八雲紫と綿月豊姫は東方Projectのシリーズ作品である『東方儚月抄』(小説版・漫画版)にて初共演した。
『儚月抄』にて
『儚月抄』作中で起こった事件である「第二次月面戦争」において紫は地上(幻想郷)から綿月豊姫と綿月依姫の姉妹がリーダーを務める月の都への侵入を試みたことから両者は対立関係となり、実際に二人は迷いの竹林で対峙した。
普段はどこか飄々とした二人であるが、このときは互いの真剣な側面を見せている。
幻想郷と月の都には科学技術的な格差があり、さらに紫はこの接触以前から豊姫を含め「月の民には力ではかなわない」ともしており、両者の差異からスペルカード戦含め紫と豊姫が衝突することは無かった。
その代わりに紫は技術に依らない智恵と策略でもって月に挑み、豊姫も八意永琳の支援のもとで威嚇以上の武力によることなく自身の能力を最大限に用いて紫らに対応した。
両者は物語の最後までそれぞれの経験や能力、人脈によってそれぞれの目的を果たそうとしていた。
それは「第二次月面戦争」開戦以前から終結後に至るまで続いた、静かな戦いであった。
その後の博麗霊夢と豊姫の会話では、豊姫は紫を指して「月の都に住んでいて知らない者はいない」、「地上にいて自由に月の都と行き来出来る厄介な妖怪」と評している。
「境界」
また両者はそれぞれ「境界」を操る能力を持つ。
両者の二つ名にもそれは見てとれ、紫は「境界の妖怪」「境目に潜む妖怪」であり、豊姫は「海と山を繋ぐ月の姫」(月と地上をその能力で繋げるという意味合い。レイセン曰く「海と山を同一視できる能力」)である。
儚月抄では紫は「境界」を操って月に侵入し、豊姫もまた「境界」を操って紫らを迷いの竹林へと誘導している。ただし豊姫に関しては、レイセンを連れて月から地上の迷いの竹林に移動した際、レイセンが月から移動したことに当初気づいていない様子があり、どのような形で「境界」を操作しているのかは描かれてはいない。
また、紫が月への侵攻に際しては永琳の仕掛けもあって「満月の夜」という限定条件下である一方、豊姫はその限りではないようである。