いつか誰かが…
いつかだれかが
大変な家に生まれちまったな
皆地獄に堕ちればいい…
でも、僕は生きる!この世が地獄なら、いっそ生きて生き続けて…!
お前も病んでるなぁ…
…次回、「いつか誰かが…」…
長田亜希良とその妹の亜里奈は、性格に問題がある祖母・両親・姉、そして従兄に頭を悩まされていた。
その問題の多い家族と凄惨な家庭環境は、三藁が「地獄よりも地獄」「妖怪よりも妖怪みたい」と称するほどの凄まじさだった。
ある夜、亜希良は母が片手に青い藁人形を握る姿を目撃し、その翌日から祖母が姿を消してしまう。
しかし後日、情緒不安定かつ暴力的な従兄の義則が強引に家に居候することになってしまい、妹に悲劇が…。
長田亜希良
CV:山谷祥生
中学生。妹の亜里奈共々、性格に問題のある家族に頭を悩まされているが、母が祖母を地獄に流す姿を偶然目撃し、地獄通信の存在を確信する。そこで妹と共に三上・平田・秋山といった、両親と姉に恨みを持つような人々を集めて地獄流し計画を発案するが、三上に「自分が地獄に落ちるのが怖いのでは?」と指摘され、計画は破綻してしまう。
計画破綻後、従兄の義則が強引に居候をし始めてから一度は地獄通信にアクセスし、現れた閻魔あいに誰を地獄へ流せばいいか等と問うが、「それはあなたが決める事よ」と返答され、名前を書き込むことができなかった。
しかし、自分が地獄流しを決断できなかったばかりに妹が悲劇に見舞われ、強い無念に苛まれたことで遂に覚悟を決め、地獄通信に義則の名前を書き込み、黒い藁人形を手にする。
長田亜里奈
CV:おのののか
小学生。兄の亜希良共々、性格に問題のある家族に頭を悩まされており、特に従兄の義則を毛嫌いしている。しかしその従兄が突然居候することとなり、その結果心身共に破綻してしまう(ただし、彼女が逃げ込んだトイレの鍵が壊された形跡や、服を脱がされたような形跡もなかったため、義則による暴行が原因かは不明)今話最大の被害者。
長田トシ
CV:本山可久子
祖母。息子・健介の嫁である司織とは嫁姑問題でかなり仲が悪い。
夕食中に司織と大喧嘩し、亜須加からビンタを喰らった後、地獄通信にアクセスした司織によって地獄へ流されてしまう。姿を消したその後、家出した従兄の義則が亜須加の誘いで長田家へ強引に居候をし始めた際に祖母の部屋を使うようになった。
長田司織
CV:仲村かおり
母。祖母とは怒鳴り合い、物を投げ合う大喧嘩を繰り返すほど仲が悪く、自分を心配してくれた亜里奈にも容赦なくビンタをした。しかも男遊びのことしか頭になく、度々ホストクラブへ遊び歩いている。
家出した義則が強引に住み着いてきた時には夫と共に説得に出ようとするが、義則から暴行を受け、夫が逃げるように家出した後に自身も知人の元へ家出した。
長田健介
CV:中村和正
父。家庭を顧みない仕事人間で、実の母と嫁の喧嘩にも無関心な上、自分は別の女性と浮気してラブホに入り浸っている。
しかしまだわずかにも常識的な部分は残っており、家出した義則が強引に住み着いてきた時には妻と共に「家族が心配している」などと説得に出たが、義則から暴行を受け、逃げるように兄夫婦(義則の両親)の元へ家出する。
長田亜須加
CV:東城日沙子
姉。高校生で、同世代である従兄の義則とは仲が良く、彼や仲間と一緒になって同級生の三上に暴力的ないじめを行っている。
三上へのいじめに加え、母と祖母が食事中に大喧嘩をした際は祖母にビンタをかますほどの暴力的な性格だが、彼女自身も義則の情緒不安定ぶりに痺れを切らしていたのか、家出した彼を自宅へ招き入れてからは友達の家へ遊び歩くようになった。
CV:ランズベリー・アーサー
健介の兄の息子にあたる従兄。同世代の亜須加とは仲が良く、彼女や仲間と一緒になって同級生の三上をいじめている。
暴力的かつ情緒不安定(亜須加曰く「繊細」)な性格で、かなりの被害妄想癖の持ち主でもあり、些細なことでもすぐにキレて泣き出し暴力に出るという、ある意味別タイプのメンヘラ。
両親と喧嘩をして家出し、亜須加の誘いもあって長田家へ強引に居候し始め、説得に出た健介や司織に暴力を振るい、亜須加の外出中に小学生である亜里奈にも平気で危害を加える今話もといシリーズ屈指のクズ。
三上敏夫
CV:堀江瞬
亜須加と義則の同級生。学校では日常的に亜須加と義則のグループから縄跳びの紐で拘束され、ひどい罵倒と暴力を浴びせられるという、凄惨ないじめに遭っている。
亜希良から地獄流し計画で姉の地獄流しを持ちかけられた際、自身の一言が亜希良に迷いを生ませてしまうが、実はこの時点で既に地獄通信に亜須加の名前を書き込み、赤い藁人形を手にしていた。
平田有紀(CV:品田美穂)
秋山真一郎(CV:長谷川芳明)
平田は司織の浮気相手の妻である女性。亜希良の考えをいち早く見抜き、「そんなこと考えるんじゃない。」と諭して計画に反対する(なお反対の理由としてこの程度のことではリスクが高いこと、司織の人間性をよく知ってることと、浮気は許せないがこっちはこっちで好きにやってるからと述べている)。
秋山は健介の浮気相手である女性・佐々木恵(CV:中恵光城)を「心の恋人」と呼んで好意を寄せる眼鏡をかけた男性。長田家にあるという3億円の資産に目が眩み、三上を含む三人の中で地獄流し計画に唯一賛同した(しかし実際に彼が地獄流しをしたかどうかは不明)。
「やっと決心がつきました。あなたの言った通り地獄に落ちるのが怖くて…」
義則が強引に居候し始めてから数日後、両親がそれぞれ逃げるように家を出てしまい、義則を招き入れた張本人である姉も友達と出かけて不在中、妹の身に起きた悲劇に大粒の涙をこぼす亜希良は遂に覚悟を決めて地獄通信に義則の名前を書き込み、黒い藁人形を手にする。
地獄流し計画を持ちかけられた時、既に地獄通信に亜須加の名前を書き込んで赤い藁人形を手にしていた三上と共に「自分達が生きるために」と、二人同時に藁人形の糸を引き、亜須加・義則を地獄へと流した。
「君が姉さんを流そうとしたあの時、もうこれは貰ってたんだ。でも踏ん切りがつかなくて…君と同じだよ。」
「僕も考えた、そしてこう結論したんだ。あいつらをこのまま生かしておけば、誰かが犠牲になる。その人達の為に自分が犠牲になろうって」
「それに地獄に落ちることが分かってる人生なら、この先どんな奴に出会っても怖くないと思わないかい?」
「やろう、僕達が生きるために。」
「はい…」
地獄へ流された亜須加と義則は縄跳びの紐で全身を強く締め付けられ、現れた閻魔あいが「いっぺん、死んでみる?」と唱えると…、
二人の顔は風船のごとく膨らみ、一気に破裂するのだった。
山童によるナレーション「こうして、少年の従兄弟と姉は地獄に流されました…」
姉と従兄があいに断罪されたその後、家を出た両親は結局帰ってくることはなく、引きこもる妹は虚ろな目で精神が破綻したままだった。
そして亜希良はこれ以上妹のような被害者を出さないためにもと、凶器を手に三上と共にいじめグループの一人を拉致し、一人一人直接地獄流しをする殺人鬼へ変わり果ててしまうのだった…
「亜里奈、お前のような子を一人でも助けるために僕はやるよ!」
そして蝋燭には、「長田亜希良」の文字が………
地獄少女シリーズ史上、誰も救われないトラウマ回となった…。
- 今話のサブタイトルは「いつか誰かが…」だが、台本に載っているタイトルでは「いつか誰かが流される」となっている。
- 今話と同じく「家庭崩壊」をテーマとしたエピソードで、シリーズ第2期『二籠』の第7話「絆」がある。この話では「兄の死により、母親及び家族が次第に狂っていく」という過程が描かれており、生々しい内容となっている。
- 「大切な人を守ることが出来なかった少年が犯罪者の道を踏み出す」という結末はシリーズ第2期『二籠』の第6話「陽のあたる場所」を彷彿とさせる(しかし地獄通信にアクセスしたものの、あいに拒否され藁人形を貰えなかった)。
- 「妹を助けることができなかった無念から地獄通信にアクセスし、妹を襲った相手を地獄へ流す」という点は『宵伽』最終回となる第6話「あやおり」と共通している。
- 中華料理店を営んでいた父を襲った犯人を見つけるため、犯人の勤め先である会社の食堂に務めていた藍原唯の恋人・吉岡哲哉には同じ職場に務めていた妹がいたが、唯の父を襲った犯人である社長の仲間に襲われ、脅迫された挙げ句に自室で首吊り自殺を図ってしまう(時系列は明らかにされていないが、「父を襲った社長の仲間は唯の父の事件後に事故死した」と偽った哲哉の台詞から推測すると、おそらく唯の父の事件直後と思われる)。妹が遺した遺書で真実を知った哲哉は地獄通信にアクセスして妹を死に追いやった犯人を地獄へ流した後、唯の父を襲った犯人(真犯人である社長が大金で雇った替え玉)の裁判の傍聴席にいたことやその時の独り言で唯が真犯人を見つけるための手がかりを作った。