CV:松尾佳子
概要
自由惑星同盟に所属する軍人・アレックス・キャゼルヌ中将の妻。
時系列による初出は外伝「螺旋迷宮(スパイラル・ラビリンス)」。
容姿
茶色の髪と目に、血色の良い健康美人という表現がよく似あう女性と言われている。
人物
専業主婦として家事全般に秀でているが、その中でも料理が得意である。劇中では「イゼルローンの白い魔女」と呼ばれている。また、見識が深く毒舌家と言われる夫にも怯むことはなく、むしろ言いまかすことの方が多いと言われている。
劇中の動向
キャゼルヌ少将は同盟軍最高の経済官僚として知られ、アンドリュー・フォーク准将立案の同盟軍の帝国侵攻にも物資調達と補給の責任者としてイゼルローン要塞に赴任した。
が、同盟軍は銀河帝国宇宙艦隊司令官・ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥の焦土作戦により敗退、アムリッツァ星域会戦でも惨敗を喫したことにより、キャゼルヌも辺境惑星の基地司令官に左遷されることとなった。
このときオルタンスは娘二人をつれ実家に疎開、夫は単身赴任の憂き目となった。
キャゼルヌ夫妻が再び同居を始めたのは、ヤン・ウェンリー大将がイゼルローン要塞駐留艦隊司令官として赴任したことにより、キャゼルヌも要塞事務監として呼び戻され、ヤンの不在時には要塞司令官代理も兼ねることとなってからであった。
以後、家族そろってイゼルローン要塞に居をかまえるが、「バーラトの和約」によりイゼルローン要塞を帝国に引き渡すと退役したヤン・ウェンリー・フレデリカ夫妻をはじめとする同盟軍人たちとともに同盟首都・惑星ハイネセンに帰ることとなった。
キャゼルヌもまた退役を希望したが、統合作戦本部議長・ロックウェル大将に懇願され後方支援部長代理に就任した。
ヤン夫妻とキャゼルヌ夫妻は互いにヤンの自宅とキャゼルヌの自宅は行き来、これはオルタンスがフレデリカに料理を教えてもらうという理由もあったが、情報収集という目的もあった。
当然、2人の自宅は帝国軍高等弁務官・ヘルムート・レンネンカンプ上級大将に監視されており、レンネンカンプはこれらの行動を「ヤンに反帝国の意思がある(あながちレンネンカンプの思い込みでもない)」と理解し、ヤンを謀殺することを思いついた。
レンネンカンプの謀略は、しかし、フレデリカとワルター・フォン・シェーンコップ中将に読まれた末、逆にレンネンカンプを拉致・逃亡、レンネンカンプは自殺するに及んだ。
キャゼルヌはこのときもロックウェルに後方支援部長のポストと引き替えに慰留されたが「ふん!!」の一言で申し出を拒絶、キャゼルヌ一家はヤン夫妻、シェーンコップ、薔薇の騎士連隊らと行動をともにした。
「イゼルローン回廊の戦い」では艦隊副司令・エドウィン・フィッシャー中将が戦死したのちに休戦、銀河帝国皇帝・ラインハルト・フォン・ローエングラムとの会見に向かったヤン・ウェンリーも副参謀長・フョードル・パトリチェフ少将、薔薇の騎士連隊副隊長・ライナー・ブルームハルト中佐らと地球教のテロにあい死亡した。
この事実をどうやってフレデリカに知らせればいいかが問題になり、ヤンの養子・ユリアン・ミンツとシェーンコップはオルタンスに事実を知らせてもらうことで一致した。
しかし、オルタンスは「あなた(ユリアン)はヤン夫妻の家族だから」と申し出を拒絶、「あなたがフレデリカに知らせないと後で後悔すること」を諭し、ユリアンの背中を後押しした。
総参謀長・ムライ中将が戦意を失った不穏分子を引きつれて離脱したのちもキャゼルヌはイゼルローン軍の最高幹部の一人として軍事指導者として立ったユリアンと政治指導者として立ったフレデリカを支えつづけ、帝国にバーラト星系に自治権を認めてもらうまで家族でイゼルローン要塞に居住しつづけた。
余談
作者は当初名前を設定しておらず最後まで「キャゼルヌ夫人」で押し通すつもりだったのだが、読者からのファンレターに彼女の名前を尋ねる物が予想外に多く、しょうがなく「オルタンス」と言うファーストネームを付けたとのこと。
この煽りを受けたのがキャゼルヌ家の次女で、「彼女だけは絶対名前を付けてやるものか」と語っている。