概要
ローマ帝政3番目の皇帝。愛称であるカリグラの呼称が一般的だがガイウス帝と呼ばれることもある。英語や仏語読みのカリギュラが使われることも。
暴君として名高く残虐、浪費で知られている。彼の治世は暗殺によって終えた。
フランスの作家アルベール・カミュの戯曲『カリギュラ』でも有名。
ちなみにカリグラとは「小さな軍靴」の意。ローマ軍の軍用サンダルを「カリガ」といい、それにラテン語の指小辞が付いて「小さな」のニュアンスが加わっている。この愛称は幼少期に周囲にいた軍団兵によってつけられた。
ユリウス・クラウディウス朝に属する皇帝で先代であるティベリウスの養孫。
愛されるのが当然な環境で育ち、甘やかされて育ったカリグラ。皇帝に就いたはじめは国民たちも支持していたが、次第にカリグラの暴虐ぶりに失望していくことになる。
豪勢な食事や残酷趣味に散財し、4年で27億セステルティウスを浪費する。
果ては、カリグラの父・ゲルマニクスに助けられた近衛兵の子に殺される。カリグラ暗殺ののち帝位は叔父であるクラウディウスが継いだ。
このクラウディウスの養子かつカリグラの甥(妹の小アグリッピナの子)こそが暴君として名高いネロである。
家族
ユリウス・クラウディウス朝の家系は複雑なのでカリグラを中心に軽く触れておく。
カリグラの父はゲルマニクスで、母は大アグリッピナである。
初代皇帝アウグストゥスの娘ユリアと初代皇帝の腹心アグリッパの間にできた娘の一人が大アグリッピナであり、カリグラにとってアウグストゥスは母方の祖父にあたる。
ゲルマニクスは第2代皇帝ティベリウスの弟大ドルススの息子で、のちにティベリウスの養子ともなっている。従ってカリグラにとってティベリウスは大伯父であり養子縁組上の祖父でもある。またゲルマニクスの母小アントニアはアウグストゥスの姉とマルクス・アントニウスとの娘でもあるため、こちらの血縁からもカリグラはアウグストゥスと関係がある。
第4代皇帝クラウディウスはゲルマニクスの弟であるためカリグラにとって叔父にあたる。
第5代皇帝ネロはカリグラの妹小アグリッピナの息子であるため、カリグラにとっては甥にあたる。またネロはクラウディウスの養子でもある。
カリグラ自身の兄妹にはネロ・カエサル、ドルスス・カエサルの2人の兄とユリア・リウィッラ、ドルシッラ、前述の小アグリッピナの3人の妹がいた。
さらに帝位継承に関係する近しい親族としては、ティベリウスの実子小ドルスス(義理の伯父)及び小ドルススの息子ティベリウス・ゲメッルス(義理の従弟)がいた。
カリグラは複数回の結婚をしているが子供は娘1人しか得ることはなく、またその幼い娘もカリグラ暗殺の際に一緒に殺されている。
余談
禁止されているのにやりたくなってしまうアレを「カリギュラ効果」という。1980年に、彼を元にした映画「カリギュラ」が公開されたが、結構過激な内容なため、アメリカではボストンなどで上映が禁止された。
しかし、それが逆に人々の興味を引いた事が由来と言われている。
日本では、ダチョウ倶楽部のネタ「押すなよ、押すなよ!!」がこれに当たる。