概要
学生運動において、新左翼活動の参加者が手っ取り早く調達できる武器として用いる棒全般を指す。
形状に定義があるわけではないが、一般的には木製の角材が用いられた。中には釘を多数打ち込んだものも存在した。
しばしば用いられたのはプラカードの棒を流用したもので、下手をすると一撃で折れるほど脆いが、実際のところゲバ棒の主な使用目的は示威であり、相手を殴ることは少なかったので問題はなかった。
攻撃するにしても、打撃ではなく正面から突く方がその特性を活かせている。
ゲバ棒の語源は「ゲバルト棒」。ゲバルト(Gewalt)とはドイツ語で「暴力」にあたる単語であり、武装闘争に使う棒だからゲバルト棒→ゲバ棒である。
なお、学生運動華やかなりしころには、右翼系民族派学生運動も盛んになったが、彼らも同様の棒を用いていた。
現在では学生運動がほぼ消滅しており、政治思想の発信はSNSが主流になったため、ゲバ棒を見ることは殆どなくなった。
しかし、毎年8月6日に広島の原爆ドームで行われる追悼慰霊式の際には、中核派に属する過激派のメンバーがゲバ棒を大量に装備し、原爆被害者の追悼を望む地元の人々迷惑も顧みず反政府デモ行進を行っている。
ちなみに、一部の撮り鉄の間ではこのゲバ棒にちなんでカメラ用の三脚が「ゲバ」と呼称されている。