「前にも言ったが……」
「オレ様は魔物の中でもエリートだ」
「使える呪文もすでに8個… 臆することなどなにもない!」
プロフィール
(公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」内の魔物大百科、及び魔物発見場所マップから引用)
概要
邂逅編に登場した魔物。
本の持ち主は秋山進一(詳細は「本の持ち主」の項目を参照)。
作中で何度も「エリート」を自称している通り、邂逅編時点であれば充分に強者といえる実力者(とはいえ、作中や公式情報として「王族」や「神童」等と明らかになっているわけではないので、生まれが高い身分なのかは現在でも不明)。
また、「~シル」「~バオ」「~イド」系を作中で初めて使用した魔物でもあり、ある意味では今作における「術の系統」を一気に開示した存在でもある。
そして、ゾフィスよりも先に「人の心を操って(言いくるめて)利用する」行いをした魔物でもあり、作中で初めて清麿が心からの怒りを抱いて殴りつけた魔物でもある(ちなみに清麿が激怒した「本の持ち主」であれば細川が初となる)。
人物像
容姿
身長こそ低めではあるが、少し額を見せる形の金髪に色白の肌、整った顔立ちが特徴的。
服装は半袖ワイシャツ+半ズボンにスニーカーというラフな組み合わせで、端正な顔立ちも相まって「生まれの良いお坊ちゃん」のような印象を抱く。
普段は清麿もエシュロスを本の持ち主だと誤解してしまうほど人間に近い顔をしているが、凶悪さが滲み出るシーンでは目つきが鋭くなり、魔物特有の「目の下の線」も浮かび上がる。
そして戦闘時には、トップ画のように顔の左右が青色に染まって髪が後ろへ流れ、鋭い爪も生える等、より「魔物」だとハッキリわかるような変化が起きる。
性格
今作の序盤で登場する「ヒール役/やられ役」に違わず、後述のように他者を言いくるめて都合よく利用することに何の罪悪感も抱かない非道な性格。さらに他者の命を奪うことさえ厭わない一面も存在する。
また、作中で度々「エリート」を自称したり、進一に対して「お前さえやる気になれば負けることはない」「お前はオレの言う事だけを聞いていればいい」と言っているため、プライドが高く自分勝手な面も散見される。
実力
一部の読者からは「エリート(笑)」や「自称エリート」などと実力を過小評価されたり、ネタ扱いされてしまうこともあるが、邂逅編時点で術を8つも修得しているため、エシュロス自身の素質は充分に高い方だと言えるだろう。
実は石版編序盤でキッドが登場するまで術数では作中最多をキープしていた。
現に、邂逅編時点で登場した多くの魔物は術を2~4つしか使用しておらず、強者であるブラゴでも4、バリーでも5つという状態だったため、単純な術の総数でいえばまさに破格であった。
ただ、惜しむらくは石版編~ファウード編に登場した実力者達と異なり、エシュロスは「初級→中級→ディオガ級」のように「縦に長く」術を修得したのではなく、「幾つもの初級呪文+妨害系+ギガノ級は1つだけ」と「横に広く」術を覚えてしまった点だろう。
とはいえ、邂逅編時点では多くの魔物にとっての「最大呪文」であったギガノ級相当の術もきちんと修得しているし、もし生き残っていれば伸びしろは相当あったに違いない。
また、アニメ版では、
- グランクラッグを使用するシーンがカットされており、その影響で術の総数が1つ減っている。
- 進一の想いで強化されたグランセンでラシルドを破壊するシーンもカットされており、作中で初めてラシルドを破壊したというインパクトを残せていない。
- グランバイソンと巨大版ザケルをぶつけ合った際の、原作における清麿の「オレの方が少し押し負けた!?」という台詞(心の声)がカットされており、アニメしか見ていないとグランバイソンがザケルに「押し勝った」のではなく「相殺された」と誤解されてしまう。
と、原作版から削減された描写も複数ある。
エシュロスの術の描写だけでなく、進一の台詞回しや演出等も原作から多少変更されている箇所があるので、アニメ勢かつファンの方はぜひ原作版も見ていただきたい。
術
術属性については、公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」にて「地」属性と解説されている。
原作において、現代の「王を決める戦い」においてエシュロスと同じ地属性の魔物は他に1体も確認できないため、何気にティオやブラゴと同様オンリーワンの属性となっている(※)。
(※)後に登場したドグモスは「千年前の魔物」なので該当しない。また、劇場版「101番目の魔物」に登場したアカツキも(ほぼ間違いなく)地属性だが、こちらは原作本編には登場していない。
グランダム
およそ10メートル以上はありそうな巨大な土の壁を相手の左右から発生させ、挟み込むようにして押し潰す。
ザケル一発で粉砕されたため耐久性は低いものの、単純な術の大きさであれば並のギガノ級すら超えているので、ある意味ではエシュロスの素質を表しているとも解釈できる。
クレイシル
やや液状にした土を足元から発生させ、壁のようにして攻撃を防ぐ。
実はティオのセウシルよりも先に披露された「シル系」である(シルとシルドについては「術(金色のガッシュ!!)」の記事を参照)。
グランバオ
足元の地面を瞬間的に爆発させ、爆風で相手を吹き飛ばす。
ダルモスの「べギルバオ」やクリアの「バ・スプリフォ」と同じく、「瞬間的に自身の全方位を攻撃する」効果の術(いわゆる「~バオ/バ~」系)。
グランカルゴ
地面から複数の土の槍(6本ほど)を一斉に出す。
見た目通り「硬い=切れ味がある」のか、攻撃を受けたガッシュは切り傷を負ったような様子だった。
クレイド
弾力性のある土を大量に発生させ、絡み付かせることで相手の動きを封じる。
こちらもクレイシルと同じような例で、妨害系を得意とするパピプリオの術よりも先に披露された「~イド系」である。
グランセン
土の砲台を召喚し、岩石を飛ばして攻撃する。
実は原作においては作中で初めてガッシュのラシルドを破壊した術でもある。
また、ガッシュのザケルに続いて「心の力の込め具合によって術の見た目が変わる」描写をされた術であり、初使用時には4つの小さな砲台が並んでいたが、進一が強い想いを持った後は大口径の砲台へと変化していた。
しかも後に登場したドグモスのグランセンは、ボルボラのガロンやエルジョのビライツと同時攻撃してもラシルドを破壊できなかったため、如何に進一の想い(もしくはエシュロスの素質)が強かったのかが窺える。
グランクラッグ
両手を地面に着け、前方の一定範囲の地面を粉々にするほどの爆発を起こす。
作中でも珍しい「相手」ではなく「フィールドそのもの」を直接的に攻撃するタイプの術。
前述したように、アニメ版では(おそらく地震を連想させてしまうためか)未使用となっている。
グランバイソン
「自分のことばかり考えてゴメン…」
「でも… でも僕は君達を超えて…」
「強い人間になりたいんだ!!」
土でできた数メートル以上もの巨大な蛇を召喚し、噛み付かせるようにして攻撃する。
オウ系ではないものの、フリガロのラギコル・ファングと並びガッシュのバオウ・ザケルガよりも先に登場した「動物を象っている」タイプの術(アニメ版ではブラゴvsフリガロが石版編直前に回されているため、作中初の「動物を象っている」タイプの術となる)。
正確な等級は不明なものの、ブラゴ戦にてギガノ・レイスと相殺した巨大版ザケルでも僅かに押し負けるほどなので、この術もギガノ級相当は確定だと思われる(※)。
(※)一部の読者からは、グランバイソンは「通常のザケル」(もしくは「そこそこ力を込めたザケル」)とほぼ相殺した程度……と過小評価されてしまうこともあるが、これは誤解なので注意。
該当シーンのザケルは普段のような「放射状の電撃」ではなく「巨大な球状の電撃」になっているため、(完全に同一とまで言えるかは解釈が別れるものの)ブラゴ戦でギガノ・レイスと相殺した巨大版ザケルと同等の出力だったと読み取れる。
本の持ち主
秋山進一
エシュロスの本(黄土色)の持ち主。
CVは飛田展男氏。
進一に関してはプロフィールが公開されていないので、年齢や職業等は不明。
国籍のみ「日本」だと公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」にて明かされている。
原作23話ではエシュロスが「はるばる北海道から来たかいがあったぜ」と発言しており、作中ではモチノキ町のビジネスホテルに泊まっているため、現住所は北海道である可能性が高い。
作中に登場する人間の中でもかなり大柄であり、服の上からでも透けて見えるほどに筋肉隆々とした肉体の持ち主。
少なく見てもエシュロスの2倍以上ものガタイを誇り、おそらく身長は2~3mほどと肉体派の玄宗やアリシエすらも遥かに上回っている(一応、ゲーム作品「激闘! 最強の魔物達」では普通の人間と同じ体格になっている)。
しかもエシュロスを否定する際に地面を殴った際、なんと僅かながら殴りつけた地面が抉れているので、純粋なパワーであれば作中上位だった可能性すらある。
加えて魔物と間違えられるほどに強面なため、あのナオミちゃんすら泣きながら「モンスター」呼びして逃げだしてしまったほど。
とはいえ第一印象とは裏腹に、その性格は作中に登場する全キャラクターの中でも非常に優しく、亡くなった母親を今でも大切に想い続ける純粋さを秘めている。
生まれ付き他人へ「嫌な事を嫌と言えない」性格だったらしく、小学生の頃からイジメに遭い続けてきた過去を持つ。
もちろん(現代の価値観で考えれば)イジメをする側の人間が大いに悪いのだが、「嫌な事を嫌と言えない」進一の性格にも原因があったことを完全に否定することはできず、進一自身もガッシュ達との戦いの中で「なんで、僕はこんなに弱いの」と自覚をしていた様子が垣間見える。
入院中の母親からも、「意志を強く持って、自分で物事を決めればイジメは減るはず」という言葉を受け取っていた。
また、同時に「それさえしっかりできるようになれば、何も思い残すことはない」「あなたは心の優しい子」と真っ直ぐな愛情も受け取っていた。
現に作中でも、
- ナオミちゃんにイジメ(というかちょっかい)をされていたガッシュを助ける。
- 足を怪我している小鳥を家に連れ帰って手当する。
- 横断歩道で見知らぬおばあさんの手を取ってあげる。
- 自動販売機の周りに散らばっている空き缶をゴミ箱に入れ直す。
……といったように、日常生活においても他者を迷い無く助ける善性やボランティア精神が描かれている。
作中ではエシュロスに利用され、かつて通っていた小学校を破壊すると決めたが、この時も犠牲者を出さないために実行を翌日(学校が休みの土曜日)に先伸ばすなどの配慮を見せたほど。(ただし休日出勤をしている教師等、土曜の学校でも人がいる可能性は十分あり、実際ガッシュも「学校の中にはまだ人がいるやも知れぬぞ!」と指摘していた)
しおりやシェリーを除き、いわゆる「ヒール役/やられ役」として登場した魔物の本の持ち主で戦いにおける周囲への配慮をしたのは進一が初である。
最終的にはガッシュ達との戦いを通じ、自分の意思をしっかりと持てるようになったことでエシュロスと決別。
後日にはガッシュ達と母親の墓参りに訪れ、ガッシュも母親の墓石へ「お主の子、進一は、強き者であるぞ!」という言葉をかけていた。
その後は本編に登場していないものの、連載終了後の作者ブログにて「進一は強くなり、友達ができました」と回答されているため、現在は幸せな人生を送っているに違いない。
活躍
初登場は原作22話。
当初は進一の方を魔物だと勘違いしていた清麿とガッシュが追いかけていく中、進一の母校である小学校付近の丘にてエシュロスの方が魔物だと判明。
その夜、ガッシュがビジネスホテルの近くにある木から様子をうかがったところ、エシュロスは「学校を自分の意志で壊す」と決めた進一に対して「ママも喜んでいる」などと吹き込み、自身のために進一の想いを利用していることが判明。
おそらくコルルとの一件に通じるところがあったためか、ガッシュは目に涙を浮かべながら激しい怒りを燃やしていた。
そして学校が休みの土曜、無人の校庭にてガッシュ・ベル達と交戦。
術のレパートリーにこそ大きな差があったものの、エシュロスへの怒りを燃やすガッシュ達の闘志や猛攻に押されていく。
劣勢の中で業を煮やしたのか、エシュロスは進一を説得しようとするガッシュを羽交い絞めにし、進一に対し、
「てめえみてえなバカは、どうせロクなことなんか考えつかねえんだ!!」
「おまえのような奴は何も考える必要ねえんだよ!!!」
とまでのたまう。
その聞き捨てならない暴言を聞き、怒りが頂点に達した清麿に思い切りぶん殴られ、唖然とした表情で暫く倒れ込む。
進一が「この本を捨てない」と言った時は再び調子良く言いくるめようとしたものの、既に自分の意志を強く持った進一に「お前はママじゃない」と否定され、「向こうを向くんだ!! エシュロス!!!」と本気の剣幕を受け、初めて怯えさせられる。
進一の強い想いのおかげで術の撃ち合いに勝利し、ガッシュの本を燃やせる寸前まで追い詰める(清麿もこの時ばかりは敗北を認めかけたほど)。
だが、あくまで進一は「今この状況で清麿達のような『強い人』に勝ちたい、変わりたい」だけだったので、最終的には自ら清麿へ本を差し出す。
再びブレない意志と言葉を見せられたことでエシュロスもへたり込み、結果的に勝利とはならず魔界へ帰っていった。
ちなみに、ネット上の書き込みでは「勝利直前に進一が本を捨てた」行為を「裏切り」などと表現している場合もあるが、これは進一に対して非常に失礼な表現になるので注意。
現にこのエピソードの、
- 進一の心境変化を理解していれば、当エピソードのテーマが「ガッシュ達との出会いを経て、進一が『他人に言われるままの人間』から『自分の意志をしっかりと持つ人間』へ成長する」ことなのは明白。
- そもそも土壇場で進一に本を捨てられてしまったのは、当のエシュロスが進一の意志を尊重せず都合のいいように利用していたから、そしてエシュロスが進一にさせようとしたことは人の命を奪う可能性さえある完全な悪行なので、進一の方に落ち度は一切無い。(有り体に言えば因果応報)
という点からも、「裏切り」などという「あたかも進一が悪い」かのような表現は絶対に相応しくないので注意していただきたい。
やはりエシュロスが脱落した最大の要因は、本の持ち主である進一を自らの都合の良いままに動かし利用するだけの道具としか見なさず、まともな信頼関係を築かなかったことだろう。
その後、原作最終話の集合写真ではゾフィスの隣に映っている(おそらく、メタ的に色々と似たような部分があるためだと思われる)。
尚、PS2のゲーム「最強の魔物達」においては、アーケードモード最後の一枚絵にて「互いに和解しエシュロスを王に導くことを決意する進一と、嬉しそうに受け答えするエシュロス」が描かれている。
もし本編でもきちんと話し合い、互いの意志を尊重できていれば、良好な関係を築いて終盤まで勝ち残ることもできたのかもしれない……。
関連タグ
ゾフィス……エシュロスと同じく、本の持ち主とまともな信頼関係を築こうとしなかった魔物。しかもゾフィスに関しては文字通り「心を操っている」ため、実力も悪辣さも遥かに上。上述のように、集合写真でも隣り合っている。
マルス……こちらもエシュロスの隣に映っている魔物。やはりどことなく通じるものがあるのか、エシュロス・ゾフィス・マルスの3人を「エリート組」と称するファンもいる。
クリア・ノート……こちらは「エリート」どころか「作中最強」の魔物。本の持ち主との「表面上の関係性」自体は良好に見えるものの、彼の思想や完全体顕現後の扱いを踏まえると、(ベクトルは多少違えど)本の持ち主を「道具」としか見ていなかった可能性が高い。
ブラゴ/ゼオン/エルザドル/アシュロン……こちらは正真正銘のエリート達。いずれも作中最強クラスの猛者であり、「王族」や「神童」であることが明示されている。