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概要編集

配偶者(パートナーや近しい友人も含む)や家族がアスペルガー症候群ASD)の特性による共感性や情緒的表現の障害のため、コミュニケーションがうまく取れず、精神的に強いストレスを感じることで不安や抑うつなどに陥ってしまう状態のこと。


ASDはその特性上、相手の気持ちを察して関する考えを読み取り、会話のキャッチボールをつなげていくようなコミュニケーションや対人関係の構築に関する能力が低いとされる。しかし、知的な障害を持っていない場合、流暢に会話すること自体は可能なため、「言葉は通じるのに話が通じない」という状態になってしまうことも少なくない。

仮に職場や学校などでの外向きのコミュニケーションはある程度うまくいっていても、長い時間を密接に過ごす家族の場合関係が悪化しやすく、お互いに不満を募らせやすいといえる。さらに、クローズドな関係のため「二人の間のことだから」「家族なんだから」と周囲からの理解や協力を得難く、(特に未診断の)ASD当事者はなぜパートナーとのコミュニケーションがうまくいっていないのかよくわからず、無意識的に追い詰めてしまうといった、相手にも周りにも苦悩を理解されない状況に悩むのがカサンドラ症候群の特徴の一つである。

親族・友人のみならず会社の上司や同僚など仕事関係、さらにはインターネット上でのつながりでも発生することがあり、誰にでもなる可能性はある。また、パワハラモラハラなどのハラスメント行為として認識され、その過程で障害の特性によるすれ違いであることが発覚するというケースもある。


名称は古代ギリシャ神話に登場、預言能力を持ちながらアポロンから「予言を誰も信じてもらえなくなる」という呪いをかけられたトロイの王女「カサンドラ」に由来する。カサンドラ症候群の「身近な人との関係がうまくいっていないことを、周囲に説明しても理解してもらえない状況」と掛けたものである。


あくまで精神医学的に正式な疾患名ではなく、実際に診断・治療が行われる際には下記するような症状から判断されることとなる。


症状編集

身体的には片頭痛や過度な疲労・不眠症などの症状が見られ、精神的には抑うつや不安、苛立ちなどが見られる。

うつ病適応障害、不安障害などに類似する症状が見られる人もおり、実際それら疾患などの診断を受けた上で、発症のトリガーとなったのがASDの配偶者や家族とのコミュニケーションにおけるストレスである、というケースも存在する。


ASDの発現は男性に多いとされ、ある統計では男性が女性の約四倍にも及ぶという。このため、カサンドラ症候群になりやすい人の傾向の一つとして「女性」であるというのが挙げられる。

また、カサンドラ症候群に陥りやすい性格として、真面目かつ忍耐強く、面倒見が良い、責任感が強いなどが挙げられる事が多い。


対処法編集

  • 自閉症発達障害への知識を学び、障害の特性を把握する
    • カサンドラ症候群関連の書籍も有効である。
  • お互いの行動原理、考え方を把握し合い、妥協点を見つける
  • 対象から離れ、関係性を変える
  • カサンドラとなった本人が病院を受診し、まず症状を改善する

などが挙げられる。


これら以外にも、精神科を主としている病院やクリニック・自助会や発達障害者支援センターなど、第三者を挟むことや、専門知識のある人に相談し、精神的なサポートを受けることも症状を軽くするには重要である。


関連タグ編集

医学 精神疾患 夫源病

アスペルガー症候群アスペ 統合失調症 発達障害 ADHD

カサンドラ

愛着障害 承認欲求


外部リンク編集

日本カサンドラ支援協会

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