経歴
1983年6月21日、アメリカ合衆国ノースカロライナ州で生まれる。2003年にアメリカ軍に志願入隊し、情報工学の知識を評価されるなど特技兵(技術担当兵)の兵科に配属され活動する。
除隊後に国家安全保障局(NSA)からスカウトを受け、2005年にメリーランド大学言語研究センターの警備任務に配属された。2006年には中央情報局(CIA)からも接触を受け、2006年に職員として雇用され、コンピュータセキュリティに関連した任務に参加する。
後述の内部告発後は、ロシアに居住しているとされる。
内部告発
経緯
スノーデンは政治的には個人の自由を最重視するリバタリアンの派閥に属しており、それは自由を基本理念とするアメリカ合衆国憲法に忠実であろうとしたとも言える。
しかし、2001年からのブッシュ政権によるアメリカ国内の警察国家化、軍国主義的な戦争推進はリバタリアンとして看過できない行為であった。さらに、民主党政権下で一掃される可能性の方を期待していたにもかかわらず、オバマ政権下でもむしろ拡大の一途をたどるNSAの監視活動に関わるうちに、失望感に変わったとされる。こうした際限なき監視活動への反感から、スノーデンは内部告発を決意する。
内部告発と影響
2013年6月6日、イギリスの新聞である『ガーディアン』で、アメリカ合衆国や全世界に対するNSAの『PRISM』による盗聴の実態と手口などを内部告発した。スノーデンが暴露した機密情報は、NSAの情報収集に関するものであったが、提供された機密資料によって、世界中に渡る情報収集活動が明らかとなった。
「PRISM」とは情報収集のためのアプリであり、電子メールやチャット、電話、ビデオ、写真、ファイル転送、ビデオ会議、登録情報などに加え、通話者の氏名・住所・通話内容の録音のみならず、メタデータも収集していた。さらに、通話者双方の電話番号、端末の個体番号、通話に利用されたカード番号・通話時刻・所要時間、および通話者の位置情報も収集していた。その上、大手通信会社やIT企業も、こうした活動に協力していた。要するに、膨大な個人情報を際限無く集めていたのである。
さらに、NSAが38カ国の大使館に対しても盗聴を行っていた事も明らかになった。対象となっている大使館は、フランスやイタリア、ギリシャ、メキシコ、インド、日本、韓国、トルコなどの同盟国も含んでいる。欧州連合(EU)代表部への情報収集工作のケースでは、暗号機能付きのファクス内に盗聴機と特殊なアンテナを設置し、約90人の職員のパソコン内のデータ全てを把握していたとされる。こうした敵対国どころか同盟国にすら容赦なく違法な盗聴等をしていた事は世界に波紋を広げた。フランスのオランド大統領(当時)は「同盟国に対するこのような行為は容認できない」とし、ドイツ政府は「全く容認できない」とする苦言を呈した。