ。
それに合わせるように特務支援課は新たに建国されたクロスベル独立国、その大統領に就任したディーター・クロイスより危険視されるようになる。ついには支援課メンバー全員が無力化・拘束されるに至るが、その直前にワジは「野暮用」と称してクロスベルを離れていた。
そしてクロスベル拘置所から脱走したロイドは神狼ツァイトの助けを得ながらクロスベル東側・タングラム門周辺まで辿り着く。そこで待ち受けていたのは、七耀教会の守護騎士ケビン・グラハムとその従騎士リース・アルジェント、そして……ワジだった。
(以下ネタバレ)
正体ネタバレ
その正体は七耀教会・封聖省に所属する『星杯騎士団』の守護騎士第九位《蒼の聖典》 。
テスタメントのサブリーダー・アッバスの正体もまた、彼の補佐を務める正騎士である。
何故教会の守護騎士でありながら不良軍団・テスタメンツを結成したりホストをやっていたのかというのも、厳格で知られるクロスベル教区のエラルダ大司教が星杯騎士団のクロスベル教区内における活動の全面禁止を打ち出したためで、ワジもその煽りを受けて実の顔で表立った活動ができなかったという事情によるものだった。
ちなみに不良を演じていた際の態度の方が素で、不良集団であるテスタメンツが宗教色を感じるのは彼の趣味によるものらしい。
なお、テスタメンツの名付け親はアッバスで、「テスタメント→聖典」という、ともすれば星杯騎士団との関連を疑われそうなネーミングにした理由は「不謹慎すぎて逆にバレないと思ったから(要約)」との談。
その後の反攻
ワジは星杯騎士団が所有する飛空艇「メルカバ玖号機」にロイドとツァイトを乗せて郊外各地を巡りながら、拘束・あるいは抵抗していた残る特務支援課メンバーを再集結させるに至り、そして結界が張られたクロスベルへ突入することとなるが、その前夜の絆イベントにてワジはロイドに自分の過去を初めて打ち明ける。
出自
ワジの生まれは、ゼムリア大陸辺境のとある隠れ里で、その里では《古代遺物》の石板をそうとは知らずに《神》として崇めており、ワジは物心ついた頃にその《神》の声を聞く《巫子》に選ばれる。
「零」本編の7年ほど前、その《神》が暴走して地脈を通じて精気を奪い取り里の者たちを昏睡状態に陥らせてしまう。その時に外界からやってきた七耀教会・星杯騎士団総長アイン・セルナートやアッバスら星杯騎士団によって《神》が古代遺物の一種であることを知らされる。真実を知ったワジは石板を破壊しようとするが、逆に生命力を根こそぎ奪われて死の淵に追い込まれた際に《聖痕》が顕れ、その石板の力を逆に全て奪い取ってしまう。これが彼の異名・《蒼の聖典》の由来である。
力を失った石板は砕け散り、これにより里の人々は救われるが、彼らはあろうことかワジを《神》を奪った大罪人と見做して責め立て、ワジは里を追われてしまう。これを見かねたアインたち星杯騎士団に誘われて総本山があるアルテリア法国に向かい、そこで修練を受け、《守護騎士》として迎えられる。
そして『零』の2年前、極秘のクロスベル潜入任務に就くが、前述のようにエラルダ大司教が市内での星杯騎士団の活動を禁じていた事情により、やむなくクロスベル市の旧市街で《テスタメンツ》を立ち上げるに至った。
結末
クロスベル市内突入後、戦いの末にディーターの身柄を確保するに至るが、ここに来て本性を現したマリアベルら真の黒幕たちがキーアの力で発現した『碧の大樹』で待ち構えていることを知り、メルカバを向かわせる。
その道中の半ばにて、ワジはグノーシスの力により魔人と化したヴァルドと対峙。ここでワジは奥の手である聖痕を発動し、自らの持つ力の全てをもってヴァルドに勝利。彼との決着を今度こそ果たした。
そして黒幕・マリアベルを打倒後、キーアが碧のデミウルゴスに変貌させられ、これをワジと共に壮絶な死闘の末に撃破した特務支援課は、ついにキーアを奪還した。
この一連の事件は「碧の大樹事件」と称され、事件後、ワジはグノーシスの大量摂取による薬物中毒に苦しむヴァルドを七曜教会総本山のあるアルテリア法国で療養させるべく、ロイドらとの別れを惜しみつつもクロスベルをあとにした。
『碧』本編にて結社身喰らう蛇の幹部、第七柱・アリアンロードと対峙する場面があるが、その強さをワジは「人間の身では勝てないことが決まっているような強さ」と評している。
閃の軌跡Ⅳ
一連の事件の後、エレボニア帝国の侵攻によりクロスベルは併合されてしまうが、併合後さらには『巨イナル黄昏』による全世界規模の世界大戦を帝国は起こそうとしていた。
この間のワジは直接は登場していないが、かつての帝国解放戦線の一員で、元・星杯騎士団の従騎士だったスカーレットをトマス副長との協議の結果、従騎士に復帰の上でワジが身元を引き受け、また前述のヴァルドも療養・修練の末にワジの従騎士に任じられたことにより二人を自身の飛空艇・メルカバ玖号機に乗せ、黄昏への抵抗のために行動していたことが語られている。
創の軌跡
大戦終結後、クロスベル再独立を教会関係者として祝福するところだったが、統一国を推し進めるために現れたルーファス総統率いる黒の衛士と対立。特務支援課、そしてⅦ組と新生帝国ピクニック隊に全面協力することになる。また、Ⅶ組出身で新たな同僚となったガイウス・ウォーゼルとも知己を得ており、騎士としては後輩であるため公的な場では「へミスフィア卿」と呼ばれているが、同年代のためプライベートでは「ワジ」と呼ばれ親しくなっている。
『創』においてグループミッションでワジを含めた『不良キャラクター』(アガット・クロスナー・レクター・アランドール・クロウ・アームブラスト・アッシュ・カーバイド)による掛け合いがあり、この際にワジはこれを「バッドボーイズ」と称している。
対人関係
特務支援課--ワジがクロスベルで出会った当初は新人ばかりの新設部署で歯牙にも掛けていなかった。が、何度か出会う内に彼らに惹かれて共に戦う仲間となる。ワジにとってはテスタメンツやヴァルドと並び、クロスベルへの愛着を象徴する存在である。
ロイド・バニングス--支援課のリーダー。初対面時は相手にしていなかったが、旧市街の事件を通じて親睦を深める。支援課メンバー内でも特にお気に入りで、「愛していると言っても過言ではない」らしく、時折怪しげな素振りでロイドに迫っては周囲を慌てさせることもしばしば。『再事変』ではノエルやリーシャと違うアプローチからロイド達が抱える歪みを正している。
ランディ・オルランド、ノエル・シーカー--支援課の同僚。ランディとは大人の遊びへの造詣の深さから気が合い、二人合わせてノエルを呆れさせることもある。とはいえ、性格的に真逆でもノエルとの仲も良好。ランディはワジが教会の関係者であったことは過去に教会とやりあった経験から勘付いていた様だが、ワジから明かすまでロイド達には黙っていた。
ヴァルド・ヴァレス--クロスベルに潜入した頃、既に旧市街を縄張りにしていた不良集団「サーベルバイパー」のリーダー。最初に返り討ちにして以来の喧嘩友達という関係だったが、ワジが特務支援課に加わったのを契機に関係が狂い始め、お互いの命を懸けた死闘を演じることになる。事件の後は療養を済ませたヴァルドを星杯騎士団の従騎士として連れるようになり、立場上は上官と部下だが当人同士の関係性は今までと変わらない様子。
テスタメンツ--潜入任務中に立ち上げた不良グループ。宗教がかった装いが逆にカモフラージュになっている。「D∴G教団」の事件後に仲間達の同意の上で一足先に卒業。その後もメンバーとの付き合いは続いている。
星杯騎士団--故郷の古代遺物を破壊し居場所をなくしたワジを引き取った組織。故郷に便宜を図っている彼らに少なからず恩義を感じてはいる。
アッバス、スカーレット--アッバスは正騎士としてワジの補佐に就いており、テスタメンツでもサブリーダーを務めていた。スカーレットはエレボニア帝国の内戦後に教会との取引でワジの元に引き渡される。ヨルムンガンド戦役の頃にはスカーレットがヴァルドと同じくワジの従騎士に加わり補佐役が増えたことで、アッバスは別行動が多くなる。
バトルスタイル
登場作品全体を通じて、得物は手甲。当初は不良ならではの喧嘩殺法と思われたが、正体から察するに七耀教会式の格闘術であることが窺える。そのためクラフトは「ファントムラッシュ」、「デッドリーヘヴン」といった持ち前の体術技が多い。
高い行動力やクリティカル率、平均以上の耐久力を持つため前衛として十分な強さを誇るが、教会騎士であることから魔法攻撃力も同じ特務支援課のエリィに並ぶほどに高い上に戦術オーブメントのライン構成も優れているため、クラフト「セブンスショット」が魔法系飛び道具かつHPとCP回復ができることから後衛に回って「セブンスショット」及びアーツで戦っても強く、特務支援課メンバーではオールラウンダー的な立ち回りで使うことができる。
Sクラフト・「アカシックアーム」は右腕を変形させて攻撃するというものだが、『創』において実際は変形した右腕より光弾を放つというものが確認でき、魔法攻撃扱いである。
別名・表記ゆれ
ワジ:略称
関連タグ
ロイド・バニングス ノエル・シーカー ランディ・オルランド ヴァルド・ヴァレス ティオ・プラトー エリィ・マクダエル
ケビン・グラハム リース・アルジェント - ともに『碧』で協力関係にあった七耀教会の騎士仲間。
ガイウス・ウォーゼル - 『創』において共闘した七耀協会の騎士仲間。戦闘後の掛け合いも存在する。
《金》のオランピア - どこか似た境遇でもあるキャラクター。
関連イラスト