概要
サーガラ/サガラ(Sāgara)とはサンスクリットで「大海」という意味で、ヒンドゥー教の叙事詩には、その名を冠した人物が登場する。
竜王サーガラ
インド神話に登場するナーガ族の王(ナーガラージャ)といわれるが、仏教における天龍八部衆に所属する八大竜王の一柱としての信仰が有名である。
法華経に登場し、娑羯羅や娑伽羅、沙掲羅(しゃがら/さから)と漢訳される。
天海、もしくは龍宮の王で、大海竜王とも呼ばれており、日本では雨乞いの本尊であると信仰されている。
日本独自に信仰される善女龍王は第三王女であるといわれ、空海が命名したと伝わる清瀧権現も娘であると伝わる。
サガラ王
『ラーマーヤナ』に登場するアヨーディヤー・イクシュヴァーク王家の伝説的な王で、アンシュマットの祖父でありラーマ王子の先祖である。
二人の王妃ケーシニー、スマティーとヒマラヤ山中で修行し、リシブリグを喜ばせたことからケーシニーは王子アサマンジャ、スマティーは瓢箪を産み、その瓢箪から6万人の王子が生まれた。
しかし、アサマンジャは民の子をサラユ川に投げ込むような暴虐な王子であったため、ケーシニーとともに追放された。
その後、盛大な馬祀祭を行おうとしたが、供犠に使う馬をインドラに奪われてしまったため、サガラ王は6万の王子に探させることにした。
地下世界まで捜そうとするその騒がしさから神々から非難の声が上がり、ブラフマーが王子達はヴィシュヌの化身のリシであるカピラに滅ぼされることを告げた。
そして地下世界で馬を引いていたカピラを見つけた王子達は、奪い返そうとしたが怒りを買って返り討ちにあい全て灰にされてしまった。
アサマンジャの息子アンシュマットは、サガラ王に行方不明となった王子を捜すように命じられ、地下世界で灰となって滅びた王子達の痕跡を見つけたが、近くに水がなかったので供養ができなかった。
サガラ王は悲しみながらも立派に祭祀をやり遂げ、3万年間王国を治めた後に昇天し、アンシュマットの孫バギーラタがガンガーを地上におろし、6万人の王子の魂を救済したという。