アスカンナとは、アイドルマスターシンデレラガールズのカップリングの1つ。
概要
ニヒラーな14歳、二宮飛鳥。
ラブ&ピースな19歳、有浦柑奈。
どうしてこの二人を並べるのか? と疑問に思われても仕方がない。
なにせ標榜する思想やスタンスはパッと見て真逆といって差し支えなく、
実際最初に共演したときには見事なすれ違いっぷりを見せた。
その時点ではちょっと相性が悪い組合せくらいにしか思えないが、
しかしどこかしらの光明を見出したPも確かに存在した。
実のところ、互いの進む道が平行線のため、
その線が交差することは(通常より)稀有だろう……というだけで、根本的に合わないと言えるほどではない。
もともと度量は広いため(飛鳥はたびたび理解をしようと他者に近づいたり、一見斜に構えているようで他者の考えを受け入れる範囲は大きい)、
キッカケさえあれば……という状態だったが、
まさかまさかの再登場により、本格的に“説得力”を持つに至った。
登場の経緯
□グリッターステージでの同伴がことの始まり。
同登場内における劇場第274話にやり取りがこの二人の関係性を集約してると言っても過言ではない。
柑奈『——だから世界に愛が必要なの。愛をもって人と接すれば世界は平和になるんだから』
飛鳥『ふーん 愛と平和は未来と同じだと思うけどね。信じる者の心にしかないところもそっくりさ』
まさにすれ違い。
こう見えて別に喧嘩しているわけではない。
あくまですれ違っているのみであり、この時点では互いの考えを知り合った、という段階だった。
「意見のぶつけ合いすらしていない」というべきだろうか。
(※ちなみにタイトルは『あいとはせかいとは』。愛と言えば柑奈、セカイといえば飛鳥である)
共通名のカードでもだいたい↑の台詞に準拠したやり取りをしており、
柑奈のほうでは
『愛と平和について語り合いましょう、飛鳥ちゃん! 相容れない?』
との発言がある。
この後双方にどんなやり取りがあったかは不明であり、どんな意図と経緯の「相容れない?」なのかも不明瞭である。
推測になるが、飛鳥は柑奈の、柑奈は飛鳥の考えを尊重したうえで自分のスタンスを貫いているのみであり、強いて言うなら「確認」以上の出来事はなかったと思われる。
パッと見て会話のドッジボールに映るかもしれないが、二人の間では確かなパスとキャッチが成り立っていたのである。
実はアニメでも共演しており、第6話にガールズバンド的な構成の炭酸清涼飲料水のCMに出演している。メンバーは白坂小梅、松永涼、二宮飛鳥、有浦柑奈、早坂美玲。
Panta Orange。
しかし、ぽっと出と言われればぽっと出。そのままこの関係に音沙汰はないものと思われていたが……
瀬名詩織と共にthinE/Daseinとして再登場する事態が起きた。
当時の衝撃といったらもの凄い。ユニットの詳細の分からなさも凄い。
なので詳しくは該当項目等を参照してほしい。
ともあれ、詩織という非常に大きく大らかな器の少女に助けられる形で、
柑奈と飛鳥がついに声を届かせ合うに至ったのであった。
それぞれが決めた方向を進む二人――その道が交わることがあるのかはともかく。
互いへ届いたその波紋は、確かな共鳴を成したのだ。
意外と似たもの同士?
空虚と無力を感じながら、それでも“ナニカ”を求め叫ぶ飛鳥。
愛と平和を唱えながら、実現の難しいそれを願い叫ぶ柑奈。
毛色こそ異なるが、「自分の求めるもののために生き方を貫く」という姿勢は共通するものであり、
年上かつ“ギターだけ背負って夢を叶えに来た”柑奈はある意味で豪の者。
ささやかな反抗としてファッションや言動を意識する飛鳥からしてみても、
柑奈はある意味畏怖に値する生き方をしているかもしれない。
飛鳥『思えば、ボクらは歌のダーザインだね。孤独な魂を震わせ、響かせる』
柑奈『たとえ孤独でも、歌は人を繋ぎますよ!ラブはいつも、ここに!』
ここで重要なのは、柑奈が「人は孤独である」ことを否定していないこと。
ラブとピースを唱えることこそ、孤独を裏返しに認めている証左。
内面的に、あるいは思想的に柑奈は飛鳥に共感している節があるのかもしれない。
(地味に飛鳥のほうから振り、柑奈が答える……という最初のやり取りと逆であり同じ形である)
総括
でこぼこコンビどころか背中合わせ、といった風の二人。
果てしなく平行線上に立つ者同士だが、実は近しい箇所もあったりと、
なんとも難儀な組合せである(所属ユニットも含めて)。
だが確かに通じ合うものがある。
飛鳥『柑奈さん、アナタの旋律はボクのセカイに届いたよ。こんなにも…熱い』
柑奈『じゃ、一緒に歌いましょう!同じ世界に生きる家族として!』
飛鳥が『アナタ』と呼びかける。
(アナタ。飛鳥にとってそう呼ぶに相応しい何かがあったのだろう)
すれ違いを続けるかもしれないこの関係において歩み寄ったのは飛鳥であり、ここに彼女の真摯な姿勢がある。
柑奈が『家族』と呼びかける。……こっちは平常運転か。
なんとも、なんともはや難儀。
しかし、しかしどこか見逃せない、引かれてしまう“熱”がある。
そんな二人として、アスカンナの趨勢をここに。