概要
煎餅の一種だが、生地を焼いてすぐ醤油に漬けて染み込ませるのが特徴。
煎餅特有のパリパリとした歯ごたえはなく、しっとりしている。
銚子市は米と醤油の名産地であり、元々煎餅づくりが盛んであった。
昭和30年代に、とある店が規格外品の有効利用として考案し、それが正式な商品として広まったのがぬれ煎餅である。
当初は湿っているという苦情も多かったが、口コミで人気が高まり、現在は複数の業者が参入している。
銚子電鉄との関係
同市内に路線を有する銚子電鉄は、副業として1995年からぬれ煎餅を生産している。
銚子電鉄の経営難は地元では有名であり、救済のために地元企業が無償で技術供与して実現したものである。
それでも、当時は数ある土産の一つにすぎず、目立つものではなかった。
転機となったのは2006年。
親会社の社長が銚子電鉄の資金を1億円以上も横領し、逮捕される事件が発生。
同社の資金難はついに限界に達し、車両整備すら出来ない状況に陥った。
「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」
この文句と共にぬれ煎餅の購入による支援を呼び掛けたところ、2ちゃんねるを中心に口コミで広まり、鉄道ファンでない者も含め全国から注文が殺到。
一時は生産が追い付かずオーダーストップするなど、文字通り「嬉しい悲鳴」をあげる事態となり、見事に車両整備費の捻出に成功した。
本件は一般メディアにも多数取り上げられるなど、ぬれ煎餅は銚子電鉄の救世主として一躍有名になった。
現在でもぬれ煎餅の販売は継続しているが、ブームが落ち着いたことや、東日本大震災の影響で観光客が減少した事から、テコ入れとして2018年には「まずい棒」を発売した。