CV:佐藤聡美
概要
『地獄少女 三鼎』におけるキーパーソンにして、もう一人の主人公とも言えるキャラクター。市立賽河原第四中学校3年生のごく普通の少女。
友人に高杉秋恵やアミーゴスなる三人組の女子生徒が居り、特に秋恵とは金蘭の交わりを結んだ親友同士である。
ある日、突然閻魔あいの魂に憑依された事であいと精神がリンクする様になり、彼女の住む街の人々やクラスメイトたちが引き起こす地獄流しを見せられるようになる。
当初は脈絡の無い幻影や当事者達のトラブルに戸惑い、時には未然に防ごうと足掻くものの、無印の一の時同様いずれも失敗してしまっている。
賽河原市の祭日である六文灯籠の日にはとうとう秋恵までもが地獄に流され、自らも地獄流しの業を直視せざるを得なくなっていく。
肉体を失ったあいが現世で活動するための依代であり、あいが具現化する時は蝶の羽化のようにゆずきの背中にある蝶の痣を突き破って現れるという結構痛々しい仕様となっている。
内気で大人しい性格だが、秋恵の地獄流し以来あいへの反発から彼女に強気な態度を見せるようになる。
両親は出張中らしく、団地で一人暮らし。
注意!ネタバレを含みます!
親友の高杉秋恵が真山梓によって地獄に流された後は、地獄通信を意図的に無視し、受験に打ち込む様になる(アニメでは14話以降、地獄通信にアクセスしそうな人を予知出来る様になり、依頼を阻止するために動き出す)。
しかし高校の合格発表の日に、
自分が合格した筈なのに自分の受験番号が他人と被る、
友達がゆずきの事を失念する、
担任がゆずきの内申書を紛失する、
住んでいるアパートが廃墟と化していく
などの異変が発生。少しずつ自分の存在が周囲から失われていくことになる。
そして自宅で白骨化した幼い自分の亡骸を見つけた時、自分が既にこの世の人物ではない事を思い出した。
過去
ゆずきの父・一彦(声:磯部弘)はバスの運転手だったが、ゆずきが小さい頃に整備不良に伴う事故によって大勢の客と共に死亡。その際に事故の責任をバス会社から押しつけられたため、残されたゆずきと母親の小夜子は酷い迫害を受ける事になる。
小夜子(声:島本須美)は1人でゆずきを養うために必死に働くも、ある日とうとう過労で倒れてしまい、ゆずきも酷いいじめのせいで学校に行かなくなる。追い詰められていく母子を山童はじっと見守っていた。
日に日に衰える母を救おうとゆずきはなけなしの知恵を絞って役所へ行ったり隣近所に助けを求めたりしたが、幼い彼女に出来ることはほとんど無く、一人川縁で途方に暮れるしか無かった。その時ゆずきは幼い秋恵と出会い、彼女から飴をプレゼントされ励まされていた。ゆずきが秋恵と親友になるのはこの時の記憶が強く影響していると思われる。
そして思い詰めた小夜子はゆずきを連れて家を出ると、近所の廃神社に潜り込んだ。母の意図を知る由も無いゆずきは、社の扉の隙間から漏れ聞こえた女子中学生たちのお参りの声を聞き、楽しそうな少女たちの様子に憧れを抱く(本来小学校低学年程度の歳だった彼女が中学生の年齢になったのはこの時の記憶による。)。
しかしこの時小夜子は既に弱り切っており、ゆずきを手にかけることができないまま息を引き取ってしまう。冷たくなった母を看取ったゆずきは、山童が咲かせた季節外れの桜の花びらで母を埋葬すると、一人誰も居なくなった家へ帰っていった。
生きる気力が尽きたのか、飢えで動く力も残されていなかったのか、ゆずきは誕生日に父から貰ったクマのぬいぐるみを抱いてそのまま餓死したのだった(OPの冒頭で幼いゆずきがクマのぬいぐるみを抱きしめながら眠るシーンは、これへの伏線だった事が分かる)。
自分の事を思い出すと同時に、地獄少女になる運命を受け入れて第二の地獄少女となるが、掟を破り私怨で梓を地獄に流そうとしたため、人面蜘蛛から永遠に地獄を彷徨う罰を下される。
しかしそれを庇ったあいが永遠の地獄少女となった事で一旦は解放され、あいに感謝しながら成仏していった……
……筈だった。結局、後に人面蜘蛛により第二の地獄少女に復帰させられた描写がある。
ゆずきが復帰したのは公式イラストによれば、笑みを浮かべている事から自分の意思なのが窺える。しかし別のイラストではやはり憂いに満ちた表情を浮かべている事から、全てに納得している訳ではない事が窺える。
(漫画版では復讐は何も生まないと思い留まるが、きくりから地獄の秘密を知った者をそのまま返す訳にいかないと地獄を彷徨う罰を下される、というくだりになっている)。
余談
- ゆずきを演じた佐藤聡美氏とあい役の能登麻美子氏は、“普通の中学生なのに一人暮らしをしている”事から、「ゆずきは普通じゃない」と思ったらしい。
- ヒロインを務めたのにも拘わらず、あいの様なフィギュアが販売される事がなかったという、ある意味可哀想なキャラクターである。全シリーズでないとダメなのか。
- 藤商事より販売・稼働しているパチンコCR地獄少女シリーズでは初代から登場しているが、地獄少女としてピックアップされるのは二作目『CR地獄少女 弐』から。アニメ版では三鼎のみの登場だったが(『宵伽』の回顧録除く)、パチンコ及びパチスロでは宵伽以降も地獄少女の一人として登場し『P地獄少女 四』の地獄少女モードではあい・きくり・四藁達とは三鼎の時よりも親しくなっており、買い物や食事の支度などの家事を担当している事が明かされている(地獄少女モードの会話におけるゆずきがアニメ版本編の延長線でなのか、そうならば地獄少女として健在なのか成仏後に再度霊として戻ってきたのかは不明だが、いずれにせよ山童以外の人物からは「ゆずき」と呼ばれており、三鼎の時と比べて距離感はかなり縮まっている)。更にアニメ版では会う事も無かった寒河江ミチルとの会話も実現している。