概要
カーリヤ (Kāliya)とは、インド神話に登場するナーガ族の王(ナーガラージャ)の一柱で、クリシュナに頭の上で舞踏されて退治されたが、彼の一族はガルーダに襲われないという加護を得た。
『バーガヴァタ・プラーナ』によると、ラマナカ島というナーガ族が住む島の住民であったカーリヤは、他のナーガ達が天敵であるガルーダを恐れて自らの供物の一部を譲っていた中で、その供物を盗み喰っていた。
しかしその行為はガルーダに知られることになり、叩きのめされたカーリヤは彼のみが知っていた聖仙サウバリの呪いによってガルーダが近づくことができないヤムナー川の川底に一族で逃げ込んだのである。
しかし猛毒のカーリヤ一族が棲むことにより、川の水は煮えたぎり毒気が熱風として吹き荒れることになった。そのためヤムナー川付近は周囲の草木が枯れ、鳥獣が死に絶えた死に満たされた地になったのである。
この川に近づいた牛飼い達が倒れるのを見たクリシュナは、カーリヤを退治することを決意して戦いを挑み、巻き付かれれば大きくなって引きちぎろうとし、たくさんある頭に次々と舞踏しながら乗って、自己に内包する宇宙の重みで潰していった。
頭を潰され川底に沈んでいったカーリヤであったが、后が命乞いしたことで一命を取り留め、この川から去るように命じられてラマナカ島に帰ったので、ヤムナー川は清浄に戻った。
なお頭をクリシュナに踏まれた跡は印となり、彼の一族がガルーダに襲われないという加護となったのだという。