概要
クイーン・エメラルダス号とは、松本零士の漫画『クイーン・エメラルダス』シリーズに登場する宇宙海賊船。エメラルダスが自らの海賊としての名前を船に冠している。
デザインは巨大な軟式飛行船に、キャビン部分がぶら下がっているという構造。
版権問題とシリーズ内の歴史上からごたついている『宇宙戦艦ヤマト』を除くと、『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』の「アルカディア号」、『銀河鉄道999』の「999号」よりも早くデザインされている。
だが、『クイーン・エメラルダス』のアニメ化はこの2作より遅く、その為はじめて映像化されたのは『銀河鉄道999』(TV版)のゲスト出演からとなる。
この時は現在のデザインと異なり、キャビン部分は宇宙海賊船らしい武装化されたバスタブ形ゴンドラだったのだが、その『999』の劇場版第1作から、現在の木造帆船を模したものになっている。
主武装は、木造戦列艦を模して両舷に備え付けられたビーム砲。ただしこれだけでは全方位を補えないため、他にもレーザー機銃などを装備している。
その代わり防御は強力で、劇場版第1作の終着駅(ネタバレになるため名称は伏せる)の戦闘衛星のビーム砲などは蚊が射したに等しい。これまた割とあちこち壊すアルカディア号とは対照的になっている。
……なんだけど、同作では星野鉄郎にコスモドラグーンで撃たれて激怒しているんだよねエメラルダス……例えて言うなら大和に.357マグナム撃ち込んだ程度の筈なのだが。
彼女のプライドと宇宙海賊としての矜持を傷つけられたと言うことなのかもしれないし、第2作では鉄郎は軍事機密レベルで重要な施設をコスモドラグーンの乱射で破壊しているので、エメラルダス号でもそれなりに傷はつくということなのかもしれない。
海野広と出会うまでは、基本的にエメラルダスが1人で宇宙を放浪する為の船であり、他に乗組員は見当たらない。……が、原作・TV版『999』ではエメラルダスの代わりに動く、アンドロイドによって操縦されていることが解っている。
ちなみに第2作のラストではある事情から自動操縦装置が使えなくなり、999号とアルカディア号は手動操縦で乗り切っているのだが、エメラルダスがどうしたのかは不明。
999号を追い越すことができる宇宙船はこれとアルカディア号ぐらいだとされる。
ちなみにトチローとハーロックが「自らが宇宙を旅するために作り上げたオリジナル艦」としてアルカディア号を設計したのに対し、エメラルダス号は古くから存在する船で、エメラルダスと運命的な出会いを果たしているという違いがある。原作漫画においては、エメラルダス号はゾナラーナなる人物から死に際に譲り受けたものとされており、エメラルダスに出会う前にすでにクイーン・エメラルダス号という名前がついていたという不思議な設定がなされている(譲ることを決心したゾナラーナが先んじて改名しておいた可能性もあるが)。対して「ニーベルングの指環」では、惑星メタブラディで所有者不明のまま放置されていた船として登場。なお、原作・「指環」版ともに船自体が人格を持っているような描写がある...が、性格は媒体によってかなり異なる。原作ではエメラルダスが介抱ついでに船に招き入れたトチローに対してありもしない不調を訴えてその技術や人柄を試したり、トチローがエメラルダス号の構造や設計から製造者の人柄をしのんだ際には、製造者を思い出したのか泣き声のような駆動音をあげたりと、一つの生命体のような描写が行われた。対して「指環」版では探検しにきた幼い頃のトチロー、ハーロック、エメラルダス、メーテルに対してそれぞれの宿命や未来について話し、特にトチローに対しては「私を万全の状態に直せるのは貴方だけ」「どうか早く直して」と懇願し、ついにはトチローのいる秘密基地に無人操縦のまま押しかけるなど、終始デレデレだった。なお、基本的には中立的なのだが、トチローたちを狙うものには艦の防衛機構をフル稼働して排除にかかるなど、トチローやエメラルダスに害をなすものには苛烈な一面を見せた。
なお、OVA版ではエメラルダス号の来歴については描かれていないが、トチローにより完璧な状態に整備され、なおかつシンボルである髑髏マークが描かれることになった経緯が描かれている。