概要
世界三大勢力の一角である国際テロリスト集団《解放軍(リベリオン)》の最高幹部を務めている《十二使徒(ナンバーズ)》の一人。
《大教授(グランドプロフェッサー)》の異名を取る伐刀者で、持病を患っていたサラ・ブラッドリリーの治療を担当した人物。
人物
7巻にてサラの口から語られただけで本人自体は登場を果たしていない為、具体的にどんな人物であるかは不明。しかし、国一つ買える財力を持ったサラに返済が追い付かないほどの治療費を請求している事から、ろくでもない性格をした人物である事が示唆されている。
能力
二つ名が付いている事から伐刀者である事はほぼ確定しているが、いかんせん本人が登場していない為どんな能力を持った伐刀者かは全くの不明。二つ名とサラへの貢献から知能に秀でた人物である事は間違いないだろう。
関連タグ
以下ネタバレ注意
長年謎に包まれた人物であったが18巻にて登場を果たし悪の進撃を繰り広げる。
人物2
前述の項目でろくでもない性格である事を示唆されていたが、予想通り、あるいはそれ以上に悪辣な性格をしたマッドサイエンティストであり、自身の目的の為ならばいくらでも他人を傷つけられる典型的な大逆無道を絵に描いたような性格をしている。
目的への執着は常軌を逸していて、目的の為にうら若き少女に残酷極まる拷問を部下に命じては、かつて持病の治療を施したサラに対しても同様の拷問を平気で部下に命じる真性の外道。こんな人物だから当然のごとく倫理観もぶっ飛んでおり、《連盟》と《同盟》の戦争で敗戦国になった《連盟》派閥の国に住む全国民を人体実験のモルモットにする事ができる権限をアメリカ大統領から勝戦の見返り条件として出されれば、迷わず自身が保有する貴重な戦力を戦争に貸し出すほど良心の呵責が無い。
能力2
詳細は未だに不明だがやはり伐刀者だった様で銃の霊装と人体の組織を組み替える伐刀絶技を使用する。伐刀者であると同時に優秀な科学者である為《暴君》アダムス・ゲーティアの細胞から《暴君》のクローンである《超人》エイブラハム・カーターを生成したり、自身の影武者を務められる《魔法生物》なるものを創る事ができる。
その科学力から世界中に顔が知られている稀代の科学者として名を広めており、一輝もテレビで顔を見た事があるそうだ。
外見
禿頭で樽の様な太った体をした醜い小男。常に大麻を愛飲しているので歯が黄ばんでいるので清潔感が無く生理的な嫌悪を催す様な見た目をしている。
目的
長年の沈黙を破って世界を巻き込む様な行為に出てまで叶えたいその目的とは、
『史上最強の生命体』を創造する事。
本人の言によると『人間』という生命体に多大な関心を寄せていて、自分の手で「人間を完成させる」事を目的にしている。その為に《暴君》に着目してエイブラハムを生み出してみたのだが、生み出されたエイブラハムはとても『史上最強の生命体』と呼べる様なものでは無かった。
この事から方法を変えて、人として正しくこの世に生を受けさせて創造する方法にシフトしたのだが、その為に必要な『究極の魂』と『究極の肉体』を集める事に難航していた。
『究極の魂』は自身が所持している《暴君》の霊装から抽出すれだ手に入るのだが、『究極の肉体』もとい『究極の肉体』を産み出す事ができる優秀な『母体』の方は何の心当たりもなかった。
なかったはずなのだが、七星剣武祭でステラ・ヴァーミリオンを目撃した事で彼女を『究極の肉体』を持った生命体を産み出せる『母体』だと確信する様になった。
関連・類似キャラクター
更なるネタバレ注意
外国にて基地内でサラ達に拷問を施していたのだが黒鉄王馬と南郷寅次郎が乱入してきた事で奪い返されてしまう。
その後は、南郷が後から合流してきたエーデルワイスとフー・シャオリーの魔人二人を連れて、しつこく基地内に残っていたので複数のエイブラハムに相手をしてもらい、自身はステラを攫う為にこっそり日本に侵入する。戦争が終わって黒鉄一輝と一緒に居たステラを発見したら、一瞬でステラの隙をエイブラハムに突いてもらい、ステラを気絶させて、邪魔な一輝に重傷を負わせた事によりなんと、ステラの誘拐に成功してしまう。
念願のステラを手に入れた《大教授》カール・アイランズは、一輝達に新たな戦いを告げる様に意気揚々と踵を返して、ステラと共に夜の空に消えていく。その後の動向は不明。続刊を待つべし。
最終巻のネタバレ注意
真の人物像
上述の人物2でも書かれた様に、常軌を逸した悪逆非道なマッドサイエンティストである事には変わりないが、その本質は死ぬ程諦めの悪い男。
自らの目的である、「人類総《魔人(デスペラード)》化」を実現する為ならば、如何なる犠牲も厭わない。その論理は他人のみならず自らにも適用される。実績が必要ならば実績を積み、武力が必要ならば武術を極め、魔術が必要ならば魔術を極め、権力が必要ならば権力を掴み取り、カネが必要ならば徹底的にカネを集め、人を捨てねばならぬなら迷う事なく《魔人》となった。そして、己の知性を最適化する為ならば、肉体を捨てて培養液に浮かぶ脳髄だけの存在にもなってみせた。
それ故に彼は《魔人》であるのみならず、生物的な意味でも人間を辞めている。
総じて主人公である一輝と似たもの同士だが、決定的に違う部分は、一輝は己は誰にも劣るが故に生まれながらの強者達に尊敬の念を抱いてきたのに対し、アイランズは生まれながらに天才という強者だった為、「何人たりとも己に並ぶ者なし」と他者を徹頭徹尾見下していたという所である。
人類を「伐刀者と常人の間の差別」「伐刀者間でのランク差別」などの差別から「人類総《魔人》化」によって解放したいという壮大かつ崇高なお題目を掲げているものの、彼自身は本質的に人間そのものを見下し切っている生粋の差別主義者である(事実、自らの理想を邪魔する人間を、「倫理だの常識だのに囚われて思考停止している忌まわしい凡夫ども」と見下す言葉を吐いている)。
真の能力
黒鉄珠雫、薬師キリコ、カルロ・ヴェルトーニに次ぐ4人目の高位「水使い」で、「水使い」としての技量は本作でもぶっちぎりのトップ。医者としても極めて優秀な為、人体の構造は完全に把握しており、自身の肉体を粉塵化して元通りに再構築するのみならず、自らの肉体を改造し、他者を全盛期の状態で完全再現するという離れ技も可能。なお、一輝と同じく《完全掌握》の使い手でもあり、前述の「他者を全盛期で再現」もこの技法に依る所が大きい。
そして前述の「他者を全盛期で完全再現」の根幹を成すのが、生命の根幹たる「水」を極め、医術の真髄たる生物そのものに精通したアイランズの固有魔術「細胞魔術」である。この魔術はあらゆる生物の細胞をこねくり回して別のモノに作り替えるのみならず、その対象は無生物や《固有霊装》にまで及ぶ。尚、固有霊装は拳銃型の《ダーウィン》だが、前述の「細胞魔術」であらゆる武器に作り替える事が可能。
活躍と末路
栃木県日光にある秘密ラボに突入してきた一輝(珠雫と融合中)と一騎討ちになるも、その圧倒的な実力と「細胞魔術」によって「これから訪れるであろう《剣神》としての全盛期の一輝」に自らを作り替えて一輝を翻弄。しかし、「思考を放棄せずに戦闘している」「他者を徹頭徹尾見下しているが故に、他人を見誤る」という弱点を突かれ、敗北。肉体を完全に破壊され、ステラを奪還されてしまう。
しかし、彼の本体である脳髄は全くの無傷。予めステラに自らの霊装のカケラを仕込んでおり、それを介してステラを操り人形にして一輝達に襲い掛かった。
その場にいた一輝、球雫、殿を果たして追いついた刀華、王馬、有栖院を圧倒的な火力で瀕死に追い込み、トドメを刺そうとするも此処で一輝が《覚醒超過》を起こして鬼神に変貌。全ての攻撃が《第八秘剣・追影》と化すという恐るべき状態となってアイランズに憑依されたステラを圧倒。しかし、エーデルワイスの介入によって一輝は《覚醒超過》が解除され、仲間達にその所業を叱責される。一輝の猛攻を耐え忍んだアイランズはそのままエーデルワイスとの一騎討ちに傾れ込むが、今度は自らの全力を出したエーデルワイスに追い詰められる。そしてその隙に珠雫がステラの肉体に一輝を融合させ、彼女の精神世界へと送り込むという荒技を使用。ステラの精神世界に送り込まれた一輝によって、ステラはアイランズの呪縛を解き、自らに埋め込まれたアイランズの霊装《ダーウィン》のかけらを焼き尽くした。こうしてステラ自身に肉体を奪い返され、目論見は失敗に終わった。
全てがうまくいかず業を煮やしたアイランズの本体は、いよいよ手段を選ばなくなった。ステラを強引にでも従わせるべく思いついた策とは、大量の戦術核兵器で日本とヴァーミリオン皇国の人口9割をジェノサイドという、例えようのない最低最悪なものだった。実行すれば間違いなく世界に破滅がもたらされるのも構わず、アイランズは核ミサイルを発射せんと《ダーウィン》に命令を送ろうとした……
だが、そうは問屋が卸さなかった。
突如天井の一部が崩落し、一人の刺客が降り立つ。その刺客の名は《饕餮》と渾名される闘士フー・シャオリー。頭は飛び切り悪いが野生のカンが異様に働く彼女によって、アイランズの本体は位置を特定されて急襲されたのだ。
なお、シャオリー急襲の裏には、アイランズが起こした戦争の後始末を円滑にするというエーデルワイスの目論見があり、アイランズはシャオリーを見てその目論見に気づいたのだが、シャオリーはその頭の悪さ故にアイランズに言われるまでまるで理解していなかった。シャオリーにしてみれば、ただエーデルワイスに頼まれたから来ただけにすぎなかったのだが、あまりの察しの遅さにアイランズは思わず愕然としてしまった。
こんな頭の悪い女に殺されるのは願い下げだと抵抗を試みるが、今のアイランズは碌な戦闘能力もないデカいだけの脳髄。対してシャオリーは、以前にステラを相手に圧倒したことがある《魔人》の一角。抵抗の余地など、ありはしなかった。
シャオリーは拳の霊装に炎を灯す。奇しくもそれは、かつてステラから奪った竜の炎だった。言い換えれば、ステラの怒りが形を変えてアイランズに辿り着いたのである。炎を纏った崩拳によって沸騰した薬液で脳髄を釜茹でされ、剥き出しになった脳に逆の手による炎の崩拳を打ち込まれたことで、文字通りに脳髄が炎上した。脳が炭化する痛みに抗う術などあるはずもなく、もはや断末魔の叫びをあげ続けることしかできない。結局、時間にしてわずか3分で、アイランズの本体は燃え尽きたのだった。(さらに言えば前述のサラと凛奈の二人にほぼ同様の拷問を施していたので因果応報である)
こうしてアイランズは、自らが最も見下す存在である「頭の悪い愚か者」の手によって完全に滅び去った。それは他者を「凡夫」や「愚か者」と見下し、絶対安全圏から全ての糸を引いてきた悪逆非道なマッドサイエンティストにとって、最も屈辱的かつ因果応報な末路であった。