概要
おまるとは、広義の意味では持ち運びできる簡易トイレ(ポータブルトイレ)のことを指す。
狭義の意味では、主に1歳~3歳程度の幼児が用いる簡易トイレのことを指し、こちらの意味で使われることが多い。
漢字では「御虎子」と表記する。
形状
形には、大きく分けて椅子型/壷型の「座る」おまると、鳥型や動物型をしている事の多い、「またがる」おまるの二種類があり、欧米圏では「座る」おまるが、アジア圏では「またがる」おまるが、よく見られる傾向がある。
我が国(日本)においては、1980年末頃~1990年初頭まで、アヒルや白鳥を主とした鳥型のおまるや、ウサギやクマを主とした動物型のおまるが主流であったが、1990年中頃~2000年以降からは、上述の型に代わり、キャラクターを採用したものが多くなった他、幼児期のトイレのしつけに対する考え方の変化から、補助便座や踏み台など、複数の機能を持つ型が主流となった。
使用
主に排泄の訓練と習慣づけのための道具として、また、大人用トイレの使用が困難である、幼児のためのトイレとして使われる。
1990年代後半からおまるの多機能化が進み、大人用トイレに取り付けられる補助便座や、大人用トイレを使用するための踏み台(ステップ)として使えるものが現れてからは、排泄の訓練と、大人用トイレへの橋渡しの為の道具として用いられることが多い。
中世ヨーロッパでは古代ローマに存在した水洗式トイレが受け継がれず、一般の人々はおまるで用を足していた。ところがその処理方法が今では考えられない方法であり窓からおまるの中身を捨てていたのである。その為、通りは汚物が散らばる上に歩いてくると降り掛かってくる恐れもあった。これが、中世ヨーロッパで猛威を奮ったペスト・コレラの蔓延の原因の一つとなったのである。
白鳥おまる
おまるといえば白鳥、という方は、少なくないと存じるが、現在、おまるの代名詞としてよく知られているところの、「白鳥おまる」が登場したのは1960年代。
コンビ株式会社が世に出したもので、発売後5年ほどで一気に普及した。
ただ、この「白鳥おまる」、あまりに普及・浸透してしまった為、他社製品どころか、自社で出している、他のおまるの販売にも影響が及んだ・・・という話も残している。
実際、30年ものにも渡り、何度かの改良やマイナーチェンジを受けながら生産され続け、生産が終了して久しい現在(※2012年現在)においても、「おまる=白鳥」というイメージが、根強く残り続けている事を考えれば、その印象と影響の強さがうかがえよう。
ちなみに、よく「アヒルのおまる」という呼称を聞くが、それらは実際には、「白鳥おまる」のことを指している事が多い。
「アヒルのおまる」も、確かに存在するのだが・・・。
広義の意味でのおまる
病気等の理由で、トイレに行く事が困難になった場合や、トイレが存在しない場所で用を足す場合等に用いられる簡易トイレ。
病院等でよく見られる。また尿瓶(しびん)等も、広義のおまるに含まれる。