ウィキッド・セレモニー
うぃきっどせれもにー
※以下、『コードギアス双貌のオズO2』本編の重要なネタバレを含みます！閲覧注意！
自らの真実の記憶を取り戻したマリーベル・メル・ブリタニアとその共犯者が遂行した最終計画。
初代のゼロが命を賭して成し遂げた『ゼロへの鎮魂歌(ゼロレクイエム)』が『悪意』を司るなら、彼女が行うのは正しく『悪しき魔女が執り行う式典(ウィキッド・セレモニー)』……『恐怖』を司るものである。
第99代ブリタニア皇帝に即位したルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは反対する者達を徹底的に弾圧した。皇族及びそれに近い貴族達は皆、新皇帝を盲目的に支持している。
その中で、ナンバーズの解放によってスペインの名を取り戻したエリア24の総督であったマリーベル・メル・ブリタニアは上述の通り共犯者のある男と共にある計画を練っていた。
そのためにマリーベルはエリア24の戦力提供を申し出、ルルーシュはあるナイトギガフォートレスを提供する。ルルーシュはマリーベルに「自分達の見ている道は似ている」と称するが、マリーベルはそれをはぐらかす。
その後、帝都ペンドラゴンの消滅と日本での決戦により世界はルルーシュ皇帝の手に落ちる。そして、マリーベルは天空要塞ダモクレスの防衛の総責任者となり、エリア24に留まっていた。正に彼女は魔王に荷担する悪辣な魔女となっていた。
ダモクレスの決戦から二ヶ月が経とうという頃、ナナリーを始めとした反乱分子の処刑を直轄領の日本で行う事を掴んだコーネリアは旧知のノネット・エニアグラムを通じてオルドリン・ジヴォン率いるグリンダ騎士団とピースマークのオズにフレイヤを搭載したダモクレスの攻撃を要請、ダモクレスのマリーベルを牽制しつつ、ナナリー救出とルルーシュ暗殺を行う計画である。
スペイン上空で繰り広げられた決戦は苛烈を極め、マリーベルは自らルルーシュから提供されたエルファバで出撃、オルドリン達を蹂躙し…これまで溜まっていた悪意を八つ当たりのようにまき散らす。
同じ頃、恋人のエウリアの仇にして自身の叔父であるオイアグロ・ジヴォンとの死闘を通じてオルフェウスはマリーベルの真意に気付く。
二人のオズが戦っている間にノネット率いる突入部隊がダモクレスに突撃してフレイヤの無力化を図る。しかし、内部にはフレイヤが一発も存在しない。そんなことを知りもしないオルドリンはダモクレスの鍵を取り出したマリーベルを斬ろうとする。だが、間に入ったオルフェウスはギアスで自身をオルドリンに偽装、マリーベルと共にエルファバから落下する。
マリーベルはこれまで、父のギアスで与えられた偽りの記憶によって踊らされていたとはいえ、テロの根絶というさも崇高な理念を掲げながらも、只自分自身の怨念をまき散らすだけであった。そのためにオルドリンとオルフェウスを復讐の道具にしていた。
自分の悪戯心が招いた悲劇で母と妹を死なせてしまった上に、親友と恋人を復讐の道具にして殺戮を繰り返していたマリーベルは最後まで殺戮の魔女である覚悟を決める。そのために、悪逆皇帝である義兄に荷担し、彼と同じく自らを恐怖の象徴としてオルドリンに討たせ、今後の世界の争いの芽を見張る番人にしようとしていた。
皇族として守るべき市民も、部下の命も全く省みなかった災厄の魔女は最後の最後で己の罪を償うべく、良い魔女として親友に願った。本当の意味でテロの根絶をしてほしいと………
すんでの所で真意に気付いたオルフェウスがギアスでオルドリンに姿を変えて、マリーベルを刺してエルファバから落下する。兄と親友の死を見たオルドリンは慟哭するが、二人の遺体は発見されなかった。その後、一連の戦いが報道されたことでグリンダ騎士団は超合集国と黒の騎士団の間に立ち、双方の暴走を抑制すると共に紛争地へと赴く役割を担う事となる。当初の計画とは若干のイレギュラーがあったとはいえ、計画そのものは成功。
悪意の象徴たる魔王と恐怖を象徴する魔女が消えたことで、世界は平和の道を歩み始める。それを守るのは悪逆皇帝を討った仮面の英雄と英雄皇女を討った紅の騎士である。
しかし、紅の騎士の母が眠る墓にはもう一人の筆頭騎士の仮面がナイフと共に供えられていた。
良くも悪くもルルーシュが司るゼロレクイエムに乗っかり、その結果に左右される所も多い。
しかし、覚悟は勿論ルルーシュと同等であるが、それ以上に計画完遂の難易度は高い。
まず、ゼロレクイエムと比べて計画の真意を知っている人物が少ない。
どう見積もってもマリーベルとオイアグロのみである。
つまりはマリーベルは勿論だがオイアグロが途中で戦死した場合、リカバリーをできる人員がいなくなってしまうのである。
無論の事マリーベルもオイアグロも歴戦の戦士であり、並大抵の兵士では太刀打ちできないがそれでも人員に関するリカバリ難易度についてはスザク、C.C.、特派メンバーのロイドとセシル、ニーナ、ジェレミアと計画の真意を悟っている複数名の補佐官がいたゼロレクイエムと比べてはるかに高い。
また、一番大事な『自らを討つ英雄』についても真意を知っていたスザクがルルーシュを討つゼロレクイエムに対し、ウィキッド・セレモニーでその役割を担当するオルドリンは何も知らされていない。
これは何も知らされていないからこそ好きであった事が裏返しになって本気で殺しに来る効果も見込めるが、土壇場で友情に揺れて自分を殺しにかからず説得に来る可能性も決して否めない。
無論の事そうならない為にもルルーシュからダモクレスの鍵を渡されており、フレイヤを発射するそぶりを見せて殺しに来るよう対策は打ってあるが、それでも一部の要点に関しては難易度はゼロレクイエムより高い所も存在する。
だが……自らの命と名誉を捨てて愛する者達の『明日』に願いを託した二人の決断と結末に優劣など存在しない。
