カササギ(ナイツマ)
かささぎ
ナイツ&マジックに登場する幻晶騎士(シルエットナイト)の内の一体で大破したイカルガの現地改修機。
主人公であるエルネスティ・エチェバルリアによって建造・運営された為、主人公機の内の一体とも言えるが、あくまでも急造の機体である為、登場回数は少ない。
しかし、本機の持つ特殊な機能は、後の技術開発に大きな影響を与えている。
概要の項目にもある通り、本機はあくまでも急場をしのぐために作られた急造の機体である為、機体性能そのものがイカルガよりも大きく劣化したものとなっている。
そもそも、本機が建造されるに至ったのは、ボキューズ大森海に調査を訪れた際に、穢れの獣(クレトヴァスティア)という金属を溶かす体液を持った大型の蟲との戦闘に陥り、対抗手段を持たないことで、イカルガ及びアディが搭乗するシルフィアーネが撃墜されたことが発端となっている。
ボキューズ大森海は、幻晶騎士の力をもってしても未開拓の状況であり、未知の魔獣が大量に生息する地域である為、脱出の為には幻晶騎士の力をどうしても使わなければならない。という、やむにやまれぬ事情が開発された機体である。
しかし、辛うじて動力炉である魔力転換炉(エーテルリアクタ)は残っていたものの、穢れの獣との戦闘で大破したイカルガの残骸を基に、共に大森海へ墜落したシルフィアーネの残骸や、現地で得られる魔獣由来の素材などを使い建造したため、戦闘能力のほぼない移動用の幻晶騎士と言っても過言ではなく、後述にある通り後に解体された。
しかし、本機体の持つ特殊な機能は技術的に余りにも有用で革新的であったことから、巨人戦争後には専用炉が再建したイカルガへと移植され、維持できなくなったボディはパーツ分割されたが、その機能を抽出した機体が後に開発されている。
本機のベースとなったイカルガ自体が、六本の腕に鬼面をした異相の幻晶騎士として製造されているが、本機はそれに輪をかけて異形となっている。
そもそも、孤立無援かつ結晶筋肉が半身を作れるかどうかの量しか残っていない程に物資が限られた状態であったため、下半身を丸ごと無くすという通常なら考えられない設計方針が取られており、頭部も骨格である髑髏が剥き出しになったような外見となっている。
本機の最大の特徴は、エルが考案した「開放型源素浮揚器(エーテルリングジェネレータ)」を搭載していること。
これは、「大気中に存在するエーテルを魔力転換炉で魔力として機体に集め、機体そのものをろ過装置としてエーテルに再変換し、大気系魔法で強引に空中で固定する装置」であり、これにより本気は飛行能力を有している。
どうしてこんな装置を作ったかというと、上記の通り下半身がないため飛行機能は必須となったのだが、シルフィアーネのような空戦仕様機(ウィンジーネスタイル)が使う源素浮揚器(エーテリックレビテーター)で飛ばそうにも、燃料となる源素晶石(エーテライト)が調達できず、それならば大気中のエーテルを使えないかと考えたのが理由。
しかし、急場しのぎの強引な設計と未熟な技術による歪み、それにより開放型源素浮揚器の燃費の非常に悪くなったこと出力不足に陥りがちとなっており、本来であれば規格外の出力を誇る魔力転換炉である皇之心臓(ベへモスハート)や女皇之冠(クイーンズコロネット)の出力によって何とか機体が支えられているほど。
その為幻晶騎士はおろか決闘級魔獣との戦闘でも苦戦を強いられる程に戦闘能力は低く、攻撃手段も連射ができる代わりに威力が低い速射式魔導兵装(スナイドル)しかない。
その為、直接戦闘と言う点においては「弱い」ということ以外には特筆するべき点はない。
だがこの機体の真の価値は「開放型源素浮揚器の効果を周囲にも及ばせられる(わかりやすく言えば、自機の周囲の物体も浮遊させることができる)」ということ。
つまり自身の魔法を他にも影響させられる、転じて機体自身が巨大な魔導兵装となっている。
(劇中ではこの機能を応用して巨人族(アストラガリ)の少女「小魔導師(パールヴァ・マーガ)」を抱えて共に飛行、上空で高速戦闘を行っている)
また、空戦仕様機と比べて高度の調整が容易に行うことができ、複数装備している小型の可動式追加装甲(フレキシブルコート)で防御力も意外に高い。速射式魔導兵装も攻撃力はともかく迎撃や牽制には優れているため、エルの操縦技量も合わせれば、防御に徹すれば銀鳳騎士団の空戦仕様機の大軍とも渡り合える。
また、この開放型源素浮揚器という技術の革新的であった点は、「幻晶騎士そのものがエーテル濾過器として利用できる」こと。これは、将来的には現在空戦仕様機や飛空船(レビテートシップ)を動かすために必要とされる源素晶石を使用することなく空を飛ぶことができるという事であり、源素晶石という資源獲得のために様々な戦争を起こしている西方諸国の様子を見れば、これが如何に画期的なことかわかる。
また、源素晶石を使用した機械は、飛行時に高度調整に時間がかかる為、この部分が改良されている本機の機能は、戦争そのものを大きく変えたブレイクスルーの一つである。
これらのことから、次世代に大きく影響を与える機体であり、事実、この開放型源素浮揚器を技術を搭載した機体が後に開発されることになる。
それらの性能と出自から「坊主の作ったものの中でも飛びっ切りに狂ってる」とダーヴィド・ヘプケンに白旗を上げさせた代物。
上述したように、機体性能の最大の特徴である別の物体を浮かす機能を抽出した後継機とも言える機体が後に開発されている。
もっとも、コストや燃費などまだまだ改良の余地があり、本格的な量産には至っていない。
エスクワイア
史上初の支援専用騎体にして、カササギの量産版。
幻晶騎士の上半身だけの外見に、魔力転換炉と源素浮揚器、マギジェットスラスタ等の選択武装が詰め込まれている(さすがに開放型源素浮揚器までは積まれていない)。
マガツイカルガを参考にしており、他の機体と合体することでその機能を大幅に拡張強化、特に陸戦型の機体に飛行能力を持たせることができる。エスクワイア自体は無人機であり、合体される側が全て操作することになる。
コストの問題や操縦に高い技量が必要なため、まだ量産はされていないが、グゥエラリンデ用に調整された先行試作機「エスクワイア・ファルコン」と、アルディラッドカンバー用の「エスクワイア・イーグレット」が浮遊大陸の騒乱で投入された。
なお、合体時の名称はそれぞれ
「アルディラッドカンバー・イーグレット」
「グゥエラリンデ・ファルコン」
となる。
さらにその後、トイボックスマーク2(書籍版ではマーク3になる予定)用の「エスクワイア・ロビン」も開発され、ロビンは暴走した挙句に失踪したイカルガ改めイカルガ・シロガネに代わるエルの新たな愛機イカルガ・カギリに受け継がれることになる。