CV:福山潤
概要
カイル・スランタニアとは、『聖女の魔力は万能です』の登場人物である。
スランタニア王国第一王子。15歳。父親似で赤金色の髪の美男子。真面目で情に厚い反面、思い込みが激しく直情的な性格。
自分より優秀な弟への劣等感と焦りから、半ば独断のような形で「聖女召喚の儀」を取り仕切り、召喚されたアイラ(御園愛良)を聖女に迎えた。
だが、同じ現場に居たセイ(小鳥遊聖)に気づかぬ失態をしでかし、彼女を憤慨させる原因を作ってしまう。
しかも、国の都合で召喚したアイラへの罪悪感と前述の焦り、持ち前の思い込みの激しさや視野の狭さから、彼女を聖女にしようと邁進し過ぎてしまい、国王やリズたちの忠告も聞かず、たびたび周囲と軋轢を起こす。
遂には疑心暗鬼に陥って、セイの功績を「自身に対する陰謀」と思い込み、王宮でアイラを巡ってリズと喧嘩をする騒動を起こして父親から謹慎を命じられてしまった。
アニメ版
原作や漫画版でも愚昧な人物像の描写で、セイとは敵対的関係な存在、ひどい言い方をすれば悪役的立場だが、アニメ版では原作にはない本意と賢明な側面も持った人物として描かれている。
家来たちや国民たちから厳しく接する態度から快く思われていないことは承知で、あえて自ら嫌われ者として不満の矛先を自分に向けさせるよう振る舞っている。
アイラへの罪悪感は、異世界召喚で心細い思いをさせたことだけでなく、間違っていたにもかかわらず聖女として祀り上げたことで、つらい思いをさせたためでもある。
セイを無視した理由については、彼女に気付いてはいたが、地味な容姿の彼女をアイラの侍女か乳母だと勘違いした(なのであえてガン無視した)、ということが後に語られている。(※双方の文化がまるで違うので致し方ない面もあるにはあるが、それでもセイの存在を軽んじた著しい非礼であることには変わりがなく、側近からも異文化への理解が足りないことを窘められている)
そして王宮で騒動を起こすが、それはアイラのこれからのための、一種のパフォーマンスだった様子が垣間見える。
聖女はアイラではなくセイだったことが明らかになって、自分の驕りから招いた失態だと認める。しかしその結果、アイラが王宮で孤立して飼い殺し状態になるおそれ、有力者を巻き込んだ、王位継承も絡んだ問題を引き起こすおそれがあった。
そこで、すべて愚かな自分が原因だとして目立つ騒ぎを起こし、問題の矛先を自分に向けて責任を負い、アイラはお咎めなしという形に収拾を図った。
この真意は国王もリズも察しており、一種の芝居に付き合ってもいた。
謹慎を受けたことにより、セイを「聖女」と認めたのちにアイラに会い、彼女に「能力はどうであれ、あなたも聖女」「国を平和にするため(魔法使いとして)成長することを期待している」と告げるなど、それなりの器量はあることを示している。アイラはそんなカイルを自分勝手で不器用だが真直ぐな人物と評している。
ちなみにセイは一連の動きや裏事情、真実からはほとんど蚊帳の外にいた。しかしこれもまた、様々な問題が彼女に及ばないようにした結果であり、そのことで見えない軋轢や溝が無くなって、セイとアイラの交流が芽生える。